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第3章
お互いがとっても警戒し合っているようです。
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「ルナイス・アーバスノイヤーよ。奴を此処に置いた我の落ち度であった。不快な思いをさせて申し訳ない。」
「わざと置いていたのかと思いましたが。」
「いいや。作為はない。」
「そうですか。」
国王が謝罪をしてくれたが、否定はしているが、これは80%の確率であえてあの五月蠅いおじさんを置いていたなっと思う。
僕が怒鳴る大人にびびりボロを出すのを狙ったか、あるいはあのおじさんをしばくきっかけが欲しかったか…
「それで…僕の適正魔法が闇属性であることの何をそんなに気にされているのか…まだ答えをいただいておりません。」
「ふははは!!さすがあいつの息子だ。その歳で肝が据わっておる。…我に闇属性への偏見がないとは言わない。むしろ我は闇属性の魔法使いを信用しきることはできないと思っておる。闇魔法は暗躍に向きすぎているからな。」
それかけた話を戻し、国王に問いかければ何故か豪快に笑いだし先ほどよりも砕けた様子で喋り出した。
国王様が闇魔法を警戒する理由は分からなくもない。
影や闇に潜むことのできる闇魔法は魔力量があり、使いこなすことができれば確かにあまりにも暗躍に向きすぎた魔法属性である。
だがそれは個人の使いようであって、それは他属性の魔法でも言えることだ。
「国王様。過去の文献では光属性に適正のあった者が好かれすぎて過剰に干渉を受け、利用されたり誘拐されたりが続き、光の矢の雨を降らし多くの死者を出したと記されていました。自分にとって、国にとって不利益となるかどうかは魔法属性で決まるのではなく、個です。」
「ふむ…なるほどな。では、我が何故アーバスノイヤー家の人間に闇属性持ちが生まれることを気にしているのかという話をしよう。先も言った通りアーバスノイヤー家は王家に匹敵する程の強い力を持つ家だ。我はアーバスノイヤーを仕事の面では信頼しておるが、それ以外の面では警戒している。近年我がアーバスノイヤーへの警戒心を強めているのは君の存在と、ドラゴンの存在があるからだ。正直今のアーバスノイヤー家は戦力を高めすぎている。その上、アーバスノイヤー家は君のことをあまり我等と関わらせたくないらしい。警戒するなという方が無理があるとは思わないか?」
国王様の言葉になるほどっと頷く。
仕事面で信頼を置ける存在だからこそ、反旗を翻されれば王家も国もただでは済まない。
最悪大きな内紛が起きる。
その未来は何としてでも避けなければならない。
つまり目の前の国王は、自身がアーバスノイヤー家を完全に味方につけられていないことをきちんと理解している、というわけだ。
とーさまは従えられる理由があるから今は大人しく国王に従事ているが、国王に不満を感じることもそこそこあると思う。
納得できないことが増え、従える主に値しないと、とーさまが判断すれば国王は大きな戦力を失うことになる。
その危険性も理解している。
お互いがお互いを警戒し合っているのが今の状況ってわけだ。
突然の呼び出しには正直むっとするけれど、今日こうやって国王様とお話できて良かったかもしれない。
「確かに大きな力を持つ者達がアーバスノイヤー家には集っていますね。僕は彼等を戦力と考えていなかったので、国王様にご不安を与えるとは思ってもみなかったのです。彼等を今後も戦力にするつもりはないですが…その辺りはアーバスノイヤー公爵とじっくり話し合ってみてください。僕からも公爵にきちんと国王様とお話するよう言ってみます。」
そう答える僕に国王様は満足そうに頷き、けれど帰って良しとはならなかった。
「自身の危険性がないことを証明するため、今この場で力を使ってみないか?それから他に隠していることがあるのであれば正直に言っておいた方がいいと思わんか?」
ニヤリと笑いそう言う国王様にあー、とーさまが気に食わないのはこういうところだなって察する。
「国王様、ここで彼に魔法を使わせれば彼に在らぬ疑惑を抱く者も出て来るやもしれません。それにそういった繊細なことをこの場で強制するのはいささか品に欠けた行為と思いますが。」
顔を顰める僕の変わりにクラージュ殿下が国王様にガツンっと言ってくれる。
国王様はそんなクラージュ殿下をギロリと睨むが、クラージュ殿下はつんっと顔を背けてまったく気にしていない様子。
王妃様が扇でパシンをクラージュ殿下のお尻をさりげなく叩いているがダメージはなさそうで平然とした様子のまま。
じっとそんな様子を見ていると、クラージュ殿下と目が合ってパチっとウィンクを貰ってしまった。
そしてまだ学生の身である僕を長時間拘束するのは良くないとこれまたクラージュ殿下が進言して下さって僕を解放してくれたので、後日お礼に何か美味しいものでも贈ろうと思う。
_____
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最初の方のお話にもいいねをしてくださっていてとても嬉しいです^^
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
「わざと置いていたのかと思いましたが。」
「いいや。作為はない。」
「そうですか。」
国王が謝罪をしてくれたが、否定はしているが、これは80%の確率であえてあの五月蠅いおじさんを置いていたなっと思う。
僕が怒鳴る大人にびびりボロを出すのを狙ったか、あるいはあのおじさんをしばくきっかけが欲しかったか…
「それで…僕の適正魔法が闇属性であることの何をそんなに気にされているのか…まだ答えをいただいておりません。」
「ふははは!!さすがあいつの息子だ。その歳で肝が据わっておる。…我に闇属性への偏見がないとは言わない。むしろ我は闇属性の魔法使いを信用しきることはできないと思っておる。闇魔法は暗躍に向きすぎているからな。」
それかけた話を戻し、国王に問いかければ何故か豪快に笑いだし先ほどよりも砕けた様子で喋り出した。
国王様が闇魔法を警戒する理由は分からなくもない。
影や闇に潜むことのできる闇魔法は魔力量があり、使いこなすことができれば確かにあまりにも暗躍に向きすぎた魔法属性である。
だがそれは個人の使いようであって、それは他属性の魔法でも言えることだ。
「国王様。過去の文献では光属性に適正のあった者が好かれすぎて過剰に干渉を受け、利用されたり誘拐されたりが続き、光の矢の雨を降らし多くの死者を出したと記されていました。自分にとって、国にとって不利益となるかどうかは魔法属性で決まるのではなく、個です。」
「ふむ…なるほどな。では、我が何故アーバスノイヤー家の人間に闇属性持ちが生まれることを気にしているのかという話をしよう。先も言った通りアーバスノイヤー家は王家に匹敵する程の強い力を持つ家だ。我はアーバスノイヤーを仕事の面では信頼しておるが、それ以外の面では警戒している。近年我がアーバスノイヤーへの警戒心を強めているのは君の存在と、ドラゴンの存在があるからだ。正直今のアーバスノイヤー家は戦力を高めすぎている。その上、アーバスノイヤー家は君のことをあまり我等と関わらせたくないらしい。警戒するなという方が無理があるとは思わないか?」
国王様の言葉になるほどっと頷く。
仕事面で信頼を置ける存在だからこそ、反旗を翻されれば王家も国もただでは済まない。
最悪大きな内紛が起きる。
その未来は何としてでも避けなければならない。
つまり目の前の国王は、自身がアーバスノイヤー家を完全に味方につけられていないことをきちんと理解している、というわけだ。
とーさまは従えられる理由があるから今は大人しく国王に従事ているが、国王に不満を感じることもそこそこあると思う。
納得できないことが増え、従える主に値しないと、とーさまが判断すれば国王は大きな戦力を失うことになる。
その危険性も理解している。
お互いがお互いを警戒し合っているのが今の状況ってわけだ。
突然の呼び出しには正直むっとするけれど、今日こうやって国王様とお話できて良かったかもしれない。
「確かに大きな力を持つ者達がアーバスノイヤー家には集っていますね。僕は彼等を戦力と考えていなかったので、国王様にご不安を与えるとは思ってもみなかったのです。彼等を今後も戦力にするつもりはないですが…その辺りはアーバスノイヤー公爵とじっくり話し合ってみてください。僕からも公爵にきちんと国王様とお話するよう言ってみます。」
そう答える僕に国王様は満足そうに頷き、けれど帰って良しとはならなかった。
「自身の危険性がないことを証明するため、今この場で力を使ってみないか?それから他に隠していることがあるのであれば正直に言っておいた方がいいと思わんか?」
ニヤリと笑いそう言う国王様にあー、とーさまが気に食わないのはこういうところだなって察する。
「国王様、ここで彼に魔法を使わせれば彼に在らぬ疑惑を抱く者も出て来るやもしれません。それにそういった繊細なことをこの場で強制するのはいささか品に欠けた行為と思いますが。」
顔を顰める僕の変わりにクラージュ殿下が国王様にガツンっと言ってくれる。
国王様はそんなクラージュ殿下をギロリと睨むが、クラージュ殿下はつんっと顔を背けてまったく気にしていない様子。
王妃様が扇でパシンをクラージュ殿下のお尻をさりげなく叩いているがダメージはなさそうで平然とした様子のまま。
じっとそんな様子を見ていると、クラージュ殿下と目が合ってパチっとウィンクを貰ってしまった。
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