王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

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第3章

親子ドラゴンの住処が決まったわけですが…

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親子ドラゴンが芝生広場で待機して一ヶ月。



やっととーさまと国王様達の話し合いが終わり、親子ドラゴンに過ごしてもらう地が決まった。

親子ドラゴンが気に入るかどうかも重要なので候補は3つ。





1つめは


魔怨の森


僕からは離れてしまうけれど、ノヴァが居るし、精霊など魔力を多く持つ種族が住処としている森なので本来の自然に近い形で育児ができるのではないかという理由から。





2つめは



親子ドラゴンが過ごすにはギリギリと広さのアーバスノイヤー家の芝生の庭



元々芝生の庭は有事の際の領民の避難場として作られた場所で、今は僕が偶にお昼寝したりのんびり過ごす時に使うくらい。
永住されると困るけど、一時ならば居てもらっていいんだけど…


二体のドラゴンが心地よく過ごすには少し狭いのと

国王様からこれ以上は警戒から脅威として認識しなければいけなくなると言われたのでちょっとあんまりおすすめできない。
でも他に良い所なかったら仕方ないよねってことで候補の1つに。






3つめは



契約の森



此処は屋敷の裏、馬車で5分の所にある大きな山。

契約の神様が住む山だと言われていて、調教師テイマーが試験の際に登る山だ。


普段は何人も立ち入ることが許されていなくて、中に入るには国からの許可とアーバスノイヤー公爵家からの許可に加え、山の麓に住まう精霊からも許可を得なくてはいけない。

山には色んな精獣や精霊が居て調教師テイマーはそれらと契約を結び相棒を得る。



親子ドラゴンがそこに住めるかどうかは契約の神様次第。

















結果



親子ドラゴンはアーバスノイヤー家芝生の庭に決定。







魔怨の森は色んな種族の強い魔力が混濁していてあまり育児に向かず、僕が毎日気軽に行ける距離でもないのが問題で却下。


契約の森は契約の神様に断られちゃったみたい。

親子ドラゴンを伴っての住処見学にはノヴァにもついてきてもらっていて、魔怨の森と契約の森に住む住人達との間を取り成してもらったのだけど、契約の神様から『万が一卵の子が何かと契約しちゃったら責任とれません』って理由で断られたのだそうだ。


近々行われる調教師テイマーの試験で珍しいドラゴンとの契約を望む者はどうしても出てくる。
契約を成さなくても、無茶な契約魔法に傷つく可能性があるのでいけませんってことだ。








「んー…。」


というわけで、お屋敷うちのお庭に親子ドラゴンがいるわけですが…


やはり隠れる場所のない芝生の庭では親子ドラゴンも僕も落ち着かない。




木を植えてもドラゴンの体を隠す大きさになるまでには何十年もかかる。
精霊にお願いをするという手もあるけど…精霊がそのお願いを快く叶えてくれるかどうかは分からない。


とーさまにお願いして、特大のドラゴン小屋を作ってもらうか…



しかしドラゴンを狙う者達に此処に居ますよって言っているようなものでは?という懸念が…






「別の空間を造り、そこに住まわすのはどうじゃ?」


「なるほど!あー…でも安全性が…」


「お主の傍に魔法を得意とする半魔ものがおるじゃろ。」


「ノヴァ??…ん?……誰!?」





芝生の庭で卵を抱えて丸まるドラゴンを眺め、思考の海に潜っていて誰かと会話していることに直ぐには気が付かなかった。

魔法を得意とする半魔もの…でノヴァのこと?と首を傾げたところで、自分が何者かと会話をしていることを自覚し、すぐ真横に立っていた人物に驚きすぐに距離を取る。



ヨハネスとコルダも気づけなかったみたいで、僕が気づくのと同時に僕と知らない人の間に。




気配が薄く、黒い靄だったものがはっきりとした形を成した時


目の前には白髪の短い髪の毛に布を巻き、白いゆったりとしたズボンに上半身は首元に白い布を巻きつけているだけの褐色イケメンが現れた。





「フォッフォ!驚いておるなぁ。わしのことはベルちゃんと呼んでくれ。」


独特な笑い声を上げた男、ベルちゃんは自己紹介を終えると何故かその場でゴロンと横になった。



「ふぅわ~…良い天気じゃの~。魔界は暗いからのぉ、偶には日光浴せんと。」


「魔界……」



ヨハネスやコルダからの鋭い視線などは一切気にせずのんびり欠伸をしているベルちゃんの発言にとある記憶が蘇る。










『そんなものを喜んで受け取るのはベル殿くらいではないか?』

淫魔のアスモがバグさんに容赦なく叩きのめされている時に、バグさんの口から出てきた第三者の名前。


ベル殿…ベルちゃん…魔界…




「もしかしてバグさんと知り合いの悪魔さんですか?」


「如何にも~。話題の君が可愛らしいと聞いて会いにきてみたのじゃ~。しかし、わしの好みじゃないのぉ…それ!」



好みじゃない発言をした後、指をパチンと鳴らしたベルちゃん。

自分のじゃない魔力が体を包んだ感覚に体がぶるりと震え、そして急激に体に風を感じ視線を自身の体へ向ければ、僕の服がとってもセクシーになっていた。





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