王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

文字の大きさ
236 / 422
第4章

ノヴァの複雑な優しい魔法

しおりを挟む
夕食を終え、一晩経ち…




「ルナイス一体何をした。」


早朝獣人領にやってきたテトラ君から厳しい視線を言葉を向けられている僕。

ちなみにノヴァは双子と最終確認をしに訓練施設へ行っているらしい。






テトラ君はどうやら此処に到着する前に使いの者から僕達のせいで地面が抉れたのでご注意下さいと言われていたらしい。


昨日のうちにノヴァが直したからボコボコだった地形はちょっと不自然なくらいまっすぐな雪道になっているので馬車で来るのに支障はなかった様子だけど、人の領地で好き勝手しすぎだと叱られた。




相変わらず正論パンチが強い。

ぐぅの音もでません。








テトラ君と改めてヴォルカンさんに謝罪をして僕はテトラ君と朝食をとることにした。


「すぐにハデス領へ向かってもいいが…どうする?」


「んー…貴重な獣やキメラ種を見てみたいんだけど。」


「あぁ。それなら黒煙の森が一番色んなのが出るが…獣人領とハデス領の間にある名のない森がある。」



名のない森?

聞いたことのない情報に首を傾げるとテトラ君はそのまま誰にも何とも呼ばれてない森のことだと説明してくれた。





「獣やキメラ種が定期的に森の中のどこかから湧いてくる。」


「…それ、大丈夫なの?」



「対処可能な範囲ではあるし、森からは絶対に出てこないしな。」




森からは出てこないってことは…何か結界的なものがあるんだろうか?

でもあったとしてもそれを仕込んだのは獣人でも人でもない。




そんなの気になって仕様がないよね。







ノヴァの用事が終わって戻ってきたら出発することに決め、皆に移動の準備をしてもらう。

僕は特にやることないので、テトラ君のお茶…と思っていたのにテトラ君は目を爛々と輝かせてヴォルカンさんと打ち合いに行ってしまった。



まぁ…思ってたよりも獣人との関係が良好でよかったよ。

これでまた西のみたいに面倒なことになったら僕はもう引き籠ったに違いない。










結局その日はノヴァもテトラ君も日が暮れてやっと帰ってきたので、もう一日獣人領にお邪魔させてもらうことになった。



ノヴァはすまないと謝ってくれたけれど、突然決まったことだし仕方ない。

だけどテトラ君は知っていたのに帰ってこなかった。



しかも全然謝る気なし。


ムカついたので重力魔法で歩きづらく、そして寝苦しくしてやった。















そうしてやってきた翌日。


今日は朝から凄く雪が降っているが、昨日までが天気が良すぎたくらいで普段はこれくらい降るのだとか。

馬車の車輪と進む道を凍らせてソリのようにして走らせている。
とってもスリリング。


馬たちの足が寒くないのかなっと気になったけど、雪道に強い馬をつれてきているようで平気そうで安心した。




「ルナイス。寒くないか。」


「うん。ノヴァは?」


「大丈夫だ。」




僕達は厚着をしているけれど、やっぱり馬車の中で動いてないから寒くなってくる。

獣人領内は結界が施されて雪の影響を受けていなかったので、じっとしていても平気だったがやはり外は寒い。



お互いの手を握って暖を取っている僕達だけど、向かいに座っているテトラ君は平気なお顔。





「テトラ君寒くないの?」


「あぁ。服の中に炎鳥エンチョウの羽で作られた服を着ているから平気だ。ルナイス達にも持ってきてたが渡すのを忘れていた。」



そういえばっとさらっと言うテトラ君にノヴァの眉尻がピクリと動いたのを僕は見た。

たぶん忘れていたじゃねーよと思っているに違いない。




しかしふむっと一瞬考える素振りを見せたノヴァは、僕の服に触れ魔法を展開した。

なんだろうなぁっと思った次の瞬間にはもう体がぽっかぽか。





「炎と氷と風魔法を組み合わせて服の繊維に展開した。暑すぎたり、冷たかったりしないか?」


思ったより複雑な魔法を使ったらしいノヴァに驚きながらも問題なく適温であることを伝えてお礼を言う。

ノヴァも自分の衣服に魔法を施すと僕達に断ってから馬車の小窓を開け近くを馬で並走していたヨハネスと真剣な顔で話し始めた。


順番に使用人達が馬車の近くにやってくるので、恐らく彼等にも魔法を施しているのだろう。

僕の伴侶はクールなようで僕よりもうんと優しい人なのだ。




ホルス様は小型ドラゴンの姿で飛んでいるが、全く寒くないらしい。

ドラゴンの皮膚は分厚いから暑さや寒さに強いんだって。素敵。








しおりを挟む
感想 54

あなたにおすすめの小説

転生したら嫌われ者No.01のザコキャラだった 〜引き篭もりニートは落ちぶれ王族に転生しました〜

隍沸喰(隍沸かゆ)
BL
引き篭もりニートの俺は大人にも子供にも人気の話題のゲーム『WoRLD oF SHiSUTo』の次回作を遂に手に入れたが、その直後に死亡してしまった。 目覚めたらその世界で最も嫌われ、前世でも嫌われ続けていたあの落ちぶれた元王族《ヴァントリア・オルテイル》になっていた。 同じ檻に入っていた子供を看病したのに殺されかけ、王である兄には冷たくされ…………それでもめげずに頑張ります! 俺を襲ったことで連れて行かれた子供を助けるために、まずは脱獄からだ! 重複投稿:小説家になろう(ムーンライトノベルズ) 注意: 残酷な描写あり 表紙は力不足な自作イラスト 誤字脱字が多いです! お気に入り・感想ありがとうございます。 皆さんありがとうございました! BLランキング1位(2021/8/1 20:02) HOTランキング15位(2021/8/1 20:02) 他サイト日間BLランキング2位(2019/2/21 20:00) ツンデレ、執着キャラ、おバカ主人公、魔法、主人公嫌われ→愛されです。 いらないと思いますが感想・ファンアート?などのSNSタグは #嫌01 です。私も宣伝や時々描くイラストに使っています。利用していただいて構いません!

【完結】婚約破棄したのに幼馴染の執着がちょっと尋常じゃなかった。

天城
BL
子供の頃、天使のように可愛かった第三王子のハロルド。しかし今は令嬢達に熱い視線を向けられる美青年に成長していた。 成績優秀、眉目秀麗、騎士団の演習では負けなしの完璧な王子の姿が今のハロルドの現実だった。 まだ少女のように可愛かったころに求婚され、婚約した幼馴染のギルバートに申し訳なくなったハロルドは、婚約破棄を決意する。 黒髪黒目の無口な幼馴染(攻め)×金髪青瞳美形第三王子(受け)。前後編の2話完結。番外編を不定期更新中。

寄るな。触るな。近付くな。

きっせつ
BL
ある日、ハースト伯爵家の次男、であるシュネーは前世の記憶を取り戻した。 頭を打って? 病気で生死を彷徨って? いいえ、でもそれはある意味衝撃な出来事。人の情事を目撃して、衝撃のあまり思い出したのだ。しかも、男と男の情事で…。 見たくもないものを見せられて。その上、シュネーだった筈の今世の自身は情事を見た衝撃で何処かへ行ってしまったのだ。 シュネーは何処かに行ってしまった今世の自身の代わりにシュネーを変態から守りつつ、貴族や騎士がいるフェルメルン王国で生きていく。 しかし問題は山積みで、情事を目撃した事でエリアスという侯爵家嫡男にも目を付けられてしまう。シュネーは今世の自身が帰ってくるまで自身を守りきれるのか。 ーーーーーーーーーーー 初めての投稿です。 結構ノリに任せて書いているのでかなり読み辛いし、分かり辛いかもしれませんがよろしくお願いします。主人公がボーイズでラブするのはかなり先になる予定です。 ※ストックが切れ次第緩やかに投稿していきます。

最強賢者のスローライフ 〜転生先は獣人だらけの辺境村でした〜

なの
BL
社畜として働き詰め、過労死した結城智也。次に目覚めたのは、獣人だらけの辺境村だった。 藁葺き屋根、素朴な食事、狼獣人のイケメンに介抱されて、気づけば賢者としてのチート能力まで付与済み!? 「静かに暮らしたいだけなんですけど!?」 ……そんな願いも虚しく、井戸掘り、畑改良、魔法インフラ整備に巻き込まれていく。 スローライフ(のはず)なのに、なぜか労働が止まらない。 それでも、優しい獣人たちとの日々に、心が少しずつほどけていく……。 チート×獣耳×ほの甘BL。 転生先、意外と住み心地いいかもしれない。

婚約破棄されたから能力隠すのやめまーすw

ミクリ21
BL
婚約破棄されたエドワードは、実は秘密をもっていた。それを知らない転生ヒロインは見事に王太子をゲットした。しかし、のちにこれが王太子とヒロインのざまぁに繋がる。 軽く説明 ★シンシア…乙女ゲームに転生したヒロイン。自分が主人公だと思っている。 ★エドワード…転生者だけど乙女ゲームの世界だとは知らない。本当の主人公です。

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

転生令息は冒険者を目指す!?

葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。  救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。  再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。  異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!  とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A

断罪回避のはずが、第2王子に捕まりました

ちとせ
BL
美形王子×容姿端麗悪役令息  ——これ、転生したやつだ。 5歳の誕生日、ノエル・ルーズヴェルトは前世の記憶を取り戻した。 姉が夢中になっていたBLゲームの悪役令息に転生したノエルは、最終的に死罪かそれ同等の悲惨な結末を迎える運命だった。 そんなの、絶対に回避したい。 主人公や攻略対象に近づかず、目立たずに生きていこう。 そう思っていたのに… なぜか勝手に広まる悪評に、むしろ断罪ルートに近づいている気がする。 しかも、関わるまいと決めていた第2王子・レオンには最初は嫌われていたはずなのに、途中からなぜかグイグイ迫られてる。 「お前を口説いている」 「俺が嫉妬しないとでも思った?」 なんで、すべてにおいて完璧な王子が僕にそんなことを言ってるの…?  断罪回避のはずが、いつの間にか王子に捕まり、最後には溺愛されるお話です。 ※しばらく性描写はないですが、する時にはガッツリです

処理中です...