王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

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第4章

ノヴァは可愛さも兼ね備えている

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ヒュー様が去って、ノヴァにくっついていること数分。



「…距離が近くないか。」


「嫌ですか?」


「…そういうわけではないが。」




とーさまが部屋へ訪れて、僕はすぐさまノヴァから離れとーさまに座るよう促し、そしてとーさまの横にぴったりと座った。

もちろん僕はそこまで重度のファザコンではない。
ブラコンではあるけれど。



只、不機嫌な顔で訪れたとーさまに予想通り怒られる未来しか見えなかったので、くっついてご機嫌取りをしているところだ。
ご機嫌取りというか…妙な空気を造り出している、とも言える。






「…そんなことをしても私は怒っているよルナイス。」


「何のことでしょう。とーさまが怒っているのは理解していますが、僕は間違った判断をしてはいないはずです。」



駄目だったかっと舌打ちをするのをぐっと堪えて白を切る。

そしてとーさまから話を持ち出される前に僕から主張をする。




「間違っていないから先ほどの会議で僕とノヴァが現場の調査をすることで決まったのではないのですか。」


更に言葉を重ねて言うととーさまはしばらく目を閉じて黙り込んだ。






「あれから何度脳みそを働かせても、ルナイス達に動いてもらうこと以上に最善の策が思い浮かばない。しかし今回の相手は油断ならない上に狙いも分からない。そんな危険な場所に二人の息子を置いていかなければならない。情けなくて仕様がない。」



「情けないことなどありません。国を動かすにはそれなりの時間が必要となります。貴方が少しでも動きやすくなることで問題解決への道が大きく前進すると信じているから私達は現地で調査をすると名乗り出たのです。」




眉間に深い皺をつくって力なく言うとーさまにノヴァがそう言うので僕もうんうんと頷く。






「僕のことはノヴァが守ってくれるし、ノヴァのことは僕が守ります。ヨハネスもガンナーもコルダも居ます。本当に危険だと判断した時にはすぐに身を隠します。先ほどもヒュー様から危険な状況になったら何も考えずに逃げろと言われました。」



「あぁ。私もヒューの言う通り、危険だと判断したら何も気にせず逃げてほしい。ノヴァ、お前もだ。」



とーさまの言葉に僕とノヴァは同時に頷くと、そんな僕達をとーさまは大きく腕を広げて二人纏めて抱きしめた。






「っふ…アドルファスが暴走しないようにもしないとな。」


「ふふ。」


「それは…本当にお願いします。」




とーさまの笑い混じりの言葉に僕はクスクスと笑って、ノヴァは少し遠い目をして真剣めにとーさまにお願いした。


名残惜しそうにしてとーさまはゆっくりと僕達から離れ、僕とノヴァの額にキスを落とすと部屋を出て行かれた。





ふっと横を見ると顔を真っ赤に染めたノヴァが居て、とーさまからのキス攻撃にすごく照れているらしいその顔を見て凄く愛おしい気持ちになる。

不意を突いて僕からも赤く染まるその頬にキスを贈ると何故かぎゅうっと強く抱きしめられてそのままベッドに転がらされた。
僕を抱きしめて包んだままゴロゴロとベッドの上を転がるノヴァはどうやらやり場のない気持ちに悶えているらしい。




こんな可愛い行動を見せるノヴァは珍しくて、僕は心の中でとーさまに向かって親指を上げた。








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