王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

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第4章

レッドドラゴンまさかの家出

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ガーネットの動きを警戒しながら僕とノヴァはくっついて談笑をし、ホルス様はラプラス様からの質問攻めに合っている中、すっと目の前から氷壁が消えたことで全員が意識をガーネットの方へと向けた。



「だいぶ温度が下がったようよ。どうかしら?暑くない?」


「少し暑いけど問題ないよ。ありがとうククちゃん。」


氷壁があった所を越えてククちゃんの傍に寄ると氷壁を消した理由を教えてくれた。


皮膚がひりつくような暑さは感じないけれど、少し汗ばむくらいには暑い。
ククちゃんの傍に居てこうなので、これ以上ガーネットに近づくのは危険そう。
ラプラス様や護衛達にはククちゃんの傍から離れずこれ以上レッドドラゴンには近づかないよう指示を出した。





『あ!ルナイス!あの卵まだまだ生まれないと思うぞ!』


近くに来た僕達に気がついたパンが赤い卵がまだまだ孵化しない様子であると教えてくれる。

そそっかしくて色々やらかしちゃう子だけど、こういうところしっかりしている子でもある。



聞く前に聞きたいことを教えてくれる。

有能な子である。





「ありがとうパン。きっとここら辺の栄養は吸収しきって今は栄養が足りないんじゃないかな。」


「そうだろうな。このままではレッドドラゴンの子供が死んでしまうかもしれない。」


「そういえば、レッドドラゴンって何処で子育てしてるの?」



決まった所があるのならそこに移動してもらうのが一番平和的解決なんだけど。




「火山付近を住処とし、子育てをしているはずだが…ガーネット。お主は何故卵を抱えてこんな所におるのだ。」




僕の疑問にホルス様が答えてくれて、未だ卵に頬擦りしているガーネットになぜ火山付近に居らず卵を抱えて飛んでいたのかと聞いてくれた。




『…旦那と喧嘩して、何も考えずに飛び出しちゃったのよ。』


ガーネットは頬擦りを止めて、気まずそうに視線を僕達から逸らしてそう言った。

思わず僕の口から「旦那と喧嘩」っと言葉が零れ出た。



ククちゃんはパートナーはいるけれど育児は1人でやると聞いていたからレッドドラゴンもそうなんだと思っていたけれど…もしかしたら育児とか夫婦関係とかもそれぞれ種によって違うのかもしれない。





「馬鹿め。お主だけならばまだしもまだ栄養が必要な未熟な我が子を抱えて当てもなく飛び出るなど笑い話にもならん。」


ホルス様の容赦ない言葉にガーネットはしゅんッとした様子でキューキュー鳴きながら体を地面に伏せる。

ホルス様にこてんぱにやられたのがそうとう堪えたのか、服従の姿勢でホルス様のご機嫌を覗っているようだ。





「ガーネットさん。戻った方がいいよ。此処じゃ子も死んじゃうし、色んな人に迷惑がかかる。」


『っそれができないからこんなことになってるのよ!!そもそも!あいつが悪いのにどうして私が折れてやらなくちゃいけないの!!』



口の横に両手を添えて声を頑張って張り上げて伝えた言葉に返ってきたのは、感情溢れる大きな怒鳴り声。


ドラゴンの言葉が分からない者からすると


ギュィィイイイイイイイイ!!!!


っていう威嚇音にしか聞こえないから、ノヴァもヨハネス達も剣に手をかけて攻撃態勢に入ってしまった。






『ルナイスをいじめるなぁ!!』


パンも僕に怒鳴ったガーネットに向かって容赦なく氷の塊をぶつけて応戦するし、それにもっと怒ったガーネットからまた熱い熱波が放たれ出して皮膚がチリっとし出した時…







グギャアアアアアアアアアアアアアアア!!!



突然ガーネットの体が黒い炎に包まれて、ガーネットの悲鳴が辺りに響き渡った。







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