304 / 425
第4章
怒るホルス様
しおりを挟む
突如ガーネットを包み込んだ黒い炎と苦しむレッドドラゴンの姿。
救助しようにも黒い炎とガーネット自身から放たれる熱波で近づけないどころか、ノヴァに抱えられて僕達はククちゃんが再び造ってくれた氷壁の後ろに下がることしかできない。
「一体何が…」
「あの黒い炎…あれは…」
『ノワールが怒ったのよ。』
戸惑う僕達と黒い炎を冷静に分析するラプラス様にククちゃんが黒い炎の正体を教えてくれた。
ぱっと遥か上にあるククちゃんの顔を見上げると鼻からプスーっと深いため息を吐き出していてあきれ果てた様子。
『ノワール様が怒った!怖い怖い!!』
パタパタと半泣きで飛んできたパンがククちゃんのお腹の内側に隠れる。
改めてガーネットが居る所へ視線を向けると丁度ホルス様が人型からドラゴンの姿へと変わったところで、ドラゴンの姿となったホルス様からは強い怒りの圧を感じる。
耐性のなかった数名の護衛が立っていられなくて地面に片膝をつくくらいの強い圧だ。
こんなに怒っているホルス様を始めて見たけれど、僕は不思議とホルス様から放たれる圧に恐怖は抱かず、むしろ珍しく怒っているホルス様の姿に見惚れている。
だって黒い鱗が爛々と輝き、低く唸る素敵な鳴き声、それからホルス様から放たれる黒い色の炎はユラユラと揺れていて格好いい!の一言につきる!
「ルナイス、見惚れているところ悪いがこのままではあのレッドドラゴンと子供が消し炭になるどころか此処ら一体が火の海と化しそうだ。」
「っは!」
見惚れてうっとりとしていた僕は、ノヴァに両頬を掌で挟まれて現状のやばさを理解した。
しかし何がきっかけでホルス様があのように激怒されているのか分からない為、ホルス様を宥める言葉が見つからない。
ホルス様の言葉を聞こうにも怒っているホルス様からは皆と同じような唸り声しか聞こない。
『恐らくルナイスに怪我を負わせたうえに、ルナイスに怒鳴ったことで堪忍袋の緒が切れたのだろう。危ないからそこから出ない方がいいわ。』
ククちゃんの言葉になるほどっと頷く僕の心は舞い上がっている。
龍神の愛子であることを覗いてもホルス様は僕をすごく大切に思ってくれていると感じていたけれど、こうして僕の為に怒っている姿を見ると胸がきゅんっとするのと同時に凄く安心する。
性格悪いなって自分でも思うけれど、嬉しいって思う気持ちがどうしても湧いてくるんだから仕方ない。
僕はそういう人間なのだ。
それにそういう人間であっても、そんな僕の感情を美しいと言ってくれた方だっている。
そういう人間って分かっていても僕を愛してくれる夫がいる。
僕の為に怒るホルス様を見ていたい気持ちはあるのだけど、そろそろ止めないと本当にやばい。
ククちゃんはどうでもいいって感じですけど僕達はそうはいかない。
ラプラス様はドラゴン同士の争いに夢中で土地への被害に目がいってないようだけど…
『ホルス様…ホルス様…ホルス様?』
『………どうしたルナイス。』
いつもなら直ぐに呼びかけに答えてくれるんだけど、今は中々答えてくれなくて不安になってきた3回目の呼びかけでやっとホルス様から言葉が返ってきてほっとする。
『怒ってくれてるのはすごく嬉しいんです。けど、このままだとここら辺の地が炭になっちゃってちょっと困ったことになりそうです。』
『……少し冷静になって来よう。』
僕の呼びかけにホルス様はそう言って、空高く飛んで行ってしまった。
地にはペタリと横たわる弱った紅いドラゴンと無傷な卵が見えて、怒っていて理性が少し飛んでいても子供を傷つけなかったホルス様の優しさにほっこりとする。
「ホルス様、大丈夫かなぁ?」
「ホルス様よりレッドドラゴンが弱り切っているが…ルナイス、ホルス様はどこへ?」
「なんか冷静になって来るって。」
「なら大丈夫だろう。落ち着いた頃に戻ってきてくれる。」
心配でホルス様が飛んで行った方をじっと見つめる僕の頭を励ますようにぽんぽんとノヴァが撫でてくれて、ククちゃんも心配はいらないと言ってくれたので、気持ちを現場に戻します。
弱ったガーネットをこのままにはしておけないし、卵もこのままではいけない。
どうにか火山付近へ戻ってもらわないと。
救助しようにも黒い炎とガーネット自身から放たれる熱波で近づけないどころか、ノヴァに抱えられて僕達はククちゃんが再び造ってくれた氷壁の後ろに下がることしかできない。
「一体何が…」
「あの黒い炎…あれは…」
『ノワールが怒ったのよ。』
戸惑う僕達と黒い炎を冷静に分析するラプラス様にククちゃんが黒い炎の正体を教えてくれた。
ぱっと遥か上にあるククちゃんの顔を見上げると鼻からプスーっと深いため息を吐き出していてあきれ果てた様子。
『ノワール様が怒った!怖い怖い!!』
パタパタと半泣きで飛んできたパンがククちゃんのお腹の内側に隠れる。
改めてガーネットが居る所へ視線を向けると丁度ホルス様が人型からドラゴンの姿へと変わったところで、ドラゴンの姿となったホルス様からは強い怒りの圧を感じる。
耐性のなかった数名の護衛が立っていられなくて地面に片膝をつくくらいの強い圧だ。
こんなに怒っているホルス様を始めて見たけれど、僕は不思議とホルス様から放たれる圧に恐怖は抱かず、むしろ珍しく怒っているホルス様の姿に見惚れている。
だって黒い鱗が爛々と輝き、低く唸る素敵な鳴き声、それからホルス様から放たれる黒い色の炎はユラユラと揺れていて格好いい!の一言につきる!
「ルナイス、見惚れているところ悪いがこのままではあのレッドドラゴンと子供が消し炭になるどころか此処ら一体が火の海と化しそうだ。」
「っは!」
見惚れてうっとりとしていた僕は、ノヴァに両頬を掌で挟まれて現状のやばさを理解した。
しかし何がきっかけでホルス様があのように激怒されているのか分からない為、ホルス様を宥める言葉が見つからない。
ホルス様の言葉を聞こうにも怒っているホルス様からは皆と同じような唸り声しか聞こない。
『恐らくルナイスに怪我を負わせたうえに、ルナイスに怒鳴ったことで堪忍袋の緒が切れたのだろう。危ないからそこから出ない方がいいわ。』
ククちゃんの言葉になるほどっと頷く僕の心は舞い上がっている。
龍神の愛子であることを覗いてもホルス様は僕をすごく大切に思ってくれていると感じていたけれど、こうして僕の為に怒っている姿を見ると胸がきゅんっとするのと同時に凄く安心する。
性格悪いなって自分でも思うけれど、嬉しいって思う気持ちがどうしても湧いてくるんだから仕方ない。
僕はそういう人間なのだ。
それにそういう人間であっても、そんな僕の感情を美しいと言ってくれた方だっている。
そういう人間って分かっていても僕を愛してくれる夫がいる。
僕の為に怒るホルス様を見ていたい気持ちはあるのだけど、そろそろ止めないと本当にやばい。
ククちゃんはどうでもいいって感じですけど僕達はそうはいかない。
ラプラス様はドラゴン同士の争いに夢中で土地への被害に目がいってないようだけど…
『ホルス様…ホルス様…ホルス様?』
『………どうしたルナイス。』
いつもなら直ぐに呼びかけに答えてくれるんだけど、今は中々答えてくれなくて不安になってきた3回目の呼びかけでやっとホルス様から言葉が返ってきてほっとする。
『怒ってくれてるのはすごく嬉しいんです。けど、このままだとここら辺の地が炭になっちゃってちょっと困ったことになりそうです。』
『……少し冷静になって来よう。』
僕の呼びかけにホルス様はそう言って、空高く飛んで行ってしまった。
地にはペタリと横たわる弱った紅いドラゴンと無傷な卵が見えて、怒っていて理性が少し飛んでいても子供を傷つけなかったホルス様の優しさにほっこりとする。
「ホルス様、大丈夫かなぁ?」
「ホルス様よりレッドドラゴンが弱り切っているが…ルナイス、ホルス様はどこへ?」
「なんか冷静になって来るって。」
「なら大丈夫だろう。落ち着いた頃に戻ってきてくれる。」
心配でホルス様が飛んで行った方をじっと見つめる僕の頭を励ますようにぽんぽんとノヴァが撫でてくれて、ククちゃんも心配はいらないと言ってくれたので、気持ちを現場に戻します。
弱ったガーネットをこのままにはしておけないし、卵もこのままではいけない。
どうにか火山付近へ戻ってもらわないと。
548
あなたにおすすめの小説
王子のこと大好きでした。僕が居なくてもこの国の平和、守ってくださいますよね?
人生2929回血迷った人
BL
Ωにしか見えない一途なαが婚約破棄され失恋する話。聖女となり、国を豊かにする為に一人苦しみと戦ってきた彼は性格の悪さを理由に婚約破棄を言い渡される。しかしそれは歴代最年少で聖女になった弊害で仕方のないことだった。
・五話完結予定です。
※オメガバースでαが受けっぽいです。
【完結】『妹の結婚の邪魔になる』と家族に殺されかけた妖精の愛し子の令嬢は、森の奥で引きこもり魔術師と出会いました。
夏灯みかん
恋愛
メリルはアジュール王国侯爵家の長女。幼いころから妖精の声が聞こえるということで、家族から気味悪がられ、屋敷から出ずにひっそりと暮らしていた。しかし、花の妖精の異名を持つ美しい妹アネッサが王太子と婚約したことで、両親はメリルを一族の恥と思い、人知れず殺そうとした。
妖精たちの助けで屋敷を出たメリルは、時間の止まったような不思議な森の奥の一軒家で暮らす魔術師のアルヴィンと出会い、一緒に暮らすことになった。
竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
四葉美名
恋愛
「危険です! 突然現れたそんな女など処刑して下さい!」
ある日突然、そんな怒号が飛び交う異世界に迷い込んでしまった橘莉子(たちばなりこ)。
竜王が統べるその世界では「迷い人」という、国に恩恵を与える異世界人がいたというが、莉子には全くそんな能力はなく平凡そのもの。
そのうえ莉子が現れたのは、竜王が初めて開いた「婚約者候補」を集めた夜会。しかも口に怪我をした治療として竜王にキスをされてしまい、一気に莉子は竜人女性の目の敵にされてしまう。
それでもひっそりと真面目に生きていこうと気を取り直すが、今度は竜王の子供を産む「運命の花嫁」に選ばれていた。
その「運命の花嫁」とはお腹に「竜王の子供の魂が宿る」というもので、なんと朝起きたらお腹から勝手に子供が話しかけてきた!
『ママ! 早く僕を産んでよ!』
「私に竜王様のお妃様は無理だよ!」
お腹に入ってしまった子供の魂は私をせっつくけど、「運命の花嫁」だとバレないように必死に隠さなきゃ命がない!
それでも少しずつ「お腹にいる未来の息子」にほだされ、竜王とも心を通わせていくのだが、次々と嫌がらせや命の危険が襲ってきて――!
これはちょっと不遇な育ちの平凡ヒロインが、知らなかった能力を開花させ竜王様に溺愛されるお話。
設定はゆるゆるです。他サイトでも重複投稿しています。
王太子殿下のやりなおし
3333(トリささみ)
BL
ざまぁモノでよくある『婚約破棄をして落ちぶれる王太子』が断罪前に改心し、第三の道を歩むお話です。
とある時代のとある異世界。
そこに王太子と、その婚約者の公爵令嬢と、男爵令嬢がいた。
公爵令嬢は周囲から尊敬され愛される素晴らしい女性だが、王太子はたいそう愚かな男だった。
王太子は学園で男爵令嬢と知り合い、ふたりはどんどん関係を深めていき、やがては愛し合う仲になった。
そんなあるとき、男爵令嬢が自身が受けている公爵令嬢のイジメを、王太子に打ち明けた。
王太子は驚いて激怒し、学園の卒業パーティーで公爵令嬢を断罪し婚約破棄することを、男爵令嬢に約束する。
王太子は喜び、舞い上がっていた。
これで公爵令嬢との縁を断ち切って、彼女と結ばれる!
僕はやっと幸せを手に入れられるんだ!
「いいやその幸せ、間違いなく破綻するぞ。」
あの男が現れるまでは。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
誰よりも愛してるあなたのために
R(アール)
BL
公爵家の3男であるフィルは体にある痣のせいで生まれたときから家族に疎まれていた…。
ある日突然そんなフィルに騎士副団長ギルとの結婚話が舞い込む。
前に一度だけ会ったことがあり、彼だけが自分に優しくしてくれた。そのためフィルは嬉しく思っていた。
だが、彼との結婚生活初日に言われてしまったのだ。
「君と結婚したのは断れなかったからだ。好きにしていろ。俺には構うな」
それでも彼から愛される日を夢見ていたが、最後には殺害されてしまう。しかし、起きたら時間が巻き戻っていた!
すれ違いBLです。
初めて話を書くので、至らない点もあるとは思いますがよろしくお願いします。
(誤字脱字や話にズレがあってもまあ初心者だからなと温かい目で見ていただけると助かります)
秘匿された第十王子は悪態をつく
なこ
BL
ユーリアス帝国には十人の王子が存在する。
第一、第二、第三と王子が産まれるたびに国は湧いたが、第五、六と続くにつれ存在感は薄れ、第十までくるとその興味関心を得られることはほとんどなくなっていた。
第十王子の姿を知る者はほとんどいない。
後宮の奥深く、ひっそりと囲われていることを知る者はほんの一握り。
秘匿された第十王子のノア。黒髪、薄紫色の瞳、いわゆる綺麗可愛(きれかわ)。
ノアの護衛ユリウス。黒みかがった茶色の短髪、寡黙で堅物。塩顔。
少しずつユリウスへ想いを募らせるノアと、頑なにそれを否定するユリウス。
ノアが秘匿される理由。
十人の妃。
ユリウスを知る渡り人のマホ。
二人が想いを通じ合わせるまでの、長い話しです。
乙女ゲームのサポートメガネキャラに転生しました
西楓
BL
乙女ゲームのサポートキャラとして転生した俺は、ヒロインと攻略対象を無事くっつけることが出来るだろうか。どうやらヒロインの様子が違うような。距離の近いヒロインに徐々に不信感を抱く攻略対象。何故か攻略対象が接近してきて…
ほのほのです。
※有難いことに別サイトでその後の話をご希望されました(嬉しい😆)ので追加いたしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる