334 / 422
第5章
可愛いドラゴンのお友達
しおりを挟むぺちゃくちゃと喋るパンに国王達が慣れだした頃、会話の隙間を見つけてぽろぽろとパンに質問をする国王様たち。
「我が国に来て下さらないのは何故でしょうか?」
『んー?どこの国?僕生まれたのがアーナンダ国だし、暑い所には住めないんだよ?だからアーナンダ国でも暑くなってきたら北の方に行ってるんだ!母様に着いて行ってるから場所はよく分かんない!』
「な、何故アーナンダ国ばかりにドラゴンが集まっているのでしょう?」
『母様が言ってた!僕達が住みやすい環境があるっていう理由と、昔にアーバスノイヤー家のご当主様と契約してたホルス様の話を聞いて面白がった者達が集まってきたんだって!そこでアーナンダ国はきちんと龍神様を祭る祭殿も建ててくれているから住み心地がいいんだよって!』
「なるほど…龍神様の祭殿か」
「なぜドラゴン達は突然アーナンダ国の騎士と一緒になって戦いだしたのですか」
『ルナイスが戦ばかりのおにーさんを凄く心配する姿を見て、ホルス様が可哀想だって。それにアーバスノイヤー家との約束もあるから自分も戦場に行ってアドルファス様が死なないようにしてくるって行ったんだったかなぁ?レッドドラゴン達は暇だからホルス様に着いていくって行っちゃったーって聞いたよ!』
アマ国王の質問に答えたパンの言葉の中に僕も知らない裏事情があった。
それに事実とは言え、ドラゴンに可哀想って思われてる僕を他国の国王たちに知られてしまったのはすごく恥ずかしい!
「やはりルナイス・ウォードは龍神様の愛子であるのだな」
ぽつりと呟かれた言葉にアーナンダ国王もクラージュ殿下も、もちろん僕も何にも言葉を返さない。
否定はいないけれど、肯定もしない。
それにドラゴン達に守ってもらいやすい体質ってだけで、アーナンダ国にドラゴンが集まるのは先程パンが言っていたように多種多様な生き物が共存できるような環境があるからだ。
僕が居るからって理由だけで彼等は住処を決めてはいない。
アマ国王の呟きを聞いて、数名の国王は僕をぎらりとした目で見ている。
きっと「こいつを手に入れれば我が国もドラゴンの恩恵を受けられる」とでも思っておいでなのだろう。
『んー…僕、ルナイスが龍神様の愛子だから一緒にいるんじゃないよぉ?ルナイスは僕を可愛いっていっぱい褒めてくれて撫でてくれるの!それに僕や母様が困ってる時は絶対助けてくれるの!ルナイスと一緒にいると楽しいし嬉しいから一緒にいるんだよ!』
向けられる視線にうんざりしていると、可愛らしい声で嬉しい言葉が聞こえてきた。
パンはこちらの状況を察して言うような賢さはない。
つまり先程の言葉はパンの純粋な言葉で感情なのだ。
これが嬉しくないはずもなく、僕はぎゅっとパンの尻尾を抱きしめた。
『わぁ!もうルナイス!びっくりした!』
「ふふ…あはは!ごめんごめん、パン可愛いーって気持ちになったんだ」
『そうなの?それなら仕方ないねー!』
可愛い可愛いとじゃれ合う僕達をじっと見ていたアマ国王がふぅっと息を吐き出しアーナンダ国王へと向き合う。
「我が国にそちらに住まうドラゴン種が危害を加えた場合は賠償金及び保証金、その他の支援を惜しむことなく行うことを宣誓してもらおう。でなければ、我が国は連合から外れさせてもらう」
「もちろん宣誓しよう」
アマ国王の言葉にアーナンダ国王がさっと魔法誓約書を出してサインし、二枚になった誓約書のひとつをアマ国王へと渡す。
どうやら国王様が一番敵にしたくなかった国の国王様がアマ国王だったようだ。
あと「不安だ!我が国にも恩恵を!」等と騒いでいる国は敵になっても国にとって何の痛手もない国らしく、うちの国王様はもう仕事終わったーって感じの雰囲気になっている。
__________
余談
坊について、いつ登場してもらおうかと悩んでいるうちに存在をすっかり忘れておりました。
ご指摘があったことで思い出しましたので、ここらあたりで再登場してもらうことにw
教えていただきありがとうございました。
480
あなたにおすすめの小説
転生したら嫌われ者No.01のザコキャラだった 〜引き篭もりニートは落ちぶれ王族に転生しました〜
隍沸喰(隍沸かゆ)
BL
引き篭もりニートの俺は大人にも子供にも人気の話題のゲーム『WoRLD oF SHiSUTo』の次回作を遂に手に入れたが、その直後に死亡してしまった。
目覚めたらその世界で最も嫌われ、前世でも嫌われ続けていたあの落ちぶれた元王族《ヴァントリア・オルテイル》になっていた。
同じ檻に入っていた子供を看病したのに殺されかけ、王である兄には冷たくされ…………それでもめげずに頑張ります!
俺を襲ったことで連れて行かれた子供を助けるために、まずは脱獄からだ!
重複投稿:小説家になろう(ムーンライトノベルズ)
注意:
残酷な描写あり
表紙は力不足な自作イラスト
誤字脱字が多いです!
お気に入り・感想ありがとうございます。
皆さんありがとうございました!
BLランキング1位(2021/8/1 20:02)
HOTランキング15位(2021/8/1 20:02)
他サイト日間BLランキング2位(2019/2/21 20:00)
ツンデレ、執着キャラ、おバカ主人公、魔法、主人公嫌われ→愛されです。
いらないと思いますが感想・ファンアート?などのSNSタグは #嫌01 です。私も宣伝や時々描くイラストに使っています。利用していただいて構いません!
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
【完結】婚約破棄したのに幼馴染の執着がちょっと尋常じゃなかった。
天城
BL
子供の頃、天使のように可愛かった第三王子のハロルド。しかし今は令嬢達に熱い視線を向けられる美青年に成長していた。
成績優秀、眉目秀麗、騎士団の演習では負けなしの完璧な王子の姿が今のハロルドの現実だった。
まだ少女のように可愛かったころに求婚され、婚約した幼馴染のギルバートに申し訳なくなったハロルドは、婚約破棄を決意する。
黒髪黒目の無口な幼馴染(攻め)×金髪青瞳美形第三王子(受け)。前後編の2話完結。番外編を不定期更新中。
寄るな。触るな。近付くな。
きっせつ
BL
ある日、ハースト伯爵家の次男、であるシュネーは前世の記憶を取り戻した。
頭を打って?
病気で生死を彷徨って?
いいえ、でもそれはある意味衝撃な出来事。人の情事を目撃して、衝撃のあまり思い出したのだ。しかも、男と男の情事で…。
見たくもないものを見せられて。その上、シュネーだった筈の今世の自身は情事を見た衝撃で何処かへ行ってしまったのだ。
シュネーは何処かに行ってしまった今世の自身の代わりにシュネーを変態から守りつつ、貴族や騎士がいるフェルメルン王国で生きていく。
しかし問題は山積みで、情事を目撃した事でエリアスという侯爵家嫡男にも目を付けられてしまう。シュネーは今世の自身が帰ってくるまで自身を守りきれるのか。
ーーーーーーーーーーー
初めての投稿です。
結構ノリに任せて書いているのでかなり読み辛いし、分かり辛いかもしれませんがよろしくお願いします。主人公がボーイズでラブするのはかなり先になる予定です。
※ストックが切れ次第緩やかに投稿していきます。
期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています
ぽんちゃん
BL
病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。
謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。
五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。
剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。
加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。
そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。
次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。
一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。
妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。
我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。
こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。
同性婚が当たり前の世界。
女性も登場しますが、恋愛には発展しません。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も皆の小話もあがります。
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
断罪回避のはずが、第2王子に捕まりました
ちとせ
BL
美形王子×容姿端麗悪役令息
——これ、転生したやつだ。
5歳の誕生日、ノエル・ルーズヴェルトは前世の記憶を取り戻した。
姉が夢中になっていたBLゲームの悪役令息に転生したノエルは、最終的に死罪かそれ同等の悲惨な結末を迎える運命だった。
そんなの、絶対に回避したい。
主人公や攻略対象に近づかず、目立たずに生きていこう。
そう思っていたのに…
なぜか勝手に広まる悪評に、むしろ断罪ルートに近づいている気がする。
しかも、関わるまいと決めていた第2王子・レオンには最初は嫌われていたはずなのに、途中からなぜかグイグイ迫られてる。
「お前を口説いている」
「俺が嫉妬しないとでも思った?」
なんで、すべてにおいて完璧な王子が僕にそんなことを言ってるの…?
断罪回避のはずが、いつの間にか王子に捕まり、最後には溺愛されるお話です。
※しばらく性描写はないですが、する時にはガッツリです
ヒロイン不在の異世界ハーレム
藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。
神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。
飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。
ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる