王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

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第5章

可愛いドラゴンのお友達

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ぺちゃくちゃと喋るパンに国王達が慣れだした頃、会話の隙間を見つけてぽろぽろとパンに質問をする国王様たち。


「我が国に来て下さらないのは何故でしょうか?」

『んー?どこの国?僕生まれたのがアーナンダ国だし、暑い所には住めないんだよ?だからアーナンダ国でも暑くなってきたら北の方に行ってるんだ!母様に着いて行ってるから場所はよく分かんない!』


「な、何故アーナンダ国ばかりにドラゴンが集まっているのでしょう?」


『母様が言ってた!僕達が住みやすい環境があるっていう理由と、昔にアーバスノイヤー家のご当主様と契約してたホルス様の話を聞いて面白がった者達が集まってきたんだって!そこでアーナンダ国はきちんと龍神様を祭る祭殿も建ててくれているから住み心地がいいんだよって!』



「なるほど…龍神様の祭殿か」


「なぜドラゴン達は突然アーナンダ国の騎士と一緒になって戦いだしたのですか」



『ルナイスが戦ばかりのおにーさんを凄く心配する姿を見て、ホルス様が可哀想だって。それにアーバスノイヤー家との約束もあるから自分も戦場に行ってアドルファス様が死なないようにしてくるって行ったんだったかなぁ?レッドドラゴン達は暇だからホルス様に着いていくって行っちゃったーって聞いたよ!』



アマ国王の質問に答えたパンの言葉の中に僕も知らない裏事情があった。

それに事実とは言え、ドラゴンに可哀想って思われてる僕を他国の国王たちに知られてしまったのはすごく恥ずかしい!




「やはりルナイス・ウォードは龍神様の愛子であるのだな」


ぽつりと呟かれた言葉にアーナンダ国王もクラージュ殿下も、もちろん僕も何にも言葉を返さない。

否定はいないけれど、肯定もしない。



それにドラゴン達に守ってもらいやすい体質ってだけで、アーナンダ国にドラゴンが集まるのは先程パンが言っていたように多種多様な生き物が共存できるような環境があるからだ。

僕が居るからって理由だけで彼等は住処を決めてはいない。





アマ国王の呟きを聞いて、数名の国王は僕をぎらりとした目で見ている。

きっと「こいつを手に入れれば我が国もドラゴンの恩恵を受けられる」とでも思っておいでなのだろう。






『んー…僕、ルナイスが龍神様の愛子だから一緒にいるんじゃないよぉ?ルナイスは僕を可愛いっていっぱい褒めてくれて撫でてくれるの!それに僕や母様が困ってる時は絶対助けてくれるの!ルナイスと一緒にいると楽しいし嬉しいから一緒にいるんだよ!』


向けられる視線にうんざりしていると、可愛らしい声で嬉しい言葉が聞こえてきた。

パンはこちらの状況を察して言うような賢さはない。
つまり先程の言葉はパンの純粋な言葉で感情なのだ。


これが嬉しくないはずもなく、僕はぎゅっとパンの尻尾を抱きしめた。



『わぁ!もうルナイス!びっくりした!』


「ふふ…あはは!ごめんごめん、パン可愛いーって気持ちになったんだ」


『そうなの?それなら仕方ないねー!』




可愛い可愛いとじゃれ合う僕達をじっと見ていたアマ国王がふぅっと息を吐き出しアーナンダ国王へと向き合う。





「我が国にそちらに住まうドラゴン種が危害を加えた場合は賠償金及び保証金、その他の支援を惜しむことなく行うことを宣誓してもらおう。でなければ、我が国は連合から外れさせてもらう」


「もちろん宣誓しよう」



アマ国王の言葉にアーナンダ国王がさっと魔法誓約書を出してサインし、二枚になった誓約書のひとつをアマ国王へと渡す。

どうやら国王様が一番敵にしたくなかった国の国王様がアマ国王だったようだ。



あと「不安だ!我が国にも恩恵を!」等と騒いでいる国は敵になっても国にとって何の痛手もない国らしく、うちの国王様はもう仕事終わったーって感じの雰囲気になっている。







__________

余談

坊について、いつ登場してもらおうかと悩んでいるうちに存在をすっかり忘れておりました。
ご指摘があったことで思い出しましたので、ここらあたりで再登場してもらうことにw

教えていただきありがとうございました。


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感想 54

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