王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

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第5章

子育てや家族の在り方は種族で常識が違う

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武器屋で良い買い物をした翌日。

帰ってきたノヴァの隣には見知らぬ御仁が立っていた。





「ルナイス、どうやらこいつが俺の父らしい」

「お初にお目にかかりるルナイス・アーバスノイヤー…否、今はルナイス・ウォードであったか?」


誰?と首を傾げる僕になんてことないようにノヴァが隣の人物を父だと紹介し、脳がパンっ破裂した僕は状況をすぐには飲み込めなかった。



「ノヴァの…父?…マモン?」


「間違いなく私はこれの父でありマモンだ」




ノヴァの父、マモンはニヤリと笑い茶でも出してくれっとまるで自分が家主であるかのように近くに居た使用人に命令しながら僕達の肩を抱いて家の中への入っていく。

ノヴァがそんなマモンの腕を払い、僕を自分の方へ寄せて「此処は俺達の場所でお前のものではない」と忠告すると「そうだな。つい、すまんな」と以外にも素直に謝っている。










「状況を説明するとこいつはアイダオ国に居たらしい。貴族共から金を巻き上げて気まぐれに路地に寝転がっていた者に巻き上げた金を配っていたと聞いた」


「いや、貧困格差が酷い国だと思ってな。路地に積み重なる小さき命達の魂が五月蠅く泣いておったので金が有り余っている所から金を引き出し、私に必要のない金を小さき命達に渡してみただけのことだが…まさか息子に出会うとはな」



二人はお互いに親子であることを不思議なくらい自然に受け止めているようで、僕の方が混乱している。


だってお金の支援はしていたにしてもノヴァが産まれてから一度も会いに来なかった父親をこんなにも普通に受け入れられるものか?

そして放置していた息子にこんなにも平然として接することができるだろうか…





「ノヴァ…」


「別にこいつには何の感情もない。ただ俺の父親であるという事実があるだけだ。害ではないようだしルナイスも気にする必要はない。今日会わせたのは念の為だ。ルナイスは悪魔族とも関わりがあるようだし互いに知っておいたほうがいいと判断した」



困ってノヴァの名前を呼ぶとノヴァはそう言ってぽんぽんと頭を優しく撫でてくれて、それで少しだけ気持ちが落ち着いた。




「悪魔族は自分の子を孕んだ者を庇護はするが人のように生涯連れ添うことはあまりない。子も庇護が必要なのは生まれてからのほんの一年程で後は勝手に育つしな。偶に世話したがりがいたり子が守りを求める気持ちが強く魅了で自分の世話をさせる者もいるが…こいつは人族との子であったから気にはしていたが、あまり庇護せずとも育ちそうだったのでな。こちらの常識と人族の常識が違い思うことはあるかもしれんな」


マモンの言葉に確かにあまり悪魔族の子育てや家族の関係について学んでおらず、勝手にこちらの常識を当てはめて考えていたなっと思った。



「ノヴァは知ってたの?」


「あぁ。俺の産みの親が悪魔族はそうらしい、それなら最初に教えてくれよって言っていたと記憶している」


「あぁ…あいつは知らなかったようだな。お前が産まれてから一緒に育てる気がないなら養育費をよこせっと胸倉を掴まれた。その後金は定期的に送っていたが…あれでよかったのか?」



「まぁ働かずとも生活には困らずに暮らせていたな」




どうやら僕が思っていたほどノヴァもノヴァを産んだ御仁もマモンのことは気にしていなかったというか…恨んだり嫌ったりはしていなかったようだ。



















ノヴァからマモンがしばらくこの家に滞在すると聞き、マモンに食事は用意するかと尋ねると必要ないと言われた。

基本的には下町や王都へ行って観光するつもりらしい。


その観光にはノヴァも連れて行かれるようで、どうやら何かあった時に伴侶を飢えさせないためのお金の生み型っていうのをレクチャーされることになっているらしい。


ノヴァも彼の富を生む力は知りたいようで…折角ノヴァが帰ってきたのにもうしばらくはのんびり一緒に暮らすことはできなさそうだ。







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