王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

文字の大きさ
359 / 427
第5章

子踊る店主

明日ノヴァが帰ってくるため、僕は頑張って早起きしてノヴァお帰り会の準備の為下町へと足を運んだ。


あちらではノヴァの魔法がとても重宝されたようで、何時もは使わない杖を使って魔力をゴリゴリ削り戦で荒れた領地を整えたり、ヒフミ殿の命を狙う者を捕まえたり、これからの未来に不安になり暴動を起こす者達を宥めたり、病人達を癒したりと働きまくったようで、2年の間に3度ほど限界を迎えた杖が粉々になったと聞いている。

今はアイダオ領も落ち着いたので今のが壊れたら次のは買わないと言っていたので、お祝に良い杖を贈ろうと企んでいる。




普段は必要ないと思うけれど、いつ何時何があるかなんて分からないし、また杖が必要になるほどのことがあるかもしれないので持っていて損はないだろう。

どうせなら良い杖を使ってもらおうと思いヨハネスから良い武器屋があると聞き下町に来たのだ。






「これなんかどうでしょう。ウォード男爵様は魔力量が多いですし魔法の扱いもとても優れておられるので杖は補助に向いた物がいいかと思います。これは魔力を回復する葉がなる木から造った物で杖事態に魔法を強くするような補助や魔力量を補う効果はありませんが魔法を扱いやすくしたり使用する魔力量を抑えるのには一番向いている杖です。」


ヨハネスおすすめの武器屋の店主はおおらかな御仁で、お店で扱っている武器全ての特徴が頭に入っているようで、どの武器のことを尋ねても詳しく丁寧に答えてくれる。




「この杖につける魔力晶を変えることは可能ですか?」


「可能ですが…杖との相性がありますので合わせることで使い物にならなくなる場合もございます」


すでにつけられている魔力晶でも十分良いと思ったのだが、変えられるなら変えたいと思い店主に尋ねると、ちょっと厳しい顔つきになった。



「できれば…その…僕の魔力晶が使えないかと思いまして」

武器への冒涜だと思われただろうかとちょっとびくびくしながら言うと、店主は顔つきを一瞬にしてほわっと変えた。


「なるほど。でしたら一度変えてみましょう。最悪取り付けた瞬間に杖が壊れた場合はお買い上げしてもらうことになりますが、それでもよろしければ」


「それはもちろん。よろしくお願いします」




微笑ましいという感情が伝わってきてむず痒い気持ちになるが、念の為に持ってきていた魔力晶を店主に渡した。










店主が杖の魔力晶を変えている間に他の武具も見て周り、ヨル達が使えそうな武器も数点買うことにした。

この2年の間に信用を得た彼等は最近になってやっと給金が支払われるようになったけれど、最初は元重罪人であった為に必要な物は申請を出して許可を得たものしか買えないよう給金はなかった。


そのことに関して彼等は文句の一つも言わなかったし、それを当然と受け入れていて最近になってもらえるようになった給金は全てアイダオ領に居る家族の元へ仕送りしているらしく自分達の武器は最初に与えられた必要最低限の武器しか使ってないことがずっと気になっていた。



一度自分達の為にお金を使いなさいって言ったら仕送りも頼まれているわけではなく、自己満足のためにやっていることだと言われてしまいそれ以上何も言えなかった。






アイダオ国民はずっと重税を強いられていて王族と貴族以外の平民達はとても貧しいくらしをしていたそうで、今でこそ回復しつつあるがまだ中には路上生活をせざるおえない状況にある孤児や新しい環境に慣れずにいる者達もいて支援が必要な状態ではある。

ヒフミ殿とノヴァを中心に土地の整備をし、領民達の生活の支援も頑張ってはいるが…元々国だったアイダオ領の領地は広くなかなか端から端まで支援が行き届かないのが現状。







大分落ち着いたからとノヴァは帰ってくるが、月の半分はまだあちらへ通わないといけないとも聞いている。






「おぉ!これはすごい!」

4人への武器を見繕ったところで店の奥から店主の興奮した声が聞こえてきた。



なんだろうかっとヨハネス達と顔を見合わせて店主が奥から出て来るのを待っていると杖を持った店主が満面の笑みを浮かべて表へと出てきた。





「ルナイス様!あなたの魔力晶でこの杖はとても素晴らしい進化を遂げましたよ!見てください!魔力晶を変えたことで、支援だけでなく防御にも向いた杖となりました!!」



まるで幼い子のように目をキラキラと輝かせて店主は杖を僕に見せてくる。

その様子は微笑ましく、見せられるまま見てみると杖は僕の魔力に反応してか一度ピカっと輝きそれを見た店主が更に興奮し小躍りを始めてしまった。






結局、良い経験をさせてもらったからとヨル達の武器はおまけって形で貰えることになり、ほくほくの僕はまたここにお邪魔しようと決めて帰路についた。







感想 59

あなたにおすすめの小説

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。

拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件

碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。 状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。 「これ…俺、なのか?」 何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。 《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》 ──────────── ~お知らせ~ ※第3話を少し修正しました。 ※第5話を少し修正しました。 ※第6話を少し修正しました。 ※第11話を少し修正しました。 ※第19話を少し修正しました。 ※第22話を少し修正しました。 ※第24話を少し修正しました。 ※第25話を少し修正しました。 ※第26話を少し修正しました。 ※第31話を少し修正しました。 ※第32話を少し修正しました。 ※第33話を少し修正しました。 ──────────── ※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!! ※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。

事なかれ主義の回廊

由紀菜
BL
大学生の藤咲啓嗣は通学中に事故に遭い、知らない世界で転生する。大貴族の次男ランバート=アルフレイドとして初等部入学前から人生をやり直し、学園で出会う無愛想で大人顔負けの魔法の実力者であるヨアゼルン=フィアラルドと親友になるが、彼に隠された力に翻弄され次々と襲ってくる災難に巻き込まれる。終いには、国家の存続を揺るがす大事件にまで発展することに・・・

悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!? 【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】 ▼不定期連載となりました。 ▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。 ▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

【新版】転生悪役モブは溺愛されんでいいので死にたくない!

煮卵
BL
ゲーム会社に勤めていた俺はゲームの世界の『婚約破棄』イベントの混乱で殺されてしまうモブに転生した。 処刑の原因となる婚約破棄を避けるべく王子に友人として接近。 なんか数ヶ月おきに繰り返される「恋人や出会いのためのお祭り」をできる限り第二皇子と過ごし、 婚約破棄の原因となる主人公と出会うきっかけを徹底的に排除する。 最近では監視をつけるまでもなくいつも一緒にいたいと言い出すようになった・・・ やんごとなき血筋のハンサムな王子様を淑女たちから遠ざけ男の俺とばかり過ごすように 仕向けるのはちょっと申し訳ない気もしたが、俺の運命のためだ。仕方あるまい。 クレバーな立ち振る舞いにより、俺の死亡フラグは完全に回避された・・・ と思ったら、婚約の儀の当日、「私には思い人がいるのです」 と言いやがる!一体誰だ!? その日の夜、俺はゲームの告白イベントがある薔薇園に呼び出されて・・・ ーーーーーーーー この作品は以前投稿した「転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!」に 加筆修正を加えたものです。 リュシアンの転生前の設定や主人公二人の出会いのシーンを追加し、 あまり描けていなかったキャラクターのシーンを追加しています。 展開が少し変わっていますので新しい小説として投稿しています。 続編出ました 転生悪役令嬢は溺愛されんでいいので推しカプを見守りたい! https://www.alphapolis.co.jp/novel/687110240/826989668 ーーーー 校正・文体の調整に生成AIを利用しています。

聖女の兄で、すみません!

たっぷりチョコ
BL
聖女として呼ばれた妹の代わりに異世界に召喚されてしまった、古河大矢(こがだいや)。 三ヶ月経たないと元の場所に還れないと言われ、素直に待つことに。 そんな暇してる大矢に興味を持った次期国王となる第一王子が話しかけてきて・・・。 BL。ラブコメ異世界ファンタジー。

断罪回避のはずが、第2王子に捕まりました

ちとせ
BL
美形王子×容姿端麗悪役令息  ——これ、転生したやつだ。 5歳の誕生日、ノエル・ルーズヴェルトは前世の記憶を取り戻した。 姉が夢中になっていたBLゲームの悪役令息に転生したノエルは、最終的に死罪かそれ同等の悲惨な結末を迎える運命だった。 そんなの、絶対に回避したい。 主人公や攻略対象に近づかず、目立たずに生きていこう。 そう思っていたのに… なぜか勝手に広まる悪評に、むしろ断罪ルートに近づいている気がする。 しかも、関わるまいと決めていた第2王子・レオンには最初は嫌われていたはずなのに、途中からなぜかグイグイ迫られてる。 「お前を口説いている」 「俺が嫉妬しないとでも思った?」 なんで、すべてにおいて完璧な王子が僕にそんなことを言ってるの…?  断罪回避のはずが、いつの間にか王子に捕まり、最後には溺愛されるお話です。 ※しばらく性描写はないですが、する時にはガッツリです