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第5章
壊された城に務める者から見た一部始終side名もなき城務めメイド
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戦争やらドラゴンやらで混乱していた国に静かな時が戻りつつある、とある日の昼下がり。
ドゴォォォォオ!!!!
物凄まじい破壊音にガラスの割れる音が響くと同時に大きく地が揺れた。
私が勤めているお城は国の中でも硬い地盤の上に建てられており、また、お城事態も強固な石等を用いて造られているうえに頑丈な結界魔法が掛けられているため、ちょっとやそっとじゃこんなに揺れることはまずないはず。
何があったんだと周りのメイド達と言いながらも緊急時だということだけは理解している私達は駆け足でメイド長と執事長の元へと急いだ。
ギュロロロロロロロロ!!!
広い廊下を駆け足で移動する中、体に響き渡るような音が聞こえてきてふっと窓の向こう側に視線を向けた。
そこには赤く大きなドラゴンと、その背に立つ人の姿があり、彼等が向いている所には確か今国王様達が会議をされている部屋があったはず…
破壊音と揺れの正体は彼等で間違いなく、そして狙いが国王様の居る部屋と理解した私はメイド長の元へ向かっていた足を急いで会議室の方へと向けて、全力疾走で廊下を駆ける。
私はしがないメイドで、ドラゴンに太刀打ちできるような力は持っていないけれど…国王様は必ず何が何でも守らねばっという使命感が私を突き動かしていた。
「ルナイス・ウォード!!!貴様自分が何をしたか分かっておるのか!!!」
会議室の扉はメキッと壊れているけれど、扉が木でできていて、割れてくれたおかげで脱出が可能な状態であることにまずほっと息を吐き出したが、聞こえてきた怒号に慌てて部屋の中へ駆けつける。
「…とーさま…僕が言いたいこと…分かりますよね」
「もちろん。分かっていないのはそこの間抜けだけだ」
中には国王様の他、次期国王と決まっているクラージュ殿下と今は長期休暇中の近衛騎士団団長ルグノス・アーバスノイヤー公爵様、それから宰相様とそのご子息様や王国騎士団団長等、名だたる面子が揃っていた。
そんな人達が集まる部屋は壁が崩れ、土埃が舞い中の装飾品があちこちに散乱している。
けれど、激怒しているのは国王様だけで後の方達は皆通常の表情で何もなかったようにしておられる状況に自分はどう動けばいいのかっとオロオロとするばかり。
取り合えず床に尻もちをついてしまっている国王様を助け起こそうと駆け寄り、国王様の服についてしまっている砂等を払う。
「アーバスノイヤー!お前はどんな教育をしておるのだ!」
「城の強固な結界を突破できるほど逞しい息子に育ちました」
「結果を聞いておるのではないわ!!」
国王様とアーバスノイヤー公爵様が軽快なやり取りをなさるなかドラゴンの背に乗った(どうやらアーバスノイヤー公爵様のご子息らしい)男の子は冷ややかな視線でじっと部屋の中の大人達を見ている。
自分は彼の冷ややかな視線の対象外だとは理解しているが…何故かぞっとして背中に汗がぶわっと出てきた。
あの男の子はアーバスノイヤー公爵家の次男様だろう。
噂では国一番の魔法使いであるノヴァ・ウォード男爵様と彼にとっては兄となる近衛騎士団副団長アドルファス・アーバスノイヤー様とドラゴンに寵愛されていて、滅多に家から出てこない箱入り息子であるとされている。
社交の場にもあまり姿を現さないことと過去の社交の場で叔父にあたる前マーフィー伯爵様から魔力晶になれと言われたことに気を病まれて身体的にも精神的にもか弱い御仁だと言う者もいた。
けれど城務めの者の間ではアーバスノイヤー公爵家の次男様は決して怒らせてはならない、彼は一番敵に回してはならない相手、城内で万が一見かけても静かに頭を下げていろっと言われている不思議な人物であった。
私は直接お会いしたことがなかったので、どうしてアーバスノイヤー公爵家の次男様がそのように言われるのか全く理解できていなかったけれど…
今回の件で理解した。
こんな国に堂々と喧嘩を売れるような人物だ。
しかも後ろ盾が強すぎる。
「で?…今すぐレッドドラゴン達の生活環境を整える資金をいただけるので?」
「あぁ!もう!今その会議をしておったのだ!それをお前が邪魔しおったから遅くなるだろうよ!!」
「何を言っているんです。本来であれば戦後の修繕費とアイダオ国整備の初期費用、その次に戦地で戦った騎士とレッドドラゴン達への報酬とレッドドラゴン達を受け入れるための環境整備費でしょう?それをもたもたもたもた…このままもたつくならレッドドラゴン達が我慢できず暴れ出しても僕対処も責任も取りませんから」
「あちこち金がかかるんだよ!これでも早いほうだ!」
「遅い!聞けば怪我をした騎士にも治療費補助を出していないそうではないですか!!国王様だけではありません!とーさま達も動くのが遅すぎます!」
国王様の怒鳴り声に臆することなく、次男様はもう!と腰に手を怒っていますと表現している。
ドラゴンの上で。
「…とりあえずルナイス。しっかりとした話し合いをしよう。レッドドラゴンはヒュー・ヒルが訓練所つれていけ」
アーバスノイヤー公爵様の言葉に少し考える仕草をした次男様は何かに納得されてドラゴンの背から壊れた部屋の中へ入ってきて、そして同じくレッドドラゴンの背に乗っていたらしいヒル侯爵家のヒュー・ヒル様はその場で一礼してドラゴンを連れて飛び去って行かれた。
国王様に至急無事な部屋を用意するように命を受け、慌てて廊下に居たメイド長達に伝え急いで壊れていない近くの部屋を片し、皆さまをご案内した。
あんなことがあったが、次男様は父であるアーバスノイヤー公爵様と仲良くお喋りしながら移動していて、とても先程までの殺伐としたやり取りをした者同士には見えなかった。
side end
ドゴォォォォオ!!!!
物凄まじい破壊音にガラスの割れる音が響くと同時に大きく地が揺れた。
私が勤めているお城は国の中でも硬い地盤の上に建てられており、また、お城事態も強固な石等を用いて造られているうえに頑丈な結界魔法が掛けられているため、ちょっとやそっとじゃこんなに揺れることはまずないはず。
何があったんだと周りのメイド達と言いながらも緊急時だということだけは理解している私達は駆け足でメイド長と執事長の元へと急いだ。
ギュロロロロロロロロ!!!
広い廊下を駆け足で移動する中、体に響き渡るような音が聞こえてきてふっと窓の向こう側に視線を向けた。
そこには赤く大きなドラゴンと、その背に立つ人の姿があり、彼等が向いている所には確か今国王様達が会議をされている部屋があったはず…
破壊音と揺れの正体は彼等で間違いなく、そして狙いが国王様の居る部屋と理解した私はメイド長の元へ向かっていた足を急いで会議室の方へと向けて、全力疾走で廊下を駆ける。
私はしがないメイドで、ドラゴンに太刀打ちできるような力は持っていないけれど…国王様は必ず何が何でも守らねばっという使命感が私を突き動かしていた。
「ルナイス・ウォード!!!貴様自分が何をしたか分かっておるのか!!!」
会議室の扉はメキッと壊れているけれど、扉が木でできていて、割れてくれたおかげで脱出が可能な状態であることにまずほっと息を吐き出したが、聞こえてきた怒号に慌てて部屋の中へ駆けつける。
「…とーさま…僕が言いたいこと…分かりますよね」
「もちろん。分かっていないのはそこの間抜けだけだ」
中には国王様の他、次期国王と決まっているクラージュ殿下と今は長期休暇中の近衛騎士団団長ルグノス・アーバスノイヤー公爵様、それから宰相様とそのご子息様や王国騎士団団長等、名だたる面子が揃っていた。
そんな人達が集まる部屋は壁が崩れ、土埃が舞い中の装飾品があちこちに散乱している。
けれど、激怒しているのは国王様だけで後の方達は皆通常の表情で何もなかったようにしておられる状況に自分はどう動けばいいのかっとオロオロとするばかり。
取り合えず床に尻もちをついてしまっている国王様を助け起こそうと駆け寄り、国王様の服についてしまっている砂等を払う。
「アーバスノイヤー!お前はどんな教育をしておるのだ!」
「城の強固な結界を突破できるほど逞しい息子に育ちました」
「結果を聞いておるのではないわ!!」
国王様とアーバスノイヤー公爵様が軽快なやり取りをなさるなかドラゴンの背に乗った(どうやらアーバスノイヤー公爵様のご子息らしい)男の子は冷ややかな視線でじっと部屋の中の大人達を見ている。
自分は彼の冷ややかな視線の対象外だとは理解しているが…何故かぞっとして背中に汗がぶわっと出てきた。
あの男の子はアーバスノイヤー公爵家の次男様だろう。
噂では国一番の魔法使いであるノヴァ・ウォード男爵様と彼にとっては兄となる近衛騎士団副団長アドルファス・アーバスノイヤー様とドラゴンに寵愛されていて、滅多に家から出てこない箱入り息子であるとされている。
社交の場にもあまり姿を現さないことと過去の社交の場で叔父にあたる前マーフィー伯爵様から魔力晶になれと言われたことに気を病まれて身体的にも精神的にもか弱い御仁だと言う者もいた。
けれど城務めの者の間ではアーバスノイヤー公爵家の次男様は決して怒らせてはならない、彼は一番敵に回してはならない相手、城内で万が一見かけても静かに頭を下げていろっと言われている不思議な人物であった。
私は直接お会いしたことがなかったので、どうしてアーバスノイヤー公爵家の次男様がそのように言われるのか全く理解できていなかったけれど…
今回の件で理解した。
こんな国に堂々と喧嘩を売れるような人物だ。
しかも後ろ盾が強すぎる。
「で?…今すぐレッドドラゴン達の生活環境を整える資金をいただけるので?」
「あぁ!もう!今その会議をしておったのだ!それをお前が邪魔しおったから遅くなるだろうよ!!」
「何を言っているんです。本来であれば戦後の修繕費とアイダオ国整備の初期費用、その次に戦地で戦った騎士とレッドドラゴン達への報酬とレッドドラゴン達を受け入れるための環境整備費でしょう?それをもたもたもたもた…このままもたつくならレッドドラゴン達が我慢できず暴れ出しても僕対処も責任も取りませんから」
「あちこち金がかかるんだよ!これでも早いほうだ!」
「遅い!聞けば怪我をした騎士にも治療費補助を出していないそうではないですか!!国王様だけではありません!とーさま達も動くのが遅すぎます!」
国王様の怒鳴り声に臆することなく、次男様はもう!と腰に手を怒っていますと表現している。
ドラゴンの上で。
「…とりあえずルナイス。しっかりとした話し合いをしよう。レッドドラゴンはヒュー・ヒルが訓練所つれていけ」
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国王様に至急無事な部屋を用意するように命を受け、慌てて廊下に居たメイド長達に伝え急いで壊れていない近くの部屋を片し、皆さまをご案内した。
あんなことがあったが、次男様は父であるアーバスノイヤー公爵様と仲良くお喋りしながら移動していて、とても先程までの殺伐としたやり取りをした者同士には見えなかった。
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