《カクヨム様で15000PV達成‼️》悪魔とやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は悪魔の力で人間の頂点を狙う

なべぞう

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一章 契約と回帰

第六話

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吸血コウモリは弱いとはいえ、動きが素早い。

 はじめの二日間、ソラは何度も攻撃を外し、
 飛びかかってくる相手に翻弄された。

『焦るな。タイミングが全てだ。
 相手が飛び立つ瞬間を狙え』

「分かってるけど……!」

 鉄剣を握る手には豆ができ、
 腕は重く、何度も深呼吸を挟む。

 それでも三日目の終わりには、
 倒した数は 合計15体 を超えていた。

(……いける。絶対にいける)
 四日目、ソラはあることに気づいた。

(剣が……軽い?)

 腕の振りが初日より明らかに速い。
 ステップの踏み替えも自然で、
 吸血コウモリの突進にも対応できるようになってきた。

『良いぞ、ソラ。
 目の動きが周囲を捉えられている』

 五日目の終わりには、
 戦闘に“余裕”が生まれはじめ、
 倒した数は 合計40個 を超えていた。
 六日目、ソラは疲労の波にぶつかった。

 剣の振りが鈍く、
 反応が遅れがちで、
 吸血コウモリの爪をかすめて小さな傷を負った。

「っ……くそ、動きが重い……」

『休めとは言わないが、ペースを落とせ。
 限界を超えれば怪我をするだけだ』

 焦る心と、止まる勇気。
 ソラは葛藤しながらも、クロの指示に従ってペースを落とした。

 それでもこの日までで、
 魔石は 合計70個 に達した。そして…

 一週間のダンジョン通いは、想像以上に厳しいものだった。

 吸血コウモリは弱い魔物だとはいえ、
 狭い通路を飛び回って攻撃してくるから油断できない。
 剣を振るたびに腕が重くなり、
 帰る頃には毎日全身が汗と疲労でずぶ濡れだった。

 それでも――。

 七日目の夕方、ダンジョンの出口に立っていた俺の手には、
 ちょうど百個目の“Fクラス魔石”が握られていた。

「……やっと、だな」

 息は荒く、筋肉は痛み、
 剣は何度も壁に当てたせいで刃こぼれしている。

 だが、達成感は何よりも強かった。

『よくやった、ソラ。
 百個――これは立派な成果だ』

 肩に乗ったクロが、尻尾で俺の頬を軽く叩く。

「そう言ってくれると報われる」

『報われるのは、これからだ』

 いつもより低く、意味深な声だった。
 クロは俺の前に降り立ち、ゆっくりと尻尾を揺らした。

『その百個の魔石――“贄”として十分だ。
 ソラ、お前に二つ目のスキルを与えよう』

「……え?」

 思わず握っていた魔石を落としそうになる。

 二つ目のスキル。普通の人間にとって、それは一生手に入らないものだ。

「ま、待ってくれクロ。
 スキルって……そんな簡単に増えるものなのか?」

『本来は無理だ。
 だが、ソラお前は私の契約者だ。』

 クロは黒い瞳を細め、ふっと笑う。
『契約とは、ただの言葉ではない。
 契約者に“変化の道”を開く特別な恩恵だ。
 その代わりに材料が必要になる。
 今回は百個の魔石――ちょうど良い数だ』

(これが……契約の力……)

 胸が高鳴る。
 前世にはあり得なかった奇跡だ。『ではソラ。
 一つ忠告しておくぞ』

 クロの声が静かに響く。

『付与されるスキルは“ランダム”だ。
 防御系かもしれんし、生活系のスキルかもしれん。
 あるいは、戦闘系かもしれない』

「……運任せってわけか」

『そうだ。だが、何が来ても使いこなせ。
 それがお前の道になる』

 クロは魔石の山に前足をそっと触れた。

 その瞬間――。

 魔石が淡い光を放ち、空気が震えた。
 魔力の粒子が霧のように立ち上り、
 ゆっくりと俺の胸元へ吸い込まれていく。

「……う、うわ……っ」

 身体の奥で電気が走るような感覚。
 心臓の鼓動が早まり、指先がじんわりと熱を帯びる。

 視界が一瞬だけ白く弾け――。

【――スキル《雷魔法》を習得しました】

 頭の中に、確かな声が響いた。

「……っ!?」

 まるで雷が落ちた後のように、
 全身に微かな痺れが残っている。

 胸の奥に“もう一つの力”が生まれたのをはっきりと感じた。

『……ほう。やったな、ソラ』

「強い……のか?」

 クロが満足そうにうなずく。

『雷魔法は扱いを誤れば自分も巻き込む。
 だが、習得できれば――同ランク帯では無類の制圧力を持つ』

「……つまり?」

『お前は今、戦うための“牙”を手に入れたということだ』

 胸の奥に熱が灯った。
 アイテムボックスという非戦闘スキルしかなかったソラが――
 ついに戦闘スキルを得たのだ。 握った拳が震える。
 恐怖ではない。期待と希望の震えだ。

 クロはゆっくりと俺の肩に乗り、耳元で囁く。

『さあ、ソラ。
 二つ目のスキルを手に入れた感想は?』

「最高だよ。
 絶対に、使いこなしてみせる」

『それでこそ私の契約者だ』

 クロの小さな体から、微かに影のような力が揺らめいた。
 ほんの一瞬、クロの背後に黒い翼の幻影が見えた気がした。

(……強くなる。もっともっと)

 二度目の人生は、ここから加速していく。

クロから二つ目のスキルを与えられた夜。
 俺は、まだ胸の中に小さく電気が残っているような感覚だ。

「……変な感じだな。体の奥がざわざわする」

『それが“雷魔法の素質が開いた者”特有のものだ。慣れれば消える』

 枕元で丸くなっていたクロは欠伸をしながら言う。

『それにしても、まさか雷属性とはな。
 お前は本当に面白い』

「面白いって……いきなり言われても困るわ」

 そう言いながらも、内心は少し嬉しい。
 非戦闘系スキルしか持っていなかった俺が、まさか攻撃魔法を手に入れるなんて。

 ――でも、それだけじゃ終わらない。

『さて、ダンジョンでの話の続きだが……
 今日は“雷魔法そのものの扱い”をもう少し深めるぞ』

「お、お手柔らかに頼む」

まずは雷魔法の一つ目――雷纏(らいてん)。
 体に電気を巡らせ、動きの質を変える魔法だ。

『ソラ。まず意識するのは“流れ”だ。
 力むな、呼吸に合わせて魔力を解き放て』

「よし……雷纏!」

 俺の全身に、ぱちっ、と小さな電気が散った。
 痛くはない。ただ、鳥肌が立つような刺激が走る。

(……!? なんだこれ……体が軽い?)

 実際の筋力が上がったわけじゃない。
 でも“動く直前の違和感”が消えて、足裏の感覚が以前より鮮明だった。

 手を開き、握る。
 その一つ一つが、スムーズで、迷いがない。

『今のお前にできるのはその程度だ。
 反応速度と体の“感覚”が少し研ぎ澄まされるだけ。
 本格的に使えるようになるのはまだまだ先だな…』

『次はゼロ距離電撃(ゼロレンジ・ボルト)だ』

 一点に雷を集める攻撃。
 当然だが、今の俺にコントロールできるか不安だ。

『威力は高いが、文字通り相手と接触してないと当てられない攻撃だ。だが魔法としては“形”にできる。
 ソラ、拳を握れ』

「こうか?」

『そのまま、一点に意識を集中させろ。
 放て』

「――ゼロ距離電撃!」

 ――バチン!!

「うぐっ!? 手がしびれた……!」

 拳の先に小さな火花が散る。
 まだ対象がない状態だから空を殴る形になったが、それでも手がびりびりするほどの出力はあった。

『今はその程度で十分だ。
 焦れば自分に跳ね返る。扱いは慎重にな』

「……分かった」

3つ目の魔法は家の中では試すことができないので近くの林に移動した。
最後は射程付きの雷撃。
 一番扱いやすい攻撃魔法だ。

『目標は……あれだな』

 クロが尻尾で指したのは、林の中に置かれた古い木の切り株だった。

『威力はまだ低いが、当てることが目的だ。
 五メートルなら無理ではない』

 緊張で喉が鳴る。

「よし……雷閃射(らいせんしゃ)!」

 シュッ!

 青白い線が走った。
 足元から伝わる振動と同時に、切り株に小さな焦げ跡がつく。

「当たった……!」

『五点だな』

「五点……ってどういう意味だ?」

『百点満点中だ』

「おい!! 低すぎだろ!」

『当然だ。今は“当てられただけ”で十分だ。
 精度、速度、魔力量。これから全部鍛えることになる』 
……たしかに。
 一番最初の魔法としては十分すぎる手応えだった。
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