ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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旅立ち~オードゥス出立まで

丁度良い所

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「丁度良い所に来てくれたな!」


ノアが再びデオの店に来ると未だにデオとガーラが話し合っていた所だった。

話の内容としては、2人共通常の武器で装備の配置を考えていたらしく、『亀王の鉄』で作った装備を全て腰の位置に配置すると負担が掛かり過ぎるそうだ。
いくらノアに膂力があるとはいえ「腰は大事にしとけ」と何故かジョーも加わり念を押された。


「つー訳で装備の配置を少し変えさせて貰いたいのと防具に手を加えさせて貰いたい、つまり多少金も増額するんだが良いか?」


(口は悪いけど隠したりせずズバッと言ってくれる所に好感が持てるなぁ。)


「はい。金銭面は何とかなりそうですが武器の配置と防具面については聞いておきたいです。」

「それじゃあまずは」

デオの説明を要約すると

・ノアが依頼した刺突武器とナイフは補強したベルトを両太腿に取り付け、そこに配置。(なお刺突武器とナイフだけで大剣1本分はあるらしい)

・胸装備に補強したコルセットの様なモノを取り付け腰装備と一体化させる事で強度を上げるとの事。更に両太腿のベルトと連結させる事も可能。

・全体的に補強するが鉄板を入れると重量が嵩む為特殊な糸とそれでは出来た布を裏地にするとの事だ。


「特殊な糸?」

「まぁ実際見て貰った方が早いだろう。レリー、降りてきな。」


そう言ってデオが呼ぶと天井から人間の頭程の大きさの真っ白い蜘蛛がデオの肩に降り立つ。


「こいつは『シルクスパイダー』のレリーって言ってな、洋裁店や防具、武器屋で重宝される希少なモンスターでな性格は大人しいし知能もあるから心配する必要はない。」

紹介されたレリーは蜘蛛ではあるが、どこか品がある佇まいをしている。

「レリーが出した糸で布を付くるとな、下手な鉄板よりかは防御力がある。但し斬撃には強いが打撃には弱いから注意しとけ。」


「へぇ~『シルクスパイダー』とは珍しい。王都でも頻繁に取引されてるよ。ハンカチ位の大きさの布でも金貨が10枚単位で動くからね。」

ジョーがまじまじと『シルクスパイダー』のレリーを見つめる。それだけ珍しい様だ。


「そういやノア、こっちの連れのオッサンは誰なんだ?」


「あぁ、すまないつい見とれちゃってね。
私はジョーと言う、規模は小さいが商人をやっている者だ。ノア君とはこの街に来る時にたまたま出会ってね、少しの間一緒に旅をしていた。ノア君から頼み事があって店に同行したんだ。」

「それはすまなかったな。俺はデオ、ノアから武器の製作依頼を請け負った者だ。こっちにいるのは隣の武器屋のガーラだ。時折製作の助っ人で呼んだりしている。
それで?ノアの頼み事ってのは何だい?」

「ノア君が製作依頼を出してるナイフなんだがコレと同じにして欲しいそうだ。」

ジョーが懐から出した鎌の様なナイフをデオとガーラが覗き込む。

「あー!そうだ!これだこれ!」

「デオよぉ!確か『蜥蜴人』がいる地方でサビットだかクランビットって呼ばれてる武器じゃねぇか?コレ!」

「私がいた所ではカランビットって言われてましたね。使い勝手が良いので愛用しています。」

「よし、現物があれば話は早ぇ!ジョーとやら。型とか寸法取らせて貰って良いかい?」

「ええ、構いませんよ。」

デオが直ぐ様型取りや寸法の測定に取り掛かったのを確認し、ジョーがノアに向き直る。

「…しっかし剣に刺突武器にナイフ、そして弓か…君は何と戦うつもりなんだい…」


「自分は【適正】の関係でパーティを組めそうに無いのでパーティで個人個人がやる役割を1人でこなしていくだけですよ。」


「おう!ジョーさんよ!ありがとさん!」

型や寸法を取り終わったデオがジョーにナイフを返す。

「よしノア、早ければ3~4日で剣が出来る。刺突武器はそこから1~2日、ナイフは現物から型取ったからな、2日も掛からねぇよ。つまり来週には全部揃うから金用意しとけよ。」

「いやいや、流石に早すぎませんか?」

「ったりめぇだ!スキル総動員して事に当たってやるよ。おいガーラさっさと始めるぞ!」


あれよあれよという間に話が進み、ノアとジョーが店を出る頃には工房の奥から熱気が漏れてきた。火入れが始まったのだろう。


「すいません。頼みを聞いて貰って。」

「いやいや、こちらも珍しいモノ見れたから良いってもんだ。」

他愛の無い会話をしつつ道を歩く2人だがギルドの通りに差し掛かった所で、近くに宿を取ってるからとジョーとは別れる事になった。

ノアは、ウルフと熊の狩猟クエストの完了報告をしていなかった事に気付きギルドへと向かっていると<聞き耳>に会話が入ってきた。


<今回は相手の寛大な心に感謝するんだぞ。普通は牢獄行きだからな。>

<<すいませんでした。二度とこんな過ちは致しません。>>


(あー、中に入りたくねぇー。明らかに面倒くさい2人がいるー。)


<うひょー!コレが俺の冒険者カードかー!燃え滾る様な赤い装飾。俺様に相応しいぜ!>

<あのクソガキのせいで一時はどうなるかと思ったがどっか適当なパーティに入りゃ何度でもなるぜ!>


(早いなー。数秒前の宣言どこに行ったんだよ。)


ギルドに入る前からもう一波乱ありそうな予感にノアはため息を付きながらギルドの扉を開ける。
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