ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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旅立ち~オードゥス出立まで

交渉成立

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交渉成立したバラガスとノアはクロラ、エメラルダ等と共に天幕に場所を移していた。


「こちらが『鎧蜂の腹甲殻』になります。」

ノアがぼこぼこに殴っていたのは胸にあたる部分が殆どであった為腹部はほぼ無傷だったのが幸いした。

バラガスが『鎧蜂の腹甲殻』を手に取り感嘆の声を上げる。

「おお…これは素晴らしい…驚く程薄いのに本気で押しても歪みもしない。そして軽い、これは…良い。」

目をギラギラさせ素材を確かめる。バラガスは静かに興奮する人の様だ。

バラガスがハッとなってノアに謝罪する。

「す、すみません。つい熱を上げてしまった…これが100枠の『アイテムボックス』になります。」

ノアが100万ガルの『アイテムボックス』を受け取り、思わず頭上に掲げている。
ノアはノアで超高額の買い物をしたので妙に落ち着かない。

「うわー!うわー…うわー。」

「ノア君。うわーしか言ってないよ?」

「いやーだって…いやー、いやー!」

空気を切り替える為なのかバラガスが説明を始める。

「『アイテムボックス』の使い方はダンジョンで使う鞄と変わりはありませんが、私共のお店に来て材料を調達して頂ければ枠を増やせる様になります。」

「え!?そう言うのも出来るんですか?」

「はい。要は使用されている素材を上位の素材に置き換える事で高位の<空間魔法>を付与するのに耐えられるアイテムボックスにするのです。
ですがその分素材の入手難度は上がりますのでご注意下さい。
説明は以上ですが何かございますか?」


バラガスから促され、ノアが気になっていた事を聞く。

「そういえば露店の前にいた時、明らかにお金持ってそうな人の方に行かず何故自分の方に来たのですか?」

その質問についてバラガスは意外とあっさり話してくれた。

「実は私【商い】の適正を持ってましてね、【商機】を何となく感じ取れるのですがあなたからは強い【商機】のオーラ、とでも言いますか、そういったモノを感じましたので声を掛けさせて頂きました。
お陰でとても良い素材が手に入りました。」

「いえいえ、こちらも良い買い物が出来ました。」

「ではまたの機会に。」

そう言って天幕を出るバラガス。残ったノアはこの後に買う物を思案していた。



残りの鎧蜂と女鏖蜂をライルに預け天幕を出る。
今更だが天幕内に他のパーティの面々がいなかったので街に戻ったのだろう。

街の中に入ると門の外とは違い、閑散としていた。
デオの工房の方から金属を叩く音だけが聞こえている。

ノアは門の直ぐ近くにある食料品店に入る。
この街は周囲を小麦畑に囲まれているだけあって小麦粉やら穀物類が豊富な上に森林系ダンジョンなので木の実や果実、ナッツ等も探せば見付かる。
店内に置かれた大小の樽の中身を1つ1つ確認していく。

「あらいらっしゃい。何をお探しでしょうか?」

「小麦粉1キロ、挽いてない小麦も1キロ、ナッツを各種500ガラムずつ、干しアマズの実を500ガラム、干しスッペの実も500ガラム下さい。」

「おや、結構な量買うのねぇ、何を作るのかしら?」

「携行食を作ろうかと思いまして。」

「携行食?パンと干し肉じゃ駄目なの?」


冒険者の一般的な携行食としてパンと干し肉が挙げられるが、保存を優先とした物なのでガチガチに固い上、少し塩気がある。
干し肉も同様に塩漬けされたりしているのでスープ等にしなければ食えなくはない。

ただノアの場合1人なので料理しつつ見張りなど出来(無い事も)ない。
なので専用の携行食を作ってしまおうというのがノアの考え。


「それでアマズの実とスッペの実って事ね。」


『アマズの実』…割とどこにでも生ってる木の実。微量の体力継続回復効果と疲労回復効果がある。甘酸っぱい。

『スッペの実』…割とどこにでも生ってる木の実。微量のスタミナ回復効果がある。すっぺぇ。


「そう言うことです。出来たら持ってきますよ。」

ノアは材料を購入し店を出る。クロラもノアが何を作るか興味津々の様だ。

「ノア君どんな物作るの?」

「安心して下さい、出来たら試食お願いしますから。」

クロラを落ち着かせた後次に来たのはおばちゃんの食堂だ。

「おや、今日は大変だったね。」
「昼は失礼しました。」

そう言いつつ通りを見るとノアが巨鳥に向かう際に踏み抜いて粉々になった石畳があった。

「構いやしないよ、あんなもんで来たら誰だって敵だと思うよ。あっはっは!」

おばちゃんは笑い飛ばしてくれた。ちなみに修繕費は王都持ちになった。すいません。

「それで?"でぇと"の続きかい?」

直球で聞いてくるおばちゃんに苦笑いしつつ調理器具を貸して欲しいとお願いに来たことを伝える。

「ああ構わないよ。皆門の所に行ったから好きなだけ使いな。」

おばちゃんからの許可を貰ったので調理場に入る、棚から大きめのボウルを取り出し各種ナッツと穀物をザラザラッと入れる。
棒を使いごりごりと粗く砕いていく。
干しアマズの実と干しスッペの実をザラザラッと加え、均一になる様に混ぜる。

「蜂蜜入れてみたらどうだい?」
「そうですね、ちょっと甘味が少なかったかもです…」

おばちゃんはノアが何を作ろうとしているのか察した様だ。

蜂蜜をテローリと加え、全体的に馴染ませる様に混ぜる。
小麦粉をサラサラッと入れ、加減を見ながら徐々に水も加え纏めていく。

出来た生地を押し固めながら四角くなる様に広げる。

「坊や、窯の温度は良い感じだよ。」

「ありがとうございます。」

窯の中に生地を入れる、じっくり焼くために少し窯の入口辺りに置く。

「ノア君これお菓子だよね?」

「材料だけ見るとそうだね。
小腹が空いた時に手軽に食べられる物をと思って、普通のお菓子だとすぐにまたお腹空いちゃうから色々お腹に溜まりそうな物を入れてみました。」

話してる間にも穀物や蜂蜜の香ばしい匂いが漂って来た。

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