ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

.

文字の大きさ
80 / 1,124
旅立ち~オードゥス出立まで

放せっ!

しおりを挟む
「はっ!放せっ!放せーっ!死に、死にたくない!」

ノアとジョーの話を聞いた片方が突然叫び出す。

「待て!ガッツ!」

「嫌だ!嫌だー!死ぬのは御免だ!」

「君、関係無いのだろう?なら何故叫ぶ?」

「俺!俺はその場にいた!」

「待てっつってんだろ!ガッツ!」

「街にモンスターを押し掛けたのは俺達だ!
は、早く!今すぐその薬をくれ!」

そう叫んだ後ベルドラッドは拘束を解くとガッツは一目散にジョーが持つ小瓶を取ろうとするが、ジョーの手に自分の手が当たり小瓶が落下。

パリーン!

「うわぁあああああああああああああ!」

ガッツは床に這いつくばって溢れた薬品を舐め取ろうとする。

ノアがジョーに「どうです?」みたいな顔をするとジョーは「無理だね。」みたいな顔をして首を振る。

そのやり取りを見たガッツは徐に立ち上がり


「て、てめぇらは最後の最後まで俺らに迷惑かけやがって、死んだら恨ん「死なないよ。」


「え!?」


「死なないよ、毒の話はこちらが用意した嘘だからな。
こんなに簡単にゲロってくれて助かったよ。」


周りを見るとジョーを始め、協力してくれた面々がニヤリと笑う。
ジェイルパーティは隠しているつもりだろうが体を震わせて笑いを堪えている。

未だに取り押さえられているバッツは顔を真っ赤にしている。
その光景を見たガッツは急速に顔を赤くし

「だ!騙したな!?」

「犯罪者を炙り出す為に騙して何が悪い?」

「は、犯罪者だと?」

「お前はその歳で知らんのなら余程のアホだな。
街への押し付けは極刑にあたる罪だ、即処刑されないだけ温情だと思え!」

「俺らはただこの街で受けた仕打ちを晴らすために…」

「仕打ちってのはズタボロの素材を適正価格で買い取って貰わなかった事とか故意にギルド内で抜剣した罰を受けた事か?
言っておくがお前らが街に来てからの行動は時系列的に記録が取られているから言い逃れは出来んぞ!」

ベルドラッドがそう言うとバッツとガッツは口をパクパクとさせるだけで言葉が出てこない様だ。

(へー、いつの間にそんな事を…職員の中にそういう役割の人でもいるのかな…?)

等と考えていると

「おうアリッサ、そいつと一緒にこいつも一旦守衛所に連行するぞ!」

バッツとガッツが力無く項垂れている。
この状態であれば後は隊員らに任せるとしよう。

と、したのだが突然バッツが叫ぶ。

「ガッツ!"かませぇ"!」

「『エクスプロージョン!!』」


ズドォオン!

ギルド内で爆発魔法が放たれた。
近くにいた職員のキョーコとベルドラッドは咄嗟に防御魔法を、アリッサは盾持ちの竜牙兵を召喚。
ノアは咄嗟にジョーを爆発地点より離す為に押し、直ぐにクロラの元へ向かう。
ポーラがロゼ、ジェイル、クロラを守る為に張った結界の範囲がギリギリ足りなかったからだ。
床板を踏み壊す程の勢いで近付き、クロラに覆い被さるとその直後に背後で爆発が発生。

「ぅぐぁああっ!」

瞬間的に剥き出しの腕の肌が焼け、飛散した床板等の破片が背中、太腿、腕等に突き刺さる。

ノアは目の前のクロラに怪我が無いのを確認して一安心する。


ダン!ダン!


2人分の足音がギルドから出ていくのを感じ、直ぐに駆け出す。
体の所々から激痛が走るが構わず走る。

「へっ!俺らを騙したば「待てぇお前らぁ!」」


「「ひ、ひい!?」」


煙の中から赤黒い目のノアが飛び出し悲鳴を上げる両名。
だが踏ん張る度に激痛が走り思う様に体が動かせないノア。

すると両名の姿が徐々に薄くなっていく。

(何だ!?適正の力か?)

完全に見えないと言う訳ではないが集中しないと見逃してしまいそうになる。
そのままギルドから出る2人は素早く逃げ始めた。

「は、速ぇ!何だあのガキ!?」

「分からんがこのままじゃまずい!<分身>を使え!」

そう叫ぶと姿が薄くなった両名が更に3人分追加され四方に散り始めた。
数瞬遅れて<気配感知>の反応が比較的強い方の分身を追う。

「くそっ!何でこっちが本物だと分かりやがった!?」

「今はどうでもいい、とりあえず潜れ!」

両名の進行方向にはダンジョンの入口が見えた。

(くっ…中に入られたら流石に見失う…)

いつもの速度で追おうとするが上手く足が動かない。

そのまま両名がダンジョンに侵入した。
それを見届けると糸が切れたかの様にその場に崩れ落ちる。
体を起こすも力が入らない、ノアが追いかけた道には所々血の跡が残っていた。


「ノア君!?まずい、血を流し過ぎてる!」

「アリッサ!薬草小屋に行ってチノアラシと職員を数人呼んできてくれ!」

「え、ええ!」

「ベルドラッドは隊員を召集して2人の捜索を!急げ!」

「わ、分かった!」

ジョーがアリッサ、ベルドラッドに指示を出す。
その声を最後にノアの意識は落ちていった。





「……っ…う……ぐっ、いででっ!」

意識を取り戻したノアは俯せの状態から起き上がろうとすると火傷と縫合した傷の痛みで顔をしかめる。
現在ノアが寝ていたのは普段から泊まっている宿のベッドの様だ。
自分の寝ているベッドの端を掴んで体を引き寄せる。
痛みに耐えながらベッドから下りようとすると眩暈が起こり床に崩れ落ちる。


ドサッ!         パタパタパタ…         ガチャ!


「ノア君!?」

部屋に入ってきたのはクロラだった。
ベッドから落ちたノアに駆け寄り、体をベッドに戻す。

「ぐ…ごめんね。」

「ううん…いいの。」

「怪我はありませんでしたか?」

「うん、皆無事だったよ。ノア君、は?」

「昨日ジョーさんから買った栄養剤飲めばこんな傷なんか直ぐですよ。」

「そう…なんだ。」

「うん、だから大丈夫、泣かないで。」


その後アイテムボックスから万能薬を取り出し一気に飲み干す。
結果としては火傷と眩暈は治ったが刺さった破片とかで出来た傷は治らなかった。
着替えを済ませ、回復玉を2個口に放り込んでバリバリと食べると暫くして傷が塞がった。

2人で下へ下りるとジェイルパーティとジョー、ベルドラッドがいた。

「おう!もう大丈夫か?」
「ノア君無事だったか。」
「いやー昨日は焦ったよーノア君。」
「無事だったか少年。」
「見た所大丈夫そうだねノア君。」

「ご迷惑おかけしました。」

皆に向け礼をする。


「それで2人は?」

「君がダンジョンに追い込んで以降行方不明だ。
隊員をダンジョンに送ったから捕まるのも時間の問題だろう。」

「そうですか…
ちなみにあいつらの適正って何なんですか?
逃走の際魔法使いましたし、姿消したり、分身したりで…」

「それで気になって調べてみたらな、あいつら<隠蔽>使って適正を偽ってやがった。」


<隠蔽>…自身のスキル、適正を1つだけ隠すスキル。盗賊から王族まで幅広い分野で使われる。


「それであいつらの適正って何だったんですか?」

「聞いて驚くな?あいつら【万能】だったよ。」       
しおりを挟む
感想 1,255

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

妹が聖女の再来と呼ばれているようです

田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。 「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」  どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。 それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。 戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。 更新は不定期です。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

処理中です...