81 / 1,117
旅立ち~オードゥス出立まで
無能
しおりを挟む
「【万能】?無能じゃなくて?」
バッツとガッツの適正を聞いた瞬間、誰が見ても「イラッ」と言う擬音が良く似合いそうな顔でポーラは返答する。
「色々思う事はあるだろうが落ち着こう。
な?ポーラ。」
いつもは冷静なジェイルがポーラを落ち着かせている。
ポーラは怒ると恐いのだろう。
「続けるぞ?【万能】は知っての通りあらゆる適正になれるが、特化 【適正】には劣る。
だがこの適正ちと厄介でな、全うな職を手にしている者もいるが大半は悪事に手を染める者がほとんどだ。
王都近郊に巣食う大規模な野盗団の頭も【万能】を持っているという。」
王都が抱えている問題は侵蝕竜や物資不足だけでなく、それが原因で増え続ける貧困層や野盗の類いも悩みの種となっていた。
現在も各所で小規模の野盗団による押し付けに乗じた略奪が発生してるという。
「やり口は簡単だ、【盾】にでもなって挑発スキルを発動、モンスターをある程度引き付けたら【飛脚】等の適正で引っ張り、目的地近くで【隠密】等を使って姿を眩ます。
モンスター共がその場に到達して混乱に陥った所を襲う。
これが奴らの常套手段だ。
恐らくこれと似た事を行って街に引き連れたのだろう。」
ベルドラッドが【万能】持ちの盗賊の手口を語った所でポーラから質問が飛ぶ。
「あいつらとはこの街に来るまで少しの間パーティ組んでたんだけど、あいつら本当に無能だったわよ?
【万能】持っているならもう少し戦えても良いんじゃないかしら?」
この質問にベルドラッドが顎に手をやって少し考えた後で返答する。
「君達は【適正】を授かって日は浅いと思う。
努力して極めていけば行く行くは凄まじい力を得る様になるのだが、実を言うと最初期は【適正】による補正は微々たるモノしかない。
例えば君はクロラと言ったな?
君に聞くが、【弓】を授かったからと言って百発百中で矢が当たった事はあったかい?」
「い、いえ、ノア君に色々手解きを受けてから上達していきました。」
「ああ、ノア先生ね。」
「ポーラさん?」
「おっと。」
「そう言うこと。
最初期の【適正】の補正と言うのは威力等が少しだけ上がるってだけで動きや武器の扱い方は本人の頑張り次第だ。」
ベルドラッドの説明で大体理解したポーラ。
「要はあいつら努力を怠ってただけなのね?」
「そうなるな、先程のクロラの例で言えば順調に研鑽を積んでいれば、どの辺りで矢を放てば相手に当たるか感覚的に分かってきてないかい?」
「はい、矢を射つ時視界に矢の軌道が表示される様な感覚と言いますか…」
「ノア先生のご指導の賜物ね。」
「ポーラさん?」
「他意は無いぞ?」
「順調、順調、恐らく次は威力が更に上がると思うから励む様にな。」
「は、はい!」
「まぁこの様に研鑽を積めば上達していくが【適正】の豊富さにかまけてると戦えはしない上に逃げの技術だけは上がっていく悪循環に陥る。」
(確かにあいつら逃げる時に<分身>使って来たけど…あれを戦闘面で使えば割と行けると思うんだけどなぁ…)
「この説明で大体理解してくれたかな?」
「ええ、ありがとうございます。」
話に区切りがついた所でその場は一時解散する事になった。
バッツとガッツ両名の捜索は調査隊の方で引き継ぐとの事だ。
ジョーも仕事に戻るという事なので挨拶を済ませ、別れる事になった。
「僕らは今日から明日に掛けての探索の為一旦場所を移すがノア君はどうする?」
「邪魔になるといけないから僕は色々と用事を済ませるよ。
何よりもまずお腹に何か入れたいからね。」
「そうか、分かった。」
「じゃあな、少年。」
「ばーい。」
「またね、ノア君。」
手を振って見送ったノアの背中を見てクロラは安堵する。
「元気そうで良かったじゃない。」
「うん。」
「昨日まともに爆発を食らってズタズタに引き裂かれた彼の体を見た時は色々覚悟したもんだが…」
「出血量もすごかったしね。」
「…私ってばずっとノア君に守られてばっか…
何もお返し出来てないのに…」
「そんな事無いんじゃない?彼、あなたと会ってる時凄い楽しそうよ?
前は適正の事もあって何処と無く避けてる感じがあったけど、ついさっきも私の冗談(?)にも快く応じてくれたし。」
「それにーノア君、クロラを助けたからって何か見返りでも求めた?」
ふるふる
「なら良いんじゃない?彼もクロラが側にいるだけで満足みたいだし。」
「あの歳で見返りを求めないとは、よっぽど大事にされてる証拠じゃないか。」
「うん…」
それでも少し浮かない表情のクロラにポーラが耳元まで近寄り
(だったらこの間の『教え子と先生』をまたやったら良いじゃない。)
(へ!?いや、あれはその、黒歴史といいますか…)
(そう?クロラも彼も案外まんざらでも無さそうだったじゃない。)
(まー、確かにグイグイいったらノア君オドオドして可愛いなーって…はっ!)
自分は何を、と思い口をつぐむが時既に遅し。悪い顔をしたポーラの顔がそこにはあった。
(そう、それだよクロラ君。今の彼に必要なモノはお返しでも見返りでも無い、触れ合いなのさ。)
(触れ…合い?)
(そうさ、本来は社交的な彼が適正の事もあって人との接触を避けていた。
そんな彼から告白を受けたのだよクロラ君?
本当は彼もクロラといちゃいちゃしたいハズよ。※ポーラの考えです)
(そ、そうかな~…)
(だってクロラ、告白してから数日経つけどイチャイチャした試しある?)
(え?……あ!無い!)
(そう、何かにつけて厄介事に巻き込まれていく彼の触れ合いたい度数は恐らくもう限界のハズよ。
※ポーラの勝手な考えです)
(げ、限界…)
(それに思い出して御覧なさい、昨日の事を…)
(昨日?)
(お忘れかしら?防衛戦の時にアリッサとか言う冒険者がクロラよりも先に、そう我先にとお姫様抱っこして貰ったあの悪夢を!
※腰が抜けただけです。)
(た、確かに私、あれは少し嫉妬しちゃったな…)
(つまり触れ合い度数で言えば彼女が最高位にいるのよ?
このまま何も手を打たなかったら彼女にノア君取られちゃうかも知れないのよ?
※ポーラの勝手な考えです)
(ポ、ポーラちゃん…私頑張ってみる。)
(そう、その意気よ!但し自然に振る舞わないと彼鋭いから不審に思うからそこは注意ね。)
(うん。頑張るよ。)
そんな2人のやりとりを後ろから眺めていたジェイルとロゼは「また何か吹き込まれたな」と言う顔をしていた。
バッツとガッツの適正を聞いた瞬間、誰が見ても「イラッ」と言う擬音が良く似合いそうな顔でポーラは返答する。
「色々思う事はあるだろうが落ち着こう。
な?ポーラ。」
いつもは冷静なジェイルがポーラを落ち着かせている。
ポーラは怒ると恐いのだろう。
「続けるぞ?【万能】は知っての通りあらゆる適正になれるが、特化 【適正】には劣る。
だがこの適正ちと厄介でな、全うな職を手にしている者もいるが大半は悪事に手を染める者がほとんどだ。
王都近郊に巣食う大規模な野盗団の頭も【万能】を持っているという。」
王都が抱えている問題は侵蝕竜や物資不足だけでなく、それが原因で増え続ける貧困層や野盗の類いも悩みの種となっていた。
現在も各所で小規模の野盗団による押し付けに乗じた略奪が発生してるという。
「やり口は簡単だ、【盾】にでもなって挑発スキルを発動、モンスターをある程度引き付けたら【飛脚】等の適正で引っ張り、目的地近くで【隠密】等を使って姿を眩ます。
モンスター共がその場に到達して混乱に陥った所を襲う。
これが奴らの常套手段だ。
恐らくこれと似た事を行って街に引き連れたのだろう。」
ベルドラッドが【万能】持ちの盗賊の手口を語った所でポーラから質問が飛ぶ。
「あいつらとはこの街に来るまで少しの間パーティ組んでたんだけど、あいつら本当に無能だったわよ?
【万能】持っているならもう少し戦えても良いんじゃないかしら?」
この質問にベルドラッドが顎に手をやって少し考えた後で返答する。
「君達は【適正】を授かって日は浅いと思う。
努力して極めていけば行く行くは凄まじい力を得る様になるのだが、実を言うと最初期は【適正】による補正は微々たるモノしかない。
例えば君はクロラと言ったな?
君に聞くが、【弓】を授かったからと言って百発百中で矢が当たった事はあったかい?」
「い、いえ、ノア君に色々手解きを受けてから上達していきました。」
「ああ、ノア先生ね。」
「ポーラさん?」
「おっと。」
「そう言うこと。
最初期の【適正】の補正と言うのは威力等が少しだけ上がるってだけで動きや武器の扱い方は本人の頑張り次第だ。」
ベルドラッドの説明で大体理解したポーラ。
「要はあいつら努力を怠ってただけなのね?」
「そうなるな、先程のクロラの例で言えば順調に研鑽を積んでいれば、どの辺りで矢を放てば相手に当たるか感覚的に分かってきてないかい?」
「はい、矢を射つ時視界に矢の軌道が表示される様な感覚と言いますか…」
「ノア先生のご指導の賜物ね。」
「ポーラさん?」
「他意は無いぞ?」
「順調、順調、恐らく次は威力が更に上がると思うから励む様にな。」
「は、はい!」
「まぁこの様に研鑽を積めば上達していくが【適正】の豊富さにかまけてると戦えはしない上に逃げの技術だけは上がっていく悪循環に陥る。」
(確かにあいつら逃げる時に<分身>使って来たけど…あれを戦闘面で使えば割と行けると思うんだけどなぁ…)
「この説明で大体理解してくれたかな?」
「ええ、ありがとうございます。」
話に区切りがついた所でその場は一時解散する事になった。
バッツとガッツ両名の捜索は調査隊の方で引き継ぐとの事だ。
ジョーも仕事に戻るという事なので挨拶を済ませ、別れる事になった。
「僕らは今日から明日に掛けての探索の為一旦場所を移すがノア君はどうする?」
「邪魔になるといけないから僕は色々と用事を済ませるよ。
何よりもまずお腹に何か入れたいからね。」
「そうか、分かった。」
「じゃあな、少年。」
「ばーい。」
「またね、ノア君。」
手を振って見送ったノアの背中を見てクロラは安堵する。
「元気そうで良かったじゃない。」
「うん。」
「昨日まともに爆発を食らってズタズタに引き裂かれた彼の体を見た時は色々覚悟したもんだが…」
「出血量もすごかったしね。」
「…私ってばずっとノア君に守られてばっか…
何もお返し出来てないのに…」
「そんな事無いんじゃない?彼、あなたと会ってる時凄い楽しそうよ?
前は適正の事もあって何処と無く避けてる感じがあったけど、ついさっきも私の冗談(?)にも快く応じてくれたし。」
「それにーノア君、クロラを助けたからって何か見返りでも求めた?」
ふるふる
「なら良いんじゃない?彼もクロラが側にいるだけで満足みたいだし。」
「あの歳で見返りを求めないとは、よっぽど大事にされてる証拠じゃないか。」
「うん…」
それでも少し浮かない表情のクロラにポーラが耳元まで近寄り
(だったらこの間の『教え子と先生』をまたやったら良いじゃない。)
(へ!?いや、あれはその、黒歴史といいますか…)
(そう?クロラも彼も案外まんざらでも無さそうだったじゃない。)
(まー、確かにグイグイいったらノア君オドオドして可愛いなーって…はっ!)
自分は何を、と思い口をつぐむが時既に遅し。悪い顔をしたポーラの顔がそこにはあった。
(そう、それだよクロラ君。今の彼に必要なモノはお返しでも見返りでも無い、触れ合いなのさ。)
(触れ…合い?)
(そうさ、本来は社交的な彼が適正の事もあって人との接触を避けていた。
そんな彼から告白を受けたのだよクロラ君?
本当は彼もクロラといちゃいちゃしたいハズよ。※ポーラの考えです)
(そ、そうかな~…)
(だってクロラ、告白してから数日経つけどイチャイチャした試しある?)
(え?……あ!無い!)
(そう、何かにつけて厄介事に巻き込まれていく彼の触れ合いたい度数は恐らくもう限界のハズよ。
※ポーラの勝手な考えです)
(げ、限界…)
(それに思い出して御覧なさい、昨日の事を…)
(昨日?)
(お忘れかしら?防衛戦の時にアリッサとか言う冒険者がクロラよりも先に、そう我先にとお姫様抱っこして貰ったあの悪夢を!
※腰が抜けただけです。)
(た、確かに私、あれは少し嫉妬しちゃったな…)
(つまり触れ合い度数で言えば彼女が最高位にいるのよ?
このまま何も手を打たなかったら彼女にノア君取られちゃうかも知れないのよ?
※ポーラの勝手な考えです)
(ポ、ポーラちゃん…私頑張ってみる。)
(そう、その意気よ!但し自然に振る舞わないと彼鋭いから不審に思うからそこは注意ね。)
(うん。頑張るよ。)
そんな2人のやりとりを後ろから眺めていたジェイルとロゼは「また何か吹き込まれたな」と言う顔をしていた。
180
あなたにおすすめの小説
ダンジョントランスポーター ~ 現代に現れたダンジョンに潜ったらレベル999の天使に憑依されて運び屋になってしまった
海道一人
ファンタジー
二十年前、地球の各地に突然異世界とつながるダンジョンが出現した。
ダンジョンから持って出られるのは無機物のみだったが、それらは地球上には存在しない人類の科学や技術を数世代進ませるほどのものばかりだった。
そして現在、一獲千金を求めた探索者が世界中でダンジョンに潜るようになっていて、彼らは自らを冒険者と呼称していた。
主人公、天城 翔琉《あまぎ かける》はよんどころない事情からお金を稼ぐためにダンジョンに潜ることを決意する。
ダンジョン探索を続ける中で翔琉は羽の生えた不思議な生き物に出会い、憑依されてしまう。
それはダンジョンの最深部九九九層からやってきたという天使で、憑依された事で翔は新たなジョブ《運び屋》を手に入れる。
ダンジョンで最強の力を持つ天使に憑依された翔琉は様々な事件に巻き込まれていくのだった。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!
さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。
冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。
底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。
そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。
部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。
ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。
『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
ザコ魔法使いの僕がダンジョンで1人ぼっち!魔獣に襲われても石化した僕は無敵状態!経験値が溜まり続けて気づいた時には最強魔導士に!?
さかいおさむ
ファンタジー
戦士は【スキル】と呼ばれる能力を持っている。
僕はスキルレベル1のザコ魔法使いだ。
そんな僕がある日、ダンジョン攻略に向かう戦士団に入ることに……
パーティに置いていかれ僕は1人ダンジョンに取り残される。
全身ケガだらけでもう助からないだろう……
諦めたその時、手に入れた宝を装備すると無敵の石化状態に!?
頑張って攻撃してくる魔獣には申し訳ないがダメージは皆無。経験値だけが溜まっていく。
気づけば全魔法がレベル100!?
そろそろ反撃開始してもいいですか?
内気な最強魔法使いの僕が美女たちと冒険しながら人助け!
ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~
楠富 つかさ
ファンタジー
ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。
そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。
「やばい……これ、動けない……」
怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。
「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」
異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる