ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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旅立ち~オードゥス出立まで

ダンジョンに入って19時間

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ダンジョンに入って19時間。

丁度中層2階での実戦練習が終わった所である。
何故か辺り一面が氷で覆われ、木々も所々に氷が張り付いている。


「ぐへ~…疲れた~…」     ドスン!


地面に座り込んだのはノアだった。
頭から流血、顔には痣が出来、腕の数ヶ所にも斬り傷を負っている。


「ノ、ノア君、す、すまない!?」
「ちょっ、ちょー!?ノア君大丈夫!?」 
「少年!大丈夫か!?ジェイル!やり過ぎだぞ!」
「ノア君!血が…」


痛々しい姿のノアを心配して実戦練習を見守っていたルドルフパーティも駆け寄る。


「あー、見た目程ダメージは無いから大丈夫です…」


手をヒラヒラ振って大丈夫だ、とアピールするも全くそうは見えない。





話は少し戻って実戦練習終了5分前に遡る。


ノアは皆の体力を考え、もうそろそろで終了だな、と考えていた。
それでも今回の実戦練習はかなりの収穫があった。


まずジェイルは<受け流し>や<挑発>スキル、メンバーへの指示出しが格段に上達。
盾に体を隠し、半身になる事で攻撃時も手を悟られない様にしたりと立ち回りも良くなっている。

ロゼは死角からの攻撃や樹上からの奇襲が上達、技のキレも良くなった気がする。
攻撃時も大技は狙わず一撃離脱戦法に切り替えている。

ポーラは魔法の命中精度が向上し、ロゼやクロラの攻撃に合わせ二段構えの攻撃を仕掛けたり地面や木々に魔法を当て、壁や足場を作ったりと、厄介さが増した。

クロラは常に動きまわり、パーティメンバーにノアが詰め寄ろうとすると横槍を入れたりとサポートにもまわる。
尚この時スムーズな立ち回りを心掛けていたのと、死角を考えて行動をした為、<洗練された手業>と<曲射>のスキルを覚えた。


しかし、ここで問題が起こった。
ジェイル、ロゼ、ポーラの3人に【固有スキル・技】が発現したのだ。

突然の発現に驚いたのと好奇心から、3人共【固有スキル・技】を発動してしまったのだ。

発動してしまったのはしょうがないと気持ちを切り替え、軽いノリで練習台を請け負ったのがマズかった。



その結果、今に至る。

ちなみにロゼ、ポーラ、ジェイルの順に【固有スキル・技】の練習台になったが、ノアが血塗れになった原因はジェイルの【固有スキル】をモロに食らった為だ。




バリバリボリボリ…

ノアは回復玉をムシャる。
出血は止まり斬り傷は徐々に塞がっていく、掌で器を作り、生活魔法で水を出し顔を洗う。


「ふぃー、さっぱりしたー…
皆さん見張りありがとうございました。」


ノアは練習の間ひたすら見張りをしていたルドルフパーティに礼をする。


「いやいや、後半は特にやる事無かったからスキルの練習に費やせたからこちらとしては儲けもんだよ。」

「あー、確かに後半バーサークベア並みの<殺気放出>発動して練習してましたから中層のモンスターは寄り付かないでしょうからね…」

「おいおい、あんな殺気放ってたのかよバーサークベアって奴は。
お陰で俺やガルベラも<気配感知>取れたから良かったけどな…」

「どうですか?皆さんも実戦練習やりますか?」


このノアからの提案に押し黙るルドルフパーティ一同。


「うーん…実を言うと僕らは今の所バトルベアの討伐自体まだなんだ。
見ての通り僕らは全員【剣士】のゴリ押しパーティだ、最終的に下層に行ってハルバードディアの素材を取りに行くつもりだが今回は行っても中層5階止まりだ。」

「そうか、了解した。」

「すまないな、途中から同行した上にスキル取得まで頼んだのに…」

「なに、今回の当初の目的は"行ける所まで行く"だ。
ルドルフ達の"行ける所"が中層5階ならそちらの意向を尊重するよ。」

「すまない。」


話が終わったノアはジェイルパーティらの元へ戻り、ルドルフパーティの意向を説明。
ジェイルも意向に沿う為ルドルフらとは中層3階で(バトルベアが出現する辺り)別れるとの事だ。




少しの間休憩を済ませた一行は中層3階へ向け坂を下り始める。
実戦練習で体力を消耗したジェイルパーティの代わりに暫くはノアが戦闘にまわる様だ。


「体力の方はどうだい、ジェイル?」

「俺とポーラはまだ大丈夫だが、ずっと動き回っていたロゼとクロラはくたくただ、」


ジェイルから状況を伝えられたノアはアイテムボックスを開け、手作り携行食を取り出してロゼとクロラに渡す。


「はい、これ食べて下さい。
体力とスタミナの継続回復効果が付いてますので食べると少し楽になると思いますよ。」

「え!ありがとー。ザクッザクッ!」
「ノア君ありがとう、あー美味しかった。」

(あれ?咀嚼音聞こえなかったような…)


などと考えているとクロラがノアの手を引いてくる。


「ねぇノア君、また<大好物>が発動したみたい、今度は追加で"腹持ち(中)"が付いてるよ。」

「うーん…"腹持ち"が付く様な物は入れてないハズなんだけどなー…
何か好みの食材とかありますか?」

「うーん…何でも食べれるからどれが好物かって言われると難しいなー…」

「おばちゃんの食堂では発動しませんでしたか?」

「そう言われると発動して無かったと思う。」

「うぬぬ…今度色々作ってみてクロラさんの好物探しでもやってみましょうかね。」


ノアからのこの提案に色めき立つクロラ。


「まぁ、そろそろ街を出る準備もしないといけないですから料理の作り置きも兼ねてるんですけどね。」

「そっか、私達も装備揃えたり色々準備整えたら直ぐに王都に行くつもりだからそろそろ今後の事考えておかないとなー…」


お互い近日中にこの街を出るとの事なので色々と準備について話し合っていた所、中層3階の
入口が見えてきた。


「ルドルフさん、荷物の空きはありますか?」

「え?空き…」

「あ、私のアイテムボックスはまだ空きがあるわよ。」

「それでは先にこれ渡しておきます、道中で食べて下さい。」


そう言ってノアの手作りハンバーグサンドを1人に付き2個分渡す。


「良いのかい?元々そちらの…」

「これは僕からの餞別です、先程食べたから知ってるでしょうが食事効果が付いてますのでバトルベア討伐に役立てて下さい。」

「…ああ、ありがとう、恩に着るよ。」


そうこうしている内に中層3階に到着。
ルドルフパーティとはここで別れる事となった。


「それじゃバトルベアの討伐頑張ってな!」

「ああ、そちらも下層探索の無事を祈るよ!」


お互い別れの挨拶は短めに済まし、各々別の方向に歩きだした。
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