ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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旅立ち~オードゥス出立まで

【剣戟深々(けんげきしんしん)】

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ジェイルは【剣戟深々(けんげきしんしん)】を発動、『暴走猪』の顔面に剣と盾による10連撃を叩き込む。

ゴッ!ズバッ!ガツッ!ザグッ!ガチッ!ザンッ!ゴチュッ!ドスッ!ゴギッ!ズシャッ!

対する暴走猪は突進開始とジェイルの【固有技】の発動が同時だった為まともに顔面に受けてしまう。


【剣戟深々(けんげきしんしん)】…【剣士】ではあるが盾役もこなす者に授けられる【固有技】剣と盾による10連撃を見舞う。
発動中は瞬間的に攻撃力が5倍に跳ね上がり、対象に与えるヘイトも凄まじく、ちょっとやそっとの事では発動者に対する敵視は解かれない為注意が必要。


10連撃をまともに食らった暴走猪の牙は片側が折れ、顔面は刀傷が刻み込まれていた。
暴走猪は完全に目が血走り、体毛が逆立つ程怒り狂う。

グォアアアアアアッ!  バシュッ!

ドチュッ!フゴォアッ!?

クロラが射った矢が暴走猪の左眼に命中、しかし血走った眼はジェイルに向いたままだ。


「おーおー怒り狂ってるなぁ…あれ本当に痛いんだよねぇ…」


1回ジェイルの【剣戟深々】を食らったノア(剣の攻撃は避けた)が当時の事を思い出す。


暴走猪は予備動作一切無しの突進を繰り出すが、動きを注視していたジェイルは盾を使い<受け流し>を発動、8割程受け流すも腕に響くダメージは中々の物だ。


「<矢水垂>!」

「アイシクルレイン!」


クロラの放った<矢水垂>により矢が降り注ぎ、体の動きが鈍り、ポーラのアイシクルレインで完全に動きを止める。

頃合いを見たロゼが暴走猪の首元に接近し二刀を構えて【剣嵐豪禍(けんらんごうか)】を発動。
神速の20連撃を叩き込む。


「てぇーやぁあああああああっ!」

ズバババババババババババババババババババッ!  フゴォアアアッ!

暴走猪の首元に20連撃が叩き込まれ、血飛沫が飛ぶ。
すると半透明のロゼの幻影が現れ、先程の20連撃の剣筋をなぞる様に再び20連撃を叩き込む。


「嘘だろ…暴走猪の皮膚、滅茶苦茶硬かったのに…」


【剣嵐豪禍(けんらんごうか)】…【双剣士】専用の【固有技】。
ある程度の肉質を無視した二刀による神速の20連撃を放つ。
全て対象に命中した場合、追加効果として発動者の幻影が現れ、剣筋に沿って再び20連撃が放たれる。
隙が大きいので発動には注意が必要。
※1:制限時間は、発動から1分以内。
※2:攻撃を防がれたり回避されたら最初の20連撃のみ。


フゴォアアアアアアアアッ!ベギベギベギッ!

暴走猪は力任せにクロラとポーラの拘束技を引き剥がし、暴れ狂う。

ドチュッ!ドヂュッ!グギュォアアアッ!?

クロラが射った2矢が暴れ狂う暴走猪の左眼に突き刺さる。


「おお!?あれを当てるか。」

ノアがクロラの弓の上達振りに驚く。
ちなみに初撃はクロラ自身の物だが二撃目はスキルによるモノだ。


【弓】限定取得スキル<一発必中>…射つ前に着弾箇所を指定し、見事当たった場合再び発射され、確実に命中する。
※対象が遮蔽物に隠れた場合は不可。


眼への二連撃を受けた暴走猪は流石に悶えてたたらを踏む。
そこにポーラが近付き、先程ロゼが【剣嵐豪禍】で付けた刀傷目掛け


「アイシクルジャベリン!」


ポーラの左脇辺りに魔方陣が展開され、ポーラ1人分もある長さの槍が射出され深々と突き刺さる。

グ、ギィイイッ!

苦悶の声を上げる暴走猪に対してポーラの攻撃は続き、左拳を前に突き出して唱える。


「喰らいなさい、私の極悪非道コンボ。アイシクルパイル!」


唱えると共に左拳を開け放つと暴走猪の体内で鈍いゴリゴリという音が響く。
ビクンと身震いしたかと思うと、急に脱力して地面に倒れ込む。

ズズン!

ピクリとも動かなくなった暴走猪の喉と口から夥しい量の血が溢れた事で絶命を確認した。


「ふぅ…何とか倒せたな、皆お疲れ。」
「ジェイル、おつかれー。」
「皆援護ありがとう、お陰で上手くいったわ。」
「皆お疲れ様ー。」

「皆さんお疲れ様です。
ジェイルさん、受け流しお見事でした。」

「いやいや…まだ完璧とは言えないな、腕がまだ少し痺れてる。」

「ロゼさんもお疲れ様、あの技全部当たるとあんな事になるんですね。」

「そーだよ、自分でもびっくりだよ。
練習の時ノア君全部避けるんだもん。」

「あんな肉質無視の技食らってたまるか。」

「おうおう少年、私には労いの言葉は無いのかい?」

「もちろん言いますって、ポーラさんもお疲れ様です。
でもあの技はエグい。」

「褒めたと思ったら二言目にはそれかい、エグい殺し方筆頭が何を言うか。」

「いやいやちゃんと褒めてますって、参考になりましたよ。」

「参考に、ねぇ…どんな戦い方になるか楽しみだわ。」


そう言ってポーラはジェイルの元へ。
残るクロラに声を掛けようと振り向くと既にソワソワしていた。


「クロラさん、以前よりも弓が格段に上達してますね、お見事でした。」

「い、いやー…ノア君の教え方が良かったからだよー…(照)
それに私が射ったの3矢だけだったし…」

「そんな事ありませんよ、ちゃんとジェイルさんが敵視取った後に弱点を的確に突いてましたし、ここぞって時に欲しい一撃を繰り出してました。」

「ほ、褒め過ぎだってぇ~(照れっ照れ)」


そんなノアとクロラのやり取りを眺めていたポーラは愚痴る。


「何だこの褒め方の差は…」


そんなポーラを労う様にジェイルは肩をポンと叩く。

その後探索を開始した一行、ジェイル達は先程の戦いを思い返していた。


「ジェイルが使ってたあの連続技【剣戟深々】だったかしら?
あれは強力ね、先制攻撃として優秀だわ。」

「あぁ、だが相手に接近しなければならないのが難点だな…」

「それなら私が矢を射って引いて来るのはどうかな?」

「引いて来た直後に打ち込めば敵視が俺に移るからその方針で行こうか。」

「うーん…それならあたしも何か飛び道具持とうかなー…手数増やす意味で。」

「何だったか、武器屋にあった『クナイ』とか言う武器、あれとか良いんじゃないか?」

「あーアレ気になってたんだよねー、街に戻ったら買ってみようかな。」


和気あいあいと話すジェイル達をノアはじっと眺めていた。


「?どうしたんだいノア君。」

「いや、ちょっと羨ましいな、と思ってね。」

「羨ましい?」

「ええ、パーティメンバーと他愛の無い話ししたり戦法話したり…
僕には出来ない事ですからね。」


(『あれ?『俺』と話すのは違うのか?』)

(これって端から見たら話すというより自問自答だろ?)


「当分は1人のつもりなので基本的に無口なんです、たまに喋ると"あれ?どうやって話すんだっけ?"ってなりますよ。」

「当分はって事は、いずれ誰かと組むつもりなのかい?」

「まぁあくまで予定ですがね。ずっと1人は堪えますよ…」

「は、はーい!私!私その予定に名前入れといても良いですか!」


手を上げてクロラがノアの予定に立候補を入れる。


「僕としては大歓迎ですけど、パーティは良いんですか?」

「まぁもしそうなったら彼女の意見を尊重するよ。」

「円満退団ってやつだねー。」

「早く少年とクロラの孫を見せてくれ。」

「「気が早い。」」


とそんな事を話していると前方から2頭の暴走猪の反応が迫る。


「話の途中だが前から2頭暴走猪が来ている。
片方はお願いしても良いかい?」

「ああ、任された。」


下層2階の中央辺りで再び戦闘が開始された。
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