ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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アルバラスト編

ゴブリン討伐の翌日

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ゴブリン討伐の翌日、現在昼を過ぎた頃。


結局あの後、村の周りをウルフや猪が彷徨く事は無かった。
翌日には村を発つ事を決めたのだが、ハミルの厚意で部屋を借りてぐっすり寝たら翌日の昼を過ぎていた。

慌てて外に出ると村人から「もう少し寝てても良かったのに」と言われたが甘えてもいられなかったのでノアはそのまま村を発った。
村の子供達には姿が見えなくなるまで手を振られた。


「いやー寝過ぎたな…」ぐぅ~っ。


腹の虫が鳴ったのでノアはアイテムボックスから、作り置きしていたハンバーグサンドを取り出してムシャムシャと食べる。

相変わらず風景は変わらず、『俺』と話す事も無くなりつつあった。

変化があったのはそれから1時間程後の事だった。


「お!あれ街じゃないか?」


ノアの視線の先に街の様なものが見えた。
良く見てみると馬車が何台も走っているのが見え、人も多い様に思う。

目測ではあるが30分位で着くだろう、と予想した所で、ノアと街の中間辺りで3人の冒険者が道端で座り込んでいた。





「どーしました?」


心配になったノアが少し駆け足で3人組の冒険者に近付いて声を掛けたが、怪我や病気とかでは無さそうだ。
3人共心ここにあらずといった感じで項垂れていた。

パーティの様だが、あれ?皆武器を持っていない。
ローブの女性が2人、恐らく魔法使いだろう。
それと、割とがっしりした金属鎧を身に付けた男性の3人パーティだった。

どうしたものかと悩んでいるとローブを羽織った女性がポロポロと大粒の涙を流して何があったのか話してくれた。


大まかに言うと、山道で5人組の野盗に遭遇。
隙を突かれパーティの女性を人質に取られ、武器と手持ちの金、所持品を全て奪われた。

武器無し、無一文の為、街に入れず路頭に迷っていたと言う。


「あ、あの時…わ、私が捕まらなけ、れば…こんな事、には…」

「落ち着いて、カリン…過ぎた事を悔やんでも仕方ない…」


恐らくリーダーなのだろう、金属鎧の男性が慰めているが、男性の方も泣きそうな顔をしている。


「ふーむ…分かった、一先ず街へ向かおう。」


ノアがこう言うと、残りの女性が声を荒げる。


「ちょっとアンタ!今の話聞いて無かったの?私達無一文なの!お金無いの!」

「勿論分かってるよ。取り敢えず僕が通行料を払う、それなら文句無いだろう?」


声を荒げた女性はハッとなりノアに謝罪してきた。


「ご、ごめんなさい怒るつもりじゃ…」

「気にしないで下さい、同じ状況になったら誰でもそうなる。
そう言えば所持品も奪われたんですってね。
で、あれば…」


ノアはアイテムボックスからハンバーグサンドを取り出して3人に配る。
全員が呆然としていたので


「腹が減っては戦は出来ぬって言うでしょ?」


そう告げると3人共無言で頭を下げ、その後がっつく様に食べ始めた。
ノアはそんな3人から少し離れた。
3人の方からは嗚咽混じりの声が聞こえたからだ。




「「「ごちそうさまでした。」」」

「少しは落ち着きましたか?」

「ああ…何とか。」
「このご恩は忘れません。」
「本当にありがとうございます。」

「さ、落ち着いた所で街に入りましょう。」


ノアと3人は街の門に並び、順番を待つ。
少しすると順番が回って来たので兵士に冒険者カードを見せる。


「そちらの3人は?」

「この3人は訳あって冒険者カードを紛失しました。僕が身元引き受け人って事は出来ませんか?」


ノアがそう伝え、兵士が3人の装備や状態を見ると何かを察したようだ。


「今回はそれで良い、それとこの門を真っ直ぐ行った所に一応ギルドがあるから相談事があれば寄ってくれ。」

「分かりました。さ、行きましょう。」


ノアに促され街に入る一同。
真っ先に兵士が言っていたギルドへと向かう。

少し進むとオードゥスと同じ大きさのギルドが見えたので構わず中に入る。
中に入ると冒険者が数組とカウンターにゴッツイおっちゃんが立っていた。
しかしノアの背後にいる冒険者を見るなり全員の表情が険しくなる。


「おぅ、新人の冒険者か…くそっ、またか…
あー、すまない、大体の事情は分かった。
野盗にやられたんだな?」

「はい…」
「そうです…」
「はい…」

「今月に入って5組目か…全く嫌になる…
それで?そちらの冒険者は無事なのか?」

「彼が身元引き受け人として僕らを街へ入れてくれました。」

「そうかい、確りした子だ。
ただ、被害届けは出せるが武器や金、所持品が戻ってくる可能性は0に近い。」

「そうだよな…」
「……」
「そっか…」

「あまり力になれず、すまない…」


カウンターにいる恐らくギルド長のおっちゃんが申し訳なさそうな顔をしている時だった。


「そこで相談なのですが、彼らのお金は当分僕が出します。
すみませんがこの辺りの情報を教えて下さい。」


このノアの発言に周囲がざわつく。
いかにも新人冒険者にしか見えない者が3人分の金を賄うと言うのだ。
ノアの後ろに立つ3人も反応に困っている様だ。


「なぁ、坊主、殊勝な心掛けだが何かあてはあるのかい?
ギルドは金貸しはやってないんだぞ?」

「勿論あてはあります、取り敢えずこれでお願いします。」


そう言ってノアはアイテムボックスから大きめの麻袋を取り出す。
カウンターのおっちゃんは麻袋の中を覗くなり目を剥く。


「こ、これは!?」

「ゴブリンの討伐証明200匹分です。報酬が幾らになるかは分かりませんがこれである程度の旅費になりませんか?」


ノアの発言に周囲から次々と声が上がる。


「に、200体!?」
「いやいや、流石にホラだろ、両耳入れてんじゃね?」
「それでも100体だって十分多いだろ!」
「あのガキが?嘘だろ?」

「お前ら一回黙れぇ!!」


おっちゃんの怒声でギルド内が静まり返る。
改めておっちゃんはノアに向き直る。


「…すまないが君の冒険者カードを見せてくれないか?」


ノアが冒険者カードを直ぐに手渡すとおっちゃんはカウンターにある水晶に翳す。
周囲で一部始終を聞いていた他の職員達も集まり、一緒になって水晶を覗く。


「…何だこの討伐数は…
それに、坊主…お前さんオードゥスの…"アレ"倒したのか?」


正直"アレ"が何なのか分からなかったが、恐らくバーサークベアの事だろう。
逆にオードゥスで倒してないモンスターは一匹狼位だった気がするなー、等と考えているとカウンターのおっちゃんが小刻みに頷く。


「確かにこれだけの実績がありゃゴブリン200体なんざ訳無いな…
よし!良いだろう、ゴブリン討伐証明200体分、10万ガル今すぐ用意しよう。」


直ぐに職員達がゴブリンの耳を集計しだした。
カウンターから戻ってきたノアは3人の元へ。


「という訳で3人には10万ガル預けます。当分は持つでしょう。」

「いやいや、流石にそんな大金受け取れない!?
ゴブリン200体分だぞ!?
君が頑張って倒した物を見ず知らずの相手に預けるなんて…」

「使う使わないはお三方に任せます、装備が戻ってくるまでの繋ぎとお考え下さい。」


さらりと言うノアにカウンターのおっちゃんが口を挟む。


「そうは言うがなぁ、坊主…さっきも言ったが、盗られた物が手元に戻る可能性は0に近い。
ギルドとしても兵士やら中級冒険者やらを使って捕縛しようとしてるんだが、奴ら新人冒険者じゃないと見るやいなや姿を眩ませちまう。」

「でしょうね。
ですのでお三方に聞きたいのですが、野盗に出会した場所をお聞きしたい。」


この発言に対してカウンターのおっちゃんはノアが何をしに行こうとしているか察する。


「おい、坊主、お前さんまさか…」

「ええ、野盗に会って来ます。」
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