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アルバラスト編
王都調査隊本部にて
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場所は変わって王都にある王都調査隊本部にて。
「ベルドラッドさん、最近調査に出向いていたオードゥスの近くで要請弾の反応を感知。」
「間違い無いのか?」
「間違いありません。」
「よし。では、アガタ、ライリを連れて向かってくれ。
ナイトワイバーンの使用を許可する。」
「了解。」
「了解しました。さ、行こうかライリ。」
「は、はい。」
ベルドラッドの指示の下、直ぐに行動を開始するアガタと女性新人調査隊員のライリ。
「そんな気負うな、いざという時に動けないぞ?」
「は、はい…出動は初めてなもので…」
「って事はナイトワイバーンに乗るのも初めてか?」
「はい。」
「ナイトワイバーンは夜間の高速移動に適した騎竜だ。」
そう言ってアガタと共に建物の外に出ると、鞍が取り付けられた黒い鱗に大きな漆黒の翼を広げた竜が待ち構えていた。
グルルル…
「要請弾の反応があった地点は分かるな?」
グル!
ナイトワイバーンの反応を見てからアガタとライリは騎乗する。
すると風魔法が発動して2人の体に風の層が発生する。
「これは…?」
「ナイトワイバーンの飛行速度は凄まじいからな、こうしておかないと俺達の体がぐちゃぐちゃになってしまうから結界を張ってるのさ。」
「ひぇぇ…」
「さぁ、準備は良いかな?じゃあ行ってくれ。」
グル!
ナイトワイバーンが一鳴きすると、バフォっと翼をはためかせるとあっという間に上空高くまで上がり破裂音を響かせ飛び始める。
ズバァン!
景色がみるみる内に変わっていく、すると視線の先に目映い光を放つ波紋の様なものが見える。
「あそこだ!山の頂上付近に人影らしきものが見える。
あそこまで低空で飛んでくれ。」
グル!
ナイトワイバーンが頂上付近まで近付くとアガタとライリが地面に向かって飛び降りる。
ズダン!スタッ!「うっ!?」
飛び降りた直後、辺りに立ち込める血の臭いにライリが顔をしかめる。
「おい!そこの君か?要請弾を使ったのは!」
良く見ると大量の何かの死体の山の上で人影が何か作業をしていた。
その人影が2人を視認すると死体の山からゆっくりとこちらへ近付いてくる。
ぐしゃ!ずちゅ!ぐちゃ!
1歩1歩死体を踏みつけながら近付いてくる人影に何か嫌な汗が噴き出す感覚を覚える2人。
念の為腰に差した剣に手を掛けると
「あれ?アガタさんじゃないですか。」
「「え?」」
そこには右手にゴブリンの頭部を、左手には鎌の様なナイフを持ったノアが立っていた。
「ノ、ノア君!?どうしてここに?」
「アガタさん…知り合いですか?」
「あ、ああ、彼は新人冒険者のノア君だ。
以前話しただろ?オードゥスのダンジョンでの話を。」
「はい、女鏖蜂を単独で討伐した冒険者が…って、もしかして…」
「その冒険者がこのノア君だよ。」
ライリは信じられないといった表情でノアを見る。
対するノアはアガタに質問を飛ばす。
「要請弾の件で来たんですよね?」
「ああ、そうだった…という事は要請したのはノア君で間違い無い様だね。
どうしたんだい?」
「どの位の規模で要請したら良いか分からなかったのですが、ゴブリンの巣を発見しましてね、駆除が終わったので討伐証明の部位を切っていた所です。」
ノアが足元を指差しながら説明する、2人が地面を見ると夥しい量のゴブリンの死体で埋め尽くされていた。
「な、何体いたんだ?」
「まだ全部切り終わってませんが200匹近くはいるかと思います。」
「に、200!?」
「一応こちらが討伐証明の片耳の山です。」
そう言ってノアは切断した耳の山を指差す。
「こ、これはもう少し応援がいるな…ライリ、隊員用の要請弾を撃て!」
「は、はい!」
ライリと呼ばれた女性は腰のポーチを開け、要請弾を打ち上げる。
ノアが使った要請弾と少し色が違う様だった。
数分すると10人程追加で隊員らがやって来た。
ノアを見る度皆口々に「あ、ノア君だ。」と言っていたのは何か変な光景であった。
「よーし、取り敢えず切り終わったぞー!」
ノアは10分程掛けてゴブリンの片耳を切り終わり、死体と頭部を1ヶ所に纏めていた。
その間も隊員達は洞窟内の調査を続けていた。
「しかし凄い数だな…」
「ああ…処理も大変だぞ…」
「ああ、気にしないで下さい、処理はこちらでやっちゃいますので。」
「良いのかい?かなりの量だぞ?」
「大丈夫です。」
そう言ってノアは死体の山に近付くと<念話>を使ってグリードに指示を出す。
<グリードすまないが皆に見られない様にゴブリンの死体食べて貰っても良いかな?>
<グル♪>
(機嫌良いな…)
すると死体の山の真ん中が徐々に陥没していく。
グリードの姿は見えないが、地面の下からゴリゴリと色々と破砕される音が響く。
ものの1、2分でその場から死体の山が綺麗に消え去った。
「はい、これで大丈夫です。」
そう言って後ろを振り向くが、隊員達は全員絶句していた。
何とかアガタが直ぐに復帰してノアに質問する。
「ノ、ノア君今のは…?」
「片付けただけです。」
「いや、でも下に何か…」
「片付けただけです。」
「そ、そうだよね…」
「はい、そうです。
すいません、近くの村の人に説明があるので後をお願いしても良いですか?」
「あ、ああ…暫くこちらも調査を続けるから構わない。
村の場所だけ教えてくれれば後で伺うよ。」
そうしてノアは村の場所を教えて下山。
残った隊員達は今起こった出来事を調べる様に辺りを捜索するが何も出てくる事は無かった。
空が薄ら白み始めて来た頃にノアは村に到着、ハミルとミミの父親の無事を確認して村の中へ。
「取り敢えず山の棲み家にいたゴブリンは全滅したハズです。
倒した後に王都からの調査隊員を要請したので大丈夫でしょう。
後で隊員が村に来ると思うのでその時は僕が対応します。」
「こちらで番をしてたら急に山の頂上で花火(?)が上がったから何事かと思ったぜ。」
「これでウルフや猪は山に戻るでしょうか…」
「恐らく。
実際奴等の気配が消えたからか雑木林でウルフや猪が餌を探してるのを見ましたしね。
まぁ、今日は取り敢えずこの村に滞在しますよ。」
「はい、お願いします。」
そうして話を終えたノアは村の入口付近にある岩の上に腰掛けて寝息を立て始めた。
「こんな時位部屋貸すのに…」
村人のだれかがそう言った。
起こしてはいけないと思い、ノアの周りには誰もいなくなった。
暫くして雑木林の方から2人程村に向かって歩いてくるのでノアを起こすか迷っていると、呼び掛けすらしていないハズなのにノアが腰掛けていた岩から立ち上がった。
「やぁノア君、取り敢えず調査は終わってゴブリン全滅の確認が取れたよ。」
「そうですか、林の中はどうでしたか?」
「林ですか?ウルフや猪しかいませんでしたよ?」
この報告に村人から安堵の声が上がる。
「あの洞窟はゴブリン等が過ごしやすい環境なので定期的に兵を呼んで巡回させます。」
「そうですか、あともう1つ良いですか?」
「はい、何でしょう。」
「最近ウルフや猪がここら辺まで出て来た事で商人が寄らなくなった様なので、危険は去った事を周知して欲しいのですが。」
「それ位なら構いませんよ。
直ぐに報告、周知しておきます。」
「ですって、ハミルさん。」
ノアは後ろを振り返ってハミルに報告する。
ハミルはノアの両手を掴んで感謝の言葉を伝えた。
「アガタさん、ライリさん今日はありがとうございました。」
「いやいや、君の方こそお疲れ様、我々はここで失礼するよ。」
アガタとライリはノアと村人に挨拶をしてナイトワイバーンに乗って王都へと戻っていった。
(『なぁ、討伐証明の片耳、あいつらに渡しといた方が良かったんじゃないか?』)
「あ。」
「ベルドラッドさん、最近調査に出向いていたオードゥスの近くで要請弾の反応を感知。」
「間違い無いのか?」
「間違いありません。」
「よし。では、アガタ、ライリを連れて向かってくれ。
ナイトワイバーンの使用を許可する。」
「了解。」
「了解しました。さ、行こうかライリ。」
「は、はい。」
ベルドラッドの指示の下、直ぐに行動を開始するアガタと女性新人調査隊員のライリ。
「そんな気負うな、いざという時に動けないぞ?」
「は、はい…出動は初めてなもので…」
「って事はナイトワイバーンに乗るのも初めてか?」
「はい。」
「ナイトワイバーンは夜間の高速移動に適した騎竜だ。」
そう言ってアガタと共に建物の外に出ると、鞍が取り付けられた黒い鱗に大きな漆黒の翼を広げた竜が待ち構えていた。
グルルル…
「要請弾の反応があった地点は分かるな?」
グル!
ナイトワイバーンの反応を見てからアガタとライリは騎乗する。
すると風魔法が発動して2人の体に風の層が発生する。
「これは…?」
「ナイトワイバーンの飛行速度は凄まじいからな、こうしておかないと俺達の体がぐちゃぐちゃになってしまうから結界を張ってるのさ。」
「ひぇぇ…」
「さぁ、準備は良いかな?じゃあ行ってくれ。」
グル!
ナイトワイバーンが一鳴きすると、バフォっと翼をはためかせるとあっという間に上空高くまで上がり破裂音を響かせ飛び始める。
ズバァン!
景色がみるみる内に変わっていく、すると視線の先に目映い光を放つ波紋の様なものが見える。
「あそこだ!山の頂上付近に人影らしきものが見える。
あそこまで低空で飛んでくれ。」
グル!
ナイトワイバーンが頂上付近まで近付くとアガタとライリが地面に向かって飛び降りる。
ズダン!スタッ!「うっ!?」
飛び降りた直後、辺りに立ち込める血の臭いにライリが顔をしかめる。
「おい!そこの君か?要請弾を使ったのは!」
良く見ると大量の何かの死体の山の上で人影が何か作業をしていた。
その人影が2人を視認すると死体の山からゆっくりとこちらへ近付いてくる。
ぐしゃ!ずちゅ!ぐちゃ!
1歩1歩死体を踏みつけながら近付いてくる人影に何か嫌な汗が噴き出す感覚を覚える2人。
念の為腰に差した剣に手を掛けると
「あれ?アガタさんじゃないですか。」
「「え?」」
そこには右手にゴブリンの頭部を、左手には鎌の様なナイフを持ったノアが立っていた。
「ノ、ノア君!?どうしてここに?」
「アガタさん…知り合いですか?」
「あ、ああ、彼は新人冒険者のノア君だ。
以前話しただろ?オードゥスのダンジョンでの話を。」
「はい、女鏖蜂を単独で討伐した冒険者が…って、もしかして…」
「その冒険者がこのノア君だよ。」
ライリは信じられないといった表情でノアを見る。
対するノアはアガタに質問を飛ばす。
「要請弾の件で来たんですよね?」
「ああ、そうだった…という事は要請したのはノア君で間違い無い様だね。
どうしたんだい?」
「どの位の規模で要請したら良いか分からなかったのですが、ゴブリンの巣を発見しましてね、駆除が終わったので討伐証明の部位を切っていた所です。」
ノアが足元を指差しながら説明する、2人が地面を見ると夥しい量のゴブリンの死体で埋め尽くされていた。
「な、何体いたんだ?」
「まだ全部切り終わってませんが200匹近くはいるかと思います。」
「に、200!?」
「一応こちらが討伐証明の片耳の山です。」
そう言ってノアは切断した耳の山を指差す。
「こ、これはもう少し応援がいるな…ライリ、隊員用の要請弾を撃て!」
「は、はい!」
ライリと呼ばれた女性は腰のポーチを開け、要請弾を打ち上げる。
ノアが使った要請弾と少し色が違う様だった。
数分すると10人程追加で隊員らがやって来た。
ノアを見る度皆口々に「あ、ノア君だ。」と言っていたのは何か変な光景であった。
「よーし、取り敢えず切り終わったぞー!」
ノアは10分程掛けてゴブリンの片耳を切り終わり、死体と頭部を1ヶ所に纏めていた。
その間も隊員達は洞窟内の調査を続けていた。
「しかし凄い数だな…」
「ああ…処理も大変だぞ…」
「ああ、気にしないで下さい、処理はこちらでやっちゃいますので。」
「良いのかい?かなりの量だぞ?」
「大丈夫です。」
そう言ってノアは死体の山に近付くと<念話>を使ってグリードに指示を出す。
<グリードすまないが皆に見られない様にゴブリンの死体食べて貰っても良いかな?>
<グル♪>
(機嫌良いな…)
すると死体の山の真ん中が徐々に陥没していく。
グリードの姿は見えないが、地面の下からゴリゴリと色々と破砕される音が響く。
ものの1、2分でその場から死体の山が綺麗に消え去った。
「はい、これで大丈夫です。」
そう言って後ろを振り向くが、隊員達は全員絶句していた。
何とかアガタが直ぐに復帰してノアに質問する。
「ノ、ノア君今のは…?」
「片付けただけです。」
「いや、でも下に何か…」
「片付けただけです。」
「そ、そうだよね…」
「はい、そうです。
すいません、近くの村の人に説明があるので後をお願いしても良いですか?」
「あ、ああ…暫くこちらも調査を続けるから構わない。
村の場所だけ教えてくれれば後で伺うよ。」
そうしてノアは村の場所を教えて下山。
残った隊員達は今起こった出来事を調べる様に辺りを捜索するが何も出てくる事は無かった。
空が薄ら白み始めて来た頃にノアは村に到着、ハミルとミミの父親の無事を確認して村の中へ。
「取り敢えず山の棲み家にいたゴブリンは全滅したハズです。
倒した後に王都からの調査隊員を要請したので大丈夫でしょう。
後で隊員が村に来ると思うのでその時は僕が対応します。」
「こちらで番をしてたら急に山の頂上で花火(?)が上がったから何事かと思ったぜ。」
「これでウルフや猪は山に戻るでしょうか…」
「恐らく。
実際奴等の気配が消えたからか雑木林でウルフや猪が餌を探してるのを見ましたしね。
まぁ、今日は取り敢えずこの村に滞在しますよ。」
「はい、お願いします。」
そうして話を終えたノアは村の入口付近にある岩の上に腰掛けて寝息を立て始めた。
「こんな時位部屋貸すのに…」
村人のだれかがそう言った。
起こしてはいけないと思い、ノアの周りには誰もいなくなった。
暫くして雑木林の方から2人程村に向かって歩いてくるのでノアを起こすか迷っていると、呼び掛けすらしていないハズなのにノアが腰掛けていた岩から立ち上がった。
「やぁノア君、取り敢えず調査は終わってゴブリン全滅の確認が取れたよ。」
「そうですか、林の中はどうでしたか?」
「林ですか?ウルフや猪しかいませんでしたよ?」
この報告に村人から安堵の声が上がる。
「あの洞窟はゴブリン等が過ごしやすい環境なので定期的に兵を呼んで巡回させます。」
「そうですか、あともう1つ良いですか?」
「はい、何でしょう。」
「最近ウルフや猪がここら辺まで出て来た事で商人が寄らなくなった様なので、危険は去った事を周知して欲しいのですが。」
「それ位なら構いませんよ。
直ぐに報告、周知しておきます。」
「ですって、ハミルさん。」
ノアは後ろを振り返ってハミルに報告する。
ハミルはノアの両手を掴んで感謝の言葉を伝えた。
「アガタさん、ライリさん今日はありがとうございました。」
「いやいや、君の方こそお疲れ様、我々はここで失礼するよ。」
アガタとライリはノアと村人に挨拶をしてナイトワイバーンに乗って王都へと戻っていった。
(『なぁ、討伐証明の片耳、あいつらに渡しといた方が良かったんじゃないか?』)
「あ。」
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