ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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アルバラスト編

『うーむ…』

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(『うーむ…』)

(どうしたの?ヒュドラとの戦いの後からずっと考え事してるみたいだけど。)

(『今回この街に来てからと言うものの滅茶苦茶被弾してるだろ?』)

(あー、すまない。避けきれない物が多くてね…)

(『いや、そこは良い。
至近距離の爆裂魔法を避けろって方が無茶な話だからな。
今までお前さんの自力頼りで攻撃面ばかり強化していたからな。』)

(つまりこれからは防御面を強化すると?)

(『まぁそういう事だ。
一応当てはあるし、何ならもう既に取得は可能だ。』)

(へー、それはどういった物なんだ?)

(『ほい、これだ。【鬼鎧殻】と言う。』)


【鬼鎧殻】を覚えました。


【鬼鎧殻】…体表面に高い防御性能を誇る生体鎧を生成。
全身鎧化または部分展開可能。
発動中は攻撃力、敏捷性が2割程下がり魔力を消費する為、連続使用には注意が必要。
【鎧袖一贖】【一鬼呵成】との併用不可。


(鎧か…取り敢えずどこかで練習が必要だな…
どれだけの防御性能があるかも知りたいから相手も必要になるな…)

(『まぁ、時間はあるんだしのんびりいこうや。
取り敢えず飯だ、飯。』)


『俺』に促されて口元まで運んでいたワイバーンステーキをパクリ。


「さっきから固まってたけど、どうかしたのかい?」

「あ、いえ、少し考え事を…」


現在ノアは街の食品街で朝飯の真っ最中。
ワイバーンステーキの味が忘れられずに再び屋台に来ていた所だった。


「飯食ってる時位無心で食べた方が良いぞ?
美味いものも不味くなっちまう。」

「はは…そうします。」





「ご馳走様でした、お代の2万ガル置いておきます。」

「ああ、今日は1万ガルで良いよ。」

「え?半額じゃないですか、何でまた?」

「昨日、君が戦ってる所を防壁の上から見てたんだ。
聞く所によると野盗200人を相手にした上に化け物と戦ったらしいじゃないか。
俺達はこの街を盗られちまったら全てが終わっちまう、これが私が出来るせめてもの恩返しって訳だ。」

「そういう事ですか、感謝します。」

「それに周りの屋台を見てみな、さっきからお前さんの事ジロジロ見てるぞ?」

(あぁ、通りでさっきから視線感じたのはそういう事か。)

「恐らく他の屋台行ってもそれなりにサービスしてくれるだろうよ。」


そう言われたノアは屋台を離れて他の屋台を回る、その都度タダで串焼きをくれたり飲み物を貰ったりした。
最初のステーキ以外殆どお金を払わずに満腹にまで達する事となった。


一先ず食品街を抜けて街の広場辺りに来ると未だに隊員達によって野盗らの仕分けが行われていた。
流石に400人ともなると1つの奴隷商人では対処しきれない為、今回10の奴隷商がこの街に集まっているらしい。


ちなみに奴隷には大きく分けて3種類いる。

1つ目は犯罪奴隷、分かりやすいのは野盗等の犯罪を犯した者がこの区分に入るらしい。
更にその中でも罪の重さによってランクがあるらしく、本当にどうしようも無い者は『処理』されるとの事。

2つ目は借金奴隷、親の借金のカタだったり、散財や事業の失敗等で多額の借金をしてしまった者がこの区分に入る。
男性であれば労働等で返す事が出来、女性ならそれに加えて性奴隷としても需要があったりする。
ちなみに完済すれば自由の身である。

3つ目は戦争奴隷、捕虜となった者、戦火に巻き込まれたりして身寄りの無い子等がこの区分に入る。
『奴隷』という名はあるが一種の保護の様な役割も担っている。


(まぁ今の僕には縁遠い事かな。)


「さて、腹ごしらえも済んだし魔力もある程度回復した。
また道の整備にでも行くとしよう。」


北門を出ると数人の大工が守衛所を建てていたり、柵の設置等、道以外の整備が着々と進んでいた。


「魔力回復したので戻って来ました。」

「お、もう良いのかい?それじゃ、引き続きよろしく頼むよ。」


現場監督の職員に声を掛けたノアは再び地面に手を付けて魔力を流す。
10分掛けて今度は30メル程の道の下地が出来た所で魔力が尽き掛ける。


「うへぇ…頭痛ぇ…
すいません、また少し休憩します…」

「いやいや、そりゃこの依頼1人でやってるんだし仕方無いさ。
でももう半分か、やはり予定より早いな…
よし!君、あと半分の下地を作った段階でこの依頼を完了としよう。」

「え?良いんですか?」

「ああ、構わない。
ここは他の依頼より大分進んでてね、言ってしまえば他の依頼の方はまだあまり進展していなくて職員の手が大分余っているんだ。
均し作業なら職員でも出来るから後はこちらで何とかするよ。」

「そうですか、であれば報酬金は減額して下さい、途中みたいなものですから。」

「ははっ、そこは気にしなくて良いよ。
元々この依頼は数人規模での予定で設定した金額だからね。
それに聞く所によると君、昨日の防衛戦で相当活躍したそうじゃないか。
戦い終わりに碌に休んでもないままこの依頼をやってるんだろう?
早く終わらせてゆっくりしてくれ。」

「分かりました、それでは厚意に甘えさせて貰います。
魔力が回復したらまた作業に戻ります。」


職員に断りを入れて門の近くの壁際へと向かい、壁に寄り掛かって少し休憩をする。


「ふー…」

「お疲れの様だね。」

「そーですね、親と訓練した時も魔法の訓練はしてこなかったもので…」


音も無くノアと同様に壁に寄り掛かっているジョーが声を掛ける。
が、あまり動じていないノアに驚いている様だ。


「おや?あまり驚いていないね?」

「もう何度目になるか分からないですからね。
<気配感知>じゃ気付けないので別の<スキル>で探す事にしたんです。
そうしたらやーっと数秒前に気付く事が出来ましたよ、ですがまだ少し馴れなくて…」

「…ほう、どうやって気付いたんだい?」

「それはですね、<ね「「ジ、ジョーさん、ここに居られましたか。」」


北門から声が聞こえたのでそちらを見ると、ルーシー姉妹がげんなりした様子で立っていた。


「「たまに本気で気配消すの止めて下さい、探すのが大変なんですから。」」

「ははっ、ごめんごめん。それで例の件はどうだい?」


ルーシー姉妹とジョー話を始めようとしたのでそっとその場から離れようとしたが、ジョーからこの場に残るよう促された。
どうやら例のヒュドラ絡みの話らしい。


「「商人、大学関係者や研究者らは明日の早朝にはこの街に到着との事です。」」

「え?今朝の話ですよ?そんなに早く来るんですか?」

「それだけヒュドラの素材は皆喉から手が出る程欲しい貴重な素材なのさ。」

「「そしてこちらが例の物になります。
時間が無かったので取り敢えず100枚程用意しました。」」


そう言ってジョーに小袋を手渡す。


「うん、ありがとう、それじゃ取り敢えず暫く自由にしてて良いよ。」

「「畏まりました。」」


ジョーとの話が終わったルーシー姉妹がくるりと反転してノアに挨拶をしてくる。


「「ノア様、昨日はお疲れ様でした。」」

「お2人も昨日はありがとうございました。
お陰で戦略の幅が増えました。」

「「正直な話、支援魔法を敵に放って殲滅速度が上がるとは思いもしませんでした…」」

「まぁ、超限定的な戦略ですがね。」

「「でも楽しかったです。
またいずれ貴方様と御一緒に戦える事を心待ちにしたいと思います。」」


妙にキラキラした目で姉妹がノアに深々と頭を下げて来る。
すると『俺』が中からある事を呟いてきた。


「ルーシーさん、この後時間ってありますか?」
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