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アルバラスト編
ふっかふかに耕された
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隊員達がジョーや廃液処理班を呼びに行っている間、街の職員達がふっかふかに耕された地面に線を引いて、寸断された王都への道を描いていく。
「この線に沿って地面を固めていって貰いたい。」
「分かりました。」
職員から指示を受けたノアは地面に魔力を流し、徐々に地面を固めていく。
「しっかし、王都の方は凄いですね!
朝見た時は焦土と化し、毒煙が立ち込めていたのに今では春先の畑の様にふっかふかだ。」
こう言われた待機中のライリは「ヒュドラを食い殺したモンスターのお陰です」とも言えずノアに申し訳なさそうな顔をする。
「それにしても魔力消費が凄いなぁ…こりゃ結構掛かるぞ…」
ノアは北門の入口から幅20メル、長さ100メルの道を線の通りに成形。
凸凹ではあるが取り敢えず下地を作る事にしたのだが、入口から僅か20メルの所で早くも魔力が尽き掛ける。
そんなノアに職員が声を掛ける。
「それは仕方無いさ。
除染だけで3、4日、土属性魔法を使える者が1人と聞いた時は2週間以上掛かると覚悟したもんだが、それに比べたら圧倒的な早さで進んでるから休み休みで良いよ。」
「そうさせて貰います。」
ノアは休憩がてらアイテムボックスからハンバーグサンドを取り出してムシャつく。
くうぅぅぅぅぅ 「ん?」
ぅぅぅ「あ、いや、これはですね…」
音の発生源を辿っていくと、お腹を押さえて顔を赤らめるライリからだった。
「食べますか?」ムグムグ、ゴクン。
「い、いえ。職務中ですから。」
「そうですか、じゃあこれ職員さんどうぞ。」
「お、良いのかい?じゃあ頂くよ。」
「ムグムグ。」
「むぐむぐ。」
「う、うぅぅっ…」ぐうぅぅぅっ
「もぐもぐ。」
「食べたいなら食べたいって言えばいいじゃないですか。」
「年下の子に食べ物催促するのは流石にどうかと思いません?」
「恨めしそうにチラチラこっち見ながらお腹ぐーぐー鳴らしてくる大人の方がどうかと思いますよ。」ムシャムシャ。
「むぐぐ…」もぐもぐ。
「なーに呑気に飯食ってんだライリ。」
もぐもぐと小動物の様にハンバーグサンドを食べているライリの元にベルドラッドやジョー達が到着する。
「ふぁっ!?ボルボロッボふぁん!?ふぉっふぉれふぁっ!」
「あー、取り敢えず落ち着けライリ。
『ル』しか合ってないから食い終わってからで良いぞ。」
ハンバーグサンドの残りがまだまだあるので、後1分位は掛かるだろう。
その間にノアは話を進める事とする。
「ボルボロッボさん、そちらが廃液処理班の方ですか?」
「おいノア君、悪ノ「覚えてないだろうが、君を見るのはオードゥスの女鏖蜂の時以来で、王都廃液処理班のディラドだ。よろしく。」
「廃液処理班で空間魔法も使えるジャラよ。」
「廃液処理班鑑定官のカラよ。」
「商人のジョーだ。」
「知ってまーす。」
一通り挨拶が済んだので早速本題に入る。
ライリは喉に詰まらせた様なのでもう少し掛かりそうだ。
ディラドが懐からガラス製の小皿の様な物を取り出しつつ話を進める。
「早速で悪いが『ヒュドラの竜血』を見せて貰って良いかな?」
(そういえばどうやって取り出したら良いんだろう?)
空間魔法自体持っていないノアはどうしたものかと考えていると
『グリード』の空間魔法<収納>の出口側を契約主の指先に設定しました。
視界に選択肢が表示されますので、指定して頂ければ取り出し可能です。
液体の場合、取り出したい量を想像して頂ければご希望の量が取り出せます。
ノアは右手の人差し指を見ると小さな魔法陣が展開されていた。
ディラドが持つガラス製の小皿に『ヒュドラの竜血』を指先から1滴垂らすのを想像する。
ポタリ
血を垂らすとディラド、ジャラ、カラに加えてジョーも目付きが変わる。
恐らく<鑑定>を使用しているのであろう。
「確かに『ヒュドラの竜血』で間違い無い。」
「綺麗な色ね、少し紫が混じってる。」
「純度が高いのさ、その証拠に"レベル8"だ。」
「ふむ、殆ど劣化してないって事か。」
「何ですか?"レベル"って。」
「レベルが10に近い程、最高品質でレベル1がゴミ同然って事さ。
つまりこの『ヒュドラの竜血』は高品質って事さ。」
ジョーから説明を受けてる間も廃液処理班の3人は妙に生き生きと話合っている。
「それで、この『ヒュドラの竜血』を引き取って頂けるんですよね?」
「いや、しっかりと買い取らせて貰うよ。貴重な素材だからね。」
「それじゃあ『ヒュドラの猛毒液』と『ヒュドラの体液』もお願いします。」
この発言を聞いた廃液処理3人衆は目が血走りノアに詰め寄る事に。
再びの現品確認を行った後、量を知らせると困った事になった。
「量が多すぎる…ですか。」
「ああ、そうだな…」
「じゃあやっぱりこちらで処分を…」
「あ!違う違う、いらないって意味じゃなくて、これだけの量の買取り金をこの場では支払えないんだ。」
「へ?」
「いやー…流石にこの量は想定外だよ…『ヒュドラの竜血』だけで…いや、今金額言うのは控えておこう。」
「『ヒュドラの体液』は素材としてはアレだけど、一部の分野が飛び抜けて欲しがるから一応売れるには売れるしね。」
「それに全てレベルは8…全部で幾らになるかしら…」
「ふむ…つまり私の役目は前みたいに商人達に声掛ければ良いのかな?」
「そういう事ですね。
取り敢えず私は街の広場を使わせて貰うようアルバ殿と交渉してこよう。」
「私は空間魔法の使い手の追加要請ね。20人位は必要かしら。」
「じゃあ私は研究所の人間や大学の連中にでも声掛けとくかねぇ。」
「あれ?この感じどこかで…」とノアが思っていると、ディラドとジョーがノアの元へ。
「覚えているかな?女鏖蜂討伐後にオードゥスの街の外で商人を呼んだ事あっただろう?
またアレをやるつもりだよ。」
「今回商人だけで無く研究者やら大学の連中も呼ぶみたいだから前より規模は大きくなるだろうね。
僕は『白金貨』を用意しておくとするよ。」
「は、白金貨!?」
『白金貨』…1枚で100万ガル。
「あれ?金貨の方が良かった?」
「いや、そ、そういう訳では無くて…ア、アレで幾らになるんですか?」
今更事態が大事である事に気付いたノアが声を震わせながらジョーに質問を投げ掛ける。
「いや、言わないでおくよ。
この間も金額に震えてたから、今言っちゃうと調子狂っちゃうでしょ。」
「もう既に狂ってきてますよ。」
「混乱状態か…万能薬飲む?」
「いや、遠慮します。」
ノアの調子が割と戻った所でこの話は一旦閉じる事に。
隊員達は一部を除いて行動に移し、ノアは一旦街に戻って朝飯にするとの事だ。
ドン、ドン!ゴクン!
「ぷはぁっ!詰まりが何とか取れた…お待たせして申し訳ありません。
さぁ本題に入りましょう!」
「おうライリ。丁度今話が終わったから次行くぞ次。」
「……。」
「この線に沿って地面を固めていって貰いたい。」
「分かりました。」
職員から指示を受けたノアは地面に魔力を流し、徐々に地面を固めていく。
「しっかし、王都の方は凄いですね!
朝見た時は焦土と化し、毒煙が立ち込めていたのに今では春先の畑の様にふっかふかだ。」
こう言われた待機中のライリは「ヒュドラを食い殺したモンスターのお陰です」とも言えずノアに申し訳なさそうな顔をする。
「それにしても魔力消費が凄いなぁ…こりゃ結構掛かるぞ…」
ノアは北門の入口から幅20メル、長さ100メルの道を線の通りに成形。
凸凹ではあるが取り敢えず下地を作る事にしたのだが、入口から僅か20メルの所で早くも魔力が尽き掛ける。
そんなノアに職員が声を掛ける。
「それは仕方無いさ。
除染だけで3、4日、土属性魔法を使える者が1人と聞いた時は2週間以上掛かると覚悟したもんだが、それに比べたら圧倒的な早さで進んでるから休み休みで良いよ。」
「そうさせて貰います。」
ノアは休憩がてらアイテムボックスからハンバーグサンドを取り出してムシャつく。
くうぅぅぅぅぅ 「ん?」
ぅぅぅ「あ、いや、これはですね…」
音の発生源を辿っていくと、お腹を押さえて顔を赤らめるライリからだった。
「食べますか?」ムグムグ、ゴクン。
「い、いえ。職務中ですから。」
「そうですか、じゃあこれ職員さんどうぞ。」
「お、良いのかい?じゃあ頂くよ。」
「ムグムグ。」
「むぐむぐ。」
「う、うぅぅっ…」ぐうぅぅぅっ
「もぐもぐ。」
「食べたいなら食べたいって言えばいいじゃないですか。」
「年下の子に食べ物催促するのは流石にどうかと思いません?」
「恨めしそうにチラチラこっち見ながらお腹ぐーぐー鳴らしてくる大人の方がどうかと思いますよ。」ムシャムシャ。
「むぐぐ…」もぐもぐ。
「なーに呑気に飯食ってんだライリ。」
もぐもぐと小動物の様にハンバーグサンドを食べているライリの元にベルドラッドやジョー達が到着する。
「ふぁっ!?ボルボロッボふぁん!?ふぉっふぉれふぁっ!」
「あー、取り敢えず落ち着けライリ。
『ル』しか合ってないから食い終わってからで良いぞ。」
ハンバーグサンドの残りがまだまだあるので、後1分位は掛かるだろう。
その間にノアは話を進める事とする。
「ボルボロッボさん、そちらが廃液処理班の方ですか?」
「おいノア君、悪ノ「覚えてないだろうが、君を見るのはオードゥスの女鏖蜂の時以来で、王都廃液処理班のディラドだ。よろしく。」
「廃液処理班で空間魔法も使えるジャラよ。」
「廃液処理班鑑定官のカラよ。」
「商人のジョーだ。」
「知ってまーす。」
一通り挨拶が済んだので早速本題に入る。
ライリは喉に詰まらせた様なのでもう少し掛かりそうだ。
ディラドが懐からガラス製の小皿の様な物を取り出しつつ話を進める。
「早速で悪いが『ヒュドラの竜血』を見せて貰って良いかな?」
(そういえばどうやって取り出したら良いんだろう?)
空間魔法自体持っていないノアはどうしたものかと考えていると
『グリード』の空間魔法<収納>の出口側を契約主の指先に設定しました。
視界に選択肢が表示されますので、指定して頂ければ取り出し可能です。
液体の場合、取り出したい量を想像して頂ければご希望の量が取り出せます。
ノアは右手の人差し指を見ると小さな魔法陣が展開されていた。
ディラドが持つガラス製の小皿に『ヒュドラの竜血』を指先から1滴垂らすのを想像する。
ポタリ
血を垂らすとディラド、ジャラ、カラに加えてジョーも目付きが変わる。
恐らく<鑑定>を使用しているのであろう。
「確かに『ヒュドラの竜血』で間違い無い。」
「綺麗な色ね、少し紫が混じってる。」
「純度が高いのさ、その証拠に"レベル8"だ。」
「ふむ、殆ど劣化してないって事か。」
「何ですか?"レベル"って。」
「レベルが10に近い程、最高品質でレベル1がゴミ同然って事さ。
つまりこの『ヒュドラの竜血』は高品質って事さ。」
ジョーから説明を受けてる間も廃液処理班の3人は妙に生き生きと話合っている。
「それで、この『ヒュドラの竜血』を引き取って頂けるんですよね?」
「いや、しっかりと買い取らせて貰うよ。貴重な素材だからね。」
「それじゃあ『ヒュドラの猛毒液』と『ヒュドラの体液』もお願いします。」
この発言を聞いた廃液処理3人衆は目が血走りノアに詰め寄る事に。
再びの現品確認を行った後、量を知らせると困った事になった。
「量が多すぎる…ですか。」
「ああ、そうだな…」
「じゃあやっぱりこちらで処分を…」
「あ!違う違う、いらないって意味じゃなくて、これだけの量の買取り金をこの場では支払えないんだ。」
「へ?」
「いやー…流石にこの量は想定外だよ…『ヒュドラの竜血』だけで…いや、今金額言うのは控えておこう。」
「『ヒュドラの体液』は素材としてはアレだけど、一部の分野が飛び抜けて欲しがるから一応売れるには売れるしね。」
「それに全てレベルは8…全部で幾らになるかしら…」
「ふむ…つまり私の役目は前みたいに商人達に声掛ければ良いのかな?」
「そういう事ですね。
取り敢えず私は街の広場を使わせて貰うようアルバ殿と交渉してこよう。」
「私は空間魔法の使い手の追加要請ね。20人位は必要かしら。」
「じゃあ私は研究所の人間や大学の連中にでも声掛けとくかねぇ。」
「あれ?この感じどこかで…」とノアが思っていると、ディラドとジョーがノアの元へ。
「覚えているかな?女鏖蜂討伐後にオードゥスの街の外で商人を呼んだ事あっただろう?
またアレをやるつもりだよ。」
「今回商人だけで無く研究者やら大学の連中も呼ぶみたいだから前より規模は大きくなるだろうね。
僕は『白金貨』を用意しておくとするよ。」
「は、白金貨!?」
『白金貨』…1枚で100万ガル。
「あれ?金貨の方が良かった?」
「いや、そ、そういう訳では無くて…ア、アレで幾らになるんですか?」
今更事態が大事である事に気付いたノアが声を震わせながらジョーに質問を投げ掛ける。
「いや、言わないでおくよ。
この間も金額に震えてたから、今言っちゃうと調子狂っちゃうでしょ。」
「もう既に狂ってきてますよ。」
「混乱状態か…万能薬飲む?」
「いや、遠慮します。」
ノアの調子が割と戻った所でこの話は一旦閉じる事に。
隊員達は一部を除いて行動に移し、ノアは一旦街に戻って朝飯にするとの事だ。
ドン、ドン!ゴクン!
「ぷはぁっ!詰まりが何とか取れた…お待たせして申し訳ありません。
さぁ本題に入りましょう!」
「おうライリ。丁度今話が終わったから次行くぞ次。」
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