ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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フリアダビア前哨基地編

アイアンリザード

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「そいつは…アイアンリザードの魔素強化型の様だな…」

「アイアンリザード、ですか…」



『◯◯リザード』…蜥蜴型のモンスター。
『◯◯』の部分には食べた金属、鉱石の名前が入り、呼び名や特性も様々である。
ちなみにアイアンリザードの場合、物理防御力が高い。



「それにしても坊主、良い動きしとったのぉ。
思わず見とれちまったで。ガハハ!」

「あそこの人間はピクリとも動けんかったと言うのに…」

「あの鎧は飾りかねぇ…」


こう言われた白銀鎧の取り巻きは「ぐぬぬ」と憎たらしげにドワーフを睨んでいた。


「しかしこれはマズイな…
地下墓地にまでモンスターが入り込んでいる事が判明しちゃいましたね。」

「ああ…だが地下墓地を、そして教会を奪還しない訳には…」


エルグランドは額に脂汗を滲ませ、何とか打開策は無いかと考えあぐねている様だ。






「地下墓地の通路は幅2.5メル、高さ4メル程しかなく、パーティの様な集団で通るには狭過ぎる。
その上、壁に棺が埋め込まれている形なので遮蔽物等も無い。
大体20メル間隔で格子状に道が張り巡らされている為、会敵は避けられんだろう…」


現在南門近くの仮設天幕内にて地下墓地の説明を受けている。
先程ノアが倒したアイアンリザードの死骸は貴重な素材である為、回収され前線基地内で有効活用するらしい。
勿論この任務後にしっかり報酬は支払うとの事。


「ふん!面倒だ、爆裂魔法を行使して強行すれば良かろうに!」

「お前さん、冗談で言っとるんよな?」
「そんな事すりゃ風の流れで直ぐに自分等が巻き添えんなるし、直ぐに酸欠ぞ?」
「ダンジョン行った事無いんかな。」


するとここでエルグランドが白銀の鎧3人組に話し掛ける。 


「すまないが貴方達の戦歴を聞いても良いかな?」

「何だ急に。」

「良いから。」


エルグランドの眼光に押され渋々といった感じで話し出す取り巻きの2人。


「…オークにゴブリンを10体だ。」

「盾鹿に…ノロマガメ、だったかな…」


この発言にため息を吐く一同。
ノロマガメを知らないノアは少し反応が鈍い。


「なぁんがそりゃ、初級、良くて中級のモンスターばかりじゃねぇが。」
「通りでさっきから発言が稚拙じゃと思っとったわ。」
「お前ら経験不足にも程があるぞ?」


周りから好き放題言われた取り巻きは、既に顔を真っ赤にして爆発寸前である。
するとエルグランドがポツリと呟く。


「決まりだな。
申し訳無いがヒュマノ聖王国の方々はこのままでは早々に死ぬ事になる。
お帰り頂いた方が良いでしょう。」

「「な、何を言っているのだ貴様は!?」」

「すまない、誰か送ってやってくれ。」


取り巻きが怒鳴り散らしているが、気にした様子も無く近くの隊員に指示を飛ばす。


「何故そこにいるガキは良くて私達が帰らねばならんのだ!」

「じゃあ言わせて貰うが、あなた達はさっきのモンスターの接近に気付けたか?
辛うじてそこの女性は反応出来た様だが、そこの少年がモンスターに攻撃を仕掛けた時にあなたは呆けたままだっただろう?
お前達は名声を上げに来た様だが、これは遊びじゃないんだ。
もう一度警告するぞ?死にたくないならさっさと帰れ!」


エルグランドは語気を強めて警告したが取り巻きは食い下がる。


「ふん!お前にそれを決める権利は無い。
我々はヒュマノ聖王国から援軍と言う形で来ているのでね。
最終的な判断は国が決める、故に貴様如きの指図は受けん。」

「ああもういい!勝手にしろ!おい、誰かヒュマノ聖王国に書簡を送っとけ!『早々に戦死者が出るぞ』ってな。」

「ふん!何を言うか、此方には【勇者】のミユキ殿がいるのだぞ?
万が一にも私らが死ぬ事は有り得ん。」


取り巻きの他力本願過ぎる発言に頭を抱える一同。
取り敢えず【勇者】だとか言うミユキと言う女性に取り巻きの手綱をしっかり握っておく様、念を入れて伝えるに留めた。

その後取り巻きと勇者は早速南門を通り、街の中へと入って行った。




「さ!気を取り直して今後の方針を決めたいと思う!」

「「「気にするな若ぇの。ああ言う輩は死ぬまで分からん。」」」

「「ドンマイよエル。後で癒しの加護掛けてあげるわ。」」

「貴方の心中察するよ。」

「同じ人間からしてもあの対応はどうかと思う。」


各々責任者のエルグランドへ労いの言葉を掛ける。
エルグランドも感謝を述べるが、早々に忘れたいのか手短に済ませる。


「ではまず街の中だが…」

「私達のパーティが向かおう。防壁の上は登れるのか?」


エルフと妖精2人のパーティが名乗りを上げた。


「ああ、登れるには登れるが、瓦礫が多数あるが大丈夫か?」

「なに、樹上に比べれば他愛無い。
瓦礫があると言う事は飛行型がいるのか?」

「いや、蛇だ。例によって魔素強化型で良く見掛けるのはアイアンスネークだ。
壁を這っていたら、何としても撃ち落としてくれ。」

「了解した。」

「そういえばまだ名前を聞いていなかったな、何と呼べば良い?」

「私はユグドラシル・エスカドラ、長いので『ユグ』とでも呼んでくれ。」

「「攻撃を外した時は『スカ』って呼ぶと喜ぶよ!」」

「誰が喜ぶか!
こっちの雷妖精は『サンドラ』、氷妖精は『クリストロ』と言う。
お転婆で普段は騒がしいが、腕は確かだ。宜しく頼む。」

「「よろしゅう!」」


右眉辺りで指を2本立ててポーズを取るサンドラとクリストロ。
妖精族の挨拶なのだろう、ノアも取り敢えず同じポーズを返しておく。


「次は…地下墓地だが…」

「それは僕が行きましょう。
通路は狭い様ですが、1人であれば対処は容易です。」

「すまない、助かるよ。」

「ほいじゃあワシらも地下にするとしようかの。」


ノアに続いてドワーフ3人組が地下墓地奪還に名乗りを上げた。


「バト、ルド、ロイさん、だったな。
地下墓地に参加してくれるのは嬉しいのだが、その戦斧では戦闘は難しいぞ?」


ドワーフ3人が担いでいるのは、小柄とは言え自分と同じ大きさの戦斧である。
振り回す所か、構えるのですら難しそうである。


「ガハハ!ワシらは戦斧を担いどるが【斧】では無いぞ!
ワシらは全員【技士】でな、この戦斧に仕掛けを施しておる。」

ガッ!ガッ!ゴッ!  ガシャガシャ! 

ドワーフ3人が戦斧の柄を地面に叩き付けると、柄や刀身に光の線が走り、瞬間的に展開、即座にガシャガシャと音を立てて変形、戦斧が小型化しトマホークに変化した。


「うわ~格好良い…」


お年頃なノアは武器変形に目を輝かせていた。


「良いじゃろう良いじゃろう、重量はそのままじゃが小型化にする事なぞ造作も無い。
阿羅亀製の武器は無理じゃが、武器改造したい物があれば相談に乗るぞ?」


武器変形を見たエルグランドは納得した様に頷く。


「確かにその機構があれば地下墓地での戦闘も可能だな。
…ただ、もう1つ確認したい事があるのだが良いだろうか?」

「何じゃ?言うてみぃ。」

「誰が誰なんだ?」


ドワーフ3人は全員同じ体型、同じ武器、髭の生え方までほぼ同じな為、見分けが付かない。


「ガハハッ!気にするな、酒が入りゃあワシらでも良く間違える。
名前でも種族名でも好きに呼びゃ良いぞ。」


こう言われたエルグランドは首肯。
続いてノアがドワーフに話し掛ける。


「では、ドワーフさんお願いがあります。」

「何じゃ?」

「【ソロ】の適正上、協力しての戦闘は避けねばなりません。
基本的に先陣を切らして頂いて良いですか?」

「ああ、良かぞ。
ワシらは坑道内じゃ先陣、殿何でもござれじゃったしの。
寧ろお前さんが先陣切ってくれるなら、ワシらに仕事は無さそうじゃのぅ。」

「はは、褒めても何も出ませんよ。
さて、準備が出来たら自分達も奪還に向かいましょうか。」


ある程度方針が固まったので地下墓地へと向かうよう促す。
此方に向かってる様子は無いが、<気配感知>に再びモンスターの反応が現れたからだ。
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