ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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フリアダビア前哨基地編

満身創痍

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「皆…満身創痍の様じゃのう…」


防壁の上で兵士に指示を出していたロイが3人の元へと近付いて来た。


「わしとルドは魔力切れ、エルグランドは多少反動が来とるだけじゃて、満身創痍なのはお前の方ぞ。」

「ガハハ!これは激戦の勲章だな。
それにしてもお前さん【狂戦士】だったとはな。」

「あの姿になるのは5年振りですが、ね。
久し振り過ぎて吐きそうですよ…」

「ガハハ!吐きゃええ。それ位誰も咎めたりせんわ。」

ガラガラ

「「「「!?」」」」


瓦礫が崩れる音にその場の4人が身構える。
待機していた蜥蜴の内、数体が街の中へと入り込んできていた。

街の外にはまだ幾らかモンスターがいたのを思い出し、戦闘態勢に入る。が。

ガツ…ガツガツ…

蜥蜴はドワーフ達やエルグランドには見向きもせず、レールガンで吹き飛ばしたシエストラバードの下半身に食らい付いていた。


「そうだった…まだ外に残党がいるのだったな…」


エルグランドが戦斧を支えに立ち上がろうとするも、ドワーフ達が制した。


「後はユグや妖精の嬢ちゃんに任せるとして、ゆるりと休んでおれ…」


ルドが防壁の上にいるユグに手を振り合図を送る。

離れた所では蜥蜴共が肉塊の取り合いをしていた。

が。


ズギュルッ!ギィイイイッ!?

「「「「!?」」」」

突如シエストラバードだった物が周囲にいた蜥蜴を捕食し始めた。
蜥蜴は突然の事になす術無く奇声を発する事しか出来なかった。


「サンドラ!クリストロ!魔力を籠めろ!」

「「え、ええ!」」

「皆急いでその場から逃げろぉっ!」

バシュッ!


間髪入れずにユグは肉塊に向け混合矢を射ち出す。
真っ直ぐと飛んでいき、突き立つまで残り僅かとなった時、肉塊の中から巨大な竜の腕が飛び出して矢を握り込む。

ズギュゥウウウウウウウウッ!「何!?」

竜の手の中で雷の暴風が発動、腕の数ヶ所が焼け爛れるも、それ以上の範囲に猛威を振るう事は無かった。

周囲の蜥蜴を食い尽くすと、街の外にいた蜥蜴共も入り込んで肉塊に取り込まれて行く。


「ふざけるでないわ!心臓は兎も角、脳をヤられて生きる生物等居ってたまるか!」

《ふふふ、【魔王】から授かった肉体ですからね、そう易々と殺せると思わない方が良いですよ。》


 そう言って復活したシエストラバードはレールガンの所まで高速で移動を開始。
レールガンの所に残っていた兵士が慌てて照準を合わせに行く。


「馬鹿者!止せ、逃げろ!」

《くはは、遅い!》ビュオンッ!


ドガァアアアアアアッ!

尻尾の先端に小規模の火球を発生させ、目にも止まらぬ速度で尻尾を振り、レールガン所か土台の防壁、兵士諸とも半径30メルに渡って吹き飛ばした。


「ちきしょうめが!兵士まで殺らんでも良かったろうが!」

《1回目は私の驕りによって墓穴を掘りました、やはり人間を生かしておく訳にはいきませんのでね。
今度は徹底的に消し去ります。
あ、【勇者】の小娘は生かしておきますよ?
"この廃墟での惨状に嘆き悲しんだ【勇者】が奮い立ち、【魔王】打倒へ向け立ち上がる。"
なかなか良い物語の出だしだと思いませんか?》

「シャベリスギダ、クソッタレメ!」


再び【狂戦士状態】になったエルグランドが高速で戦斧を振るい、シエストラバードの首を撥ね飛ばす。


《アホはどっちですかねぇ…》ゴバァッ!


宙を舞うシエストラバードの首からブレスが発射され、エルグランドを飲み込む。

ブレスが止むとその場にエルグランドの姿は失くなっていた。


「アイスクリスタルノヴァッ!!」
「ラージアライトニングストライクッ!」


シエストラバードの頭上に巨大な氷の塊が発生、その更に上から凄まじい威力の雷が撃ち落とされる。

ドガァアアアアアアッ!!!

氷の塊内で増幅された雷全てがシエストラバードへと降り注ぐ。
手加減は抜きだとばかりにサンドラとクリストロが魔力を注ぎ続ける。


「「アアアアアアアアアアアッ!!!」」


2人は声を上げ、全力で魔力を練る。
が、シエストラバードは体中の雷を竜鱗に伝わらせ、手元に集め集束させる。


《ふむ、素晴らしい威力だ。
私の竜鱗が魔法耐性に秀でていなければ黒焦げになっていたでしょうね。
さ、お返ししますよ、私の火球も合わせてね。》


目が眩む程の光量を発する雷の塊の中に、紅蓮の火球を馴染ませ、妖精2人とユグがいる場所へと投擲する。

バシュッ!

「サンドラ!クリストロ!退け!」


ユグは2人の前に立ち、半球状の風の障壁を展開、迎撃態勢を取るも

ドバァアアアアアアアッ!

障壁に触れるや否や、爆炎と衝撃波、解放された雷が暴れ狂い、3人が立っていた所は元より防壁の広い範囲が抉り取られた。


「…ふむ…こんな事なら多少は魔力を残しとくんやったな…」

「同感じゃな…」

「魔力はあるが、手がこれじゃ得物すら持てんしなぁ…
っつう訳じゃ、サクッと屠ってくれや。」

《おやおや、先程の往生際の悪さはどうしましたか?
まぁ良いでしょう。
死に方の融通位利かせてあげましょう、私はこう見えて優しいですからね。》

ゴバァッ!ズバァアッ!

即座にシエストラバードは、ガパッと口を開きブレスを吐いて目の前にいたドワーフ達を吹き飛ばす。

爆煙が晴れると辺りは静寂に包まれた。


《さて、後は残りの人間を…
おや?先程吹き飛ばして瓦礫の中にいるハズですが…
まぁ良い、生き残っていたとしても物の数では無い。》


シエストラバードは南門の外、前哨基地の方に向けて歩き始めた。
すると





パリン…パリンッ!…


《ん?何でしょう、この音は…》


シエストラバードが音のした方向を見ると1人の少年が立っていた。
足元にはガラス製の小瓶が割れて破片が散乱していた。


《おや、あなたも冒険者の様ですが…大分お若いですね。》

「ええ、冒険者生活1ヶ月目、新人冒険者のノアと言います。」


そう言ってノアはシエストラバードに手を差し出す。


《…握手…ですか…?》

「ええ、竜人に出会うのも初めてですし、両親から言われたんです。
"高位の存在に出会ったら、まず争わずに対話する事"ってね。」

《ほぉ、出来た親御さんですね。
それで?対話とは何を話すおつもりで?》


ノアの差し出した手を優しく握り、握手仕返すシエストラバード。
本題とばかりにノアが質問を投げ掛ける。


「この街を去って貰う事は出来ませんか?」

《無理ですね。
侵蝕竜の残した膨大な魔力も有効に使いたい所ですし、豊富な鉱物資源もあります。
立地的にもここ以外有り得ませんね。》

「…そう…ですか…」

《おや、どうしました?
ああ、君はもしやこの街の元住人ですかな?
働き口の心配でしたら、この地に繁殖場を作る予定ですのでここで働いてみますか?》

「あ、いえ、そう言う訳では無くてですね、両親からこうも言われたんです。
"対話した結果、良い返事が聞けなかったら"…」

《聞けなかったら?》

「"戦争だ"ってね。」
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