ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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フリアダビア前哨基地編

ダララララララララララ

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ダララララララララララッ!
ザッ!ザッ!ストトトトトトトトトッ!
クツクツクツクツ…
にっちゃにっちゃにっちゃにっちゃ…


「包丁2本クリーン、大鍋2つ沸騰してきたら弱火で。」

「畏まりました。」

「塩コショウ少々~、出汁は無限キノコと乾燥出汁を少々、序でに酒をドボン、っと…
それじゃあそろそろ肉団子を、っと…」

にゅっ、チャッ、トポン。
チャッ、トポン。
チャッチャッチャッチャッチャッチャッ!
トポポポポポポポポポポポポポポポ!
 

現在ノアは南門近くの広場にキッチンを展開。
ライリに手当たり次第買ってきて貰った食材を使って取り敢えず手早く作れる物として肉団子スープ大鍋2つ分を作っていた。

普段であれば多少時間が掛かるものだが、肉や野菜を切る時は<洗練された手業>を、調理中は<調理時間短縮>を発動させている為、恐ろしい程早く調理されていく。


「は、早い…」
「くっ…あっという間に出来ていくのにすげぇ美味そうな匂いしてくる…」
「おかーさん、おなかすいたー。」

(よしよし、待っててねー。)

灰汁取りしつつ、肉団子とスープの味を確認。


「よし、こっちは良いかな。
はい、キールさんこっちの鍋は出来上がりましたので食事が行き渡っていない人に優先的に配膳の方お願いします。」

「かなりお早いですね…畏まりました。」


配膳はキールと、料理が得意だと言っていたが、ノアの包丁さばきを見て早々に離脱したミユキが行っている。

それを尻目にキッチン裏で何故か体育座りでガタガタ震えているライリに声を掛ける。


「さっきから何でそこで縮こまっているのですか?」

「あ、あんな人の往来が激しい所で無造作に2億ガルが入った小袋を持たされた私の気持ちを考えて下さい!
下手したら今までで一番緊張した任務でしたよ!」


大袈裟な、と思いつつも少しの間そっとしておこうと思うノアだった。


「んむ!?」
「旨っ!」
「おいひ~!」


配られた肉団子スープはそれなりに好評の様だ。


「え!?何で!」
「う?え?」
「ポカポカ~。」


何人か驚いている様だが、恐らく食事効果が付いたからだろう。


食事効果:体力上昇(小)、満腹感(小)、寒さ耐性(中)、食事効果時間2倍


(割と暖かくなったとは言え夜風はまだ冷えるからな、寒さ耐性は臭み取りに生姜を少々入れたからだろうな。)

「…にしても、手当たり次第に買ってきてとは言いましたが、何でパン5斤とか買って来たんですか?」


未だに縮こまっているライリに問い質す。


「いやぁ、何かに使えると思って…」

「例えば?」

「………カナッペとか?」

「何ですかカナッペって…」



『カナッペ』…一口大に切ったパンに野菜やチーズ、魚卵等を乗せた料理。
地域によってはクラッカーを用いる所も。
要はパーティとかで見るアレ。



「そんな物を何で炊き出しに出そうなんて…
あ、ライリさんもしかして料理やった事…」

「そ、そんな事無いわよ!週に2回…月に1回位は目玉焼きとか作ってるもん!」


必死に否定してくるライリから一旦視線を外して周囲に目をやる。


「よし、えーお集まりの皆さんの中に小さなお子さん…乳幼児はいらっしゃいますか?」


ノアの呼び掛けに次々とその親御さんが手を上げる。
人数と大体の年齢を確認したノアは、キッチン前に来て貰う様に言って直ぐ様調理を開始した。


「小さな鍋1つ、弱火に掛けて下さい。あと包丁1本。」

「畏まりました。」


ノアは食材の山の中から牛乳とパン1斤を取り出してパンの耳を切り落とし、牛乳を張った小鍋に千切りながら投入。

<調理時間短縮>を発動して手早く作る。


「ミユキさん、小皿を取って貰って良いですか?」


ミユキから皿を受け取ったノアは次々とよそって親御さんへと渡していく。


「パン粥です。小さなお子さんに食べさせてあげて下さい。」


受け取ったパン粥を食べた子供がほにゃ、と笑っている事から味は問題ないだろう。
何せパンを煮ただけなのだ。

その間にフライパンにバターを入れ、先程の切り落としたパン耳を焼き、少量の砂糖を振ってちょっとしたお菓子を作る。


「おーい、そこの僕。
はい、これ、皆で食べるんだよ。」


近くにいた子供10人位の集団に配る。
キャッキャと嬉しそうに受け取って貰った。


「さて、次はどうするかな、っと…」


と言っても作るのは決まっている。
何せキッチンの裏手にじゃがいもが山の様に積まれているからだ。

今回フリアダビアが奪還されたと聞き、周囲の村や街から支援物資に加えて大量の食材が届いたのだが、約6割程がじゃがいもであった。

恐らくお祝いしたいが、昨今物資が不足が続いていた為、痩せた土地でもしっかりとした量が取れるじゃがいも位しか余裕が無かったのだろう。

じゃがいもを見詰めている時に子供が冷めた目で見ていた事から、避難先ではほぼ毎日食べていた様だ。

ちなみに王都からは貴重な油が大量に届いているので、これで何を作るのかは大体察しがつくだろう。


「ノア君!こっちの大鍋は終わったわ!
そっちの鍋はどう?」

「え?もうですか?」


50人分位は作ったハズなのだが10分程で片付いてしまった。
ただ、丁度大鍋が空いたのは有難い。
空になった大鍋と2つ目の大鍋を交換し、直ぐに調理を開始。

空いた大鍋にクリーンを掛けた後、大量の水を張って強火に掛ける。
じゃがいももクリーンを掛けた後に大鍋に次々と投入。

その間に肉をざく切りにした後再びダララッ!っとミンチに。
玉ねぎも素早く切り刻み、フライパンにて<調理時間短縮>を発動して飴色になるまで炒め、一旦火から外しておく。


「…と、そろそろ良いかな。」ガボッ!


と、徐に沸騰した鍋の中に手を突っ込むノアに、周囲の人間は愚か、近くで配膳していたキールや、ミユキが声を上げる。


「ノ、ノア君!?何やっとるんだ!」

「ちょ!ちょっと!?火傷するって!」


慌てふためく2人を余所に、涼しい顔のノアが答える。


「ん?ああ、<熱耐性>持ってるので大して熱くありませんよ。」

「熱く無かろうが、衆人環視の、特に子供の前でやるなっつーの!」パシンッ!

「熱い御指導ありがとうございます!」


子供の教育上宜しくない事なのでミユキがノアの頭をひっ叩く。
そんなこんなありつつも何とか揚げる所までやってきた。

ゴワワワワワワワワワワッ!

「ノア君!さすがにこれは素手で取らないでよ?」

「やりませんよ、以前試しましたが流石に耐えられなかったので。」

「試したんかい。
…まぁ良いわ、それにしてもよくあなたコロッケ何か知ってたわね。」

「昔父さんと母さんが冒険者やってた頃に何度か食べてたみたいで、時折夕飯に出てきてたんだ。」

「へー。
…ちょっと待って、あなたの両親も滅茶苦茶強いの?」

「僕の両親も上級冒険者でしたけど、大した事ないって言ってました。
でも僕は両親に勝てた事ありませんでしたけどね。」

「どういう事?」

「僕は物理攻撃は飛び抜けて高いですが、【弓】の父さんは超正確な射撃で1歩も近付けませんでしたし、【剣士】の母さんは物理攻撃もそうですが、圧倒的手数でこちらに攻撃する隙を与えませんでした。
流石に剣を6本同時使用されたら防御で手一杯でしたよ。」


その話を聞いたミユキは少し思案した後、意を決してノアに話し始める。


「ねぇ、あなたの両「良いですよ。」

「だからなーんで、被せるのよ!」

「今の話の流れなら大体何言うか分かるので。
でも良いんですか?国に戻らなくて。」

「あなたが寝てる間に国から連絡があってね、"事後処理とかで大変だろうから2ヶ月位は自由にしてて良い"って連絡があったの。
それに国に戻ってもまともに戦闘訓練出来る人なんていないしね。」

「で、あれば構いませんよ。
帰還の際にベルドラッドさんに言って僕の村まで行って貰えるか聞いてみますね、っと…
はい、揚がりましたよ~。」


揚がり次第次々とパッドに盛ってキールへと渡していき、空いた鍋に新たなタネを入れていく。

この後も2時間以上コロッケを揚げ続け、時折周囲の要望に応えつつ調理を進めていった。
ノアの役目が終わった頃には辺りはすっかり暗くなっていた。
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