ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

.

文字の大きさ
237 / 1,124
王都編

リヴァイアさん

しおりを挟む
「…と言う訳です、リヴァイアさん。」

「なる程、上層で爆発があって昇降機ごと落ちて来たとはねぇ…」


ノアは目の前に立つリヴァイアに、鉱山に来た所から今までの経緯を説明する。
話を聞き終えたリヴァイアは両手をパチンと合わせた後に広げると、間の空間に何かの図が現れる。

その図をリヴァイアが摘まんで後ろのガラス張りの壁に放ると、壁の大きさに図が拡大。


「あれ?これって鉱山の地図…と言うか断面図ですか?」

「そう。
今表示しているのは、鉱山入口~『レベル26』までの断面図。
つまり、広く世間一般に周知されている範囲を表示している訳だ。そして…」


リヴァイアがガラス張りの壁に向かって両手を広げ、内側へと狭める様に動かすと、鉱山の断面図が圧縮されていく。
その代わりに鉱山直下の下方にぽっかりとした空間が表示される。


「今表示されたのが新造中の『レベル158 クラーケンの巣』。
君が落ちてきた場所だ。」


リヴァイアは『レベル158』の入口付近をコツコツと叩く。
するとその箇所が更に拡大されていく。


「ライブ!」


と、リヴァイアが何か唱えると、拡大された箇所に大破した昇降機が表示される。


「え?凄…」

「空間魔法の応用よ、場所を指定してその場所とこの図を繋げただけ。」

「へ~。」

(何か最近『空間魔法』って言えば何でも有りな気がしてきたな…)


『空間魔法』の汎用性に気付き始めるノアだった。


「ふむ…それではこのまま上に図を持っていって…と…」


ガラスに指を当て、スイッと3~4回下になぞって行くと、図が上へと移動。
目まぐるしく表示が変わって行き、昇降機の始点に到達。
その辺りを再びコツコツと叩き、拡大するとリヴァイア、ノア共に表情が険しい物に変わる。


「「誰か居るな…」」


表示されている図には、黒いフードを被った人物が7人映し出されていた。
よく目を凝らしてみると、その内の1人の鼻から下が映っており、口元に笑みが見える。


「コイツらが犯人かしらね…」

「分かりませんが、何かしら知っているでしょうね…
ん?リヴァイアさん、鉱山の入口付近を映して貰っても良いですか?」

「ん?いーよ。」


リヴァイアにお願いし、入口付近を表示すると10人程倒れている姿が見える。


「…兵士達だ…」


倒れている人物の装備を見てみると、前日ノアに感謝の念を伝えてきた兵士達と判明。
力無く倒れている姿が目に入る。

ギリッ…

ノアの目が据わり、歯軋りをする音が響く。
その表情を見たリヴァイアはノアに提案を出す。


「ノア君。
セレイアから、ここと外では空間が違うから外では時間が止まってると言われなかったかい?」

「…ええ、言われました。」

「つまり、今この壁に表示されている状態のまま時が止まっていると言う事だ。
今戻れば、犯人を捕まえられるかも知れないけど、どうする?」

「勿論行かせて貰います。
何でこんな事しでかしたのか、聞きたい事が山程ありますからね。」

「ふ、了解したわ。
それではノア君を転移させるのはこの昇降機の始点で良いかしら?」


リヴァイアから転移場所を聞かれたノアは、鉱山の拡大図を眺め、顎に手をやりながら考える。


「え~っと…『レベル8』に転移して頂いても良いですか?」

「良いけど…やっぱ仲間を回収してから行くのね?」

「ええ、あっちでは僅か数分とは言え、皆心配してるでしょうし、放っては置けません。
それに、僕には入口で倒れている兵士を助ける手立ては持ち合わせてはいませんのでね…」


ノアの口振りからして何か考えがあるのか、時折図を見ながらどう動くか確認をしている。




「そうだノア君、この一件が一段落したらまた戻って来て貰っても良いかな?
少し今後の話をしたいんだ。」

「え?あ、はい、分かりました。」


どんな話をするかは定かでは無いが、一先ず目の前の事に注力する事にする。


「それじゃあ、そろそろ転移させるよ、準備は良いかな?」

「ええ、僕は大丈夫です、グリードも良いかな?」

グルルァィッ!

ここに来てからずっと黙っていたグリードに確認を取ったノアは、リヴァイアに合図を送る。


「よし、それでは『レベル8』、行ってらっしゃい。 」

パン!                   シュバッ!

リヴァイアが手を叩くとノアとグリードの足元に魔法陣が展開、直ぐに光と共に姿がかき消えた。


「ふふ、ノア君か。
何とも面白い子が来たもんだ。」


リヴァイアやガラス張りの壁に映し出された光景を見て呟いていた。











~昇降機が『レベル158』に落下して1分後~


ゴシャァアアア…

「下の方から、凄い音が聞こえたぞ…」

「多分『レベル26』まで落ちたんだよ…この高さじゃ…」

「そんな事ありません!有り得ません!有り、得ま…」

「…ヴァンディット嬢…」


ノアが乗った昇降機が落下し、暗くて底が見えない縦穴を覗き込むクリス、クック、ヴァンディット、ドゥ。

皆ノアの生存は絶望視し、ヴァンディットも頭では分かってはいるものの声を震わせ否定する。
そんなヴァンディットに胸を貸すドゥ。


「…上から轟音が聞こえたが、爆発があったのか…?
ガス漏れ?爆発性の鉱石とかあったか?」

「そんな物、上には無いハズよ!」

「じゃあ人為的に!?」


など、各々臆測していると皆の背後から光が差す。

シュバッ!

「上で誰かが爆破した様で、今からそいつらを捕まえに行きます。」

「「「「「「ノ、ノア君!?」」」」」」


当然の事だが、驚く一同。ヴァンディットは口に手を当てて固まり、ドゥに至ってはノアと縦穴を交互に見て「え?え?」と呟く事しか出来ずにいる。


「ちょ、ノア君血塗れのボロボロじゃないか!?
今すぐ治療を!」

「詳しい事は後で話します!ヴァンディットさん、心配させて申し訳ありません。
早速ですが、ここにいる全員を影の中へと移動させて下さい!」

「はい…
ぐすっ…はい!」

「よし!全員移動させたら直ぐに僕の影に!」

「畏まりました!
と言う訳ですので失礼します!」

「え?ちょっと事情がよく『ぞぶっ』」


困惑するレイルを問答無用で影の中へ移動させたヴァンディットはノアの影に潜る。


「準備完了、それじゃあ犯人達の元へ向かいます、か!」

ブォンッ!

縦穴へと身を乗り出したノアは遥か上に向かって荒鬼神をぶん投げた。









「どうだ?」

「暗くて分からんが、この高さから落ちりゃ即死だ。
音が返って来たら任務完了で良いだろう。」

「しかし、子供1人にやり過ぎじゃないか?」

「キエフ様がやり過ぎ無かった時なんかあるか?」

「「「「「「無いな。」」」」」」


アハハと笑い合う黒いフードの者達。
どうやらキエフの手下の様である。

ゴシャァアアア…

「お?音が返って来たぜ、今頃返って来るなんてどんだけ深いんだ?ここ。」

「んな事どうだって良いだろう。
へへ、ガキが乗った昇降機を落とすだけで100万か…これだからキエフの旦那ん所はたまんねぇぜ。」

「前情報だと『手を抜くなよ』って言われたが、何か肩透かし食らったなぁ…
なぁ、表で気絶させた兵士達、殺って来て良い?」

「他は好きにしろと言ってたから別に良いんじゃねぇか?」

「手早くやれよ。」

…ン…

「分かってるって…ん?」

…ュン…シュン…バシュン

「…何の音だ?」スタスタ…

「どうした?」

「いや穴の下から音『ゴチュッ!!』」


黒いフードの男が縦穴の中を覗き込んだ瞬間、顎に強い衝撃を受けて宙を舞い、天井に頭を叩き付け、そのまま地面に落下し失神した。

ドシャァッ! 「え?」「は?」

黒いフードの仲間達は何が起こったか理解出来ずに佇んでいると、縦穴から乾いた血に塗れ、ボロボロの防具を纏った少年が這い上がって来た。
しおりを挟む
感想 1,255

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

妹が聖女の再来と呼ばれているようです

田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。 「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」  どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。 それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。 戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。 更新は不定期です。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

処理中です...