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王都編
普段は冒険者ギルド長
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『さーてぇ、『新鋭の翼』リーダー、デミ・スロアが己の自己欲求を満たしたいが為に開催された、対戦者の【鬼神】にとって何のメリットも無い御前試合開始まで残り20分を切ったのじゃ!
本日この試合の解説、実況を担当する普段は冒険者ギルド長のジャロルとぉっ!』
『私、王都に招待された側の人間だよね?
何でここで実況やってんだろ。
『槍サーの姫君』リーダーのヤンでーす。よろー。』
こんな時でも青みがかった全身鎧を着込んでいる『槍サーの姫君』リーダーのヤンは、何故かジャロルの隣で気だるそうに席に突っ伏していた。
「あー、やだー、かったるい、神兵鮫装備作る為にもう一度『青龍の亡骸』ボスモンスター狩りに行く予定だったのに…
何で私がアイツらの戦いなんか実況しなきゃなんないのん?」
「まぁそう言うな、実力者同士の戦いには実力者の解説が欲しい所じゃ、特に【鬼神】にはの。」
現在実況の2人が居るのは全長200メル、幅150メルもある楕円形の試合場。
その試合場の周囲を段積みの観客席が取り囲み、最後列は高さ50メルに位置するなど、なかなかに巨大な建造物である。
この建造物は王城の直ぐ近くに造られ、かつてエルベストが凌ぎを削った闘技大会の会場としても使われた場である。
既に観客席には最前列から最後列まで人が埋まり、あちこちでどちらが勝つか負けるかと言った賭け事が行われている。
この試合場には東西南北、合計4ヶ所の出入口が存在し、皆一様にそこを注視して両雄が入ってくるのを今か今かと待ちわびている。
既にエルニストラ王は側近のシアロ、護衛数人と共に試合場直ぐ近くの特殊結界が張られた席に座っていた。
「近年見た事の無い程の人の入り用だな、シアロ。」
「ええ。
皆【鬼神】目当てで来ておる様ですな。
オードゥスでの女鏖蜂討伐、アルバラストでの野盗200人の殲滅では商人の間でのみその名が知られていた様ですが、今回のフリアダビア奪還で広く世間一般にその名が轟いたといった所ですね。」
「何より【鬼神】と言う仰々しい二つ名を持つ者はどんな奴か、どんな戦いを見せてくれるのか。
これは非常に興味をそそるからな。
だが、この後の事を考えると素直に楽しめんがな…」
「そうですね…」
「「「うわー…凄い人の数…」」」
「いやー…凄い人数だねお兄ちゃん…」
「ああ…ここ最近で一番って位人入ってんな…」
「俺も王都に来て初めてかも、こんなに埋まってんの…」
クリスとクックは、クロラや他のパーティメンバーを連れ、試合場を一望出来る場所に来ていた。
クロラ、ジェイル、ロゼやポーラも人の多さに驚きつつ、「この観客の前で戦うの?」と想像しただけで身を震わせていた。
片やクリスとクックはと言うと、試合場に来ているという可愛い妹の彼氏とやらを探していた。が
「いや、流石の人出じゃ誰が誰だか…」
「そもそも俺ら人相知らないんだった…」
「ううん、まだ居ない。」
「よく分かるな、この人数で…」
「分かるよ、だって…」
おおお!
と、ここまで言った所で、東側の入口辺りでどうやら動きがあったのか、にわかに騒がしくなる。
「あ、誰か入ってくるよー。」
「お!来たか?」
「…違うわね、対戦相手みたいよ。
ひい、ふぅ、みぃ…6人居るわね。」
「え!?6人!?」
『さぁーてぇ!東側入口より現れたのは!
今回の御前試合にて、対【鬼神】戦を申し入れた元凶、リーダー、デミ・スロア率いる上級冒険者パーティ『新鋭の翼』じゃ!
取り敢えずここ最近の戦果を上げておくぞ!
魔素強化された竜種ダンジョン『ドラガオ』にて最前線での戦闘の大部分を占める働きをしてくれた強者達じゃそうじゃ。』
『いや、コイツらマジで元凶だかんね。
アイツが余計な事言ったせいで私のやす『はいは~い、私情はそこまでじゃよ~』
そんな恨み節たっぷりなヤンの発言に、周囲の観客からは笑い声や「もっと言ってやれ~」等の声が上がるが、一般席と区切られた場所から冷ややかな目で見る者が1人いた。
「ふん、これだから女と言う奴は…つまらん事に私情を挟みおって…」
完全にお前が言うな、という発言だが本人は全くそれに気付いていない様だ。
コモン・スロアは両脇に護衛の配下を従え、用意された豪華な席に座り、足を組んでふんぞり返っている。
「どうやら機嫌が宜しく無い様ですな、スロア殿?」
「ん?おお、ジョー殿ではないですか。貴方も観覧に?」
「ええ、勿論。
仲良くさせて頂いてる冒険者が居ますのでね、応援に来ました。
今はスロア殿をお見掛けしたのでご挨拶をと思いましてね。」
「なるほど。
して、その冒険者の姿が見えませぬが?」
「外は人混みが凄かったのでもう少し掛かるでしょう。
では、スロア殿、またいずれ。」
そう言ってジョーは人混みの中へと消えていった。
「ふん、たかが商人風情が。
我と話すならもう少し敬意を持って貰いたい物だな。」
「良いじゃないですか、スロア殿、どうせ直ぐにここは戦場になって、あの商人共々ご退場するんだ。
残りの余生位好きにさせときゃぁ良い。」
フードを目深に被ったエルベストがコモン・スロアの元へとやって来る。
エルベストは馴れ馴れしくコモン・スロアの肩をポンポンと叩き、宥めようとしている様だ。
「ふ、エルベスト殿、変に思われますぞ、もう少し距離を取って頂かないと。」
「おや失礼失礼、ではスロア殿、また後でな。」
去っていくエルベストの後ろ姿を見つつコモン・スロアは呟く。
「全く、どいつもこいつも…」
「『新鋭の翼』頑張れよー!」
「直ぐ終わんじゃねーぞー!」
「ミミララちゃん頑張ー!」
「リナ様ー!」
「落ち着いて行けば大丈夫!」
「ガドラ様ー!」
「ノンちゃーん頑張ってねー!」
現在東側入口にいる『新鋭の翼』達に向け声援が上がっていた。
デミはその声援を一身に浴びるかの様に恍惚の表情で両手を広げ、受け止めている様だ。
そんなデミとは対称的に他のメンバーはだくだくと冷や汗をかいていた。
「よ、よくアイツこんな数の観客の中で堂々としてるわね…」
「「今だけデミの心臓が欲しいよ…」」
「胃が痛い…」
「心臓が痛い…」
デミ以外の5人が色んな意味で苦しんでいると、再び実況から声が上がる。
『はーい、御前試合開始予定時刻まで残り5分となったのじゃ!
まだ【鬼神】がこの場に到着しておらんが先にこの御前試合でのルールを発表するぞ!
今回の御前試合は1対6という普通では有り得ん人数差で行うが故にルールは【鬼神】に決めて貰った。
試合時間は無制限、どちらかのパーティが負けを認めん限りいつまでも続く仕様にしとるが、あまりに一方的過ぎる戦いになってしまった場合は流石にこちらの判断で止めに入るぞ!
後通常の試合ルール同様、致命傷レベルの攻撃は無効化させて貰う。
つまり本当の意味で『折れて』しまった場合、御前試合は決する事になる。良いな?』
実況のジャロルが『新鋭の翼』の面々を見て確認を取る。
『さて、後は当の【鬼神】が…あ。』
『あ。来た。』
実況のジャロルとヤンが同時に何かを感知。
遂にやって来たか、と観客席にいる者達や対戦相手である『新鋭の翼』の面々が試合場にある4ヶ所の出入口に視線を移す。
『違う違う、出入口からは入って来んよ。
見るなら上じゃ、上。』
「「「「「「「「上?」」」」」」」」
ジャロルが上、と言うので客席の者達が天を仰いでいると、西側入口方面にいる者達の頭上を小さな影が物凄い速さで飛来。
その影は観客の頭上を滑空する様に通過し、速度はそのままで試合場の地面に着弾。
ズドォンッ!ドドッ!ドッ!
着弾時の勢いを物語るかの様に辺りには砂煙が舞い、その奥では何かがたたらを踏む様な音が聞こえる。
「いやーすいません、道が混んでいたので屋根伝いに飛んで来ました。」
砂煙が晴れると、そこから深海色の防具を身に纏ったノアが姿を現した。
本日この試合の解説、実況を担当する普段は冒険者ギルド長のジャロルとぉっ!』
『私、王都に招待された側の人間だよね?
何でここで実況やってんだろ。
『槍サーの姫君』リーダーのヤンでーす。よろー。』
こんな時でも青みがかった全身鎧を着込んでいる『槍サーの姫君』リーダーのヤンは、何故かジャロルの隣で気だるそうに席に突っ伏していた。
「あー、やだー、かったるい、神兵鮫装備作る為にもう一度『青龍の亡骸』ボスモンスター狩りに行く予定だったのに…
何で私がアイツらの戦いなんか実況しなきゃなんないのん?」
「まぁそう言うな、実力者同士の戦いには実力者の解説が欲しい所じゃ、特に【鬼神】にはの。」
現在実況の2人が居るのは全長200メル、幅150メルもある楕円形の試合場。
その試合場の周囲を段積みの観客席が取り囲み、最後列は高さ50メルに位置するなど、なかなかに巨大な建造物である。
この建造物は王城の直ぐ近くに造られ、かつてエルベストが凌ぎを削った闘技大会の会場としても使われた場である。
既に観客席には最前列から最後列まで人が埋まり、あちこちでどちらが勝つか負けるかと言った賭け事が行われている。
この試合場には東西南北、合計4ヶ所の出入口が存在し、皆一様にそこを注視して両雄が入ってくるのを今か今かと待ちわびている。
既にエルニストラ王は側近のシアロ、護衛数人と共に試合場直ぐ近くの特殊結界が張られた席に座っていた。
「近年見た事の無い程の人の入り用だな、シアロ。」
「ええ。
皆【鬼神】目当てで来ておる様ですな。
オードゥスでの女鏖蜂討伐、アルバラストでの野盗200人の殲滅では商人の間でのみその名が知られていた様ですが、今回のフリアダビア奪還で広く世間一般にその名が轟いたといった所ですね。」
「何より【鬼神】と言う仰々しい二つ名を持つ者はどんな奴か、どんな戦いを見せてくれるのか。
これは非常に興味をそそるからな。
だが、この後の事を考えると素直に楽しめんがな…」
「そうですね…」
「「「うわー…凄い人の数…」」」
「いやー…凄い人数だねお兄ちゃん…」
「ああ…ここ最近で一番って位人入ってんな…」
「俺も王都に来て初めてかも、こんなに埋まってんの…」
クリスとクックは、クロラや他のパーティメンバーを連れ、試合場を一望出来る場所に来ていた。
クロラ、ジェイル、ロゼやポーラも人の多さに驚きつつ、「この観客の前で戦うの?」と想像しただけで身を震わせていた。
片やクリスとクックはと言うと、試合場に来ているという可愛い妹の彼氏とやらを探していた。が
「いや、流石の人出じゃ誰が誰だか…」
「そもそも俺ら人相知らないんだった…」
「ううん、まだ居ない。」
「よく分かるな、この人数で…」
「分かるよ、だって…」
おおお!
と、ここまで言った所で、東側の入口辺りでどうやら動きがあったのか、にわかに騒がしくなる。
「あ、誰か入ってくるよー。」
「お!来たか?」
「…違うわね、対戦相手みたいよ。
ひい、ふぅ、みぃ…6人居るわね。」
「え!?6人!?」
『さぁーてぇ!東側入口より現れたのは!
今回の御前試合にて、対【鬼神】戦を申し入れた元凶、リーダー、デミ・スロア率いる上級冒険者パーティ『新鋭の翼』じゃ!
取り敢えずここ最近の戦果を上げておくぞ!
魔素強化された竜種ダンジョン『ドラガオ』にて最前線での戦闘の大部分を占める働きをしてくれた強者達じゃそうじゃ。』
『いや、コイツらマジで元凶だかんね。
アイツが余計な事言ったせいで私のやす『はいは~い、私情はそこまでじゃよ~』
そんな恨み節たっぷりなヤンの発言に、周囲の観客からは笑い声や「もっと言ってやれ~」等の声が上がるが、一般席と区切られた場所から冷ややかな目で見る者が1人いた。
「ふん、これだから女と言う奴は…つまらん事に私情を挟みおって…」
完全にお前が言うな、という発言だが本人は全くそれに気付いていない様だ。
コモン・スロアは両脇に護衛の配下を従え、用意された豪華な席に座り、足を組んでふんぞり返っている。
「どうやら機嫌が宜しく無い様ですな、スロア殿?」
「ん?おお、ジョー殿ではないですか。貴方も観覧に?」
「ええ、勿論。
仲良くさせて頂いてる冒険者が居ますのでね、応援に来ました。
今はスロア殿をお見掛けしたのでご挨拶をと思いましてね。」
「なるほど。
して、その冒険者の姿が見えませぬが?」
「外は人混みが凄かったのでもう少し掛かるでしょう。
では、スロア殿、またいずれ。」
そう言ってジョーは人混みの中へと消えていった。
「ふん、たかが商人風情が。
我と話すならもう少し敬意を持って貰いたい物だな。」
「良いじゃないですか、スロア殿、どうせ直ぐにここは戦場になって、あの商人共々ご退場するんだ。
残りの余生位好きにさせときゃぁ良い。」
フードを目深に被ったエルベストがコモン・スロアの元へとやって来る。
エルベストは馴れ馴れしくコモン・スロアの肩をポンポンと叩き、宥めようとしている様だ。
「ふ、エルベスト殿、変に思われますぞ、もう少し距離を取って頂かないと。」
「おや失礼失礼、ではスロア殿、また後でな。」
去っていくエルベストの後ろ姿を見つつコモン・スロアは呟く。
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「直ぐ終わんじゃねーぞー!」
「ミミララちゃん頑張ー!」
「リナ様ー!」
「落ち着いて行けば大丈夫!」
「ガドラ様ー!」
「ノンちゃーん頑張ってねー!」
現在東側入口にいる『新鋭の翼』達に向け声援が上がっていた。
デミはその声援を一身に浴びるかの様に恍惚の表情で両手を広げ、受け止めている様だ。
そんなデミとは対称的に他のメンバーはだくだくと冷や汗をかいていた。
「よ、よくアイツこんな数の観客の中で堂々としてるわね…」
「「今だけデミの心臓が欲しいよ…」」
「胃が痛い…」
「心臓が痛い…」
デミ以外の5人が色んな意味で苦しんでいると、再び実況から声が上がる。
『はーい、御前試合開始予定時刻まで残り5分となったのじゃ!
まだ【鬼神】がこの場に到着しておらんが先にこの御前試合でのルールを発表するぞ!
今回の御前試合は1対6という普通では有り得ん人数差で行うが故にルールは【鬼神】に決めて貰った。
試合時間は無制限、どちらかのパーティが負けを認めん限りいつまでも続く仕様にしとるが、あまりに一方的過ぎる戦いになってしまった場合は流石にこちらの判断で止めに入るぞ!
後通常の試合ルール同様、致命傷レベルの攻撃は無効化させて貰う。
つまり本当の意味で『折れて』しまった場合、御前試合は決する事になる。良いな?』
実況のジャロルが『新鋭の翼』の面々を見て確認を取る。
『さて、後は当の【鬼神】が…あ。』
『あ。来た。』
実況のジャロルとヤンが同時に何かを感知。
遂にやって来たか、と観客席にいる者達や対戦相手である『新鋭の翼』の面々が試合場にある4ヶ所の出入口に視線を移す。
『違う違う、出入口からは入って来んよ。
見るなら上じゃ、上。』
「「「「「「「「上?」」」」」」」」
ジャロルが上、と言うので客席の者達が天を仰いでいると、西側入口方面にいる者達の頭上を小さな影が物凄い速さで飛来。
その影は観客の頭上を滑空する様に通過し、速度はそのままで試合場の地面に着弾。
ズドォンッ!ドドッ!ドッ!
着弾時の勢いを物語るかの様に辺りには砂煙が舞い、その奥では何かがたたらを踏む様な音が聞こえる。
「いやーすいません、道が混んでいたので屋根伝いに飛んで来ました。」
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