ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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王都編

王都の隊員さん方ですか?

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「あ、あなた方は王都の隊員さん方ですか?」


まだ夕方の4時位だが山合と言う事もあって割と暗い。
西の村に近付くと、簡素な柵の向こうに居た1人の住人がノア達を見付けて声を掛けて来たのだが、開口一番にそう問い掛けられたのだった。


「え?…いえ、王都の者ですが、ギルドの素材採取の道程でこの村に寄ったのですが…」

「あ、さ、左様で御座いましたか…
そうですか…うーん…」


住人が露骨に残念そうにしているので、ノアは何かあったのか聞いてみる事に。


「何か困り事で?」

「あ、冒険者の方ですか。
ええ、実は、この村によく物資を届けて頂く商人が居るんです。
今日もこの村に来てくれる予定だったんですがね、来る途中で野盗の集団に襲われて荷馬車ごと奪われてしまったそうで…」

(あ、もしかしてさっきの車輪の跡はその時のだったのかも…)

話を聞いたノアは、先程変な位置にあった車輪の跡を思い出す。


「すいません、その襲われたと言う商人の方は居られますか?
その時の状況等を聞きたいのですが…」

「え?ええ…村の奥に居られますよ…
襲われた際に怪我されて、御者の方と共に治療中です。」


住人の方に了承を得て村の中へ入る事に。

西の村は、中央にある広場を中心に放射状に家々が建ち並び、50人程が生活していると言う。

夕方と言う事もあって家々の台所から夕飯を作る音や匂い、竈からは煙が上がっている。
時折家の中からパタパタと忙しそうに子供が飛び出して手伝いをしている様だ。



「ベイゼルさん、話を聞きたいと言う冒険者の子がいらっしゃいましたよ。」

「えぇ?」


村の中央で腕に巻かれた包帯を擦っている40代位の男性と、木箱に腰掛け途方に暮れている少年の姿があった。

野盗に荷馬車ごと奪われた為か表情は重く、何処と無く上の空である。


「新人冒険者のノアと言います。
野盗に襲われたと言いましたが、もしかしてここから3時間程歩いた所の森の入口付近ですか?」

「あぁ…その辺りだったな…
何だお前さん、取り返しにでも行って…」


不意にノアの顔を見たベイゼルと言う商人は、言葉を止めて固まる。
周りの住人や各ギルドの面々もどうしたのか分からず困り顔である。


「…黒い二刀…新人冒険者…それに、その顔は忘れもしません…
貴方は3週間程前にアルバラストで野盗集団を壊滅させた"野盗200人殺しのノア"ではありませんか…?」

ざわっ…

ベイゼルと言う商人の言葉に、周囲の者達が一斉にノアを見る。
対してノアは顔をポリポリと掻きつつ


「200人と戦いはしましたが殺してはいませんよ…」

「大挙する野盗相手に一騎当千なされたあの後ろ姿、剣を一振する度に3~4人の野盗が吹き飛ばされるあの光景。
今でも思い出すだけで身が震えます。
貴方は覚えておられないでしょうが、あの時街に避難していた商人の1人。
あの時のご活躍しかと拝見していました。
会って早々こんな事をお願いするのは筋違いだとは思いますが、どうか私共の荷馬車を取り返しては頂けないでしょうか?」

「ええ、勿論です。ですのでその時の状況をお教えして貰えますか?」


ノアを前に興奮して話すベイゼルを落ち着かせ、襲われた時の状況を聞き出す事にした。







「なる程…20人程でけしかけ、刃物をチラつかせて荷馬車ごと奪って行ったと…」

「はい…数が数なだけに何も出来ずに奪われてしまいました…
奴ら自身達の事を"アルバラストでの激戦を生き抜いた猛者"と申しておりました。」

「アルバラストでの激戦を"生き抜いた"?
"逃げ延びた"の間違いじゃないのか?」

「私もただのホラだと思ったのですが、その時はその場の雰囲気に呑まれました…」

「ふぅん…まぁ、警戒するに越した事は無いか…
それではこれから取り戻しに向かいますが、どなたか長いロープ等をお持ちではありませんか?」

「ロープ…ですか?
収穫した野菜を束ねる為の物なら大量にありますが…」

「それではそれをお借りしたい。
それとヴァモス、ベレーザは僕に着いて来てくれ。
戦闘には参加しなくて良いから荷馬車を回収した時に人手が欲しい。」

「はい!…ですがそれだけでよろしいのですか?
その…嗅覚で野盗を探す事も出来そうですが…」


そうヴァモスから提案されたノアだが


「うーん…それだと時間が掛かっちゃうから捜索も僕の方でやろう。
さてグリード、僕が取り返しに行ってる間ここで警戒の方よろしくな。」

ハーイ。

「ひっ!?」
「何だ!?地面の下から声が聞こえたぞ!」
「え!?何何!?」

「安心して下さい、僕の契約獣です。」


住人達を落ち着かせたノアは各ギルドの面々にもここで待つ様に伝え、村の入口へと向かう。


「さて、先程の場所まで一直線に走って戻るけど脚の方は大丈夫かな?」

「「はい、もう大丈夫です。」」

「よし、それじゃあ行くから遅れるんじゃないぞ?」

「「はい、畏まりました!」」


そう2人に声を掛けたノアは、勢いよく駆け出して行った。






~30分後~

ズダダダダダダダダダダダダダダダダッ!

「ハァ…ハァ…ハァ…」
「ハッ、ハッ、ハッ、うにゃあ…」

「大丈夫か、ヴァモス、ベレーザ。
疲れたならここで休んでても良いよ?」

「なんの…まだまだ…」

「だ、大丈夫ですにゃ、まだまだ頑張れるにゃ。」

「あんまり無茶しないでね、この後山登るんだから。」


ヴァモスとベレーザの瞬間的速さは目を見張る物があるが、それを持続するだけの持久力は、まだ持ち合わせていない様だ。

ヴァモスは未だ二足歩行で、ベレーザは早々に二足歩行を諦め、四足歩行で激走し、ノアの背を必死に追い掛けている。

ノアが村を出る時に言った通り、本当に"一直線"に現場まで戻っており、進行方向に木があろうが、岩場があろうが、速度を維持したまま走破している。


「ほい、携行食だ。
走りながらで食べ辛いだろうけど、スタミナを回復させる効果があるから摂ると良いよ。」


ノアはそう言ってアイテムボックスから携行食の焼き菓子を取り出して2人に手渡す。


「あ、ありがとうございます『ザクッ』オッフ!」

「頂きますにゃ『ザクッ』ケホケホ…」


2人共ずっと走り続け、喉がカラカラの状態である。
その状態で焼き菓子を頬張ったのだ、噎せるのは仕方の無い事である。

(うーん、あまり気にしてなかったけど、今度携行食を作る時は飲み込み易い物にしよう…)

2人が噎せる様子を見たノアは、頭の片隅でそんな事を考えていた。






「あ、2人共止まれ!さっき見付けた車輪の跡だ!」

ズザザザザッ!
ザガガッ!
ザザザザザッ!

「ハァ、ハァ、この辺りで襲われたのですね…
一体何処「痕跡を見付けた、こっちだ!」

「「え!?」」


2人が振り返ると、既にノアは山の上へ向けて駆け出していた。


「ノ、ノア様!何を見付けたのですか!?」

「周囲の木の幹を見てみて、真新しく何かが擦り付けられた傷があるでしょ?
普段人が通らない獣道だからぶつけながら通ったんだろうね。
他にも真新しく草木を掻き分けた跡が所々にある、時間的に考えて野盗の仕業だ。」


ノアが言う様に、周囲の木々には真新しい傷や、腰の位置で折れた木の枝等が散見される。

(体力に戦闘力、その上状況判断が早すぎる…
同い歳位のハズなのに一体どんな訓練を受けたらここまで強くなれるんだ…)

もう何度目になるか分からない程驚かされた2人は、先を行くノアの背を必死に追い掛けていった。
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