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王都編
歩く事2時間
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あれから歩く事2時間、北の村へ向けて進むにつれ、沼や池、川が散見される様になった。
西の村方面は草原と林がメインだったが、北の村方面は水場と森が目立つ。
少し周囲を見ただけで数種の魚や小型の甲殻類が確認出来た。
これには【料理人】のレイルとドリー、【錬金術】【薬剤】の面々が反応を示した。
レイルとドリーは分かるが、何故【錬金術】と【薬剤】が?
という疑問が浮かんだが、理由はヴァンディットが説明してくれた。
「恐らく甲殻類の殻に用があるのだと思います。
殻を砕いて成分を抽出すれば薬に、精製すれば防御力を上げる薬品が作れますので。(早口)」
「そう、その通りですよヴァンディットちゃん。
攻撃力を重視する冒険者が殆どですが、防御面をしっかり考える堅実な冒険者もいらっしゃいますから、割と根強く売れているのです。(早口)」
「殻には慢性腎不全の方に効く成分も含まれています。
王都周辺は海が無いから定期的にこの辺りに取りに来たりするんだ。(早口)」
ヴァンディットの説明に【錬金術】のストリアと【薬剤】のディックと言う男性が話に加わる。
この5人は、分野が似ている為か前日から直ぐに話が合い、暇さえあれば仲良く喋っている。
時折話に熱中して早口になり、レイルや他のギルドの人がビクッとなる場面があった。
ノアも5人の圧に押され
「じゃ、じゃあ1匹デカいのが居るみたいなので獲っていきましょうか?」
「あ、いいよノア君、私達の方で獲る…
ん?"デカいのが居る"って言った?」
「ええ、ここに『ぐぼっ。』ほら。」
ノアが腕捲りをして川縁にあった1メル程の大きさの岩の所まで向かう。
しゃがみ込んだノアが、むんずと岩を掴んで持ち上げると、岩の下から鋏が出て来た。
モゾモゾ…
鈍色の甲殻に、人間の頭部程もある大きな鋏をゆっくりと動かしながら体高1メル、横幅3メル程もある大きなカニが姿を現す。
「ぎゃぁああっ!ノア君デカ過ぎるって!」
あまりにも大きなカニに、レイルが猫の様に飛び上がりノアの後ろに隠れる。
他のギルドの面々も大きなカニの出現に顔をひきつらせている中、【防具】【錬金術】【薬剤】の面々だけにわかに沸き立っている。
「「「鉄蟹(テッカイ)だ!」」」
「川や池に存在する微量の砂鉄を取り込んで自身の甲殻を鉄の様に変化させる蟹だ!(早口)」
「鉄蟹の素材から良い錬金薬が作れるわ!
ノア君、アレ仕留められない?(早口)」
「や、やるだけやってみます。」
3ギルドの面々に気圧され、ノアは鉄蟹というカニの前に。
対する鉄蟹は寝ている所を起こされたので、鋏を上げて威嚇のポーズをとっている。
(名前と見た目からして物理攻撃は通り難いだろう。恐らく通常は雷や火属性の魔法で対処するのだろうが…)
シャッ!
鉄蟹が右の鋏をノアに向けて突き出してきた。
(生憎僕にはそういった魔法は無い!
物理がダメなら、それを越える物理で叩けば良いじゃない!)
左の腰に差していた荒鬼神に手を掛けたノアは、<抜刀術>と<渾身>を発動。
抜刀の勢いそのままに、振るわれた鋏所か頭部を火花を散らしながら削り斬る。
ヒュバッ!「シッ!」ゾリンッ!
ズシャッ!
頭部を失った鉄蟹は地面に崩れ落ちた。
鈍色の甲殻の断面は綺麗な光沢を放ってはいるが、中の肉は泥の様な臭いをしており
「うわっ!?泥臭っ!?」
(『久々に蟹食えっかなと思ったが、泥抜き云々すれば食えるとか言うレベルじゃ無いぜ、コレ…』)
鉄蟹の中から真緑の汁と、真緑の肉が覗いている。
臭いは分かり易く言うと"側溝"である。
(『通りで【料理人】の嬢ちゃん2人がこの蟹見ても興味示さなかった訳か…』)
『俺』が言う様に【料理人】のレイルとドリーは後ろで鼻を摘まんで待機していたが、それとは対称的に【防具】【錬金術】【薬剤】の面々は嬉々とした表情で鉄蟹の死骸の元へと向かい、解体作業に入った。
身と甲殻とを剥がす毎に川で濯がないといけない程泥臭く、汚れもあるので終了には多少時間が掛かりそうだ。
その間ノアは使用した荒鬼神に付いた泥臭さを川で洗い流す事にした。
チャパチャパ…
と、川で荒鬼神を濯いでいると、少し進んだ先の三叉路から4人組のパーティが姿を現す。
実はノアはその存在に気付いていた。
別に相手が見て見ぬフリをしていたとか、おこぼれを狙っていたとかでは無く、基本的に冒険者の戦闘には余程緊急性が無い限り手出ししてはならない為、4人組のパーティはノアの戦闘の様子を窺っていた様だ。
そしてノアはこの4人組パーティを知っている。
と言うよりか、何故このパーティがここに居るのかが分からなかったのでノアの元に歩いてきたのは丁度良かったとも言えた。
「いやはや、あんな硬そうなモンスターを一刀両断とは…」
「一応関節部分を狙って刃を入れました。」
「そして当たり前の様に気付いてるのね…」
「それよりも何故皆さんここにいらっしゃるのですか?」
ノアが背後に立つ4人組へと視線を向ける。
そこには、以前ノアが殲滅したゴブリンの巣の近くにある村出身の4人組上級冒険者パーティのバドロ、マール、ディオ、ストラが立っていた。
「会うのは酒場以来ね。(マール)」
「俺らはこの先の開拓地に出現したって言う珍獣の調査に来たんだ。(ディオ)」
「元々ノア君にお礼言う以外に王都での予定決めてなかったから丁度良かったしね。(ストラ)」
「それで北の村方面に向かってたらノア君を見掛けたって訳さ。(バドロ)」
ディオとバドロが簡単に状況を説明してくれた。
「そういう事ですか。
西の村でも珍獣の話を聞きましたが、どんなモンスターなんですか?」
「実は俺らも聞いた事無くてな。
何でも開拓してる時にデカい木を切り倒したら冬眠か何かしてた奴が出てきたらしいんだわ。
依頼主からの情報を照らし合わせてみると、ネズミ系モンスター の"ピパラ"って奴らしい。(ディオ)」
「"ピパラ"…ですか…確かに聞いた事ありませんね…」
「しかも以前別の所で見付けたのとは大きさも違うみたいだから、冒険者ギルドは"デカピパラ" と呼んでいる。(バドロ)」
「デカピパラ…何と安直な…
僕らも北の村に行く予定なので着いていっても良いですか?」
「お、良いとも。
どうやらそのデカピパラ、大きさの割にとても温厚みたいだから慌てて向かう必要無いらしい。」
4人組パーティから了承を貰ったノアは、解体作業が終わった各ギルドや、ノアが預かっているヴァモス、ベレーザを軽く紹介して北の村方面を目指す事になった。
途中、狩猟を行いながらも2時間程歩いた後、一行はデカピパラと遭遇する事になった。
西の村方面は草原と林がメインだったが、北の村方面は水場と森が目立つ。
少し周囲を見ただけで数種の魚や小型の甲殻類が確認出来た。
これには【料理人】のレイルとドリー、【錬金術】【薬剤】の面々が反応を示した。
レイルとドリーは分かるが、何故【錬金術】と【薬剤】が?
という疑問が浮かんだが、理由はヴァンディットが説明してくれた。
「恐らく甲殻類の殻に用があるのだと思います。
殻を砕いて成分を抽出すれば薬に、精製すれば防御力を上げる薬品が作れますので。(早口)」
「そう、その通りですよヴァンディットちゃん。
攻撃力を重視する冒険者が殆どですが、防御面をしっかり考える堅実な冒険者もいらっしゃいますから、割と根強く売れているのです。(早口)」
「殻には慢性腎不全の方に効く成分も含まれています。
王都周辺は海が無いから定期的にこの辺りに取りに来たりするんだ。(早口)」
ヴァンディットの説明に【錬金術】のストリアと【薬剤】のディックと言う男性が話に加わる。
この5人は、分野が似ている為か前日から直ぐに話が合い、暇さえあれば仲良く喋っている。
時折話に熱中して早口になり、レイルや他のギルドの人がビクッとなる場面があった。
ノアも5人の圧に押され
「じゃ、じゃあ1匹デカいのが居るみたいなので獲っていきましょうか?」
「あ、いいよノア君、私達の方で獲る…
ん?"デカいのが居る"って言った?」
「ええ、ここに『ぐぼっ。』ほら。」
ノアが腕捲りをして川縁にあった1メル程の大きさの岩の所まで向かう。
しゃがみ込んだノアが、むんずと岩を掴んで持ち上げると、岩の下から鋏が出て来た。
モゾモゾ…
鈍色の甲殻に、人間の頭部程もある大きな鋏をゆっくりと動かしながら体高1メル、横幅3メル程もある大きなカニが姿を現す。
「ぎゃぁああっ!ノア君デカ過ぎるって!」
あまりにも大きなカニに、レイルが猫の様に飛び上がりノアの後ろに隠れる。
他のギルドの面々も大きなカニの出現に顔をひきつらせている中、【防具】【錬金術】【薬剤】の面々だけにわかに沸き立っている。
「「「鉄蟹(テッカイ)だ!」」」
「川や池に存在する微量の砂鉄を取り込んで自身の甲殻を鉄の様に変化させる蟹だ!(早口)」
「鉄蟹の素材から良い錬金薬が作れるわ!
ノア君、アレ仕留められない?(早口)」
「や、やるだけやってみます。」
3ギルドの面々に気圧され、ノアは鉄蟹というカニの前に。
対する鉄蟹は寝ている所を起こされたので、鋏を上げて威嚇のポーズをとっている。
(名前と見た目からして物理攻撃は通り難いだろう。恐らく通常は雷や火属性の魔法で対処するのだろうが…)
シャッ!
鉄蟹が右の鋏をノアに向けて突き出してきた。
(生憎僕にはそういった魔法は無い!
物理がダメなら、それを越える物理で叩けば良いじゃない!)
左の腰に差していた荒鬼神に手を掛けたノアは、<抜刀術>と<渾身>を発動。
抜刀の勢いそのままに、振るわれた鋏所か頭部を火花を散らしながら削り斬る。
ヒュバッ!「シッ!」ゾリンッ!
ズシャッ!
頭部を失った鉄蟹は地面に崩れ落ちた。
鈍色の甲殻の断面は綺麗な光沢を放ってはいるが、中の肉は泥の様な臭いをしており
「うわっ!?泥臭っ!?」
(『久々に蟹食えっかなと思ったが、泥抜き云々すれば食えるとか言うレベルじゃ無いぜ、コレ…』)
鉄蟹の中から真緑の汁と、真緑の肉が覗いている。
臭いは分かり易く言うと"側溝"である。
(『通りで【料理人】の嬢ちゃん2人がこの蟹見ても興味示さなかった訳か…』)
『俺』が言う様に【料理人】のレイルとドリーは後ろで鼻を摘まんで待機していたが、それとは対称的に【防具】【錬金術】【薬剤】の面々は嬉々とした表情で鉄蟹の死骸の元へと向かい、解体作業に入った。
身と甲殻とを剥がす毎に川で濯がないといけない程泥臭く、汚れもあるので終了には多少時間が掛かりそうだ。
その間ノアは使用した荒鬼神に付いた泥臭さを川で洗い流す事にした。
チャパチャパ…
と、川で荒鬼神を濯いでいると、少し進んだ先の三叉路から4人組のパーティが姿を現す。
実はノアはその存在に気付いていた。
別に相手が見て見ぬフリをしていたとか、おこぼれを狙っていたとかでは無く、基本的に冒険者の戦闘には余程緊急性が無い限り手出ししてはならない為、4人組のパーティはノアの戦闘の様子を窺っていた様だ。
そしてノアはこの4人組パーティを知っている。
と言うよりか、何故このパーティがここに居るのかが分からなかったのでノアの元に歩いてきたのは丁度良かったとも言えた。
「いやはや、あんな硬そうなモンスターを一刀両断とは…」
「一応関節部分を狙って刃を入れました。」
「そして当たり前の様に気付いてるのね…」
「それよりも何故皆さんここにいらっしゃるのですか?」
ノアが背後に立つ4人組へと視線を向ける。
そこには、以前ノアが殲滅したゴブリンの巣の近くにある村出身の4人組上級冒険者パーティのバドロ、マール、ディオ、ストラが立っていた。
「会うのは酒場以来ね。(マール)」
「俺らはこの先の開拓地に出現したって言う珍獣の調査に来たんだ。(ディオ)」
「元々ノア君にお礼言う以外に王都での予定決めてなかったから丁度良かったしね。(ストラ)」
「それで北の村方面に向かってたらノア君を見掛けたって訳さ。(バドロ)」
ディオとバドロが簡単に状況を説明してくれた。
「そういう事ですか。
西の村でも珍獣の話を聞きましたが、どんなモンスターなんですか?」
「実は俺らも聞いた事無くてな。
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「しかも以前別の所で見付けたのとは大きさも違うみたいだから、冒険者ギルドは"デカピパラ" と呼んでいる。(バドロ)」
「デカピパラ…何と安直な…
僕らも北の村に行く予定なので着いていっても良いですか?」
「お、良いとも。
どうやらそのデカピパラ、大きさの割にとても温厚みたいだから慌てて向かう必要無いらしい。」
4人組パーティから了承を貰ったノアは、解体作業が終わった各ギルドや、ノアが預かっているヴァモス、ベレーザを軽く紹介して北の村方面を目指す事になった。
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