ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

.

文字の大きさ
306 / 1,124
王都編

キュッキュルルッ、キュルルル。

しおりを挟む
キュッキュルルッ、キュルルル。

「えーっと…"ボクは元々上流にある住み処に住んでましたが散歩に出掛けたら迷っちゃって、そしたら丁度良い洞穴があったので住まわせて貰いました。"と言ってます。」

キュ~キュ~。

「"そうそう。"だそうです。」


ヴァモスの通訳によると、このデカピパラは別の場所に棲んでいたが、迷子になってこの辺りに来たらしい。


「嘘だろ…マジで会話出来てんのか…」

「…というかヴァモスとベレーザ、モンスターの言葉が分かるんだ…」

「全てのモンスターの言葉は分かりませんが、あのデカピパラの様な知能の高いモンスターならちゃんと言葉になっているので分かります。
恐らく獣人であれば分かると思いますよ。」


正直な話、デカピパラと意思疎通が取れるのは非常に有り難い。
ノアは早速本題に入る事にした。


「はい。」

キュル?

ノアがデカピパラに向かって手を上げる。


「"どうしたの?"と言ってます。」

「君はこの噛み痕を付けた奴の事を知らないかな?」


そう言ってノアはデカピパラにホーミングボアの体に付けられた傷を見せる。

…キュキュキュ…キュルキュキュキュキュ…

「"…この歯形…住み処に居た『ゴツくてデカい奴』のに似てる…"と言ってます。」

「「「「『ゴツくてデカい奴』?」」」」


あまりにも抽象的過ぎて全く見当がつかないと言った顔をする一同。
ただ、体長5メルを越えるデカピパラでさえ『デカい』と言っているのでかなり大きなモンスターなのだろう。


「俺らからすれば、そこら辺に横たわってるホーミングボアも『ゴツくてデカい奴』だしなぁ…」

「うーむ…『ゴツくてデカい奴』何か、冒険者稼業を営んでたら幾らでも出会うからなぁ…」

「「「そうだなぁ…」」」


北の村に住むダンもバドロ達もうんうん唸るばかりで進展が無い。
情報が大雑把なので仕方の無い事ではある。


「うーん…やっぱり上流に行って確認してくるしかないかな…
デカピパラさん、君の住み処だった場所を教えて貰って良いかな?」

キュルル。

「"良いよ。"と言っ「ちょっ、ちょっと待ってくれノア君、1人で行くつもりかい?」


ノアとデカピパラの会話を遮ってバドロが話に入ってきた。


「ノア君の実力は認めるが、流石に1人と言うのはどうかと思うぞ。
こちらから2人付けさせて貰うが良いかな?」


別にバドロはノアの実力を疑っている訳では無いが、立場的にはノアは新人冒険者でバドロ達は上級冒険者だ。

事の大小に関わらず今回の出来事は王都に報告されるだろう。
その際にノアは見回りに行ったのに、バドロ達は特に何もせずに粛々と依頼をこなしていたとしたらどう思われるだろうか。

ノアは両親との特訓等で大抵の事なら人の手を借りずに自己解決出来るだけの能力を持っている為、人に頼ったり、お願いしたりする事があまり無かった。
つい最近『俺』からもノアは面倒見が良すぎる、と注意を受けたばかりだったにも関わらずだ。

その辺りを何と無く察したノアは心の中で反省しつつ、バドロ達から2人付ける事を了承した。




その後なんやかんやあった結果、上流にあるというデカピパラの住み処に向かうのは、ノア、ディオ、マール、デカピパラ、ヴァモスとベレーザ(通訳)の6人(?)となった。

バドロとストラ、ダンを含めた北の村の住人と各ギルドの面々は一足先に北の村に向かう事になった。

当初はベレーザも北の村に一足先に向かって貰おうとしたのだが、物凄く寂しそうな顔をされたので仕方無く連れていく事にした。

この子は追々獣人達が住まう国でノア無しでやっていけるのだろうか、と少し心配になるノアだった。







「それじゃあディオ、マール、そっちは頼んだぞ。」

「あいよ、任せとけ。
そっちこそ、ノア君の護衛対象が居るんだ、ノア君が居ない間、しっかり頼んだぜ?」

「了解。」


そうディオに言ったバドロは北の村の住人達や各ギルドの面々を引き連れて道を進んでいった。


「さて、それじゃあ僕らも行きましょうか。」

「「「おう。」」」

キュキュキュッ、キュルルル。

「"取り敢えず川に沿って上流を目指せば良い"との事です。」

「了解した。
ディオさん、マールさん、今回はよろしくお願いしますね。」

「おう。」
「ええ。」


ノア達は、視界の左端に川を捉えながら上流を目指していった。





~歩き始めて10分後 ~

のそのそ…
ガサササッ…

タタッ!トンッタンッ!


先程まで居た開拓地から先には人が殆ど立ち入らないというのは本当の様で、歩き始めてから直ぐに辺りは藪に覆われた。

デカピパラは兎も角、自身の身長程の高さもある藪にノアは全く気にする事無く先を進むが、ベレーザを除く他の皆は、早々に樹上に上がり先を進む事になった。

ベレーザはノアの後ろを藪を掻き分けながら着いてくる。


「うにゃ~…藪がすごいですねノア様~…」ガササッ

「そうだね。人所か動物やモンスターもあまり通らないみたいだね。」ガサガサ…

「その割には平然としてますね…」ガササッ

「まぁ訓練で悪路を通ったり…あ、枝気を付けて、顔に当たると痛いよ。」ガサガサ…

「え?『ビシッ!』うにゃん!?
うー…痛いにゃあ…」ガササッ

「言ったそばから…
ねぇ君、この子を乗せて貰っても良いかな?」


見てて危なっかしくしているベレーザを見兼ねてノアはデカピパラに聞いてみる事にした。

キュルル。

「"良いよ。"だそうです。」

「という訳だベレーザ、乗せて貰うと良い。」ガバッ

「にゃっ!?うにゃあ!」


ベレーザは虎の獣人であるハズなのだが、ノアに抱き抱えられると、猫なで声を出してデカピパラの上に乗せられる。

初めて会った時と比べると接し方が和らいだ感じがするが、少し幼児退行している様にも感じるのは気のせいだろうか。

そんなノアの気持ちを察したのか、樹上に居るヴァモスがニヤリと笑ってノアに告げる。


「ノア様、虎獣人が猫なで声を上げるのは相手に甘えたいから、らしいですよ。」

「え?そうなの?」

「うにゃあっ!?」

「ヒュマノではもっと年下の奴隷が沢山居ます。『ちょっ…』
ベレーザは皆のお姉さん代わりでしたが『待つにゃ!』ノア様の底知れない安心感にやられた『言わないでにゃ!』んだと思いますよ。」

「安心感ねぇ…
街で僕やグリードから離れたがらなかったのも、そういうのが関係しているのかな?」

「そうですね。
あの時、あの場に居た中で最も強い気配を放っていたのがお二方だったので、離れられると物凄い不安感が襲ってくるんです。」

「…うーん、ヴァモスはまだ良いとして、ますますベレーザが僕から巣立るのかどうかが心配になってきたよ…」

「え?ノア君、その2人と主従契約結んで無いの?」


樹上を駆けるマールから質問が飛んで来た。
少し考えたノアは、ヴァモスとベレーザとの出会った経緯を話す事にした。
しおりを挟む
感想 1,255

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

妹が聖女の再来と呼ばれているようです

田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。 「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」  どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。 それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。 戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。 更新は不定期です。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

処理中です...