ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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王都編

ダババババッ…

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ダババババッ…

「べんびんびばびべびばっばぼびばぼーばぶばぼぼぼっばべぼ、ばびばばっべぼばっばべぶぼ…(全身血塗れになった時はどうなるかと思ったけど、滝があって良かったですよ…)」

「分かったから滝の中で喋んなくて良い…
しかしこんな場所にあの様なモンスターが居たとはな…
人里に下りてきてたら大惨事だったぞ…」


超巨大ワニとの戦闘後、ノアは要請弾を"2発"発射した。
5分程で王都からベルドラッドとライリ、それと重装鎧を身に付けた隊員5名も同乗してやって来た。

要請弾を"2発"発射したのは、前日に野盗40人を捕らえた時にベルドラッド経由で王からの特例措置を伝えられた事に起因する。


ノアが要請する時は大抵内容が大規模な事が多い。
ゴブリンの巣穴殲滅だったり、アルバラストではヒュドラの件があった。
前日に捕らえた野盗は他に比べれば規模こそ小さいものの、人数を考慮すれば中規模に相当するという。

よってノア限定で(と言うか頻繁に要請弾を撃ってくる者はノアしかいないらしい)打ち上げる要請弾の数を決めたらしい。

1発は小規模、2発で中規模、3発で大規模(全てノア判断)と言った具合だ。

超巨大ワニと戦闘中であれば3発撃つつもりであったが、討伐が完了した為ノアは2発と判断したのだ。


そして王都の隊員らがこの場に現れた時、森のど真ん中が更地になっており、その一角に横たわる超巨大ワニの死体と血塗れのノアを見て皆呆然としていた。




「ドライ。」ブォ~

「あー暖かい…ありがとうございますマールさん。」

「いや…今回私、何も役に立ててないからせめてコレ位はさせて…」


何故か落ち込んでいるマールに温風を当てて貰い、ずぶ濡れになった体を乾かす事に。

キュルルル?

「"大丈夫?"と聞いてるみたいです。」


ヴァモス達と共に待機していたデカピパラがノアの元にやって来た。


「大丈夫だよ、尻尾は脅威だったけど斬り落としてしまえば大した事無かったよ。
もしかしてアレがさっき言ってた"ゴツくてデカい奴"かな?」

キュッキュルルッ!キュキュキュッキュ!

「そうみたいです。
そしてどうやらアレが住み処の中で暴れるので、散歩がてらに住み処から出て来た様です。」

「なる程。
…で住み処と言うのが、さっき僕が返り血を洗い流していた滝の近くにあるあの大穴って事か…」


ノアがチラリと視線を移すと、滝の直ぐ近くにぽっかりと大穴が開いていた。

入口付近の岩肌を見ると、ごく最近に削り落ちた様な痕が見られる事から、どうやら超巨大ワニが無理矢理通って広がった様だ。




「ベルドラッドさん、あのワニの正体が判明しました。」

「お、早かったなライリ。」

「ええ。"長い尻尾のワニ"で検索したら直ぐに名前が出ましたよ。
アレはこの大陸の南端にある世界最大規模の熱帯雨林『フォレスタート・ロピカル』に生息する『ランペイジ・クロコダイル』です。
ですが大きさが著しく異なっており、通常サイズは大きくても10メル程です…」

「大きさが著しく違うのなら別種なのではないか?
それに何だって熱帯雨林のモンスターがこんな所に…」


そこでベルドラッドはノアの隣にぬーん、と立っているデカピパラを見やる。


「おいライリ、確かこのデカピパラも別の場所で発見された奴と比べ、体躯が明らかに異なっていたハズだったな?
コイツの生息域はどこら辺だ?」


ベルドラッドが何やら思い浮かんだのか、額に汗を浮かべてライリに問い掛ける。


「え?えーっと…ピパラの生息域は…あ、熱帯雨林、です…」

「あー…マジか…
ライリ、今すぐに王都に隊員の増員、あと魔力感知・隠密に秀でた者達をここに召集してくれ。」


ライリからの報告を聞いたベルドラッドは頭を抱えるも直ぐに持ち直すとライリに指示を出す。


「え…ベルドラッドさん、それってまさか…」

「あぁ、もしかしたらここは未発見のダンジョンである上に、各ダンジョンで猛威を振るった"魔力杭"が存在している可能性がある。」

「「「「えええっ!?」」」」

「へー。」


周囲の隊員やディオ、マールが驚く中、ひどく冷静な反応のノア。
恐らく最近色々あり過ぎてこの程度では驚かなくなってしまったのであろう。

だがこれはベルドラッドの予想でしかない為、裏付けを行う為にもライリ含めた隊員各々が行動を開始した。

10分後には追加の隊員や隠密を得意とする者達だろうか、顔まですっぽりと装束で覆った一団がやって来た。







「と言う訳でこれからこの件は私共王都主導で引き受ける事になった。
数日間はここを本部として調査を続けるつもりだ。
ノア君には『ランペイジ・クロコダイル』の様なモンスターが再び現れた時に対処して貰いたい所だが、まだ依頼の途中だったな。
そこで提案なのだが、君達上級冒険者パーティ『アレアトリア』に協力を要請したいんだが、受けて貰えないだろうか?」

(ディオさんやマールさん達のパーティ名って『アレアトリア』って言うのか。
そう言えばまだ聞いてなかったな…)


ベルドラッドから要請を受けたディオとマールは、一旦皆が居る北の村に向かいリーダーのバドロの意見を聞きたいそうだ。

ベルドラッドとしても本格的な調査は明日に行うそうなので、ディオとマールの意見に了承してくれた。

その後一行は元来た道を戻り、開拓地まで戻ると北の村へと進んでいった。






「…って事があったんですよ。」

「…さっき山の方から爆音が聞こえたと思ったが…まさかそんな事になってたとはな…」

「てっきり山のヌシみてぇなもんが暴れてると思っちょったが、まさかダンジョンがあったとはな…」

「…つー事は、お前さんもそのダンジョンのモンスターだったんじゃね。」

キュ、キュウ…


北の村に到着した一行は、村の入口辺りで不安そうに待っていたダンとその仲間、バドロ達と各ギルドの面々に事情を説明。

まさか山の中に未発見のダンジョンがあったとは思ってもみなかった為、皆一様に驚いていた。

そしてデカピパラの正体が魔素上昇で巨大化したピパラの可能性が出て来た為、デカピパラ本人は駆除されるのでは、と不安そうにしている。が


「安心しな。
お前さんが現れた日から観察してるが、無害だって事は十分理解している。
だから村長である俺の判断で村ん中にお前さんを引き入れてるんだぞ。」

キュキュ…

「それにお前さんと意思疎通を取れる事が分かったしな。
おぅ、お前達ちょっと来てくれ。」


村長のダンがそう声を上げると、村の中からトテトテと足音を立てて子供が3人駆けてきた。


「うわー、この子が村長さんが言ってた大きなモンスターにゃ?」
「ホントに大きいにゃ。」
「この子も村に住みゅのにゃ?」

「待て待て、気が早いぞ、それをこれから聞く所だ。」


声で察したかも知れないが、デカピパラの元へやって来たのは全員子供の獣人である。

当初デカピパラの対処に困っていた為、万が一を考えて村の子供達を近付けていなかった。

今考えればそれが裏目に出てしまっていたのだが、獣人となら意思疎通が取れる事が分かった為、こうして対面させるに至ったのだ。

キュキュ?

「そうだよ、僕達猫獣人だにゃ。」


どうやら意思疎通は問題ない様だ。


「でだ、もう子供達が言ってしまったから聞くが、お前さん住み処から出て来たんだろ?
もし他に行く予定がなければこの村に住まないか?」


と、村長のダンに言われたデカピパラは子供達の方に向き

キュキュ。

と一鳴き。
その声を聞いた子供達は笑顔を見せつつ


「じゃあこの村をあんにゃいしてあげる。」


そう言ってデカピパラの体毛を軽く引っ張って村の中へと向かっていった。
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