ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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王都編

一見すると普通のワンピース

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「一見すると普通のワンピースにしか見えないけどシルクスパイダーと鉄鋼糸蜘蛛の糸で編んだ服だから並みの防具よりは防御力があるわ。
魔力の通りが良いから自身の魔力保有量が2割増しになる上、衝撃吸収(小)が付与してるから普通に戦っても大丈夫よ。
ちなみに、狼の男の子の方も同じ素材を使っているから同性能と思って貰って構わないわ。」

「「おお~。」」

「う、うにゃ、ぅ…」


ノアとヴァモスからの感嘆の声に、嬉しさと恥ずかしさがない混ぜになった様な声を上げるベレーザ。


「良く動くだろうからスパッツも着用して貰ったけどどうかしら?」

「これのお陰で色々と気にしなくて済みますにゃ…」

「あはは、初めてそういった物を着ると気になるわよね。
ちなみにそれも同じ素材を使ってて、筋力増強(小)を付与してるわ。」


ベレーザの着用しているワンピースは脛辺りまで丈があるが、先程のノアとの戦闘の様に激しい物となると、色々と気にしてしまうだろう。

それに集中していて戦いが疎かになってしまっては元も子もない為の配慮であろう。

ちなみに、当初ワンピースタイプの防具の着用に気恥ずかしさを感じていたベレーザはと言うと


「にゃ、うにゃ…」クルッ   ヒラリ。

クルッ、クルッ。「にゃはは。」ヒラッ。


クルッと一回り、二回りするとワンピースの裾がフワッと舞い上がる毎に頬を緩めてニカッと笑うベレーザ。
反応を見る限り大分気に入った様だ。


(しっかし、こうして見ると何処ぞの貴族のご令嬢とその執事みたいに見えるな。
2人共名付けの影響か体格も良く、ヴァモスは端正な顔立ちでベレーザは美人さんだ。)

(『こりゃ、獣人の国に行ったら引く手余多になりそうだな。』)

「さて、2人共。その装備は気に入ったかな?」

「はい、とても。」

「い、良いんですかにゃ?こんな綺麗なお召し物を私が着ても…」


簡潔に答えるヴァモスと裾を摘まんで嬉しそうにフリフリと生地を靡かせながら、そう返答するベレーザ。


「とか何とか言いながらしっかり気に入ってるみたいだから謙遜しなくて良いの。」

「は、はいですにゃ。」


どうにもまだベレーザはノアに気を使う所がある様だ。
奴隷時代は下の子達のお姉さん的立場でいた所もあるのだろう。


「…それにしてもよくこんな良い装備有りましたね?」

「いやぁね、この間ノア君の防具作成を手伝ったら滅茶苦茶レベル上がったのよ。
それで今まで手を出せなかった素材や服飾に手を出せる様になったのよ。
【防具】職人はレベルが上がれば上がる程、一見したら普通の服にしか見えない物にも鎧並みの防御力を付与出来る様になるの。」

「へぇ~そうなんですね。」

「だからノア君、これから暑い季節に向かってくでしょ?
あなたの可愛らしい彼女に可愛い水着を作って上げる事も出来るわよ?」

「んなっ!?」ボッ!


ギルドメンバーからの突然の提案に顔を赤くするノア。
瞬間的に色々と想像する辺りノアも男の子である。


「お、良い反応だね。
と言ってもここら辺に海が無いから作っても仕方無いんだけどね。」


ノアの反応にニヤリと笑うギルドメンバー。


(『おい、どうする主ぃ?
海あるよなぁ、お誂え向きな海が。』)

(何で急にネットリ口調でそんな事を…)

(『いやなに、お前さんも年頃の男の子だぁ、好きな子の水着姿を見たくは無いのかい?』)


突如新手の精神攻撃を仕掛けて来る『俺』。
姿は分からないが、恐らくニチャアとした笑顔を作ってノアに話し掛けている事だろう。


(見たいは見たいけど、僕らはまだ出会って1ヶ月。
まだまだ関係としては浅いのに水着要求は出来ないでしょ…)

(『そうかぁ?出会って1ヶ月の割にはお互いデッレデレだと思うがなぁ。
お前さんが何かしら彼女に仕掛ける度に、その都度落とされてる様に思うぞ?』)

(…仕掛ける…って何の事?)

(『お前さん、アレ素でやってたのかよ…
だとしたらお前さん相当な"たらし"だぞ…』)

(と、兎に角この話はここまで!ギルドのお姉さんも黙ってる僕見て不審がってるから早くお金払ってご飯行こ、ご飯!)

(『へいへい。』)


『俺』との会話を半ば強制的に打ち切ったノアは、カウンターに立つギルドの女性の所に向かう。


「何かえらく真剣に考えてたみたいだね。
ふふ、大切にしてるのね。」

「う、海は割と近場で知ってる所があるのですが、水着はちょっとまだ早いかなって…」

「へぇ、そんな場所あるのね。何処にあるか教えてくれないかしら?」

「まぁ、近々発表されると思いますよ。」

「発表?」


その後2人の防具の代金を冒険者カードで支払ったノアは、防具を新調し、ルンルン気分となった2人を連れて街に出る。






「ふん、ふふん、にゃふふ、ふふん♪」タタットントン。

「にゃるるん、にゃふっふんふん♪」トタッタンタン。


露骨に気に入った様子のベレーザ。
歩き方も妙にリズミカルである。


「ベレーザ、浮かれるのも分かるけどちゃんと前見て歩くんだぞ?」

「分かってますにゃん、大丈夫ですにゃん。」

「全くベレーザは…」


浮き足立つベレーザに嘆息混じりのヴァモスがやれやれと言った感じに頭を振る。
こうして見ると、日頃からお転婆なお嬢様に振り回される執事にも見える。


「ヴァモスは割と落ち着いてるね?」

「ボク以上に心踊らせてる姿を見たら逆に冷静になっちゃって…」

「あー、なる程ね。
ヴァモスはその冷静さ、ベレーザはあの快活な性格。
この分なら獣人国でも元気にやっていけそうだね。」

「そう…であれば良いのですが…」

「…やっぱまだ無理そうだよね…」

「えぇ、未だ発作的に強烈な不安感が襲ってくる様で、今日ノア様の寝床にやって来たのもそういった事でしょう。
ノア様の近くは落ち着きますからね。」

「こっちも無理に巣立たせ様とは思ってないけど、将来的な事を思えば少しづつでも改善していって欲しい気持ちもあるしなぁ…
今後何か良い切欠があると良いんだがなぁ…」

「そうですねぇ…」


2人の視線の先では、天真爛漫を絵に描いたかの様な笑顔を振り撒きながら歩くベレーザの姿があった。


チカッチカ


「お、クロラさんから連絡だ。
何々…"明日の早朝日が昇る前に王都を出ようと思いますが、ノア君の方は如何ですか?"か…
レター"良いですよ。"っと。」

「いよいよ明日ですね。」

「ああ。さて、ご飯食べに行こっか。」

「はい。」


クロラに返事を送ったノアはヴァモスと共に足早に歩き始め、前を歩くベレーザと共に屋台街へと歩いて行った。
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