ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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再びアルバラスト編

トントントントン…

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「…と言う事があったんですよ。」トントントントン…

「しかし…実際に目にして見ると、名が売れるのも考え物だな…」

「三組目は完全に逃げたよねー。」

「四組目の貴族の子、クロラとしては不安だったんじゃない?」

「うーん…特に不安は無かったかな…」グツグツ…

「あら、正妻の余裕ってヤツかしら?」  

「そ、そう言うのじゃなくて…
…だってノア君、その子の話全く聞く耳持って無かったんだもん。」グツグツ…

「あれ?聞く耳持った方が良かったですか?」ジュワワッ!

「そ、それはそれで…
…んもぅ、ノア君のイジワル…」

「あたしゃ、何を見せられてるんだかねぇ…」ズズズッ…

「話の発端はポーラだろ…」


ノアとクロラによる新婚生活初期の様なやり取りを見つつ、渋ーいお茶を啜るポーラ。


四組目に現れたヴァリエンテとか言う伯爵の娘と、仕えていた騎士団一行を蹴散らしたノアは、見守っていた皆と共に、先行してアルバラストに向かっていたジェイルやベイゼル達と合流。

夕暮れ時でまだ明るかったが、早々に野営の準備を始める事に。

夕飯は何が食べたいかクロラに聞いてみると『ハンバーグシチュー』と答えたので、朝方の約束通り一緒に作る事になった。

あまり作った事が無いとの事なので、いきなり本格的な事はやらずに火の番をお願いした。

まぁ、高性能なキッチンなので焦がす事は無いだろう。
それと何故かキッチンの利用者登録にクロラを追加したら『あらあらウフフ』と言われた。
無駄に高性能な事だ。





「うん、そう、表面だけだと底の方が焦げ付いちゃうので、ゆっくり鍋の底を返す様に…
うん、そんな感じです。
もう少しゆっくりで良いですからね…」ジュウウ…

「は、はい…」グツグツ…


ノアの指示に従って鍋をかき混ぜるクロラ。


「うう…ごめんねノア君、こんな事もままならなくて…」

「はは、最初は皆こんな物ですよ。
それに…」


鍋をかき混ぜるクロラの隣でハンバーグを焼いているノアが耳元で囁く。


「2人っきりの時間が出来て、僕は結構楽しいですけどね。」

「…うん…そう言われるとそうだね。」

「……。」ポリポリ…


そう言いつつも気恥ずかしいのか頬を掻くノア。


「まぁ後は、あそこの岩場の影から僕らの一挙一動を監視するあの2人(ポーラとロゼ)が居なければ申し分無いんだけどね…」


ノアの視線の先にある岩場から、ひょこっと顔を出してこちらを観察する影が2つあった。




「ふにゃあ~、美味しそうな匂いですにゃ~。
お腹ペコペコにゃ~。」

「ベレーザ、もう少しで出来るからこれでも食べてな。はい、あーん。」

「にゃーん。」ハフッ。


ノアがフライパンの端っこで何やら焼いていたのだが、それをベレーザの口に放り込む。


「アフッ!ホフッ…!
うーん!濃厚な味わい、でも食感軽やかで凄く美味しいのにゃ!」

「お気に召したかな?」

「にゃ!これなら幾らでも食べれそうだにゃ。」

「そうか、なら『カッカッカッ…』ほい、たーんとお食べ。」


小皿によそってベレーザへと渡すと、大事そうに抱えて駆けて行った。


「ねぇノア君、今のって皆のとは別で作ってた物だよね?」

「そ、ベレーザ用の特別メニュー。
現物を見たら食べてくれなそうだから、しれっと与える事にしたんだ。」

「…もしかして朝言ってた"例のアレ"?」

「そう、"アレ"。」


何を食べさせたか理解したクロラの目には、小皿の料理を綺麗に完食し、ご満悦な様子のベレーザが映っていた。





「はい、お待たせー。ハンバーグシチュー出来たよ~。」


ノアがハンバーグを皿に盛って、クロラがシチューを上から掛ける。

それを皆が受け取っていく。
その中には御者の少年とベイゼルも混じっていた。


「良いのですか、私達も頂いて…?」

「取り敢えずお互いの行き先は同じアルバラストですし、暫くは寝食を共にするのですからこれ位良いですよ。
はい、ハル君、お代わりして良いからね。」

「あ、ありがとうございます。」


ベイゼルの荷馬車で御者を勤めている少年は、  ハルと言い、まだ12才だと言う。

このハルという少年は、ベイゼルが以前商人として地方を点々としていた時に、口減らしとして村から追い出された子供だと言う。
それを見兼ねたベイゼルが、手伝いとして引き取ったとの事だ。

今日は色々あって気が抜けたのだろう、調理中のシチューの匂いを嗅いだら腹の虫が鳴り、顔を真っ赤にしていた。





「あ、あの…ノア殿?私らもお呼ばれしても良かったのですかな?」


ベイゼルとハルの更に後ろでは、先程戦った太刀を担いだ鎧の男性と上半身裸のむさ苦しいパーティ『筋肉達磨』の3人が並んでいた。


「あれ?もしかして予定とかありましたか?」

「…いや、そう言う訳では無いのだが…」

「じゃあ良いじゃないですか。
それとも何ですか?皆さんは僕の予定とか無視して挑んできたのに、用が済んだらトンズラですか?」

「いやいやいや、そう言う訳では「ふふ、冗談ですよ。」


ノアは、クロラがよそってくれたシチューを手渡しながら伝える。


「三組目、四組目は兎も角、あなた方は真剣に僕と戦いに来ました。
各々の目的は何であれ、その取り組む姿勢に好感を持てました。
昨日の敵は今日の友、とまではいかないまでも、今後は皆さんとは仲良くしたいと思っているんですよ。
その第一歩として、同じ釜の飯を食って貰おうと思ったんです。」


ノアの言葉を受けて立ち尽くす一同。


「…そう言う事でしたら、有り難く頂戴致す。」


その後4人は、あっという間にハンバーグシチューを平らげたという。






「うーん…攻撃力(小)に防御力(小)か…
やっぱり協力して作ると通常状態に戻っちゃうか…」

「食事効果が付く時点で凄いと思うけど…」

「ほぉ、貴殿は料理スキル持ちでしたか、いやはや野営で食事効果付きの飯を頂けるとは…」

「俺らも体作りの一環で料理スキル持ってるが、付いても(微)だしなぁ…」

「「あぁ…」」

「普段はどんな物を作ってるんですか?」

「「「温野菜と茹で玉子と鳥肉の素焼き(皮無し・味付け:塩)」」」

(『茹でと焼きだけじゃねぇか!!』)

「…単純に熟練度が足りてないだけですね。」

(寧ろそれで(微)が付いてりゃ御の字だぞ…)


『筋肉達磨』の3人は今後も食事を変えるつもりは無いそうなので、簡単に作れる付け合わせのソースの作り方を教える事にした。







「あ、あにょ、ノア様…?」

「ん?どしたのベレーザ。」


不意に後ろから声を掛けられて振り向くと、何故か冷や汗を流したベレーザが立っていた。


「な、何故か"足腰強化(中)"が発動してるのですが…」

「ああ、うん。」

「も、もしかして…」

「うん。」ニッコリ。
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