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再びアルバラスト編
二組目
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二組目。
ズザザッ!
「ガハハッ!"野盗200人殺し"のノアは君だなぁ?」
「情報を聞き付けやって来たぞぉっ!」
「我々と勝負して頂きたいぃっ!」
「あ、暑苦しい…」
上半身裸で筋骨隆々の3人組の【拳士】パーティ『筋肉達磨』が勝負を仕掛けてきた。
見た目通りのむさ苦しさとは裏腹に、着々と結界を展開していき、試合は早々に開始された。
先に行ってて良いと伝えたにも関わらず、クロラとヴァモス、ベレーザ、後、先程戦った鎧姿の男性は残って試合を見ていく事になった。
「行くぞぉっ!少年んっ!」
「血湧き肉躍る戦いをぉっ!」
「所望するぅっ!」
「静かに戦えないのかアンタらわぁっ!」
『筋肉達磨』の3人は縦に並び、一直線にノアを目指す。
ガタイの割に動きが早く、一気に距離を詰められる。
「ぬぅりゃあっ!!」ブォンッ!
ヒュオッ!「シッ!」ボボッ!
ドドッ!「ぐっ!ぬうっ!?」
正面からやって来た男性の繰り出した大振りの右の打ち下ろしを回避したノアは、素早い左腕の二連撃を脇腹と脇の下に打ち込む。
「ゲフッ…的確に、そして重い連撃をこんなに素早く急所に打ち込むとは…やはり本物!
ぐっ…散れぇっ!」
男性の合図と共に、追従していた2人が左右に展開し、同時攻撃を仕掛けてきた。
バシッ!「ぬおっ!?」ドサッ「おわっ!」
急所を打たれて苦悶の表情の男性に、強烈な足払いをして転かすと、右から来ていた男性の進行方向を潰す。
ドゥッ!「その筋肉、見せ掛けじゃないだろうなぁっ!」
「無論だぁ『ズムンッ!』おごぁあっ…!?」
左の男性に向け強襲を仕掛けるノアは、彼らが見せびらかしている自慢の筋肉、ボコボコに盛り上がった腹筋目掛けて強烈な右腕の一撃を打ち込む。
ザッ…ザッザッ…
「お、おぐぉ…かはっ…」
「おー…凄い…耐えたよ…」
男性は致命傷判定を受けず、数歩後退りしただけに止まった。
だがかなりのダメージが入っている様で、直ぐの戦闘復帰は難しそうだ。
「…兄者を一撃で戦闘不能にするとは…流石としか言えん…」
「おいおい、怖じ気付いたか?血湧き、肉躍る戦いがご所望なんだろ?
2人共、人間を相手にしてると思うなよ【鬼神】を相手にしてると思って掛かってきな。』
「「お…ぅおお…」」
赤黒いオーラを立ち昇らせ、赤黒い眼で2人を見据えると、体中から汗が噴き出す。
「オ、ォォオオオッ!」ブォン!
「ヌォオオッ!」ブンッ!
ガンッ!『どうした?拳が軽いぞ、体重を乗せろ!こんな風に、な!』
ガヂョッ!「おがぁあぁっ…!?」
男性の繰り出した右腕を顔面に受けるノア。
だが、赤黒いオーラに阻まれて全くダメージは無い。
お返しとばかりに体重と腰の捻りを加えた重い左の一撃を受け、男性は体をくの字に曲げたまま結界の外まで吹き飛ばされた。
「オォオオオオオオッ!」ドガガガガガッ!
『はっはー!手数重視で1発1発が軽い!こんなんじゃ牽制にもならねぇぞ!』
頭上で拳を握ったノアは、手数で攻撃に転じさせるのを阻止しようとする男性の頭に振り下ろす。
ドグァッ!「…ごっ…!」ドサッ!
地面に叩き付けられた男性は、勢いが止まらず硬い地面を跳ねて転がり、結界から弾き出された。
『おぅ、回復は終わったかな?』
先程、ノアの拳を受け切った男性の元まで向かう。
「…ふ、ふふ…君の銅像にあったギミック…
あれは過剰演出かと思っていたが、本当だったとはな…」
『余計な話は良いんだよ、さっさと終わらせてやるから掛かってこい。
お前らを倒したらアイツらの相手もしなきゃならんからな。』
ノアがピッと指を指す方向には、数人の男女と騎士を連れた貴族の馬車が待機していたが、全員漏れ無くドン引きしている。
「後が控えているんだな…済まな…」
男性が言葉を中断して目の前に立つノアを見やると、ノアは右の拳を体の側面で構えた状態で待機している。
拳には赤黒いオーラが集まり、陽炎の様に揺らいでいる事から力を溜めているのが見て取れる。
『どうした?掛かってこいよ。
この結界の中じゃ頭が弾けようが、腸をぶち撒けようが死にゃしないんだろ?
そのご自慢の腹筋に穴空けてやるからさっさと掛かってこいって言ってんだ。』
目の前に立つ少年から放たれた言葉に嘘偽りは一切無い。
あの拳を受けたら間違い無く言葉通りの事が起こる。
「…いや、済まない。降参する。我々の負けだ。」
腹部を押さえた男性は素直に負けを宣言した。
『あ?勝手に挑んできて勝手に終わらせんじゃねぇよ。』
「え…」
『お前が来ないんならこっちから行くぞ。』
ズドァッ!ヒュボッ!
1歩で男性の足元に迄接近したノアが目にも止まらぬ早さの拳を男性の腹部目掛けて繰り出す。
男性はノアの姿を見失っているのだが、直下に迫る死の気配を何と無く察していた。
だが体は硬直していており何も出来ずにいた。が
ブォンッ!『あ。』
だがその前に男性が"降参"と発言していた為、結界は閉ざされ、男性は弾き出された。
ノアの放った拳は空を切る形となった。
三組目
『次はお前だな。
…何だ1人か、良いだろうさっさと「あ、ごめんなさい、皆用事思い出したとかで帰っちゃって…」
『…あっそ。』
四組目
「わ、我々は後ろの馬車に居られる、ヴァリエンテ伯爵の長女ミミカ様に仕える騎士団『乙女の盾』。
や、"野盗200人殺し"のノア殿に是非ミミカ様の婿『お断りします、お帰り下さい。』
「は、話だけで『お断りします、お帰り下さい。』
「こ、これは名誉ある『お断りします、お帰り下さい。』
騎士達が口を開く度に断りを入れるノアに痺れを切らしたのか、後ろで停車している馬車の扉が開く。
ガチャ…
「ふ、噂通り欲の無い方の様ですね。
そこな冒険者よ、私の婿になる権利を与えよう。」
中から扇を手に持ち、派手なドレス風のワンピースを着た少女が姿を現す。が
「3人共弱点ががら空きなので、ガードを常に意識して…」
「ふむふむ…」
馬車の少女には目もくれず、先程戦った『筋肉達磨』の3人に戦法をレクチャーしていた。
「ちょっとあなた!私が話てんだから聞きなさいよ!」
「だから言ったじゃないですか"お断りします、お帰り下さい。"って。」
改めてキッパリと断りを入れるノア。
「ふん、まぁ聞きなさい!
私はあなたが王都の御前試合で見せた戦いっぷりを見てビビっと来たのよ。
か弱くも可憐な私に相応しい、騎士(ナイト)はあなたなのだとね!
何れ西にある広大な3つの土地を収め、侯爵に上り詰める予定よ!
どう?私の婿になりたくなって来たでしょう?」
「そもそも何で上半身裸なんですか?」
「既製品だと防具のサイズが無くてね…」
「オードゥスのデオとガーラって職員に相談すると良いですよ?」
「おお!それは本当か!」
「おいてめぇら!何和気藹々と話てんだ!
私の話聞けやコラァッ!」ベキッ!
「ミ、ミミカ様、素が出ておられます…」
2度に渡り話を聞かないノアにぶち切れるミミカ。
どうやらこっちが素の様だ。
「もう頭に来た!
『乙女の盾』!懲らしめてやりなさい!」
「「「「「「「え…?」」」」」」」
ミミカと言う少女の放った一言に凍り付く『乙女の盾』一同。
その後ノアの方を見ると、無言で符を地面に置き、結界を張り準備を進めている。
騎士達は皆表情を窺う事は出来ないが、死刑宣告を受けた様な顔をしているだろう。
スタスタ…
「…まぁその…面倒な人に仕えてる様で心中お察しします。」
「…分かってくれるか…」
「えぇ。
ですが容赦はしません、こっちだってあんな要求呑む訳にはいかないので徹底的にやらせて頂きます。」
「…ふ…(泣)」
ズザザッ!
「ガハハッ!"野盗200人殺し"のノアは君だなぁ?」
「情報を聞き付けやって来たぞぉっ!」
「我々と勝負して頂きたいぃっ!」
「あ、暑苦しい…」
上半身裸で筋骨隆々の3人組の【拳士】パーティ『筋肉達磨』が勝負を仕掛けてきた。
見た目通りのむさ苦しさとは裏腹に、着々と結界を展開していき、試合は早々に開始された。
先に行ってて良いと伝えたにも関わらず、クロラとヴァモス、ベレーザ、後、先程戦った鎧姿の男性は残って試合を見ていく事になった。
「行くぞぉっ!少年んっ!」
「血湧き肉躍る戦いをぉっ!」
「所望するぅっ!」
「静かに戦えないのかアンタらわぁっ!」
『筋肉達磨』の3人は縦に並び、一直線にノアを目指す。
ガタイの割に動きが早く、一気に距離を詰められる。
「ぬぅりゃあっ!!」ブォンッ!
ヒュオッ!「シッ!」ボボッ!
ドドッ!「ぐっ!ぬうっ!?」
正面からやって来た男性の繰り出した大振りの右の打ち下ろしを回避したノアは、素早い左腕の二連撃を脇腹と脇の下に打ち込む。
「ゲフッ…的確に、そして重い連撃をこんなに素早く急所に打ち込むとは…やはり本物!
ぐっ…散れぇっ!」
男性の合図と共に、追従していた2人が左右に展開し、同時攻撃を仕掛けてきた。
バシッ!「ぬおっ!?」ドサッ「おわっ!」
急所を打たれて苦悶の表情の男性に、強烈な足払いをして転かすと、右から来ていた男性の進行方向を潰す。
ドゥッ!「その筋肉、見せ掛けじゃないだろうなぁっ!」
「無論だぁ『ズムンッ!』おごぁあっ…!?」
左の男性に向け強襲を仕掛けるノアは、彼らが見せびらかしている自慢の筋肉、ボコボコに盛り上がった腹筋目掛けて強烈な右腕の一撃を打ち込む。
ザッ…ザッザッ…
「お、おぐぉ…かはっ…」
「おー…凄い…耐えたよ…」
男性は致命傷判定を受けず、数歩後退りしただけに止まった。
だがかなりのダメージが入っている様で、直ぐの戦闘復帰は難しそうだ。
「…兄者を一撃で戦闘不能にするとは…流石としか言えん…」
「おいおい、怖じ気付いたか?血湧き、肉躍る戦いがご所望なんだろ?
2人共、人間を相手にしてると思うなよ【鬼神】を相手にしてると思って掛かってきな。』
「「お…ぅおお…」」
赤黒いオーラを立ち昇らせ、赤黒い眼で2人を見据えると、体中から汗が噴き出す。
「オ、ォォオオオッ!」ブォン!
「ヌォオオッ!」ブンッ!
ガンッ!『どうした?拳が軽いぞ、体重を乗せろ!こんな風に、な!』
ガヂョッ!「おがぁあぁっ…!?」
男性の繰り出した右腕を顔面に受けるノア。
だが、赤黒いオーラに阻まれて全くダメージは無い。
お返しとばかりに体重と腰の捻りを加えた重い左の一撃を受け、男性は体をくの字に曲げたまま結界の外まで吹き飛ばされた。
「オォオオオオオオッ!」ドガガガガガッ!
『はっはー!手数重視で1発1発が軽い!こんなんじゃ牽制にもならねぇぞ!』
頭上で拳を握ったノアは、手数で攻撃に転じさせるのを阻止しようとする男性の頭に振り下ろす。
ドグァッ!「…ごっ…!」ドサッ!
地面に叩き付けられた男性は、勢いが止まらず硬い地面を跳ねて転がり、結界から弾き出された。
『おぅ、回復は終わったかな?』
先程、ノアの拳を受け切った男性の元まで向かう。
「…ふ、ふふ…君の銅像にあったギミック…
あれは過剰演出かと思っていたが、本当だったとはな…」
『余計な話は良いんだよ、さっさと終わらせてやるから掛かってこい。
お前らを倒したらアイツらの相手もしなきゃならんからな。』
ノアがピッと指を指す方向には、数人の男女と騎士を連れた貴族の馬車が待機していたが、全員漏れ無くドン引きしている。
「後が控えているんだな…済まな…」
男性が言葉を中断して目の前に立つノアを見やると、ノアは右の拳を体の側面で構えた状態で待機している。
拳には赤黒いオーラが集まり、陽炎の様に揺らいでいる事から力を溜めているのが見て取れる。
『どうした?掛かってこいよ。
この結界の中じゃ頭が弾けようが、腸をぶち撒けようが死にゃしないんだろ?
そのご自慢の腹筋に穴空けてやるからさっさと掛かってこいって言ってんだ。』
目の前に立つ少年から放たれた言葉に嘘偽りは一切無い。
あの拳を受けたら間違い無く言葉通りの事が起こる。
「…いや、済まない。降参する。我々の負けだ。」
腹部を押さえた男性は素直に負けを宣言した。
『あ?勝手に挑んできて勝手に終わらせんじゃねぇよ。』
「え…」
『お前が来ないんならこっちから行くぞ。』
ズドァッ!ヒュボッ!
1歩で男性の足元に迄接近したノアが目にも止まらぬ早さの拳を男性の腹部目掛けて繰り出す。
男性はノアの姿を見失っているのだが、直下に迫る死の気配を何と無く察していた。
だが体は硬直していており何も出来ずにいた。が
ブォンッ!『あ。』
だがその前に男性が"降参"と発言していた為、結界は閉ざされ、男性は弾き出された。
ノアの放った拳は空を切る形となった。
三組目
『次はお前だな。
…何だ1人か、良いだろうさっさと「あ、ごめんなさい、皆用事思い出したとかで帰っちゃって…」
『…あっそ。』
四組目
「わ、我々は後ろの馬車に居られる、ヴァリエンテ伯爵の長女ミミカ様に仕える騎士団『乙女の盾』。
や、"野盗200人殺し"のノア殿に是非ミミカ様の婿『お断りします、お帰り下さい。』
「は、話だけで『お断りします、お帰り下さい。』
「こ、これは名誉ある『お断りします、お帰り下さい。』
騎士達が口を開く度に断りを入れるノアに痺れを切らしたのか、後ろで停車している馬車の扉が開く。
ガチャ…
「ふ、噂通り欲の無い方の様ですね。
そこな冒険者よ、私の婿になる権利を与えよう。」
中から扇を手に持ち、派手なドレス風のワンピースを着た少女が姿を現す。が
「3人共弱点ががら空きなので、ガードを常に意識して…」
「ふむふむ…」
馬車の少女には目もくれず、先程戦った『筋肉達磨』の3人に戦法をレクチャーしていた。
「ちょっとあなた!私が話てんだから聞きなさいよ!」
「だから言ったじゃないですか"お断りします、お帰り下さい。"って。」
改めてキッパリと断りを入れるノア。
「ふん、まぁ聞きなさい!
私はあなたが王都の御前試合で見せた戦いっぷりを見てビビっと来たのよ。
か弱くも可憐な私に相応しい、騎士(ナイト)はあなたなのだとね!
何れ西にある広大な3つの土地を収め、侯爵に上り詰める予定よ!
どう?私の婿になりたくなって来たでしょう?」
「そもそも何で上半身裸なんですか?」
「既製品だと防具のサイズが無くてね…」
「オードゥスのデオとガーラって職員に相談すると良いですよ?」
「おお!それは本当か!」
「おいてめぇら!何和気藹々と話てんだ!
私の話聞けやコラァッ!」ベキッ!
「ミ、ミミカ様、素が出ておられます…」
2度に渡り話を聞かないノアにぶち切れるミミカ。
どうやらこっちが素の様だ。
「もう頭に来た!
『乙女の盾』!懲らしめてやりなさい!」
「「「「「「「え…?」」」」」」」
ミミカと言う少女の放った一言に凍り付く『乙女の盾』一同。
その後ノアの方を見ると、無言で符を地面に置き、結界を張り準備を進めている。
騎士達は皆表情を窺う事は出来ないが、死刑宣告を受けた様な顔をしているだろう。
スタスタ…
「…まぁその…面倒な人に仕えてる様で心中お察しします。」
「…分かってくれるか…」
「えぇ。
ですが容赦はしません、こっちだってあんな要求呑む訳にはいかないので徹底的にやらせて頂きます。」
「…ふ…(泣)」
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(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
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