ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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再びアルバラスト編

時間は30分程遡る

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時間は30分程遡る。

バンッ!「失礼するぞ!」

カルルが勢い良く冒険者ギルド内に入ると、夜分という事や、外で見世物が行われていたと言う事もあってか中には職員・冒険者合わせても20人程。

冒険者ギルド入口に設置されているテーブル席にたむろしている冒険者達は全員古参の冒険者ばかりで、勿論当時野盗殲滅戦に参加した者達だ。

周囲の者達は、ズカズカとやって来たカルルを見やるも、当人は構わずカウンターへと向かう。


「何か御用でし「緊急の依頼をお願いしたい!腕っぷしのある奴なら冒険者だろうが、その辺の輩だろうが誰でも構わん!」


声を荒げてそう言い放ったカルルを周囲の者は、不審人物を見る目で見やる。

ギィッ…

「おいおい何事だ…?」


カウンター近くの部屋から出て来たのはこの冒険者ギルド長であるワークスだった。


「貴様がギルド長だな?
私はヴァリエンテ・カルルと申す!急ぎ緊急の依頼を出したいのだが!」

「ヴァリエンテ…西の貴族様が何でまた…
おい、誰か現地に文を…」

「いや、待て!
これは私個人が出す依頼故、確認は不要だ。」

「…ほう?
それで、緊急の依頼と言うのは?」

「"野盗200人殺し"の討伐だ!」












「「「「「「「は?」」」」」」」

「何を呆けている、さっさと依頼を出「待て待て待て待て、一体どういった経緯でそんな事になったんだ?
理由位聞かせて貰えないだろうか?」


周囲に居る冒険者全員の頭上に『?』が浮かんでいる事だろう。

カルルは『良いだろう』とでも言いたげな顔でふんぞり返り


「奴は私の妹のプロポーズを断りおったのだ!」








(((((((((((くっそ、しょうも無ぇ…)))))))))))

「…あー…その程度の話でわざわざここに来ないでくれるか?
冒険者ギルドは無料相談所とは違うんだぞ?」

「その程度とは何だ貴様!
奴は妹のプロポーズを断っただけでなく兵を痛め付け、私に脅しを入れたのだぞ!」

「前後を話せ。」

「は?」

「そうなった経緯の前後を話せ、と言っている。
場面だけを切り取って発言されてもこちらは判断出来ないんだ。
それに、奴がそんな短絡的に事を起こす様な奴とは思えないんでな。」

「ふん、良いだろう。奴は…」


と、そこからカルルは10分程時間を掛けて丁寧に事の詳細を話す。

妹のミミカがノアにプロポーズを断り、妹が腹いせに兵を戦わせ、ノアはそれを蹴散らせた。

その話を聞いたカルルが文句兼制裁を加えに、兵と共に向かった結果、ノアに注意を受け逃げ帰って来たが、腹の虫が収まらないので依頼と言う形で申請しに来た。


「と言う訳だ!」

「そうですか、お帰り下さい。」

「おい待て、何故だ!」

「何故だってアンタなぁ、今の説明のどこにもあの坊主に非がある部分は無いだろう。」

「妹のプロポーズを断っただろう!」

「お前さんなぁ、その理屈が通るなら、俺みたいなジジイが妹さんに求婚「ふざけるなよ貴様ぁ!」

「聞け聞け、今のと同じだろ?
俺からの求婚を断った事でお前に制裁を加えるのだって出来る、って事だぜ?」

「貴様らの様な下民と俺の妹を同列と考えるなぁっ!!」

「「「「「「あ?」」」」」」


ギルド内の各所から殺気が上がる。

すると少し冷静になったカルルが発言を撤回しに掛かる。


「…あ、いや、済まない、つい頭に血が昇…」


『ダンッ!』


「ホラよ、依頼書だ。
発言を撤回しようが今の発言は取り消せねぇぞ、お前さんはあの坊主に一度徹底的に叩きのめして貰わんと性根が治らんだろう。」


そう言ってワークスはカルルに依頼書を叩き付けた。

この時のワークスの考えとしては、依頼書を出したとしても、参加する者は皆無と思っていた。
多少集まったとしてもノアの事だからどうとでもなるし、最終的にはタイマンでお灸を据えて貰おう。

と、ワークスは考えていた。


だがワークスは思ってもみなかった。
街への人流が増えた事で、ノアの実績をよく知らない奴らばかりが街に流入していた事を。


サラサラサラ…「これで良いかな?」

「…ああ、じゃあこの内容で申請するからな。」

「あぁ。あとそうだ、これはくれぐれも秘密裏に行う様にしてくれ。」

「は?秘密裏に、って…
アンタ秘密裏の意味知ってんのか?」

「?誰にも気付かれない様に、だろう?
ホラ、依頼金はこれで頼むぞ。ふふ、奴の苦しむ顔を見るのが楽しみだ…」


などと言いつつ、カルルは一仕事終えた、みたいな顔をしてギルドを出ていった。







「これを…秘密裏に、ってなぁ…」

「ワークスさん、その依頼書見してくんない?」

「ホラよ。」ぺらっ…


ギルド長のワークスが無造作に依頼書を置く。
他の冒険者がそれを食い入る様に見詰める。



                     ~"野盗200人殺し"の討伐~
依頼主:とある貴族の長男
依頼金:200万ガル(1人1万ガルで最低200人は欲しい)

"野盗200人殺し"奴は妹ミミカを傷付けた!
兄である私が報いを受けさせてやりたいが、奴は噂にある様な武力では無く不可思議な術を使って来る。
私個人の力では心許ないので、私に力を貸してくれる者を集いたい!
腕っぷしに自信があれば誰でも構わん、冒険者だろうがその辺の輩だろうが私は一切構わない!

野盗なぞ、たかだか素人集団の集まりに過ぎない。今こそ"野盗200人殺し"の化けの皮を剥がしてやろうではないか!

ヴァリエンテ・カルル(サイン)



「「「…おい、嘘だろ…
妹の名前と家名入りの依頼書で、その辺の輩集めた上で秘密裏になんて無茶苦茶過ぎるだろ…」」」

「しかもアイツ文章おかしいだろ、最終的にあの坊主の化けの皮剥がすのが目的になってんじゃねぇか。
あと、アイツ何処で戦わせるつもりだよ、場所書いてねぇじゃねぇか。」

「本線から脱線してるよな…」

「でも大丈夫だろ、こんなアホみたいな依頼受ける奴そうそう居ないぜ?」







~そして現在~


「はっはー!面白そうじゃねぇか!受けるぜ!」
「俺もだぜ、ヒャッハー!」
「「割の良い依頼だぜぇ…」」
「化けの皮剥いだるぜぇあ!」

「…ギルド長、定員に達しました…」

「嘘ん…(ギルド長)」


現在ギルド内には200を越える人々が押し寄せ、宛らすし詰め状態である。あと酒臭い。


「…まぁ起こっちまった物は仕方無い、言われた通りなるべく秘密裏にやるっきゃねぇな。」

サラサラ…

「ん?文何か書いてどうすんの?ギルド長。」

「あん?流石にこの規模で秘密裏に、何て無理があるからな、"関係各所に事前連絡"しておくんだよ。」

「"関係各所"って…」

「そりゃ、この国の王と依頼主の親、戦場になる場所の領主と当の本人、後は街に居る人々だよ。
情報規制せにゃ、やべぇ事になるからな。」
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