ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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再びアルバラスト編

エレメンタル・フェアリーズ

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所変わってここはアルバラストの冒険者ギルド、又は"野盗200人殺し"の銅像前。
ここでは現在、火・雷・風・氷の4人組妖精の冒険者パーティ兼2時間置きに街での見世物を行っている『エレメンタル・フェアリーズ』によって街に居る人間に対して勧告を行っていた。


『『『『えー、ご来場の皆様にお伝えします。
ぶちギレ状態の"野盗200人殺し"がこの街に急速接近中です。
非戦闘員、一般の方で観戦される方は防壁の方に上がって来て下さい。
後3時間程でこの街、正確には北門の外は戦場と化すでしょう。
原因は勿論、"野盗200人殺しの討伐依頼"を申請した依頼主。
謂れの無い嫌疑に腹を立てた本人様が依頼主・参加者に鉄槌を振るいに来るとの事ですので、依頼主・参加者以外は急ぎ北門周辺から退去願います!』』』』


妖精4人の澄んだ声が街中に響き渡る。

普通この手の勧告がなされれば、避難等で辺りは地獄絵図となる物だが


「え?来るの!?"野盗200人殺し"が!」
「本物?本物?」
「ほほぅ、あの時の戦いがまた見れるのか。」
「はっはー!化けの皮剥がしてやるぜー!」
「っしゃぁっ!受けて良かったぜ!」
「ちっ、こんな事なら依頼受けときゃ良かったぜ!」
「これは商機!畳んだ店を開き直せ!」
「腹が減っては何とやらだ!兄ちゃん達、腹ごしらえ済ませときな!」
「武器防具の手入れ如何ですか~!」


などなど、色んな意味で騒がしくなった。

だが、この勧告を受けて顔を青くしている者が1人、ギルドを訪れていた。




「あ、あれは何だ!秘密裏にやれと言ったじゃないか!」

「お前さんよぉ、この規模で、その辺の輩集めて依頼出しといて秘密裏はねぇだろ。
だから残された時間で今日、ここで行われる事を"秘密裏"に行える様に準備を進めてるっての。
その為に関係各所に連絡して"根回し"してあるからよ。」

「か、関係各所?」

「あぁ。
国王、お前の親父さん、討伐対象本人、この街の領主、そしてこの街にいる者全員にだ。」



『『『『尚、戦闘による被害を抑える目的で街の各所に魔導具を設置させて頂く事をご了承下さい。』』』』


外では『エレメンタル・フェアリーズ』の勧告が続いていた。


「今のも"根回し"の一環。
お前さんと親父さんとの関係がどうなるかは分からんが、お前さん所の家名が世間から受ける風当たりは最小限に抑えられるハズだぜ?」

ガチャッ!

「カルルお兄様!」


ギルドの扉が開くと、ドレス風のワンピースを来たカルルの妹のミミカが現れた。


「あ、ミミ『バシッ!』

「へぶっ!?」


ツカツカと歩み寄って来たミミカがカルルの頬を思いっきりひっ叩き、乾いた音がギルド内に響き渡る。


「プロポーズを断られ、兵を差し向けた私が言うのもアレですが、幾ら何でもこんな大規模な討伐はやり過ぎです。
コレでは当時の野盗と同じですわ!」

「お、俺は傷付いたミミカの為を思っ『ゴツッ!』

「傷付いてねぇわ!
貴族特有の長ったらしい断りの言葉言われるよりか、あれだけスッパリ断られて寧ろ清々しい位だわ!」


カルルの言葉を遮って顎に良い一撃を加えるミミカ。


「それにしても何ですかあの依頼書は!
あの場限りの話のハズだったのに、自分の名は伏せ、私の名はデカデカと書いたお陰で、プロポーズをして断られた事が広く世間に知れ渡ってしまいましたわ!」

「…え?ああっ!?」 


今更自分の書いた依頼書を見て指摘に気付く辺り、かなり抜けている様である。


「そもそも、家族の目を通さずに書類申請を出すなと、この間の一件であれ程言われたでしょう!」

「あ、あの件は…も、申し訳ありませんでした…」


実はこのカルル、父親のルルイエから西の大地でのある任務の為、兵の食糧関係の一切を任されていたのだが、何度も確認したとの事で申請したのだが、桁を1つ間違えていた事が任務先で発覚。
兵を飢え死にさせ掛けると言う大失態を引き起こしていた。

その為書類関係の手続きがある場合、最低でも妹のミミカに目を通して貰ってからでないと行わない様に取り決めをされた。(それでも最低2回は間違いを指摘されて突き返させられるが。)


「…今回の件の発端になった私の責任もありますので、何らかの罰が下るでしょうが、兄様はかなり重い罰が下されるでしょう。」

「ば、罰…は、剥奪、とか、かな…」

「さぁ、剥奪で済めば良いですが。
まずは父が来ない事には始まりません。
ですが脳筋な父の事です、先ずは『ぶん殴られて来い』と言うでしょうね。」

コッコッコッ…ガチャッ!

そう言葉を残してミミカはギルドを出ていった。







さて、そんなカルルの父親はと言うと


「ディヴェント、急ぐのだ!」

グルルル。

ディヴェントと名付けられた、翼を持たない全長30メル程もある蛇の様な竜に乗り、空を駆けるルルイエ。


「…このまま行けば1時間程でアルバラストに着くだろうが、"野盗200人殺し"のノアと言う子は今どの辺りだ…
『上空から見れば分かる』なんて言ってたが、俺はエルとは違って不老じゃないからガッツリ老眼だっつーの…
…って何だ、あれは…」

グルル?

ルルイエがぼやきつつも眼下を眺めていると、自身が目指すアルバラストへ向けて一直線に移動する数人の集団を見付ける。

但し速度が尋常ではない、本道であろうが林だろうが崖だろうが速度を緩める事無く進んでいる。


「なる程な、あれが例の…
ディヴェント、あの集団の所に向かってくれ!」

グル。


ルルイエは指示を飛ばすと、竜は降下を開始した。






ズドドドドドドドドッ!

「ね、ねぇノア君?ずっと走りっ放しだけど大丈夫?私重くない?」

「ふふ、そんな事ありませんよ~。
軽くて逆に心配しちゃいますよ。
それよりも、放すつもりはありませんが、振り落とされない様にしっかり掴まってて下さいね?」

「うん…。」キュゥ…

「ははは、相変わらず2人は仲が良いですねぇ。」


馬の全速力以上の速度で駆け続けているハズなのだが呑気な会話をする2人。
こう考えるとノアの異常さにクロラも慣れてきた様だ。

だが、それとは対称的に


ズドドドドドドドドッ!

「ノ!……大……こ、黒…ぜはっ、……っ、かい、……!!(ノ、ノア様も大概だが、この黒い人も何でこんな平然と会話が出来るんだぁっ!!)」

「…にゃ…ふに…にゃ…ひにゃ…ふにゃぁ…(…にゃ…ふに…にゃ…ひにゃ…ふにゃぁ…)」


ヴァモスとベレーザは早々に四足歩行状態となって全力で2人を追い掛けているが、着いていくのでやっとといった感じである。


「うーん、2人に合わせてたらちょっとペース的にアルバラストに着くまでに時間掛かっちゃうなぁ…」


と諜報部の者が呟いた直後


「丁度良い、乗って行かないか?
私としてはそちらの少年に話さなければならない事がある故、是非とも受けて貰いたいのだが…」

ゴガガッ!

ノアが地面を割り砕きながら急制動を掛けて停止する。

一同の側を並走する形で竜に乗ったルルイエが現れる。


「…と言う事はあなたが彼の親御さん…ルルイエさんで宜しいのですね?」

「あぁ、こんな形で会いたくは無かったがな。
詳しくは乗ってから話すとしよう。」

「分かりました。」


ルルイエから促されたノアは素直に乗る事にした。
その後ろではヴァモスとベレーザの2人が汗だくになりながらも非常に安堵した表情をしていた。


「「た、助かった」にゃ…」
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