ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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再びアルバラスト編

火球の勢いが衰えて

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火球の勢いが衰えていき、中心に向かって魔力が吸収されていく感覚を覚えるエレクトラ。

スッ…〔〔〔…あ…〕〕〕

撃ち込んだ体勢を解いて腕をだらりと下げたエレクトラを見て、後ろに立つ3人は色々と察した様だ。


《ごめんなさいね、この間コモンとか言う元人間と戦った時に耐性系が上限に達しちゃったからあなた達の魔法は大して効かないの。》

ボファッ…

煙が晴れると中から無傷のグリードが姿を現す。
未だ光球も輝きを保ったまま宙に浮いている。

コォオオオオ…

《それで?追撃が無いみたいだけどもう終わりかしら?》


目の前に立つグリードから問い掛けられた4人は返答を返す事に。


〔…私達の最高火力を意図も容易く吸収されちゃったんだもの、追撃するだけ無駄よ…〕
〔…龍であるあなたと戦えた事、光栄に思うわ。〕
〔せめて一矢報いたかったけどね…〕
〔降参よ。私達の負《あら?何勝手に終わらそうとしてるのかしら?》

〔〔〔〔え?〕〕〕〕


『エレメンタル・フェアリーズ』の面々が降参しようとすると、グリードが言葉を遮り割って入ってきた。


《あなた達はそもそも勝手に挑んできた分際でこちらはそれに応えた側よ?
あなた達、狩りに行って、倒せなかったから止めて許してくれるモンスターが居ると思う?》


グリードからの言葉を聞いた4人は、背筋に冷たい物が伝わる感覚を覚える。


《それに私、あなた達の魔力気に入っちゃった。
だって凄く美味しいんだもの。
特に"追い詰められて切羽詰まった時の魔力の味なんか最高だったわ。"》

ギュィイイイイッ!

グリードの周囲に浮遊する光球が輝きを増していく。


《主様から"丸呑み"は禁じられてるけど、手足の1、2本は覚悟してね♪》

ブワッ!

〔ぜ、全員全力で逃げろっ!〕
〔〔〔が…合点でぃっ!〕〕〕


グリードの明るい声音とは裏腹に、おぞましい気配が放たれた瞬間、リファイアは声を上げて逃げに徹するよう指示を飛ばした。


『『『『『『『『シュバッ!』』』』』』』』

〔きゃ『ボッ!』ぁあっ『ボッ!』!?〕
〔ぬがが『ボッ!』っ!〕
〔うっ…ひぃいいっ!〕
〔ひ、『氷帝のた『ボッ!』〕


グリードの周囲に浮遊していた光球8つからプラズマレーザーが4人目掛けて発射された。

リファイアは魔装の右肩と左足を容易く貫通、ウィンディアは左腕に被弾、動きの速いエレクトラは何とか凌ぎ、防御にシフトしたフリージアだが、生成途中の氷の盾諸とも右腕を持っていかれた。


〔あ、危なかった…やられたのは魔装部分だけみたい…〕
〔わ、私も…〕
〔魔装だけなら魔力でどうとでもなるけど、本体がやられてたらマズかった…〕


体の2ヶ所に被弾したリファイアの魔装を見てみると、被弾箇所から本体である妖精の体が僅かに見えていた。

この【魔装状態】は、生身の体の上に魔力を練って作った強固な鎧である為、部分的に破壊されても魔力が続く限り再生は可能である。


シュルルッ!ガプッ、ガッ!ガブブッ!


グリードは地面を這い、破壊した各々の魔装部位を齧り取る。

ガリッ、ゴリリッ…

《うむうむ…やはり美味しいですわね…
リファイアさんは濃厚で、ウィンディアさんは滑らかで、フリージアさんは歯応えがあって…
エレクトラさんはどんなお味なんでしょうねぇ…》

リファイアやウィンディアの魔装をボリボリと齧りながらグリードに見詰められたエレクトラは、さぞ身も凍る想いであっただろう。


〔ふ、ふふ…私はパーティ内最速だからね、そう簡単には捕まらないよ。〕


グリードにそう言い放ち、不敵な笑みを浮かべるエレクトラ。
するとグリードは


《あらそうですか、では私も少し本気を出しますので、"誤って多く齧っちゃったら"ごめんなさいね。》

〔…ひっ…〕バヂッ!


表情は分からないが、恐らく不敵な笑みを浮かべ返したであろうグリードに恐れ戦いたエレクトラは猛然と駆け出す。

バヂッ!バチッ!バチチッ!バヂヂッ!

エレクトラは体の一部を稲妻と化し、光の帯を引きながら周辺を縦横無尽に駆け巡る。

その様は宛ら雲の中を駆ける稲妻の如し。

グリードはどうやってこの速度のエレクトラを捕らえるのか、と『エレメンタル・フェアリーズ』の面々が身構えていると


《ふぅぅぅぅぅぅ~…》


グリードが徐に下を向いて息を吐き続けていた。
その光景に、逃げに徹していたエレクトラも思わず足を止める。


バヂュンッ!〔え?何してるんだろ…〕

〔エレクトラ、油断しないでね!〕

〔ええ、皆もね!〕


《すぅぅぅぅぅぅ~…》


〔…今度は吸い始めたよ。〕

〔深呼吸?〕

〔溜め技か何かかな…〕

〔分からない!何にしても注意を怠らない様に!〕


と、注意を促していたエレクトラだが、異変はそのエレクトラから起こり始める。

バギンッ!〔うわっと!?〕

〔〔ちょっ、ちょっと大丈夫!?〕〕
〔足の魔装が剥がれてるじゃない!〕


エレクトラの足の部分を見ると膝の辺りから魔装がポッキリと折れ、地面に落下、サラサラと消失していた。


〔ごめんごめん…疲れて集中力切れてきて、魔装の維持が難しくなってきたのかな…?〕

《すぅぅぅぅぅぅ~…》

〔気を付けてよ?
こんな所あのりゅ『バギンッ!』うぇっ!?〕

〔ちょっ、リファまで『ボキッ、パキッ!』きゃっ!?〕

〔よく分からないけどマズイ状況ね、一先ず離だちゅしへぇ?〕ドサッ!


エレクトラに続いてリファイアにフリージアも同様の現象が発生、退避しようとしたウィンディアは急激な脱力感に襲われ、その場に崩れ落ちてしまった。


《すぅぅぅぅぅぅ~…》

『『『『バシュッ!』』』』

「は…ぐっ…」ドサッ!
「か、はっ…」ズシャッ!
「ち、力が…」ドサッ!


グリードの吸引が続く中、全員の【魔装状態】が強制解除された。

子供サイズの体が剥き出しになった妖精達は、立っていられなくなる程の脱力感に襲われ、地面に倒れ込む。


《すぅぅぅっ。
…っと、こんな所かしらね。
魔力主体の妖精達にとってはキツかったでしょうね。》

「い、一体何を…」


吸引を止めたグリードは、地面に這いつくばって身動き取れずにいる妖精達を眺めている。


《簡単な事よ、周囲に満ちてる魔力を吸収しただけよ、あなた達の持つ魔力ごとね。》

「そ、そんな馬鹿な…」
「この場の魔力を…全て…!?」

《そうね、ざっくり半径200メル以内の魔力は吸収したかしら。
その結果あなた達は【魔装】が維持出来なくなって崩壊。
手足を動かす所か、呼吸などの生命活動にも支障をきたし…御覧の有り様よ。》


妖精は元々魔力の保有量、自然回復量が多く、人間で言う呼吸や食事なども魔力で賄っている。

それが突然無くなればどうなるかは想像に難くない。

人間で言えば酸素が突然無くなる様な物だからだ。
だが前述した通り自然回復量が多い為、0になっても動けなくなるだけで死ぬ事は無い。

ただグリードが目の前にいる状態で動けなくなるという事は…


ポタ…ポタタ…

ニュルル…

《あ~美味しそう…
待ちに待ったエレクトラちゃん…どんなお味かしら…》ペロッ。

「ひぃぃ、ぅううっ!?」


グリードの口からはポタリポタリと涎が垂れ、3メルはあるだろう、長く、ザラリとした舌がエレクトラの頬を這う。

捕食される側となったエレクトラは恐怖に怯えている。


「「「……。」」」カタカタ…


同様に身動き1つ取れずに倒れ伏している仲間達はこの後起こるであろう惨劇に身を震わせていた。


《そんな怯えないでぇ…痛い事はしないから…
それじゃあ頂きま~す。》
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