ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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再びアルバラスト編

イチャコラの波動

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ズザザッ!「イチャコラの波動はここか!」

「「ひぃっ、出た!」」


ノアとクロラが会話をしていると、脇道からボサボサ頭のポーラが滑り込んできた。


「あ、あれ、ポーラちゃん湯浴みに行ってたんじゃないの?」

「上がった後、夜風に当たってたらイチャコラの波ど…う"う"ん!胸騒ぎを感じてね、面白い事…う"う"ん!不安に駆られてやって来「言ってる、全部言ってるから言い直さなくて良いよポーラちゃん…」


相変わらずこの手の話をしていると何処からともなく姿を現すポーラは、眉唾物の波動を感知してやって来たらしい。


「それに、パーティメンバーのステータス確認したらクロラが"高揚"状態になってるんだもの、"これは少年と一緒に居るな"と思って<地獄耳>を発動して周辺を探ってたら少年の声で『手綱を引いてて貰いたい』なんて聞こえてきたのよ?
遂に少年がクロラに告ったと思って見に来たのよ。」

「そう思うなら静かに見守っててくれよ…
何故かポーラの気配って分かり辛いんだから…」

「ふふふ…その辺りは秘密という事で。
それでクロラは了承したの?」

「あ、あのね、ポーラちゃん。
さっきの事は告白じゃなくてね…」

「あー、取り敢えず場所移さない?」


割と説明が必要な為、ポーラも引き連れ屋台街の方に向かう事にした。










チュルルルルッ…

「あら残念、漸く少年がクロラに告ったと思ったのに…」

ズルルルルッ…

「いやいや…"僕の手綱を引いてて貰いたい"、って言う告白がどこにあるんだよ…
あ、おじさん、そばもう一杯。」

「はいよ。」

チュルルルルッ…

「あら、少年の様に色々と危なっかしい人程、しっかり者のクロラみたいな子が手綱を引いてた方が良いと私は思うけどね。」

ズルルルルッ…

「ほー、クロラさん、しっかり者なんですね。」

ズバババッ。

「そ、そんな事無いよ…
あ、おじさん、私もそばもう一杯。」

「はいよ。」

チュルルルルッ…

「クロラはしっかり者よ。
少年の前だとデッレデレになってるけど、普段はパーティの財布番をお願いしてるの。」

ズ…

「…クロラさんに…財布番を…?」

「…えぇ。
最初は皆少年と同じ反応をしたものよ…」

「まぁ皆そう思うよね…」


日頃のクロラを見ていれば、パーティの財布を任すのがどれ程躊躇われる事か、想像に難くない。


「でも今となっては正解だったわ。
新人冒険者パーティの半数が金銭面で解散する中、クロラは買い物の仕方が上手だし、こうして余裕を持って食事が出来るのはクロラのお陰よ。」

チュルル…

そう言って再びそばを啜るポーラ。


ポーラの言う事は実際によくある事で、新人冒険者パーティ解散の大半の理由が『金銭面』である。

何故なら、新人冒険者同士で作ったパーティなぞ、【適正】の儀を受けたばかりの素人集団でしかなく、まともな稼ぎを得る事は難しい。

しかもパーティである以上稼ぎを分割しなければならないが、パーティの人数が多くなると、その分1人1人の手に渡る金は少額になる。

そこから各々のポーション等の消耗品、武器の手入れの代金、日々の食費が引かれる為自由に使える金は微々たる物にしかならない。

だが、王都やアルバラスト等の大きな街には誘惑は多い。

新人冒険者の大半が春先に旅立つ事が多い為、商人達はその時期に狙いを定めてギリギリ手の届きそうな額の装備を売りに出す。

男の子は見た目が厳つく、女の子は派手目を好む傾向にあるとか。(性能はそこまで重視していない。)

お年頃な性格もあって"自身の実力を高く見積もってしまう"傾向にあり、その装備買いたさに新人冒険者にしては難易度の高い依頼を受け、失敗。
違約金を払う羽目になる流れが稀にあるらしい。

そして冒険者生活を開始して大体1ヶ月程すると、そういった事が足を引っ張り始め、2~3人組パーティはまだしも、4~6人組パーティの多くは金銭面に困窮し、解散する事が多いという。





「矢やポーションの類、食料等をその都度買い足すのでは無く、ある程度纏まった量で買う事で安く抑え、道中破損して捨てられている武器や防具を武具屋に持って行けば買い取って貰える上、修理や手入れもやって貰えるなんて…
クロラに言われるまで思ってもみなかったわ。」

チュルル…

ポーラはそばを啜りつつもクロラのやり方に感心し、素直に褒めていた。


のだが


チュピッ「うーん…今の所雨雲が接近してる様子は無し…っと…」


ノアは指を舐めて風向きを確認し、雲の流れを見ている。


キュッ「ポーラちゃん、何か欲しい物あるのかな?
高くてもちゃんと言ってね、捻出するから。」


優しくポーラの手を握り、我が子に言い聞かせるかの様な口調で問い掛けるクロラ。


「…2人の対応で私が普段どういう目で見られてるのか何と無く察したわ。
と言うかクロラ、まだ捻出の余地があるのね…」


素直に褒めただけなのに何か変な誤解を与えてしまったポーラ。

『今後はもうちょっと普通に接しよう』

そう心に決めるポーラであった。







「それで少年よ、明日はアルバさんと話がある様だから良いとして出立するのは明後日以降かしら?」

「いや、用事が早い段階で済んで、皆さんに予定が無ければ早々に街を出立しましょう。
道中何があるか分からないので。」

「少年は良いの?
…その、さっきしんどそうにしていたじゃない?」


ポーラなりに心配している様だ。


チュピッ「……。」

「ポーラちゃん、この間護身用の鞭欲しいって言ってたよね?
良いよ~クロラお姉ちゃんに任「風向きを見るな、手持ちのお金でどうとでもなるから費用を工面しようとしない!私は至って普通よ!」


自分なりに普通に接したつもりなのに様子がおかしいと思われてしまったポーラは

『やっぱ今まで通りに接しよう』

そう心に決めるポーラであった。







「取り敢えずは腹一杯になったら呼び出しがあるまで寝るとするよ。」

「その方が良いよ、ノア君クタクタだものね。」

「…ふぅ、私はもうお腹一杯。あなた達は腹何分目?」

「「2。」」

「…そう、それじゃあ私は先に宿に戻るわね。
後は2人仲良くゆっくり食事を楽しんでらっしゃい。
おじさん、お代置いておくわね。」チャリ…

「はいよー。」


席を立ったポーラは、代金を支払って屋台を後にしようとする。


「ポーラちゃん、本当に大丈夫?」

「普段だったら僕らの痴態見たさに、カウンターに囓り付いてでもこの場に残るハズ…」

「痴態を行ってる自覚はあったのね…
深読みしなくても良いわ、あなた達が満腹になるまで待ってたら胃が凭れるから先に戻るだけよ。」


そう言って軽く微笑んだポーラは、1人宿へと戻っていった。

その後ノアとクロラは2軒程の屋台に連れ立っていき、お互い食事と2人っきりの時間を楽しんだのであった。






その頃宿に居るヴァモスとベレーザ、ヴァンディットはというと


「ふがっ…あれ!?ノア様!?ノア様!?」

「んにゃあ、ヴァモシュ、まだ眠いにゃ…」

「むにゃむにゃ…う~ん、ふかふか~。」
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