ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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再びアルバラスト編

買い出し

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アルバラストの武器、防具ギルドが建ち並ぶ東南エリアに買い出しに来た一同。


「矢を300本と替えの弦を2本下さい。
あと、ヨツメウサギの皮4枚と折れた矢を70本程持ち込みで。」

「おお、大量購入の上に持ち込みと来たか。
うむ、皮の方は状態が良いから3割引でどうかな。」

「3割引きも!?良いんですか?」


クロラは弓の練習がてらに捕らえたヨツメウサギと言うモンスターの皮と折れた矢をギルドの職員に渡す。

クロラ曰く、大量購入する時と持ち込みの素材を出す場合、ギルド系列の店か、それに則した店にした方が良いという。

理由の1つとしては、粗悪品や紛い物が無い事だ。

ギルドの手が掛かっていない店が皆粗悪品を出してると言う訳では無いが、10軒に1軒位の割合でそう言った品を掴ませてくる店があるらしい。

以前大量購入品の中に粗悪な矢を2~3割程入れられた事もあったらしく、矢を番えた際に砕け散り、戦況が危うくなった場面があったとの事。


2つ目の理由が適正価格で売買してくれるからである。

アルバラストの街で食事を提供している屋台の殆どは、観光地価格として通常よりも1~2割程値が張っているらしい。
その分味の方はしっかり保証されているので不満な点は無い。

露店売りしている宝石商何かも、やや値段を吊り上げていたりするが、ギルド系列の店はどこの街でも適正価格で売買していると言う。

言ってしまえば、しっかりギルドを通しているので出来る事である。

酷い店になると、通常価格より3割程値を吊り上げた上で『大特価1割引』と銘打って荒稼ぎする所もあったとか。ふざけんなちくしょーめぇ!

また、物資不足などに陥りそうになった際は少し色を付けてくれたりするので


「いやぁ最近ね、王都近郊の鉱山で昇降機の落下事故があったらしくて暫くの間、鉄やその他金属類が採れないかも、って話なんだ。
君達パーティだろう?
もし他にあれば多少引かせて貰うよ。」


と、こうなる。

それを聞いたジェイルとロゼは


「それでは剣と盾、あと防具の整備をお願いしたい。
俺は野盗の根城で回収した、柄と刃が欠けた鋼鉄の剣を3本を持ち込みで。」

「私は剣と防具の整備をおねがっしゃーす。
同じく野盗の根城で回収した、割れた兜と金属鎧の胴と籠手を持ち込みで。」

「ふむふむ、詳しくはバラして量ってみないと何ともあれだけど、盾持ちの君はコレコレこの位で。
双剣の君はこの位でどうだろうか?」サラサラ…


武器屋の職員は、渡された素材をざっくりと見回し、整備費用を引いた金額を紙に記入する。


「えーっ!?こんなに引いて貰えるんですか!?」

「殆どタダ同然じゃないですか。」


持ち込み素材のお陰で整備費用が銅貨1枚(10ガル)になったので、コレを断る手は無い。
ジェイルとロゼの2人は店の奥へと進み、整備に入る。

その間ポーラは薬品の類いを補充しに南西エリアに向かう。
クロラやノア達とは整備が完了次第合流するとの事だ。






「ねぇクロラ。
最近保有出来る魔力量が上がってきて"品質レベル4"のマナポーションじゃ回復が間に合わなくなってきたけど、どうしよう。」

「そう言えばこの間も言ってたね。
もう普通レベルの5、6のマナポーション買っちゃおうよ。」

「でも良いの?大量購入しても…」

「そう言う命に関わる部分はケチっちゃダメ。
普段しっかりやってきたお陰でお金に余力があるんだし、良いの良いの。」


ポーラがクロラに相談したのはマナポーションの品質の事である。
品質のレベルは10段階で、1が最低品質、10が最高品質となっている。

品質レベル1~4は安く、5は定価、6から10までは1上がる毎に値段も上がる。

別に品質が低いからといって使用出来ないという事では無く、回復力の多さと中毒症状のなり易さ、味に変化が現れる。

品質レベル1のマナポーションは回復力が大体1割6分で、日に1本でも飲めば中毒症状(吐き気、目眩、訥弁(呂律が回らず詠唱出来ない))を起こす。あととにかく苦い。

それに対して品質レベル10のマナポーションは回復力が大体2割5分で、日に10本以上飲まない限り中毒症状が起きないのである。あと程良く甘い。

つまり、ポーラは今まで品質レベル4のマナポーション(回復力1割9分で、日に4本まで)を使用して来たことになる。

冒険者生活開始直後は魔力保有量も一般人と何ら変わり無かったが、【魔法使い】として日々過ごしている内に魔力保有量も増してきた。

そうなると低品質のマナポーションでは回復力も見込めず、レベル的に量を多く飲む事も出来なかった。


と、クロラがポーラに答えた直後、足元から声が掛かった。 


「マナポーションですか、良ければ差し上げますよ?」

「「え?」」

チョイチョイ

足元からの声に驚く2人だが、直後にノアが防壁の影になってる辺りまで移動しようと、手で合図した所で漸く察した様だ。

ズルッ…

丁度積まれている木箱の横にノアが立つと、木箱の影からヴァンディットが姿を現す。


「ふふ、こんにちわ。
先程のマナポーションの事ですが、良ければお譲り致しますよ。」

「えっと…私達としては嬉しいですが、ヴァンディットさんは良いんですか?」

「元々ノア様の為にお作りした物ですが、ノア様はあまり魔力を使わない様で、使用する機会が殆ど無いのです。
専ら、私が薬品を精製している時に魔力の不足分を補ったりする際に飲んだりしますが、それでも3~40本分は余ってます。」

「それでは買わせて下さい。お幾らになりますか?」

「いえいえ、お代は結構です。そのままお受け取り下さい。」

「「ええっ!?何で!?」」

「実は、私個人の工房内で各種薬草類の水耕栽培を行ってまして、材料費は実質タダになってます。」


常にノアの影の中にいるヴァンディットは、時折影から出て来ては薬草を採取していた。

だがある日、パタリとその行動を起こさなくなったので聞いてみた所、工房内で自作の円筒形のガラス容器を使って水耕栽培を行っているという。

理由を聞いた所、必要な時にその都度採取していては効率が悪く、日向にある薬草はノアに取って貰わなければならず申し訳無い。

"だったら自分で育ててしまおう。"

となったらしい。

ちなみに工房内で薬品作製などの作業をしている時は真っ白な白衣を着て、長い銀髪は一纏めに結び、いつぞや買ったのかは知らないが伊達メガネを掛けているそう。


「【研究者】みたいで格好良く無いですか!」


と言われたので、その時は頭を撫でておいた。





「そ、それでもタダって訳には…」

「うーん…困りましたね…
あ!ではこう言うのはどうでしょうか。」ポン

「「何でしょうか?」」


困り顔のヴァンディットが何か閃いた様で、手を打つ。


「血を少し分けて貰っても良いですか?」

(((血を…!?)))

満面の笑顔でそう提案された。
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