ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~ダンジョン『宝物庫』~

アンタ名前何ての?

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「ってかアンタ名前何ての?
口調からして女だとは思うんだけど、"機兵"と呼ぶのは何か違うし、"煮溶かして"中に入る前は人間だったんでしょ?」

〝名前など、この場では無用だ!好きに呼べば良い!〟

「あっそ、じゃあ"クソ煮込〝マディアだ!マディアと呼べ!〟


ノアが今までの話を聞いた上での印象を取り入れたあだ名はお気に召さなかった様だ。

この反応を見たノアは思う。


(なぁ、コイツもしかして…)

(『あぁ、俺も同じ事を考えてた所だ。』)


数回のやり取りで何かを感じたノアは、機兵を乗っ取ったマディアを無視し、顎に手を当てて少し思案する。


「さて、先ずはあの機兵から女王…ラインハードさんをどう引き剥がすか…」

〝ふっ、大見得を切った割に今から作戦の立案とは…
そんな事ではこの女を助け出す事は愚か私に触れる事すら難しいぞ?〟


乗っ取った機兵の腕を広げ、先程叶わなかった挑発をするマディア。

だが


(『あの棺の様な装置に鍵穴が付いていたから、さっきの鍵を使って外から解錠する感じではあるんだよな。』)

「うん。ただ、あの装置自体を切り離せれば割と楽なんだけど、ラインハードさんだけ救出となるとその後の対処をどうするか…」


マディアの挑発を無視し、(マディアからすれば)ぶつぶつと一人言を言っているノアに、マディアは怒りを露にする。


〝…こ…んの…
たかだか腕1本破壊した位でいい気になるなぁっ!〟

ブォンッ!

マディアは、無事な腕を操りノア目掛けて拳を振るう。



バシュッ!

ギキィインッ!バギンッ!

〝んなぁっ!?〟


先程挑発を遮って機兵の腕目掛けてぶん投げた荒鬼神を手元に戻し、振るわれた腕を<受け流し>でいなし、手首から先を斬り飛ばす。

ノアは1歩も動く事無く、顎に手を当てたまま未だ『俺』との会話を行っていた。


〝………〟


その間マディアは、何が起こったのか分かっていないと言った感じで動きを止めていた。


「どうした、追撃は無いのか?」

〝!?〟

「さっきもそうだったが、1発攻撃入れた位で追撃は無し。
ここまで単騎でやって来たのに僕の事を過小評価し過ぎじゃないか?」

〝な、何だと「挑発には簡単に乗っかるし、攻撃は大振り、機兵は人間と違って疲れが無いから断続的な攻撃をされたらジリ貧になるのは明白。
なのにそれすら無い。
まぁアンタの【適正】からすれば仕方の無い事だけどね。」

〝訳の分からん事をぐだぐだと抜かしおって…
今に見ておれ、直ぐに貴様の顔を恐怖に歪めて…〟

バキッ!ガキッ!

マディアは変な前置きを言いつつ破壊された両腕を関節部分から脱着し、背後に置かれていた予備の腕に換装し始める。

(コイツ、初動も遅いんだよな…
喋ってる暇があるなら予め換装しとけば良いのに…)

ダンッ!

と、心の中で思いつつ行動に移すノアは、機兵の中央に位置するラインハードへ向けて駆け出す。


〝あ、貴様…〟ガシャガシャ…


行動を開始した事に慌てたマディアを見たノアは、冷めた目でその動向を見ていた。


(…さっきも思ったけど、どうしてこうも"機兵という利点"を生かさないかな…
中に入ったならボスと言う立場で待ち構えるよりも、別の機兵に入った状態で従えた機兵を差し向けた方が戦略的にも良いハズなのに、自ら前線に出るから"機兵の精密さ"が全く生かされて無い。
人間が操作してるのと同じだから"粗さ"が目立っちゃってるじゃん…)

(『ま、変に対策されるのもなんだから口には出さないけどな。』)


などと考えてる間に、機兵の懐に潜り込むのとマディアが換装するのは、ほぼ同じタイミングであった。

『『ブォンッ!』』

〝ほら死んだ!〟

『『ゾリッ!』』

「ほい、換装、換装。」


換装を終え、振り下ろされた腕を、ノアは1度の迎撃で破壊し、一瞬の内に無力化する。


「ラインハードさん、離れて!」


中に閉じ込められているラインハードに向け、手で下がる様に合図を送ると、通じたのか、中のラインハードは下がりつつ身を縮ませる。


「オォラァアアッ!」ボッ!


<渾身>を発動したノアは、先ず始めに閉じ込められている棺の様な装置自体に斬り掛かり、機兵からの奪還を図る。




ゴギィインッ!!ズズンッ…

「うっそだろぉっ!?滅茶苦茶硬ぇっ!」


装置と機兵所か、部屋を真っ二つに断ち斬るつもりで放ったノアの斬撃は、傷1つ付けられなかった。

ズンッ!

「ならばやはりコレしか無い様だな!」


ノアは荒鬼神を床に突き刺し、直ぐ様女王直属近衛三機兵が最後に手渡した金の装飾が施された鍵をアイテムボックスから取り出す。


〝チィッ、脱出用の鍵か!何処で手に入れやがったぁっ!〟

ブンッ!

マディアは腕が破壊された事にも構わず、ノアへ向けて腕を振り下ろす。

ガギッ!ミシッ、メキメキ…

「邪魔するな!大人しくしてろ!」

〝なっ!?何て力だ…〟


振り下ろされた腕を掴んだノアは<渾身>を発動して強烈な力で腕の装甲に指をめり込ませると、動けない様にその場に固定。


〝くそっ!離せ!離せぇっ!〟ブォンッ!


マディアは駄々を捏ねる子供の様に機兵の体を揺らしたり、空いてる腕を振り下ろしてきたりしてノアの行動を妨害しに掛かる。


「ちっ…」


何て事は無い。
ただ闇雲に暴れているだけなのが、妙に癪に障り

ズズズッ…

ガキッ!ガシッ!メキッ!メギッ!ガギッ!

『ジタバタしてんじゃねぇ!
手が無ぇなら黙って大人しくしてやがれ!』

〝な、何と面妖な…〟


赤黒いオーラを立ち昇らせ、生成した腕でマディアの振るってきた腕や体を掴み、今度こそ完全に動きを封じる。


『ハッ!原型留めてるだけ、誰かさんに比べりゃ万倍マシだろ!
『カチャッ』お姫さんを返して貰うぞ!』

ガコンッ!

棺の様な入れ物の鍵穴に鍵を差し入れる。
すると鍵は自動で回り、荒鬼神でも破壊出来なかった入れ物の扉が音を立てて開かれた。


「ぼ、冒険者さん…」

『よぉ、お姫さん。助けに来たぜ!
…って何だこりゃ、雁字がらめじゃねぇか…』


入れ物の扉が開かれ、数分振りにラインハードと対面する。
毒として体に侵入していたマディアが機兵の方に移ったからか、当初よりも顔色が良く、意識もハッキリしていた。

だが中は配線やら金属製の触手が張り巡らされ、ラインハードは指1本動かすのも厳しい状態であった。


〝ガァアアッ!止せぇ!ヤメロォッ!〟

シュルル…ザクッ!ザグッ!

苦し紛れに、マディアが金属製の触手を動かし、ノアの首元や防具の隙間に突き刺していく。

ブシュッ…

「冒険者さん…血『お姫さん、この触手は破壊しても大丈夫か?』


<激痛耐性>を持っているノアは、マディアの攻撃を全く意に介しておらず、ラインハードの目を真っ直ぐ見たまま意見を聞いてくる。

それを受けたラインハードは、ノアからの質問に答える。


「は、はい、ただ固定しているだけの様なので、破壊しても大丈夫です!」

『了解!
直ぐに開放してやるからもう少しの辛抱だ。』

ガッ!ガシッ!メキメキメキ…

ブヂブヂブヂィッ!

「あ…『ガシッ!』


拘束を強制的に破壊し、漸く開放されたラインハードを抱き止める。


『待たせたな、もう安心だ。』

「あ、ありがとうございます…」


先程から大変な目に遭っているラインハードの顔は紅潮し、髪も乱れている。
何処か安全な場所に下ろしてあげたい所だ。


〝カァ、返せぇえっ!!〟ズォオオッ!


マディアが奥の場所から身を乗り出し金属製の触手を伸ばしてラインハードを取り返しに来る。


『よっ。』ズボッ!ガゴッ!

ズドンッ!〝うがぁあっ!?〟


ノアはラインハードを抱き抱えたまま、荒鬼神の柄を蹴り上げて床から抜き、<渾身>と<蹴撃>を発動した蹴りを繰り出してマディアを奥の壁に磔にする。


「…あ、うぅっ…」

『あ!大丈夫ですか!?』


毒の影響で体が弱っていたからか、ノアの激しい動きを受けたラインハードは苦しそうな声を上げる。

トトトト…

トスッ。

『ここなら比較的安全でしょう、ここで待ってて下さい。』


部屋の手前側、磔状態のマディアから大分離れた位置にラインハードを下ろす。


「は、はい。あの…」

『ん?』

「…いえ、お身体に気を付けて下さい。」

『ええ。』


〝クソォオオオッ!ヤリヤガッタナァアッ!
カエセ!ソノオンなをオぉおっ!〟


ラインハードを奪還した事で、何故かマディアは苦悶の声を、そして何故か声が少し機械的に変化していた。


『何だ?アイツ、急におかしくなったけど…』

「も、もしかしたらですけど…」


ノアの背後に居るラインハードは、思い当たる節があるのか、説明を開始した。
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