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獣人国編~ダンジョン『宝物庫』~
ダンジョン『宝物庫』
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「このダンジョン『宝物庫』は、本来張り巡らされた多種多様な罠を掻い潜り、浅い層なら宝石や珍しい古金貨、そして深く潜る程に魔剣や珍しい装備等が手に入る、実入りの良いダンジョンとして知られています。」
「『へぇー、そうなんだ。(共に初挑戦)』」
「ですがダンジョンが出来た当初は、先程お二方が体験した様な高難易度を誇るルートが正規ルートとなってました。」
「え?これが正規ルートですか?」
『あー…なる程な。
難し過ぎたから別のルートを造った、とかか?』
「あ、いえ、そう言う事では…」
『あ、違うのね。』
そこでラインハードが僅かに間を開けた後、再び話を切り出した。
「お二方、ここに進むに連れて話の流れが何処と無く物語じみていると思った所はございませんか?」
「あ、それは思いました。
何か所々で意味深な事を言ってたので…」
『具体的に言えば、破壊不可の木人が居た階で扉を発見した直後に"あなたなら女王様を…"とか何とか言った辺りから気になってたんだ。』
2人の言葉を聞いたラインハードは、事の真相を話し出す。
「このダンジョンの元々の名は『ネウトロメカニコ(機兵中立国)』。
私が治めていた国の名で、私が【人形師】としての才を見出だし、建国を経て人生を終えるまでの史実を追体験する物語形式のダンジョンとなります。」
そうラインハードが言うと、ノアが顎に手をやって少し思案し出す。
「え?何処からですか?」
「ふふ、実は最初からなんですよー。」
と、ノアが気になった様なのでラインハードは手短に話し出した。
「私は名も無い村の出の冒険者でした。
と言っても【人形師】と言う【適正】は軌道に乗るまではとても資金の掛かる【適正】なのです。
ですので最初は簡単な物しか造れませんでした。
その中の自信作が『宝物庫』入って直ぐの所にあった感圧タイプの罠と害獣撃退目的で造った石像3基です。」
『ほぅ、あれはお姫さんの手造りだったか!
いやぁ良かったぞ、連れがまんまと引っ掛かってたからな。』
「うふふ、お楽しみ頂いた様で嬉しく思いますわ。
そうして上手くいく時もあれば、なかなか上手くいかなくて資金も底を尽きそうになった時とかは、近隣で金が取れるという鉱脈の所まで足を伸ばし、川の砂を採取して砂金取り等をやって資金を稼いだりしましたわ。」
「あー、だからあの部屋に砂が詰まった麻袋が山積みされてたんですね?」
『薄暗くて少し分かり辛かったが、僅かにキラリと光る物があったからもしや、と思ったんだよな?』
「ふふ、実はあの部屋にあった2つの宝箱の解錠を試みるか、砂の詰まった麻袋全てを拾うかで行き先が分岐する様に造ったんです。」
『真っ先に砂持ってったもんな、俺ら。』
お互い発挑戦な上に宝箱ルートを知らない為、その時は特に違和感無く進んでいったっけな、等と当時の事を思い返していた。
「でも何故あの野盗の隠れ家みたいな場所に置いてあったんです?」
「あれ実は本当に野盗の隠れ家だったんですよ。
その頃には資金もある程度溜まって【機兵師】って【適正】になってたし、護衛の機兵引き連れて野盗退治と土地確保に動いた所だったの。」
「…何かラインハードさんって意外と行動派なんですね。」
『女王になる為にはそれ位行動力無いと務まんないって事だな。』
と、ここまで嬉々として話していたラインハードであったが、ここから少し表情に影が差してきた。
「それでそこを拠点に機兵製作に励みつつ、モンスター退治や冒険者パーティへの傭兵派遣なんかも請け負って資金を稼いでたんですが、色々な貴族や国から声が掛かったんです。
当時は各地で争い事が多かったですから、戦力として欲しかったのでしょう。
ですがそれと同時期に、戦火から逃れてきた難民や村人なんかが私の拠点に数多く逃げて来たりしましたので、悉く断ってきました。
ですがそれでも貴族達の勧誘がしつこかったんです。
「我の傘下に加われ!」とか「何れ戦火に巻き込まれるだけだぞ!」と、半ば脅迫じみた感じで…」
「『あー分かる。』」
「え?」
少し方向性は違うが、貴族から面倒事を受けた身としてラインハードの気持ちが少し分かる2人なのであった。
『それで国を建てたのか。』
「えぇ、それが割と手っ取り早かったので。
お陰で勧誘とかの類いは一切無くなりました。」
((勧誘断る為に建国するってなかなか突拍子も無いな…))
改めてラインハードの行動力の高さに驚く2人。
『でも周りの国が黙って無かったんじゃないのか?』
「そうですね、何度か戦争を吹っ掛けられた事もありましたが、全て非殺傷で返り討ちにしてやりました。」
「『うわぁ、プライドズタズタだろうな。』」
「まぁそれが原因で私個人を狙って来たのでしょう。」
「マディアもその1人ですね?」
「えぇ、流石にどの国の者かは定かではありません。
マディアは先程2人が見た様な手で我が国に侵入し、毒若しくは実力行使で私を殺しに来ました。
史実では"錬金石の製造が間に合わずに死んだ"という事になっていますが、本当は違うのです。」
「え?そうなんですか?」
「はい、マディアは直属近衛三機兵の手で倒され、『錬金石ディジントキシ』は完成、しっかりと解毒も行われました。
ですがマディアのあのしぶとさで、私は凶刃によって命を落とす。
これが私の物語の終わりであり、このダンジョンでの終了条件となります。」
そう言ってラインハードは俯いてしまった。
だがここで赤黒いノアが腑に落ちた、といった顔をする。
『なる程な、だからお姫さんはあの時俺らに"どうして…"って言った訳か…』
「え?どういう事?」
イマイチピンと来ていないノアが赤黒いノアに問い返す。
『どうもこうも無い。
史実通り、お姫さんが刺される事が終了条件と言ってたろ?。
さっき主がギリギリで捉えた攻撃があったろ?あれが恐らく史実で言う凶刃、つまり俺達がそれを阻止しちまった訳だ。』
「あ、なる程。」
「そう言う事になります。
私は刺された後、暫しの時を経てここで目を覚ましました。
何故ここに居るのか、もしかして今までの事が夢だったのでは、とも思いましたがそんな事はありませんでした。
その後、このダンジョン内を見て回り、調査をした上で私の役割を理解し愕然としました。
また、あの日の出来事が繰り返されるのか、しかも殺された時の記憶を持った状態でなんて…と。」
ラインハードは俯いたまま話を続ける。
「生憎ダンジョンの内容的に、簡単には辿り着けない仕様になっていましたが、何れ誰かがここにやって来るのは明白。
このダンジョンを造った者でない限りこの物語を破壊する事は不可能。
ならば少し手を加えてもう1つのルートを造ってしまえば良い、とそう思いました。
せめてもの救いは、破壊は無理でも、追加するのは可能だった事です。
そちらに目を向けさせ、正規ルートに来ないよう手を尽くしました。
お陰で今の今までここに来た者はいませんでした。」
直後、ラインハードがノアを見てニコッと笑い掛ける。
「ふふ、あなたが3層を突破したと機兵から報告が上がった時、「あぁ、遂にこの時が来てしまったか…」と言う想いと、途轍も無い恐怖が襲ってきました。
…恐らく、冒険者さんがその扉から入ってくるまで私は震えていたんだと思います。
でも造られた存在とは言え、ここに来るまでの間に戦ってきてくれた機兵達の女王である私が怯えてどうする、と気を振り絞って平静を装う事にしました。
そしたらどうです、あなたは圧倒的な力と技術で私の忌まわしい物語を終わらせてくれました…
本当に、本当、に…」
ラインハードが声を詰まらせ、その場で再び顔を伏せてしまった。
ノアと赤黒いノアはそんな彼女が落ち着くまで黙って待つ事にした。
「『へぇー、そうなんだ。(共に初挑戦)』」
「ですがダンジョンが出来た当初は、先程お二方が体験した様な高難易度を誇るルートが正規ルートとなってました。」
「え?これが正規ルートですか?」
『あー…なる程な。
難し過ぎたから別のルートを造った、とかか?』
「あ、いえ、そう言う事では…」
『あ、違うのね。』
そこでラインハードが僅かに間を開けた後、再び話を切り出した。
「お二方、ここに進むに連れて話の流れが何処と無く物語じみていると思った所はございませんか?」
「あ、それは思いました。
何か所々で意味深な事を言ってたので…」
『具体的に言えば、破壊不可の木人が居た階で扉を発見した直後に"あなたなら女王様を…"とか何とか言った辺りから気になってたんだ。』
2人の言葉を聞いたラインハードは、事の真相を話し出す。
「このダンジョンの元々の名は『ネウトロメカニコ(機兵中立国)』。
私が治めていた国の名で、私が【人形師】としての才を見出だし、建国を経て人生を終えるまでの史実を追体験する物語形式のダンジョンとなります。」
そうラインハードが言うと、ノアが顎に手をやって少し思案し出す。
「え?何処からですか?」
「ふふ、実は最初からなんですよー。」
と、ノアが気になった様なのでラインハードは手短に話し出した。
「私は名も無い村の出の冒険者でした。
と言っても【人形師】と言う【適正】は軌道に乗るまではとても資金の掛かる【適正】なのです。
ですので最初は簡単な物しか造れませんでした。
その中の自信作が『宝物庫』入って直ぐの所にあった感圧タイプの罠と害獣撃退目的で造った石像3基です。」
『ほぅ、あれはお姫さんの手造りだったか!
いやぁ良かったぞ、連れがまんまと引っ掛かってたからな。』
「うふふ、お楽しみ頂いた様で嬉しく思いますわ。
そうして上手くいく時もあれば、なかなか上手くいかなくて資金も底を尽きそうになった時とかは、近隣で金が取れるという鉱脈の所まで足を伸ばし、川の砂を採取して砂金取り等をやって資金を稼いだりしましたわ。」
「あー、だからあの部屋に砂が詰まった麻袋が山積みされてたんですね?」
『薄暗くて少し分かり辛かったが、僅かにキラリと光る物があったからもしや、と思ったんだよな?』
「ふふ、実はあの部屋にあった2つの宝箱の解錠を試みるか、砂の詰まった麻袋全てを拾うかで行き先が分岐する様に造ったんです。」
『真っ先に砂持ってったもんな、俺ら。』
お互い発挑戦な上に宝箱ルートを知らない為、その時は特に違和感無く進んでいったっけな、等と当時の事を思い返していた。
「でも何故あの野盗の隠れ家みたいな場所に置いてあったんです?」
「あれ実は本当に野盗の隠れ家だったんですよ。
その頃には資金もある程度溜まって【機兵師】って【適正】になってたし、護衛の機兵引き連れて野盗退治と土地確保に動いた所だったの。」
「…何かラインハードさんって意外と行動派なんですね。」
『女王になる為にはそれ位行動力無いと務まんないって事だな。』
と、ここまで嬉々として話していたラインハードであったが、ここから少し表情に影が差してきた。
「それでそこを拠点に機兵製作に励みつつ、モンスター退治や冒険者パーティへの傭兵派遣なんかも請け負って資金を稼いでたんですが、色々な貴族や国から声が掛かったんです。
当時は各地で争い事が多かったですから、戦力として欲しかったのでしょう。
ですがそれと同時期に、戦火から逃れてきた難民や村人なんかが私の拠点に数多く逃げて来たりしましたので、悉く断ってきました。
ですがそれでも貴族達の勧誘がしつこかったんです。
「我の傘下に加われ!」とか「何れ戦火に巻き込まれるだけだぞ!」と、半ば脅迫じみた感じで…」
「『あー分かる。』」
「え?」
少し方向性は違うが、貴族から面倒事を受けた身としてラインハードの気持ちが少し分かる2人なのであった。
『それで国を建てたのか。』
「えぇ、それが割と手っ取り早かったので。
お陰で勧誘とかの類いは一切無くなりました。」
((勧誘断る為に建国するってなかなか突拍子も無いな…))
改めてラインハードの行動力の高さに驚く2人。
『でも周りの国が黙って無かったんじゃないのか?』
「そうですね、何度か戦争を吹っ掛けられた事もありましたが、全て非殺傷で返り討ちにしてやりました。」
「『うわぁ、プライドズタズタだろうな。』」
「まぁそれが原因で私個人を狙って来たのでしょう。」
「マディアもその1人ですね?」
「えぇ、流石にどの国の者かは定かではありません。
マディアは先程2人が見た様な手で我が国に侵入し、毒若しくは実力行使で私を殺しに来ました。
史実では"錬金石の製造が間に合わずに死んだ"という事になっていますが、本当は違うのです。」
「え?そうなんですか?」
「はい、マディアは直属近衛三機兵の手で倒され、『錬金石ディジントキシ』は完成、しっかりと解毒も行われました。
ですがマディアのあのしぶとさで、私は凶刃によって命を落とす。
これが私の物語の終わりであり、このダンジョンでの終了条件となります。」
そう言ってラインハードは俯いてしまった。
だがここで赤黒いノアが腑に落ちた、といった顔をする。
『なる程な、だからお姫さんはあの時俺らに"どうして…"って言った訳か…』
「え?どういう事?」
イマイチピンと来ていないノアが赤黒いノアに問い返す。
『どうもこうも無い。
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…恐らく、冒険者さんがその扉から入ってくるまで私は震えていたんだと思います。
でも造られた存在とは言え、ここに来るまでの間に戦ってきてくれた機兵達の女王である私が怯えてどうする、と気を振り絞って平静を装う事にしました。
そしたらどうです、あなたは圧倒的な力と技術で私の忌まわしい物語を終わらせてくれました…
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