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獣人国編~救出作戦~
国王ローグ・ラグナー
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早朝、獣人国ヴァーリスフェアレス国王ローグ・ラグナーは、私室にて日頃の政務を行いつつ、現在スロア領に居る子供達やヒュマノ聖王国の動向等の報告を受けていた。
「してハナよ、スロア領の子供達の様子はどうかな?」
「は。毒抜きが順調に行われており、子供達の顔色も良くなってきています。
当初よりは私達に対して怯える事も無く一安心しております。」
「それは良かった。
だが、ハナよ。最近寝ておるのか?
幾分顔色が宜しくないぞ。」
「は、ははぁ…
いくらスロア領のご婦人方が手伝ってくれているとはいえ、流石に4000人も居りますと対応に追われてあまり眠る事も出来ません…」
騎士団『犬姫』の団長ハナは、人間寄りな見た目をしている為か表情が分かり易く、目の下に薄らと隈が出来ていた。
「う、む…人員確保が厳しいが、せめて3交替出来る様尽力しよう。」
作戦が極秘という事もあって、あまり多くの人員を動員する訳にもいかない為、頭を悩ませる問題の1つとも言える。
いくら日頃訓練に身を置いている騎士達とは言え、ノアみたく何日もぶっ通しで動き続けられる生物などそう居ないのである。
「次に観測班のササビー、ヒュマノ聖王国のその後の動向はどうだ?」
ハナの隣に居たマント姿の小さな栗鼠獣人は、王に軽くお辞儀をした後、報告に移る。
「昨日の昼頃発生した奴隷獣人の反乱は一応の所落ち着きを取り戻しております。
奴隷達はヒュマノの貴族連中や兵士、住人達を市街の一画に集めた事以外は特段手を加えてはおりません。
が、どうやらいざこざが発生している模様。」
「む?奪還に向けて動き出したか。」
「いえ、貴族連中と住人達との間でいざこざが起こっている様です。」
「あれま。」
観測班のササビーの報告ではヒュマノ聖王国の住人達は貴族連中に対して怒りの矛先を向けているという。
・今まで管理し(虐げ)てきた奴隷達に反乱を起こされた事。
・あっという間に掌握され、かといって貴族連中や兵士達が奪還に向けた動きを見せない事。
・食材格差。
「最初の2つは分かるが3つ目のは何だ?」
「ヒュマノの連中は大抵の事を奴隷任せにしてきた為、自活能力が極端にありません。
貴族・兵士の個々の戦力は新人冒険者程度しかありませんし、物質・食材調達を商人任せにしてる位ですからね。
奴隷達は必要最低限の食糧を倉庫から盗っていった後、早くも動ける者達で即席のパーティを作って『滅びの森』で狩りに出ている様です。」
「ははぁ…基本的に商人頼みだからヒュマノの連中にとって新鮮な肉は貴重。
自分達は保存の利く干し肉や燻製肉に対し、奴隷達が新鮮な肉に有り付けている事に腹を立てている、と言った所か?」
「左様で。」
「は。(呆れ)」
この世界の商人の中には食糧を売る者も居るが、生の状態での輸送は困難を極める。
アイテムボックスがあるからそう言った問題も解消されるのでは?
と、思うかも知れないが、大容量のアイテムボックスを持っているのは一部の上級冒険者や大商人のジョー位であろう。
なので基本的には保存が利く様、塩漬けにしたり、干したり、燻製にしたりと、加工して持ち込むのが殆どである。
だがこういった加工肉の多くは硬かったり、しょっぱかったりとで一手間二手間掛けなければ食べ辛くてしょうがない。
そんな加工肉をヒュマノの住人達や貴族連中、兵士達が食べている直ぐ近くでは、『滅びの森』で狩ってきた新鮮なエレファント・バッファローの肉を1頭丸焼きにし、香ばしい匂いを辺り一面に振り撒きながら食らっているのである。
今まで奴隷として虐げてきた者達が自分達より上質な食事を得ている事に住人達のみならずヒュマノ側の者達が不満を抱いていた。
だがヒュマノ側(貴族、兵士、住人)1万に対して元奴隷4万5000。
数でも力でも圧倒的に大差がある為、溜め込まれた不満の矛先がどこに向かうか、と言えば想像に難くないだろう。
~現在のヒュマノ聖王国~
チュン、チュンチュン。
「ちょっと!何時になったら私達の生活が元通りになるのよ!?」
「おかーさん、お腹空いたよ。何でアイツらは僕らより上等な物食べてるの?」
「てめぇら兵士は何やってんだ!こんな時の為にてめぇらが居るんじゃねぇのか!?」
「うるせぇ!文句あるならてめぇらが行きゃ良いだろ!」
「こちとら早朝の瓦礫撤去で疲れてんだ!
ギャーギャー騒いでる暇あったら自分で行ったらどうだ?
あそこで肉食ってる奴、お前ん所の奴隷だったろ?」
「お前らの躾がなってねぇから反乱起こされたんじゃねぇか?」
「んだとコラ!」
「やんのかてめぇ!?」
と、早朝にも関わらず住人達と兵士達との間で騒ぎが起こっていた。
「止めぬか!早朝から騒がしい。
何れこの国を奪還する故今は英気を養い…」
「何簡単に制圧されてんのよ!?」
「アンタ達がしっかり管理してないからこうなったんでしょ!?」
「何の為の貴族だ!」
「英気を養う程何もしてないだろうが!」
「さっさと奪還して来いよ!使えねーな!」
と、貴族連中が口を開けば文句が最低10個は飛んで来る始末。
いつ暴動が起こってもおかしくない状況であった。
ジュー…チリチリ…
ムグムグ…
「朝から元気だな、人間は。」
「外の人間も同じ様に思わない方が良い。
この国の人間位だよ、あそこまで酷いのは。」
「今まで俺達ゃあんな奴らに従ってたのか…
悲しくなって来るぜ…」
「一思いに殺せば少しはスッキリするだろうが、それじゃ奴らと同類だ。
だから"こちらからは何もしない"。
何もせずともあっちが勝手に潰し合いを行うから俺達はただ傍観に徹するだけだ。
良いな?」
「「「「「「「「「おぅ。」」」」」」」」」
元奴隷達のリーダー、バンデイラは皆に"手出し無用"の指示を出す。
端でギャーギャー騒がしくされているからか、獣人達は比較的落ち着いている様であった。
(さて、"予定"だとそろそろ色んな方面から人がやって来るとの事だが…はてさてどうなる事だか…)
ムグムグ…
バンデイラは肉に齧り付きつつこれからの展開を思案していた。
再び獣人国の王城、ローグ・ラグナーの居る私室に場面は戻る。
「よし、皆の者報告ご苦労。各自持ち場に『ガチャ』…お?」
ローグがそう言い掛けた所で部屋の扉がガチャリと音を立てて開かれた。
すると、そこには寝間着姿の妻キュオラ・ラグナー、フォルク、ノアと同じ位の歳の狐獣人の女性(狐寄り)と獅子獣人(人間寄り)の女の子が立っていた。
皆一様に眠そうである。
「お…ど、どうしたのだ、こんな早朝に…」
「いえね、私達もフォルクに叩き起こされて来たの。」
「フォルクが「急いで、急いで」って言ってたからまた何か"出た"んだと思う。」
「フォルク~?何か【占い】で出たんでしょ~?
何が"出た"のか教えて貰える~?」
と、2人の姉がそう聞いてくると、当のフォルクは少し困った顔をしつつ
「あのね、これから【鬼神】のお兄ちゃんがここに来るの。」
「ここに…謁見に来るのかい?」
「そう。でも目的は何か大きなお話。
お父様やお母様、私や他の人達に意見を聞かなきゃいけない様な、そんなお話。」
「何?それは本当かい?」
フォルクの言葉に色めき立つ室内。
ラグナー一家や、私室の各所に潜む部下達にも僅かに緊張が走る。
「うん。【鬼神】のお兄ちゃん、さっきまでこの国では無いどこか遠くの場所に居たんだけど、戻ってきてクロラのお姉ちゃんと別れた途端、真っ直ぐこの王城目指して向かってきてるの。」
まるでノアの行動を見ていたかの様な発言にローグは直ぐに配下に指示を飛ばす。
「皆の者、下に兵士や暗部の者を呼び応対の準備に当たって欲しい。
今より臣下の者達を呼び寄せられるだけ呼んでくれ。
侍女の者達も急ぎ呼んで妻娘の着替えを頼んでくれ。」
「貴方、少し物々しくは無いですか?」
「今までも色々合ったがフォルクが全員を呼ぶ事は無かった。
何があるか分からんから準備に越した事は無いだろう。」
と、今までがどうだったかはさておき、要約すると前例が無い事の様なので急ぎ準備に取り掛かる事に。
その2分後、王城の前にノアが到着したのであった。
「してハナよ、スロア領の子供達の様子はどうかな?」
「は。毒抜きが順調に行われており、子供達の顔色も良くなってきています。
当初よりは私達に対して怯える事も無く一安心しております。」
「それは良かった。
だが、ハナよ。最近寝ておるのか?
幾分顔色が宜しくないぞ。」
「は、ははぁ…
いくらスロア領のご婦人方が手伝ってくれているとはいえ、流石に4000人も居りますと対応に追われてあまり眠る事も出来ません…」
騎士団『犬姫』の団長ハナは、人間寄りな見た目をしている為か表情が分かり易く、目の下に薄らと隈が出来ていた。
「う、む…人員確保が厳しいが、せめて3交替出来る様尽力しよう。」
作戦が極秘という事もあって、あまり多くの人員を動員する訳にもいかない為、頭を悩ませる問題の1つとも言える。
いくら日頃訓練に身を置いている騎士達とは言え、ノアみたく何日もぶっ通しで動き続けられる生物などそう居ないのである。
「次に観測班のササビー、ヒュマノ聖王国のその後の動向はどうだ?」
ハナの隣に居たマント姿の小さな栗鼠獣人は、王に軽くお辞儀をした後、報告に移る。
「昨日の昼頃発生した奴隷獣人の反乱は一応の所落ち着きを取り戻しております。
奴隷達はヒュマノの貴族連中や兵士、住人達を市街の一画に集めた事以外は特段手を加えてはおりません。
が、どうやらいざこざが発生している模様。」
「む?奪還に向けて動き出したか。」
「いえ、貴族連中と住人達との間でいざこざが起こっている様です。」
「あれま。」
観測班のササビーの報告ではヒュマノ聖王国の住人達は貴族連中に対して怒りの矛先を向けているという。
・今まで管理し(虐げ)てきた奴隷達に反乱を起こされた事。
・あっという間に掌握され、かといって貴族連中や兵士達が奪還に向けた動きを見せない事。
・食材格差。
「最初の2つは分かるが3つ目のは何だ?」
「ヒュマノの連中は大抵の事を奴隷任せにしてきた為、自活能力が極端にありません。
貴族・兵士の個々の戦力は新人冒険者程度しかありませんし、物質・食材調達を商人任せにしてる位ですからね。
奴隷達は必要最低限の食糧を倉庫から盗っていった後、早くも動ける者達で即席のパーティを作って『滅びの森』で狩りに出ている様です。」
「ははぁ…基本的に商人頼みだからヒュマノの連中にとって新鮮な肉は貴重。
自分達は保存の利く干し肉や燻製肉に対し、奴隷達が新鮮な肉に有り付けている事に腹を立てている、と言った所か?」
「左様で。」
「は。(呆れ)」
この世界の商人の中には食糧を売る者も居るが、生の状態での輸送は困難を極める。
アイテムボックスがあるからそう言った問題も解消されるのでは?
と、思うかも知れないが、大容量のアイテムボックスを持っているのは一部の上級冒険者や大商人のジョー位であろう。
なので基本的には保存が利く様、塩漬けにしたり、干したり、燻製にしたりと、加工して持ち込むのが殆どである。
だがこういった加工肉の多くは硬かったり、しょっぱかったりとで一手間二手間掛けなければ食べ辛くてしょうがない。
そんな加工肉をヒュマノの住人達や貴族連中、兵士達が食べている直ぐ近くでは、『滅びの森』で狩ってきた新鮮なエレファント・バッファローの肉を1頭丸焼きにし、香ばしい匂いを辺り一面に振り撒きながら食らっているのである。
今まで奴隷として虐げてきた者達が自分達より上質な食事を得ている事に住人達のみならずヒュマノ側の者達が不満を抱いていた。
だがヒュマノ側(貴族、兵士、住人)1万に対して元奴隷4万5000。
数でも力でも圧倒的に大差がある為、溜め込まれた不満の矛先がどこに向かうか、と言えば想像に難くないだろう。
~現在のヒュマノ聖王国~
チュン、チュンチュン。
「ちょっと!何時になったら私達の生活が元通りになるのよ!?」
「おかーさん、お腹空いたよ。何でアイツらは僕らより上等な物食べてるの?」
「てめぇら兵士は何やってんだ!こんな時の為にてめぇらが居るんじゃねぇのか!?」
「うるせぇ!文句あるならてめぇらが行きゃ良いだろ!」
「こちとら早朝の瓦礫撤去で疲れてんだ!
ギャーギャー騒いでる暇あったら自分で行ったらどうだ?
あそこで肉食ってる奴、お前ん所の奴隷だったろ?」
「お前らの躾がなってねぇから反乱起こされたんじゃねぇか?」
「んだとコラ!」
「やんのかてめぇ!?」
と、早朝にも関わらず住人達と兵士達との間で騒ぎが起こっていた。
「止めぬか!早朝から騒がしい。
何れこの国を奪還する故今は英気を養い…」
「何簡単に制圧されてんのよ!?」
「アンタ達がしっかり管理してないからこうなったんでしょ!?」
「何の為の貴族だ!」
「英気を養う程何もしてないだろうが!」
「さっさと奪還して来いよ!使えねーな!」
と、貴族連中が口を開けば文句が最低10個は飛んで来る始末。
いつ暴動が起こってもおかしくない状況であった。
ジュー…チリチリ…
ムグムグ…
「朝から元気だな、人間は。」
「外の人間も同じ様に思わない方が良い。
この国の人間位だよ、あそこまで酷いのは。」
「今まで俺達ゃあんな奴らに従ってたのか…
悲しくなって来るぜ…」
「一思いに殺せば少しはスッキリするだろうが、それじゃ奴らと同類だ。
だから"こちらからは何もしない"。
何もせずともあっちが勝手に潰し合いを行うから俺達はただ傍観に徹するだけだ。
良いな?」
「「「「「「「「「おぅ。」」」」」」」」」
元奴隷達のリーダー、バンデイラは皆に"手出し無用"の指示を出す。
端でギャーギャー騒がしくされているからか、獣人達は比較的落ち着いている様であった。
(さて、"予定"だとそろそろ色んな方面から人がやって来るとの事だが…はてさてどうなる事だか…)
ムグムグ…
バンデイラは肉に齧り付きつつこれからの展開を思案していた。
再び獣人国の王城、ローグ・ラグナーの居る私室に場面は戻る。
「よし、皆の者報告ご苦労。各自持ち場に『ガチャ』…お?」
ローグがそう言い掛けた所で部屋の扉がガチャリと音を立てて開かれた。
すると、そこには寝間着姿の妻キュオラ・ラグナー、フォルク、ノアと同じ位の歳の狐獣人の女性(狐寄り)と獅子獣人(人間寄り)の女の子が立っていた。
皆一様に眠そうである。
「お…ど、どうしたのだ、こんな早朝に…」
「いえね、私達もフォルクに叩き起こされて来たの。」
「フォルクが「急いで、急いで」って言ってたからまた何か"出た"んだと思う。」
「フォルク~?何か【占い】で出たんでしょ~?
何が"出た"のか教えて貰える~?」
と、2人の姉がそう聞いてくると、当のフォルクは少し困った顔をしつつ
「あのね、これから【鬼神】のお兄ちゃんがここに来るの。」
「ここに…謁見に来るのかい?」
「そう。でも目的は何か大きなお話。
お父様やお母様、私や他の人達に意見を聞かなきゃいけない様な、そんなお話。」
「何?それは本当かい?」
フォルクの言葉に色めき立つ室内。
ラグナー一家や、私室の各所に潜む部下達にも僅かに緊張が走る。
「うん。【鬼神】のお兄ちゃん、さっきまでこの国では無いどこか遠くの場所に居たんだけど、戻ってきてクロラのお姉ちゃんと別れた途端、真っ直ぐこの王城目指して向かってきてるの。」
まるでノアの行動を見ていたかの様な発言にローグは直ぐに配下に指示を飛ばす。
「皆の者、下に兵士や暗部の者を呼び応対の準備に当たって欲しい。
今より臣下の者達を呼び寄せられるだけ呼んでくれ。
侍女の者達も急ぎ呼んで妻娘の着替えを頼んでくれ。」
「貴方、少し物々しくは無いですか?」
「今までも色々合ったがフォルクが全員を呼ぶ事は無かった。
何があるか分からんから準備に越した事は無いだろう。」
と、今までがどうだったかはさておき、要約すると前例が無い事の様なので急ぎ準備に取り掛かる事に。
その2分後、王城の前にノアが到着したのであった。
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