ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~救出作戦~

疲れた

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「ぐぁ~っ!疲れた~っ!」


リヴァイア、ローグとの対話を終え、屋敷を出たデミは、焚き火を囲って休憩中の『新鋭の翼』達の元を訪れていた

パチ、パチチ…

「何があったか知らないけどお疲れ、デミ。」

「軽く6時間位屋敷に籠ってたけど何してたの?」

「外交。」

「「「「「外交?」」」」」

「あぁなる程、領主になる為の勉強か。
覚えなきゃいけない事が多くて大変だな。」

「勉強すっ飛ばしていきなり実戦だったけどな…
でもまぁ勉強にはなったな。
話術、表情、態度、演出、心の持ち様…どれを取っても今の俺には足りない物だったなぁ…」


と、デミが獣人国のローグ、龍宮城のリヴァイアの2人から何か得る物があった様で、何やらしみじみと噛み締めている。

すると


「わ、若様…」

「お、どうした、ローザ?」


屋敷の方から執事のローザが歩み寄ってきた。
何故か感慨深気なデミを見て打ち震えている様である。


「以前の若様であれば人の振る舞いを見て嫌味、陰口、悪口のどれかしか言わず、自分第一の性格故、人の振り見て我が振り直す事が無かったあの若様が成長なされようとしておられる…
私ローザはその美しいお姿にとても…とても…
うぇっぷ、気持ち悪…」

「何でローザは俺が行動する度に吐き気を催すんだよぉっ!」


※ローザは未だにデミの性格の変わり様に慣れていません。


「うっぷ…か、勘違いしないで下さい。
家臣としては喜ばしい事なのですが、いかんせん以前との落差を考えると、こう胃がきゅーっと…あ、駄目だ、やっぱ気持ち悪い…」

「遂に真っ正面から気持ち悪いって言いおったなぁローザめぇ!」


そこから吐き気を催すローザと、それを追い掛けるデミという構図が発生したのであった。




パチ、パチパチ…

「「あの2人仲良いよね~。」」

「あれは仲良いって言うのか?」

「ここだけ切り抜いたら執事と主人というより、歳の離れた姉弟に見えるけどね…」


焚き火を囲む『新鋭の翼』達は、2人の行動をやれやれと言った様子で眺めている。と


「…はぁっ!はっ、ぐっ、げほっ!かふっ!」


どこからともなく子供の咳き込む声が聞こえてきた。


「…またか。
よし、次は俺が行って…」

「待ってガドラ。ノア君が行ったみたい。」


対応に向かおうとするガドラを制したリナの視線の先では、既にノアが向かっていた。





「かっ!けふっ、けふっ…」

ズザッ!

「大丈夫かい?」

「げっ、けふっ、ごめんな、さい…
急に、息が苦しく…」

さすさす…

「だーいじょうぶ、落ち着いて、ゆーっくり息を吸ってー。」

「けふ、す、すー…」

「吐いてー。」

「ふー…」


ノアは、パニックを起こし呼吸がままならなくなった女の子の背中を擦り、ゆっくりと呼吸をする様に促す。


「ふー…すー…すー…」

(もう大丈夫だな。)

呼吸が安定した様で、そのまま女の子は意識を手離して眠りに付いた。

ノアは、その子を起こさない様に優しく寝かせ、その場を離れたのであった。





「ノア君お疲れ。」

「済まなかったな、ノア君の方で対処して貰って。」

「いやぁ何のこれしき。」

(…にしても、皆割と参ってる様だな…)


ノアが周りを見渡してみると、救出された子供達の世話をしに来ている『新鋭の翼』含め、獣人国の騎士団や『犬姫』達の表情に疲れの色が出て来ている。

ミミ、ララ、ガドラ、ノン、リナの5人も表には出さない様にしているが、目の下に隈が出ている。
もって2日と言った所であろう。

大体4~5分置きに子供達がパニックを起こして泣き出したり嘔吐したりとで、誰かが対処しなければならない。

もし対処が遅れると容態が悪くなる事もあるし、それを見聞きした他の子供達が不安がってまたパニックを起こすと言う悪循環が生まれてしまう。

4000人も居るので常に気を張っており、心休まる時が無い様だ。

だが、領内に暮らすご婦人方(特に子持ち)は然程疲れを見せていない。

何故かと言うと


「あらあら、デミお坊ちゃんのお仲間さん達、お疲れかい?」

「あ、いえ…」

「ウチらは息子達がちぃさい頃に夜泣きやらオネショやらで慣れてるけど、あなた達にとっては大変でしょう?」

「「は、はい…」」

「子供が出来た時の予行練習だと思ってみなさいな。」

「リナちゃんだっけ?あんた肉付き良いからたーくさん子供産みそうだね。
3人出来たら毎日戦争だよ、頑張りな!」ペチン

「ひゃんっ!?」


領内に暮らすご婦人方が陽気にリナの尻を叩く。
当の本人は恥ずかしそうに手で押さえていた。
そんな光景をしっかり見ていた執事のローザは


「…ですってよ、若様。」

「…そこで何故に俺に振るんだいローザ?」


ニンマリとしてローザの視線に、デミは逸らす事しか出来ずにいた。




「それでも私達はお婆には未だに敵わないんだけどねぇ…」


そう口を揃えるご婦人方の視線の先では、御歳95歳、領内で最も最年長である【薬師】のお婆が背中と両腕に子供を抱え、3人同時にあやしている所であった。


「くー…すー…」
「すー…すー…」
「むにゃむにゃ…」

「ふむ。この子らも漸く大人しくなったわい。
誰ぞこの子らを宜しく頼むよ。」

「「「はーい。」」」


お婆から子供達を受け取った婦人方はテントの方へと向かう。

一仕事終えたお婆は、首をコキコキと回して解しつつ、デミやノア達の元へやって来た。


「当初と比べてパニックの頻度は変わらんが、症状は比較的軽くなった様に思うよ。
ここの者達や獣人国の騎士さんなんかにも怯える事は無くなってきた故もう一頑張りと言った所じゃな。」

「おぉ、それは良かった。」

「じゃがこれだけの人数だと流石にもう少し人員が欲しいのぅ。
ずっと領の者が付きっきりと言うのも難しいしの。」

「そうなんだよなぁ…」


子供4000に対して領の婦人方や獣人国の騎士団、『犬姫』、『新鋭の翼』らを合わせても100 に満たない。

領の者達は各々家庭を持っている為、お婆の言う通り付きっきりと言う訳にはいかない。

悩ましい問題である。


「…と、すまないの…
さっき若いの(ご婦人方)が子供の夜泣き程度と言っておったが、多少なりとも"キテる"様じゃからな。」

「うん…考えてみるよ。」

「まぁ厳しそうであれば1週間位なら私の方でどうにかしようぞ。
そん時は言っちょくれりゃ良い。」


どうやらお婆の方でも何かしら手はある様だが、あくまで奥の手の様だ。


「やぁこの間の6本腕の坊や。あれからどうじゃ?」

「えぇ、特に変わり無く…」

「いやいや、アレの事じゃよ、"アレ"。」

「アレ?」

「何じゃ、その歳でもう物忘れかの?
一昨日植えとった"つかえるキノコ"の事じゃ。」

「あ…あぁー!すっかり忘れてた!」


この2日の間に獣人達と勝負してたり、『滅びの森』に行ったり『龍宮城』に行ったり王城に行ってたりしていた為、すっかり"つかえるキノコ"の事を忘れていたノア。

直ぐにアイテムボックス内を確認すると、一昨日まで"つかえるキノコの胞子"を植えた木を入れていた項目に"つかえるキノコ"と表示されていた。


「おぉ…いつの間にか成長してる…
一体どんなキノコなんだろう…」


お婆に言われるまですっかり忘れていたノアだが、逸る気持ちを押さえられなかった様で、直ぐにアイテムボックスから取り出したのであった。
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