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獣人国編~救出作戦~
つかえるキノコ
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『つかえるキノコ』…アイテムボックスという限定空間内で生まれた新種のキノコ。
~発生条件~
①アイテムボックスの1つの枠に『無限キノコ』が上限値の999個存在している事。
②アイテムボックスの中に『歩く茸』等の自我を持つキノコが最低1人いる事。
③"100本毎に1本別種のキノコが発生する"特性を持つ『無限キノコ』から発生した別種のキノコがアイテムボックス内に最低10本ある事。
である。
これ以上増殖する事が出来ない環境下を鑑みた『歩く茸』が、普通のキノコのままでは生き残れないと"勝手に"危機感を感じ、多種多様なキノコの特性を統合した結果の産物である。
うまいよ。
「……。」
「……。」
「「「「「「……。」」」」」」
アイテムボックスから"つかえるキノコ"を取り出してみた所、ノアの目の前には手足が生えた身長2メル程の見た目エリンギが立っていた。
デカいエリンギの着ぐるみを着てるのでは無いか、と思わされる程シュールな見た目をしていた為、一瞬言葉が出ず、呆然としてしまった。
「…えっと、君(?)が"つかえるキノコ"で良いのかな…?」
「如何にも。私は"つかえるキノコ"と申します。」
「「「「「「うわっ!喋った!?」」」」」」
顔所か口すら無いのに流暢に喋る"つかえるキノコ"は、人間で言う胸の辺りに手を当て、自己紹介を始めた。
「私は"つかえるキノコ"のクリストファー。
気軽にクリストフとお呼び下さい。」
(名前格好いいな…)
「貴方が生産者様で御座いますね。
名を何と申されるのでしょうか…?」
(生産者…)
「ノ、ノアと言います。」
「おぉ、ノア殿ですな。
貴方様によって生み出されたこの命、貴方の剣となり盾となって尽くしましょうぞ。」
「ど、どうも…」
と、見た目でっかいエリンギに言われたノア。
ぬぅっと迫って来ると中々に圧が凄い。
「…いやはや…永い事生きてきたがこの様なキノコは初めてじゃわい…」
「見た目が大分シュールなのに口調が騎士みたいだよね…」
「何処と無く振る舞いも君主に仕える騎士っぽ…あ。」
(((((("つかえるキノコ"の"つかえる"って"仕える"って意味だったのでは!?))))))
見た目に反して騎士らしい口調から連想し、そう言った考えに思い当たる一同であった。
「それにしてもノア殿、これはどう言った状況ですかな?」
「ん?あぁ、話すと長くなるんだけど、取り敢えずかくかくしかじかあって…」
「ほぅ、我が生産者様は大義を成されたのですね。」
「あまり公には言えないけどね。
それで今は子供達の世話をしている所だよ。」
いつも通り説明省略呪文『かくかくしかじか』を詠唱して説明を大幅に省き説明したが、クリストフはキッチリ理解してくれた様だ。
と
「おーい!誰か来てくれ!子供が酷い呼吸困難に陥ってるんだ!」
奥の方から助けを呼ぶ声が聞こえる。
良く見ると辛そうに踞っている子供の姿が見える。
「僕が行きます。ヴァンディットさん、直ぐに対応出来る様に準備を。」
「はい。」
ダッ!
と、脱兎の勢いでその場から駆け出したノア。
するとその後ろから
のっし、のっし、のっし、のっし…
「って、あれ!?クリストフも着いて来ちゃったの!?」
「生産者様の御仕事を拝見しようと思いまして。なに、邪魔は致しません。」
一応足がある為、歩けるとは思っていたが、まさか走れるとは思わなかった。
手足は人と比べると短いので走り辛そうな気がしていたのだが、ノアのスピードに遅れる事無く、のっし、のっしと足音を響かせつつピッタリと後を着いてきていた。
但し、でっかいエリンギが人間同様の走り方をしている為、更にシュールな絵面になっていた。
タッタッタ「だいじょーぶですかー?」
「すまない!我々では対処が…って、何だその後ろのでっかいのは!?」
ズザザッ!
「御心配無く。
私はノア殿に仕える事になりましたクリストフと言う、ごく普通のキノコに御座います。」
「ごく普通のキノコは走ったりせんわい!」
と、多少混乱は合ったものの、直ぐに容態の悪い子供の元へ。
子供は呼吸がままならず、顔色が非常に悪い。
「か……ひっ…けふっ…か、ひゅ…」
「上手く息を吸えていない様なんだ。
どうにかしてくれ!」
「分かりました。ヴァンディットさん、お願いします。」
ズルッ…
と、ノアの足元の影からヴァンディットが姿を現したものの、難しい表情でどうしたものかと動けずにいた。
「これだけ呼吸が荒いと、薬品を摂取させるのは難しいです。
先ずは呼吸を落ち着かせないと…」
「だがさっきから落ち着かせようと擦ったり声を掛けたりしているが、一向に改善しないんだ!」
「ちょっと失礼。私に任せて貰えないだろうか?」
「「「「「はぁ?」」」」」
子供の現状を見たクリストフは、前に出て対応させて欲しいと願い出てきた。
皆「何を言っているんだ?」みたいな表情でクリストフを見る中
「何か策があるならやってくれ。」
「畏まりました。」
ノアだけはクリストフを信じて任せてみる事にした。
するとクリストフは踞る子供に近付き、傘の下に子供が入る様に立ち位置を調整すると
キラキラキラ…
「「「「「な!?」」」」」
クリストフの傘から細氷の様な細かな粒子が舞い、子供の体に降り掛かる。
すると
「ひゅ……っ…はっ…ふー…ふー…はー、はー。」
「「「「おおっ!呼吸が落ち着いたぞ!」」」」
粒子が降り掛かると、あっという間に子供の呼吸が落ち着き、顔色も良くなってきた。
「この子から強いストレスを感じたので、リラックス効果のある胞子を撒かせて頂きました。
少しすれば元の状態に戻る事でしょう。」
そんなクリストフの言う通り、子供は直ぐに落ち着きを取り戻し、対処してくれたクリストフに御礼を言ってきた。
「すいませんでした…お手を煩わせてしまっ……『パチクリ』…え…え?」
(((((((だよねー!)))))))
子供の獣人は、目の前に立つでっかいエリンギのクリストフに目をパチクリとさせ、理解が及ばず、困惑の表情で周囲の者達を見やっていた。
「クリストフ…そんな便利な能力を持っていたんだね…
助かったよ。」
「生産者様のアイテムボックスの中で多種多様なキノコの特性を統合しました故、ノア様のお手を煩わせる事は無いでしょう。
それよりも先程から気になっていたのですが、皆様お疲れの様ですが、あまり睡眠を取られていないのでは?」
「そうだね。
この子達の世話で皆付きっきりだったから、それなりに疲れてると思うよ。」
「なる程、人手が足りないのでありますな。
それならば私に案が御座います。
何処か日中日陰になる様な場所はありますでしょうか?」
クリストフから何か手がある様で、要望を聞かれたデミは指を指して場所を指示した。
「それなら直ぐそこの林はどうかな?
ほら、木々が生い茂ってる場所があるだろう?」
「おぉ。すみませんがあの一画を御借りしても宜しいでしょうか?」
「あぁ構わないよ。」
のっし、のっし、のっし…
デミから了承を得たクリストフは早速林に向かって駆け出して行った。
ノアは何と無くクリストフが行おうとしている事の意図を察し、事の成り行きを見守る事にした。
ガスッ!「あ。」
「「「「「「え?」」」」」」
グッ、グググッ…「…すみませんノア殿。」
「な、何…?」
「木と木の間に傘が引っ掛かってしまったので引っ張って貰って良いでしょうか?」
((((((閊える(つっかえる)キノコだ…))))))
~発生条件~
①アイテムボックスの1つの枠に『無限キノコ』が上限値の999個存在している事。
②アイテムボックスの中に『歩く茸』等の自我を持つキノコが最低1人いる事。
③"100本毎に1本別種のキノコが発生する"特性を持つ『無限キノコ』から発生した別種のキノコがアイテムボックス内に最低10本ある事。
である。
これ以上増殖する事が出来ない環境下を鑑みた『歩く茸』が、普通のキノコのままでは生き残れないと"勝手に"危機感を感じ、多種多様なキノコの特性を統合した結果の産物である。
うまいよ。
「……。」
「……。」
「「「「「「……。」」」」」」
アイテムボックスから"つかえるキノコ"を取り出してみた所、ノアの目の前には手足が生えた身長2メル程の見た目エリンギが立っていた。
デカいエリンギの着ぐるみを着てるのでは無いか、と思わされる程シュールな見た目をしていた為、一瞬言葉が出ず、呆然としてしまった。
「…えっと、君(?)が"つかえるキノコ"で良いのかな…?」
「如何にも。私は"つかえるキノコ"と申します。」
「「「「「「うわっ!喋った!?」」」」」」
顔所か口すら無いのに流暢に喋る"つかえるキノコ"は、人間で言う胸の辺りに手を当て、自己紹介を始めた。
「私は"つかえるキノコ"のクリストファー。
気軽にクリストフとお呼び下さい。」
(名前格好いいな…)
「貴方が生産者様で御座いますね。
名を何と申されるのでしょうか…?」
(生産者…)
「ノ、ノアと言います。」
「おぉ、ノア殿ですな。
貴方様によって生み出されたこの命、貴方の剣となり盾となって尽くしましょうぞ。」
「ど、どうも…」
と、見た目でっかいエリンギに言われたノア。
ぬぅっと迫って来ると中々に圧が凄い。
「…いやはや…永い事生きてきたがこの様なキノコは初めてじゃわい…」
「見た目が大分シュールなのに口調が騎士みたいだよね…」
「何処と無く振る舞いも君主に仕える騎士っぽ…あ。」
(((((("つかえるキノコ"の"つかえる"って"仕える"って意味だったのでは!?))))))
見た目に反して騎士らしい口調から連想し、そう言った考えに思い当たる一同であった。
「それにしてもノア殿、これはどう言った状況ですかな?」
「ん?あぁ、話すと長くなるんだけど、取り敢えずかくかくしかじかあって…」
「ほぅ、我が生産者様は大義を成されたのですね。」
「あまり公には言えないけどね。
それで今は子供達の世話をしている所だよ。」
いつも通り説明省略呪文『かくかくしかじか』を詠唱して説明を大幅に省き説明したが、クリストフはキッチリ理解してくれた様だ。
と
「おーい!誰か来てくれ!子供が酷い呼吸困難に陥ってるんだ!」
奥の方から助けを呼ぶ声が聞こえる。
良く見ると辛そうに踞っている子供の姿が見える。
「僕が行きます。ヴァンディットさん、直ぐに対応出来る様に準備を。」
「はい。」
ダッ!
と、脱兎の勢いでその場から駆け出したノア。
するとその後ろから
のっし、のっし、のっし、のっし…
「って、あれ!?クリストフも着いて来ちゃったの!?」
「生産者様の御仕事を拝見しようと思いまして。なに、邪魔は致しません。」
一応足がある為、歩けるとは思っていたが、まさか走れるとは思わなかった。
手足は人と比べると短いので走り辛そうな気がしていたのだが、ノアのスピードに遅れる事無く、のっし、のっしと足音を響かせつつピッタリと後を着いてきていた。
但し、でっかいエリンギが人間同様の走り方をしている為、更にシュールな絵面になっていた。
タッタッタ「だいじょーぶですかー?」
「すまない!我々では対処が…って、何だその後ろのでっかいのは!?」
ズザザッ!
「御心配無く。
私はノア殿に仕える事になりましたクリストフと言う、ごく普通のキノコに御座います。」
「ごく普通のキノコは走ったりせんわい!」
と、多少混乱は合ったものの、直ぐに容態の悪い子供の元へ。
子供は呼吸がままならず、顔色が非常に悪い。
「か……ひっ…けふっ…か、ひゅ…」
「上手く息を吸えていない様なんだ。
どうにかしてくれ!」
「分かりました。ヴァンディットさん、お願いします。」
ズルッ…
と、ノアの足元の影からヴァンディットが姿を現したものの、難しい表情でどうしたものかと動けずにいた。
「これだけ呼吸が荒いと、薬品を摂取させるのは難しいです。
先ずは呼吸を落ち着かせないと…」
「だがさっきから落ち着かせようと擦ったり声を掛けたりしているが、一向に改善しないんだ!」
「ちょっと失礼。私に任せて貰えないだろうか?」
「「「「「はぁ?」」」」」
子供の現状を見たクリストフは、前に出て対応させて欲しいと願い出てきた。
皆「何を言っているんだ?」みたいな表情でクリストフを見る中
「何か策があるならやってくれ。」
「畏まりました。」
ノアだけはクリストフを信じて任せてみる事にした。
するとクリストフは踞る子供に近付き、傘の下に子供が入る様に立ち位置を調整すると
キラキラキラ…
「「「「「な!?」」」」」
クリストフの傘から細氷の様な細かな粒子が舞い、子供の体に降り掛かる。
すると
「ひゅ……っ…はっ…ふー…ふー…はー、はー。」
「「「「おおっ!呼吸が落ち着いたぞ!」」」」
粒子が降り掛かると、あっという間に子供の呼吸が落ち着き、顔色も良くなってきた。
「この子から強いストレスを感じたので、リラックス効果のある胞子を撒かせて頂きました。
少しすれば元の状態に戻る事でしょう。」
そんなクリストフの言う通り、子供は直ぐに落ち着きを取り戻し、対処してくれたクリストフに御礼を言ってきた。
「すいませんでした…お手を煩わせてしまっ……『パチクリ』…え…え?」
(((((((だよねー!)))))))
子供の獣人は、目の前に立つでっかいエリンギのクリストフに目をパチクリとさせ、理解が及ばず、困惑の表情で周囲の者達を見やっていた。
「クリストフ…そんな便利な能力を持っていたんだね…
助かったよ。」
「生産者様のアイテムボックスの中で多種多様なキノコの特性を統合しました故、ノア様のお手を煩わせる事は無いでしょう。
それよりも先程から気になっていたのですが、皆様お疲れの様ですが、あまり睡眠を取られていないのでは?」
「そうだね。
この子達の世話で皆付きっきりだったから、それなりに疲れてると思うよ。」
「なる程、人手が足りないのでありますな。
それならば私に案が御座います。
何処か日中日陰になる様な場所はありますでしょうか?」
クリストフから何か手がある様で、要望を聞かれたデミは指を指して場所を指示した。
「それなら直ぐそこの林はどうかな?
ほら、木々が生い茂ってる場所があるだろう?」
「おぉ。すみませんがあの一画を御借りしても宜しいでしょうか?」
「あぁ構わないよ。」
のっし、のっし、のっし…
デミから了承を得たクリストフは早速林に向かって駆け出して行った。
ノアは何と無くクリストフが行おうとしている事の意図を察し、事の成り行きを見守る事にした。
ガスッ!「あ。」
「「「「「「え?」」」」」」
グッ、グググッ…「…すみませんノア殿。」
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「木と木の間に傘が引っ掛かってしまったので引っ張って貰って良いでしょうか?」
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