ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

.

文字の大きさ
440 / 1,124
獣人国編~救出作戦~

はいどうぞ、次の方

しおりを挟む
「はいどうぞ、次の方。」

「あ、あぁ…」

「ふむふむ…この国には商いで来られたのですかな?」

「あ、あぁ…」

「何か反応が芳しく無いが、まさか怪しい物を持ち込んでいる訳では無いだろうな?」

「いや、そんな事は無い…
だが兵士さん…アレを見て貰えればこんな反応になるのも分かってくれるハズだ…」


獣人国西門で入国許可申請を受けていた商人が、待機列後方を指差す。
兵士はその方向を見てみると


人、人、商人、人、エリンギ、獣人、獣人、人


「エリンギだとぉっ!?」

「分かってくれましたか…」


兵士は1発で混乱に陥ってしまった様だ。


「いやぁ、近くで見ると獣人国とはかなり大きな物ですな、ノア殿。」

「そ、そうだね…
ねぇクリストフ?申し訳無いんだけど、もう少し声を抑えて貰って良いかな…?
さっきから周りからの視線が痛いんだ…」

「周りから?
あぁ、傘の上に落ち葉が積もっていて身嗜みが整っていなかった様で申し訳ありません『パサパサ…』。」

「…うん…そういう事じゃ無いんだけどね…」


たまに察しが悪くなる辺り、生産者に似たのかもしれない。





「…はいどうぞ…次の方…
確か君は冒険者だったハズだが、見世物もやってたりするのか…?」

「いえ、れっきとした冒険者です…
後ろのはキテレツな姿をしていますが、従者みたいな者です…
彼の身分証明代わりに冒険者カードを作りに来ました…」

「この国にの兵士だな、宜しく。」スッ…

「あ、あぁ…」キュッ。


クリストフから握手を求められた兵士は、応じる様に握手を交わす。

(あ、握った感触もまんまキノコだ…)

触ってみれば分かるのだが、クリストフの体は、硬過ぎず、柔らか過ぎない何とも言えない感触である。






「すいませーん!冒険者登録に来ましたー!」

「はーい、少々お待ち下さー…い"っ!?」

ぬんっ!

「ほほぅ、ここで登録をするのですな、ノア殿。」

「そ。受付嬢の指示に従ってれば登録までは簡単なハズだよ。
それじゃ受付嬢さん、この人(?)の登録手続きお願いしますね。」

「え!?あっ!?ちょっと待って下さい!
この人(?)一体何なんで「私はクリストフ!生産者であるノア殿に連れられ冒険者登録に来た者である!さぁ手続いてくれ、今すぐ!」

「ひぃぃいっ!顔(?)近付けないで下さい!
怖いですぅっ!」


自身の傘でカウンターに引っ掛かってしまうが、受付嬢に食らいつかん勢いで迫っており、その圧によって受付嬢が怯えていた。






クリストフが冒険者登録を行っている間、ノアは壁に貼り出されている依頼の数々を確認していた。

一昨日来た時よりも紫色の依頼用紙(臨時パーティ募集と依頼の抱き合わせ)が貼り出されている気がするが、ノアは橙色(討伐と採取の抱き合わせ)の依頼用紙を探している。

お目当ては槍の様に長い角を持つ『ランス・ラビット』系の依頼である。

何でも『ランス・ラビット』の角は硬い割に多孔質で非常に軽く、筋力の無い【槍】の新人冒険者でも扱い易いとの事で割と好まれている。

その上対象に刺さると、出血効果を付与させる為、割と手軽にダメージを与えるとしてナイフや刺突武器に加工される事もあるとか。

何ならノアも『ランス・ラビット』の角の有用性を知った時には、投擲武器として何本か作成して貰おうか、とも考えた位である。


「お、あったあった。」ペリッ…



依頼内容:『ランス・ラビットの討伐』
依頼主:武具屋の店主。
期日:1週間以内。
最低条件:対象を最低でも10体討伐(尚、角に大きな傷が入っていた場合カウントしない)。
報酬金:1体に付き2万ガル、角が無傷であれば2万8000ガル。
肉等の可食部は不要なのでお好きにどうぞ。



「すいません、この依頼を受けたいのですが。」

「ガオウ武具屋店主ご依頼の『ランス・ラビットの討伐』ですね。
ノア様はごく最近、同様の依頼を達成されてますのでお受けする事が可能です。」

「それは良かった。」


受付嬢は、ノアが前回受けた依頼結果を確認し、受けれるレベルに達しているかを判断している様であった。

ペタン。

「はい、それでは受理致しましたので頑張って下さい。
依頼にも書かれていますが、対象の角に大きな傷があると達成とみなされない場合がありますのでお気を付けて下さい。」


因みにこの依頼で言う"大きな傷"というのは角本体に人差し指程の斬り傷が付いていたり、欠け、割れがある場合の事らしい。



その後も受付嬢から注意事項を聞いていると、2つ隣のカウンターで冒険者登録の手続きをしていたクリストフがノアの元へやって来た。

てっきり手続きが終わったのか、と思ったのだがそうでは無い様で


「…ノア殿、"血"とは何でしょうか?」

「"血"?…何でまたそんな話に…?」

「何でも、"血"があれば詳細な情報を冒険者カードに記載出来るとの事で、カウンターにあった針に指を当てたのですがそれらしい物が出て来なかったのです。」

(そういえば僕の時も"血"を使っての冒険者カード作成はしてなかったな…)

「…まぁクリストフはキノコだから"血"がある訳無いよね…(あったら怖いよ。)
"血"は…分かり易く言えば体液みたいな物だよ。」

「体液ですか…ふーむ…」


ノアからざっくり説明を受けたクリストフは、顎に手を当てて少し思案していた。(顎無いけど。)

ポン。

「分かりましたノア殿、ちょっと通りにある屋台に行って来ます。」

「屋台?何で?」


何か思い付いたのか、手をポンと叩いて徐に外へ向かおうとする。


「確か我々の様なキノコは火で炙れば体液が滲み出る物だと聞いた事があります。
なので通りの屋台の焼き場を借りてちょっと炙って来ようか「待て!クリストフ!そんな事しても"血"は出ないぞ!それは"血"じゃない"出汁"だ!待てって、あ!力強ぇコイツ!」


因みにキノコの傘の部分をじっくり炙れば、傘の内側に良い感じのエキスが滲み出てくるのでオススメだぞ(ノア談)。


結局、"血"を使わなくても冒険者カードは作成出来るので、取り敢えず作成して貰った。

その後、身分証明代わりの冒険者カードの作成が終わった一行は割と騒がしくしてしまった為、冒険者ギルドを飛び出すと、そのままダッシュでスロア領へと戻る事にしたのであった。
しおりを挟む
感想 1,255

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

ボンクラ王子の側近を任されました

里見知美
ファンタジー
「任されてくれるな?」  王宮にある宰相の執務室で、俺は頭を下げたまま脂汗を流していた。  人の良い弟である現国王を煽てあげ国の頂点へと導き出し、王国騎士団も魔術師団も視線一つで操ると噂の恐ろしい影の実力者。  そんな人に呼び出され開口一番、シンファエル殿下の側近になれと言われた。  義妹が婚約破棄を叩きつけた相手である。  王子16歳、俺26歳。側近てのは、年の近い家格のしっかりしたヤツがなるんじゃねえの?

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

『山』から降りてきた男に、現代ダンジョンは温すぎる

暁刀魚
ファンタジー
 社会勉強のため、幼い頃から暮らしていた山を降りて現代で生活を始めた男、草埜コウジ。  なんと現代ではダンジョンと呼ばれる場所が当たり前に存在し、多くの人々がそのダンジョンに潜っていた。  食い扶持を稼ぐため、山で鍛えた体を鈍らせないため、ダンジョンに潜ることを決意するコウジ。  そんな彼に、受付のお姉さんは言う。「この加護薬を飲めばダンジョンの中で死にかけても、脱出できるんですよ」  コウジは返す。「命の危険がない戦場は温すぎるから、その薬は飲まない」。  かくして、本来なら飲むはずだった加護薬を飲まずに探索者となったコウジ。  もとよりそんなもの必要ない実力でダンジョンを蹂躙する中、その高すぎる実力でバズりつつ、ダンジョンで起きていた問題に直面していく。  なお、加護薬を飲まずに直接モンスターを倒すと、加護薬を呑んでモンスターを倒すよりパワーアップできることが途中で判明した。  カクヨム様にも投稿しています。

妹が聖女の再来と呼ばれているようです

田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。 「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」  どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。 それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。 戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。 更新は不定期です。

無能と追放された俺、死にかけて覚醒した古代秘術を極めて最強になる

仲山悠仁
ファンタジー
魔力がすべての世界で、“無能”と烙印を押された少年アレックスは、 成人儀式の日に家族と村から追放されてしまう。 守る者も帰る場所もなく、魔物が徘徊する森へ一人放り出された彼は、 そこで――同じように孤独を抱えた少女と出会う。 フレア。 彼女もまた、居場所を失い、ひとりで生きてきた者だった。 二人の出会いは偶然か、それとも運命か。 無能と呼ばれた少年が秘めていた“本当の力”、 そして世界を蝕む“黒い霧”の謎が、静かに動き始める。 孤独だった二人が、共に歩き出す始まりの物語。

地味スキル「ためて・放つ」が最強すぎた!~出来損ないはいらん!と追い出したくせに英雄に駆け上がってから戻れと言われても手遅れです~

かくろう
ファンタジー
【ためて・放つ】という地味スキルを一生に一度の儀式で授かってしまった主人公セージ。  そのせいで家から追放され、挙げ句に異母弟から殺されかけてしまう。  しかしあらゆるものを【ためる】でパワフルにできるこのスキルは、最高ランクの冒険者すらかすんでしまうほどのぶっ壊れ能力だった!  命からがら魔物の強襲から脱したセージは、この力を駆使して成り上がっていく事を決意する。  そして命の危機に瀕していた少女リンカニアと出会い、絆を深めていくうちに自分のスキルを共有できる事に気が付いた。 ――これは、世界で類を見ない最強に成り上がっていく主人公と、彼の元へ集まってくる仲間達との物語である。

処理中です...