ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~森の番人~

………!

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「………!……ッ!」

「……れっ!…を…ぞっ!」

「…ーベ、…を覚ま…し…か!」

「…ジョー様?あれ?どうしてここに…?」

 
ラーベが目を覚ますと、目の前に安堵の表情をしたジョーが居た。


「…お姉…ん、目を…したのね!…良…た…」

「ラベルタ…?…あれ?上手く聞こえない…」


続けて妹のラベルタがよろめきながらラーベの元にやって来て同様に安堵の表情を見せる。
さき程からジョーとラベルタ、周りの喧騒がくぐもって聞こえていた。

耳の調子が悪いのかと思い、触れようとするとヴァンディットが手を掴んで制した。


「治療の影響で一時的に聴覚が不調をきたしています。数日の内に回復しますので御安心下さい。
それと、包帯を付けている間はあまり顔に触れない様にして下さい。まだ多少骨がぐらついていますし、痕も残っていますので。」

「は、はい…」


耳がよく聞こえていないラーベの為、顔を近付けて説明をするヴァンディット。


「あれ…?そう言えば何で私ここに…
あっ!レント・レアナは『ゴッ!』あ痛っ…!」

「………!」


先程の戦闘を思い出したラーベは、勢いよく起き上がりヴァンディットに頭突きをしてしまった。

ヴァンディットはあまりの痛みに、無言で頭を押さえていた。

ヴァンディットに謝りつつ周りを見渡してみると、意識を失ったギュラドスカルに、『侍衆』、『高機動兵団』の者達が横になり、同様に治療を受けていた。


「ラ、ラベルタ…あの後どうなった…の…?」

「…ノア様以外全滅して、応援として来た騎士達と共に街に戻って来たの…」

「そ、それで、ノア様はどこに…」

トテテ…

「ノア君ならハナさん達と一緒に冒険者ギルドの方に報告に行ってますよ。」


血の付いた布の塊を持って治療の手伝いをしているラインハードがそう答える。


ヨロ…

「くっ…なら私も一緒に…」

ガシッ。

「今は安静にしておくんだラーベ。
それに今行っても色々言われるだけだ。」


ふらつきながらも立ち上がり、ギルドまで向かおうとするラーベを、ジョーは制した。






ダンッ!
「」
「失敗だとっ!?」
「上級冒険者パーティに、【鬼神】まで参加した上で失敗したってのか!」
「えぇ…どうすんだよ…」
「他の奴等は何やってたんだよ!」
「『灰塵』って実は大した事無いんじゃね?」
「イビルなんかが居たクランだしな…」
「例の2体が居なくならない限り『滅びの森』にモンスターが戻って来ないらしいじゃねぇか!」
「俺らの稼ぎの種、どうしてくれんだよ!」

「あ、あの、ノア君含め皆さん必死で戦って…」


ハナが怒れる冒険者達に弁明をしようとするも


「必死で戦って結果が伴ってなければ意味が無ぇんだよ!」
「アンタら『犬姫』だったか?補佐で一行に付いていったのに、気配に当てられて固まってただけらしいじゃねぇか!」
「何しに行ったんだよ!補佐じゃなくて"ボサッ"としてただけじゃねぇか!」

「「「うぅぅ…」」」


火に油を注いだ所か余計に怒りの炎を強く燃え上がらせてしまった。


「はっ!【鬼神】も大した事ねぇな!」

「ちょっとそれは言い過ぎじゃないかしら?」

「あん?」


冒険者の中傷に、澄んだ声の女性が仲裁しに入った。
見てみるとそこにはエルフが立っていた。


「13人が協力しても手傷1つ付けられなかったモンスターと同格の奴を相手に、彼はたった1人で相手にしていたのよ?」

「「「う…」」」

「に、逃げ回ってただけじゃ「んなこた無いぞ。」


エルフの横に立っていたドワーフのバトが話に入ってきた。


「ワシらが到着する迄の2~3分の間位しか戦闘を見とらんかったが、4~500合位は打ち合っとったんじゃないかな?」

「フリアダビアの時もそうじゃったが、無茶苦茶な戦い方をしよる…」

「文句があるんじゃったら皆で『滅びの森』に向かえばええじゃろぅ。
まだ奴等は森ん中に居るらしいからの。」

「「「「「「「………」」」」」」」


バトからの提案に、周りでずっと文句を言っていた冒険者達は一斉に押し黙ってしまった。

口で言うのは簡単だが、行動に移すとなると抵抗がある様だ。
上級冒険者達が束になっても敵わなかった相手に挑んだとして、勝てる見込みが全く無いのである。


「ふん、口先だけの腰抜け共め。」

「あ、あの…あなた達は一体…?」


受付嬢が恐る恐ると言った様子でドワーフ達に尋ねる。
獣人国では色々な種類の人種や種族が居るが、ドワーフやエルフは見た事が無い。

エルフは種族柄、あまり群れる事を好まない上に自然豊かな土地を好む。

ドワーフは物造りや酒造が盛んな国、又は強者を求めて放浪の旅をしており、豪快な性格から、道なりに歩かず獣道を突っ切っていたりする為、あまり人目に付く事が無い。

ノアはオードゥスやフリアダビアで遭遇していたから気にしていなかったが、この2種族に遭遇するのは、割と珍しい事なのである。


「ん?ワシらはそこの坊とフリアダビアで共に【魔王】の一派と戦った戦友じゃ。」

「今は訳あってスロア領で依頼を遂行してる所じゃ。」

「ちなみにこの嬢ちゃんはその連れじゃ。」

「"嬢ちゃん"言うな、これでも240歳だぞ!
…って、そんな事どうでも良いわ。
何か『滅びの森』で危険なモンスターが出たって言うから騎士達に混じって応援に来たって訳よ。」

「な、なる程…」

「それにしてもアンタ達何?
有志募って討伐に行った人達に感謝の弁も言わず、文句と懐の心配しか口から出せない訳?」

「「「「「「あ、う…」」」」」」


エルフの言葉に、周囲の冒険者達は何も言えなくなってしまった。


「その辺にしといて下さいエルフさん。
こちら側にも幾つか落ち度がありましたし…」 

「エスメラルダで良いわ。
あなたがそう言うならこれ以上私から言う事は無いわ。」

「そう言えば坊、さっき言うとった"条件付き"とはどういう事じゃ?」

「…冒険者達に手を出さず、無事街に戻す事を許す。
その代わり"次に戦う時はこんな雑魚共でなく、まともな奴を連れてきてくれ。何なら君だけでも良い。"と言う条件です。」

ざわっ…

ノアから告げられた条件を聞き、ざわつくギルド内。

先程息を巻いていた連中も神妙な顔付きになり思案している。
彼等が先程声を荒げていたのも、現状でこれ以上無い戦力と思っていた者達があっさりと敗れてしまった事に対する不安からの言である。


「か、彼等以上の者達何て一体どうすれば…」

「「「「「「……」」」」」」


至極当然な反応のハナに、ギルド内は静まり返る。

すると


「いえ、寧ろ都合が良いです。
あちらからの要求に、"君だけでも良い"とありましたしね。」

「え…?まさかそれって…」

「えぇ、次は僕だけで行きます。」
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