ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~森の番人~

左右から迫る土砂の壁

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左右から迫る土砂の壁に、ドワーフ3人組は即座に駆け出し、各々ガントレットを装着した腕で殴り付け大穴を空ける。

ギギャァッ!「ぬぅっ!?」

大穴を空けて開けた場所に出ると、土煙に紛れて急速接近を果たしたドーピングマッシュルームがバトに肉薄してきていた。


「伏せぃっ!」ブォンッ!

ジュブァッ!ゾブッ!ギギャァッ!?


共に行動していたロイがバトの背後から斧を振り、ドーピングマッシュルームの胴体を真一文字に焼き斬る。

寸での所でしゃがみ、ロイの斧を回避したバトは、立ち上がると同時に斧を振り上げ、縦に一刀両断する。

あっという間に十字に焼き斬られたドーピングマッシュルームは、悲鳴を上げながら焼き崩れていった。


「ふん、奇襲はフリアダビアで経験済みじゃて。」

「だな。」

「そっちにも奇襲しに来とったか、まぁこの程度なら造作も無いな。」


肩に斧を担いだルドが2人の元へ歩み寄ってきた。
ルドの方にも不意打ちでドーピングマッシュルームが奇襲を仕掛けて来たが、事も無げに処理した様だ。




ボゴゴゴゴゴゴッ!

タッ!タッ!タンッ!タッ!

ギャヒヒッ!ギュケケッ!


エスメラルダは、迫り来る土砂の壁の隙間を縫い、自前の身軽さで掻い潜りつつ、礫を足場に上を目指していたが、その直下から奇声を上げながら迫るドーピングマッシュルームの姿があった。

壁と壁の間はもう10メルも無く、狭所である為弓も使えない。
例え使えたとしても3歩後ろにはもう2体のドーピングマッシュルームが迫っていた為、どちらにしろ絶体絶命と言える。


ピンッ。「ん、よし。」ヒュオッ!

タンッ!

『『ギギギィイッ!』』グォオッ!


エスメラルダから落ち着き払った声音が漏れる。直後、エスメラルダは更に加速して壁の天辺に辿り着いた。

すると、憎々しげな声を上げたドーピングマッシュルームも加速してエスメラルダに迫る。


『『『『『プツッ…』』』』』

ギギ『ミリ…』ィッ! ギャギ『ズル…』ギッ!


エスメラルダの下まで後1歩と言う所でドーピングマッシュルームが動きを止め、ボロボロと崩れていった。

よく見てみると、壁と壁との間に薄らと光る物が張り巡らされていた。


「何の策も無しにこんな狭い所に逃げ込む訳無いでしょ?
貴重な『金剛糸蜘蛛』の糸を張り巡らさせて貰ったわ。どう?良い切れ味でしょ。」

ズズズズ…

立ちはだかる土砂の壁が自重で崩れつつある中、完全に瓦解したドーピングマッシュルームへ向けて吐き捨てる様に言ったエスメラルダは、地上へ向けて降下し始めた。




ギシャァアッ!ブォンッ!
ガァアアッ!ボッ!


土煙に紛れてマドリックに接近してきた2体のドーピングマッシュルームは、各々高速で拳と蹴りを繰り出して来たが


ガブリュッ!ギッ!?
ズバッ!ガッ!?

「ふむ。『ムシャムシャ』拳は攻撃力上昇成分配合、『ガブッ!ムグムグ』脚は速度上昇成分って所か…?
『ゴクッ。』本当なら火通した方が美味いんだが、どちらにしろ腹減ってたから丁度良い。
ほら、さっさと攻撃してこい"食ってやる"からよ。」


攻撃してきたドーピングマッシュルームの拳を食い千切り、膝から下を爪弾で斬り落とし、その後食した。

自身の体の一部を食い千切られたドーピングマッシュルームは、瞬間的に身を強張らせた。

『『ザシュッ!』』

その隙を見逃す事無く、両腕に爪弾を装着したマドリックが高速で2体の間を通過して一瞬の内に斬殺。

ボトボトボト…

通過時の風圧でドーピングマッシュルームの体はボロボロと崩れ落ち、物言わぬ骸と化した。


「さて、雑魚は片付いた。
レント・レアナの方はどうなってる事やら…」


未だ土煙が立ち込め、視界では碌に判断出来ない状況ではあるが、ノアとグリードが駆けていった方を見るマドリックであった。





ザシュッ!

ザガッ!ズガガンッ!

ズバッ!ザバッ!ドバババッ!


〔うふふふ、貴女強いわね。是非とも"苗玉"にしたいわぁ…〕ドバッ!

《……。》ザッ!ズバッ!ザバッ!


レアナと対峙している<人化>状態のグリードは、常時20にも及ぶ触手の猛攻を真っ正面から受け止め、龍鱗に覆われた腕で全て迎撃していた。

前日の冒険者達とは明らかに違う存在に、上物の予感を感じていたレアナは意気揚々と攻撃を仕掛け続けているが、対するグリードの表情は固く、レアナからの言葉にも無反応である。


〔お喋りは嫌いなのかしら?
なら無理矢理にでも喋らせてあげる。〕

ギュルルルルッ!

〔『トレンティアル・ジャベリン(樹人の剛槍)』〕

ドシュゥウウウッ!!!


背中から生えた触手を鋭い槍状に束ねた物をグリードへ向けて発射。
あまりの速さに、先端が掻き消える程である。



ガギュゥッ!バギバギビキバキッ!!

〔!?〕


凄まじい速度で発射されたのにも関わらず、事も無げに自身の長い尻尾で側面から咥え、千切り取ったグリードは、そのまま咀嚼するかの様に鉤爪状の尻尾先端を動かし、破砕音を響かせながらモリモリと食べ進めていた。


〔……!?〕

《あら、お喋り嫌いなのかしら?
なら無理矢理にでも喋らせてあげる。
『ゴクン。』でもその前に軽食を摂っても良いかしら?
小腹が空いてるから早く次の"曲芸"を見せて頂戴。》

〔…ふ、ふふふ…〕


グリードの煽りにも似た言葉を投げ掛けられたレアナは、声音に感情が乗ったお陰か、苛立っている様に思われた。





シュバッ!

転移直後、荒鬼神を手にしたノアがレントに接近を果たそうとしたが、両者との中間地点。
具体的には、レントの真下から急速に地上を目指して迫る巨大な反応を感知した。

ズザッ!

「くっ、何『ドゴゴゴゴッ!』うおっ!?」


咄嗟に横に逸れて回避をしようとしたが、それでも間に合わない程の大きな物体が地面を隆起させ、土石の流れに足を取られてしまった。


「くっ…『ガボボッ…』チィッ!」バッ!


僅かに土砂に巻き込まれ掛けたが、寸での所で離脱し、距離を取る。

ガラガラガラッ…

高さ約30メル程の山になったが、まだその全体像が見えない。
しかし、丸みを帯びた"何か"という事しか分からない。


〔このまま君と全力で戦うのも良いが、まずは君の手の内を知りたい。
という訳で手始めにこの召喚獣を相手して貰おう。"デイダラボッチ"存分に暴れて来ると良い。〕


ウボォア"ア"ア"ア"ア"ア"アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!


泥にまみれた超重量の巨人が地中より姿を現した。
叫び声だけで突風と地鳴りが発生し、1歩、また1歩と歩を進ませる度に地響きと地面を粉砕させる破壊の痕を刻み付ける。


距離的に離れている獣人国側からこの巨人の姿を見た者は、一様に身を振るわせ、恐怖し絶望感を露にしている。

だが巨人"デイダラボッチ"の足下に居るノアはと言うと


「人間の形を成しているなら弱点も同じなハズだ!速攻で仕留めるぞ!」

(『おぅよ!やってやろうぜ!』)


((『【一神同体】発動!』))
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