ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~森の番人~

もう1つの進化形態

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「ねぇ鬼神さん?申し訳ないんだけど、状況説明して貰って良い?」

『んだよ急に改まっちまって、気持ち悪ぃな。』ブチブチッ!

「いや…だって僕、さっきから蔓に絡まったままで何もしてなかったし…」

『訓練の時はほぼ毎日そんな事の連続だったろう、そん位気にするな。
マドリックの立てた作戦通り奴を不完全な状態で上位存在へ進化を促したんだが…
正直コレで正しかったのか疑わしい状況だっ、っと。』

ブチッ!

『…ホレ、蔓を千切ってやったから自分の目で状況を見てみな。』

「あ、どうも。」


進化途中のレントに吹っ飛ばされた鬼神は、降下した先に『聖樹の奉り蛇(サーペンテ)』と、未だ身動きが取れないノアが居た。

なので着地と同時に『聖樹の奉り蛇(サーペンテ)』目掛けて拳を振るい粉砕した後、蔓でがんじ絡めであったノアを手助けした所であった。





ガシャガシャ…  

「おぉぅ…何か薄暗くなったと思ったらこんな事になってたのか…」


魔装鉄甲を装着したノアが体を起こして頭上を見上げると、周囲の森の木々より更に頭上に進化途中のレントから延びた枝葉が生い茂っていた。

軽く見積もっただけでも高さ200メルにまで成長した大樹から、半径150メルの範囲に渡って枝葉が延び、今も尚成長を続けている。

それにより辺りは昼間だと言うのに薄暗くなっていた。


「…確かにこれじゃあ不安になるのも分かるよ…
本当にこれで良いのかな…?」

『だろ?』


ノアと鬼神は肩を並べて頭上を見上げ、呆然と成長したレントを見詰めていた。

すると

ザッザッ…

「『滅びの森』周辺から手当たり次第に魔力を吸収した結果、自身の体組織に魔力を保有しきれなくなり巨大化。
それでも、更なる魔力を求め続ける事で樹状状態に移行する。
"森の番人"を"森の現人神(アラヒトガミ)"に進化させるのでは無く、人という形態を捨てたもう1つの進化先である"森の荒神(アラガミ)"へと進化させる事が奴の討伐難度を下げる1番の方法なんだ。」

「あ、マドリックさん。」

「「「ワシらも居るぞ。」」」


呆然としていた2人の元にマドリックが作戦の概要を説明しながらやって来た。
その後ろからドワーフ3人組に、エスメラルダも追随している。



進化形態:"森の荒神(アラガミ)"…"森の番人"が通常進化した場合、"森の現人神(アラヒトガミ)"になるのだが、条件が揃わずに不完全な状態で進化した場合、"人"と言う形態を捨てたもう1つの存在"森の荒神(アラガミ)"へと変化する。

動きが制限された事で討伐難度は低下するハズだが、体積や攻撃の幅が格段に増えた為、戦力によっては逆に討伐難度が悪化する事になる。



「で?こんなデカブツをどうやって討伐するんじゃ?」
「まんま樹の見た目しちょるから、まさか切り倒すなんて事は無いよな?」

「こんなサイズの大木、根腐れ起こすのだって骨よ?
街から応援募って地道に…」

「いや、この形態の奴に時間を与えるのはマズイ。
このまま一気に殲滅戦を行う。
私達はここで"樹状状態のレント分体"の殲滅を行いつつ奴の気を引く為に根を攻撃するぞ。」

「「「「"レント分体"?」」」」


マドリックの口から新たな存在の名が上がり、首を傾げる一同。


「まぁ今に分か…っ!
来るぞっ!全員迎撃体勢を取れっ!」


マドリックが呟いた直後、一行の直上から謎の物体が落下して来ている反応を感知。

どうやら枝葉に実の様な物が形成され、それが降ってきている様であった。

荒げたマドリックの声に即座に全員が迎撃体勢を取る。


『『『ヒュゴッ!』』』

ゴンッ!ゴッ!ゴンッ!


風切り音と共に3つの塊が地面に着弾。
一瞬見えた色味や大きさからして、てっきり獣人国側から発射された大砲の弾かとも思われたが、直後の出来事でその考えは霧散した。


ギィイイッ!!ズボッ!
ギギャギギッ!!グボッ!
ガァアアアッ!ズヌッ!


着弾した地面から奇声と共に、木と蔓で形成された蜘蛛や人型のモンスターが出現。
知能ある生き物なら備わっているハズの躊躇い等は微塵も見せず、一行に向け襲い掛かってきた。

だが


「ヌゥッ!」ブンッ!
「リャッ!」ブォッ!
「セィッ!」バォッ!

『『『ソバッ!』』』


ドワーフ3人組が即座に火属性付きの斧を振り振り翳し両断。

ドサッ!ドササッ!

焼き断ち切られたモンスター共は、悲鳴を上げる事無く絶命した。


「なぁる程な。これが今言っとった"分体"じゃな。」
「何で上から…『ニチャ…』こりゃ、卵…か?」
「いや、こりゃ"実"じゃな。
そうか…上で"実"を作り、それが落下して来た様じゃな。」

「その通り。
この形態だと自身が動けない代わりに分体を無数に生成し、自身を守らせるのだ。」

『これがさっき奴が言ってた"子供"か…
ここでこれだと、既に他の所でも同様の事が起こってる事だろう。
直ぐにでも行動開始するか。』

「その方が良い。
私らはここで戦い、ノアと君らは本体であるレントを攻撃してくれ。」

「分かった。」

『あいよ。
つー訳だグリード、いつも通りの手筈で頼むぞ。』

《はーい。》

「ん?」
『あれ?』


と、グリードに呼び掛け、すぐにでも戦いに赴こうとしたが、ここで見過ごせない存在がグリードと共に現れたのであった。


[…ど、どうもです…]

「誰っ!?」
『…てか竜…いや、気配からして龍か…
何でしれっと増えてるんだ?』

《ここでアレコレ説明するだけの時間も無いでしょうから詳しくは省きますが、"かくかくしかじか"という事で。》

「え?それって完全に部外者って事だよね?」
『レアナを倒してくれた事に関しては有り難いとは思うが、変に首を突っ込まなくても良いぞ?』

[いえ、多少でも関わってしまいましたのでグリード"様"の手助けが出来ればと…]


2人にとって初対面となる亞龍・プロスペリダージが、グリードに"様"と付けていた事に対して何と無く察した2人は、プロスペリダージに手招きして小声で話す事にした。


「…その反応からして、あなたにとってグリードは目上の存在だよね…?
もしかして変な気を遣わせちゃったりしましたか?」ゴニョゴニョ…

[え?いや…はい…]ゴニョゴニョ…

『大方、敵側からの召喚に応じた形での出会い方だったから変に目を付けられたのでは…とかか?』ゴニョゴニョ…

[う…そ、そうです…]ゴニョゴニョ…


《主様?その者と何を話しているのでしょう?
御安心下さい、その者が何か粗相を起こしたら私が責任をもって"処理"致しますので。》


満面の笑みでそう答えるグリード。


「『…何かマズイ事になりそうだったら形振り構わず僕(俺)らの所に逃げてきて下さいね?』」

[はい…その時はお願いします…]


上位存在である龍種も中々に大変なんだな、と感じるノアと鬼神なのであった。
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