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獣人国編~森の番人~
討伐作戦開始
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「う~…漸く体力が戻ってきた~…」
「ホント…次『時の迷宮』に挑戦するのが少し億劫になるわ…」
「うわぁ…今スキル欄確認したらいつの間にか<疲労耐性>取得してたよ…」
「旨い話には必ず裏があると言う事だな…
それにしても、街の中が変に静かじゃないか?」
前日、獣人国に存在するダンジョン『時の迷宮』に行っていたクロラ達一行は、『時の迷宮』独特の"ある仕様"によって一昼夜寝込んでいた。
漸く回復し、街に出てみるも、屋台や露店にちらほらと人は見掛けはするが、普段の活気の様な物が無かった。
「…あ。ねぇあそこ…」
ロゼがふと城壁の方を見やると、何かを発見しそちらを指差す。
すると城壁の上では街の兵士達が慌ただしく動き回り、多くの冒険者が防壁の上からある一点を見詰めていた。
カンカンカン…
普段は街の兵士以外通れない様に柵等が取り付けられているが、この日に限っては開放されていた。
クロラ達はよく分からないながらに階段を上り城壁の上を目指す。
その間他の冒険者や兵士がすれ違いざまに「どうするんだアレ」とか「あんな奴に勝てるかよ」等、何やら不安視する様な言葉を口にしていた。
「「「「え…何アレ…」」」」
城壁に上り切ると、視界に異様な光景が飛び込んできた。
数日前に探索した『滅びの森』中央辺りから巨大な大木が屹立し、広範囲に広がっている枝葉から何か粒状の物体が次々と投下されていた。
ドン…ドォン…キィイイ…
それが地面に到達すると、着弾音と共に謎の奇声が響いていた。
「…あ、皆様もここへ来たのですね…」
「え?…あ、ラーベさん…」
クロラ達が目の前の光景に呆然としていると、ジョーと眼帯を付けたラーベ、ラベルタも同様に城壁から『滅びの森』を見詰めていた。
「あ、あのラーベさ「何があったかお話ししましょう…どうぞこちらへ。」
状況が理解出来ていない、と顔に書いてあったのだろう。
ラーベは城壁の中でも人通りの少ない場所に誘導し、事の経緯を説明する事にした。
「え!?それじゃノア君が今あそこで戦ってるんですか!?」
「しかもあの巨大な大木自体がモンスター?
説明されたけど俄には信じられないわね…」
「ギルドに確認を取ってみましたが、今あの場に居るのは、ご存知の通り圧倒的戦力を誇るノア様と、フリアダビアでノア様と共に激戦を経験したドワーフ3人衆、現在最上級冒険者として申請中のエルフ族、ノア様とは同郷で、対植物系モンスターに造詣の深い元上級冒険者の方、契約獣の龍種と召喚された中立の立場の龍種…
歯痒い事ですが、戦力としてはこれ以上無いもので、足元にも及ばなかった我等は静かに見守る事しか出来ません…」
「ラーベさん…」
言いながら下唇を噛み、悔しそうに呟くラーベに掛ける言葉も無い。
ジョーもそれを分かってか黙って立ち尽くしていた。
『『『『シュピッ!』』』』
ドガガガガガガガガガガガッ!
「「「うわっ!?」」」
「「きゃあっ!?」」
「「「何だっ!爆発がっ!?」」」
突如『滅びの森』に閃光が発せられたかと思うと爆発音と轟音、地響きが響く。
どうやら本格的に大木形態である"森の荒神レント"に対して攻撃が開始された様だ。
爆煙が立ち上る中、赤黒い人影と巨大な腕を持った人影が同時に飛び出し、根を伝って幹を駆け登っている様に見える。
それに合わせ、樹上から黒波の様に小型の"何か"の群れが幹を伝いその2人目掛けて押し寄せていた。
ドドドドドドッ!
『『『『『ギィイイッ!!』』』』』
「威力、角度そのまま!もういっちょかませぇグリードっ!!」
(《りょーかい!》)
バシュゥウウウウッ!
"森の荒神レント"本体へ向け<縦横無尽>や<壁走り>を駆使して根を伝って幹を走るノアと鬼神。
その前方(正確には頭上)から夥しい数のレント分体・蜘蛛型が接近していた。
それに対してノアはグリードに再度攻撃要請を掛ける。
ズザッ!ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!
いつも通りノア目掛け放たれたプラズマレーザーを、ノア自身は身を低くして回避。
するとレーザーは前方にいる分体共に当たり、周辺は爆炎に包まれる。
「その調子だグリード!引き続き宜しく頼む!」
(《りょーかい!》)
「さて次はプロスペリダージ!君にお願いしたい!
僕とコイツら(分体)とが一直線上になる様に位置取りしてブレスを放って欲しい!出来ますね?」
[で、出来ない事は無い!出来ない事は無いんだが…うむむ…]
ノアから指示を受けた亞龍・プロスペリダージだが、何やら困っている様子。
それは無理も無い。
何故なら、自身よりも高位の存在であるグリードの主人目掛けてブレスを吐けと言われているのだ。
ノアの戦法を知らないプロスペリダージからすれば、恐ろしい指示である。
しかも「時間が惜しいので詳しい事はグリードに聞いてくれ」と言われ、ノアは早々に"森の荒神レント"の元へと向かうし、グリードから詳しい事を聞こうとしたら《説明が難しい》との事で、"3つの注意事項" を言われるだけに留まった。
1つ、主を手助け(協力、共闘)したら殺す。
2つ、攻撃をする際は主を狙わないと殺す。
3つ、主を殺したら殺す。
無茶苦茶である。
「あ、ああ、あの!せめて"風の障壁"を張った方が…」
《"手助け"するなって言ったでしょー!
さっさと撃たないと喰い殺すぞコノヤロー!》
[ひっ!!どどど、どうなっても知りませんよっ!?]
ゴバァアアアアアッ!
プロスペリダージの口から、景色が歪む程の勢いがある風のブレスが放たれる。
それは薄らと緑色をしており、それが竜巻の様な形状でノアと鬼神の元へ突き進む。
バアアッ…
[き、気を付けて下さい!そのブレスは只のブレスではありません!
無数の風刃が内包された危険な物です!直ぐにその場から退避を!]
プロスペリダージはそう危険を知らせるが、ノアとは少し距離的に離れていた為に、ブレスがやや拡散された状態で到達した。
ゴァアアアアアアアッ!ゾリッ!ゾリッ!ゾリッ!
ノアと鬼神の後方(正確には眼下)からプロスペリダージの風刃ブレスが迫る。
先程グリードが放ったプラズマレーザーで身を焼かれ、落下していったレント分体・蜘蛛型がブレスに巻き込まれ、無惨にも細切れになっていく。
『手助けはいるか?主!』
「要らない!防具と魔装鉄甲、露出部は【鬼鎧殻】を展開して凌ぐ!」
『了『メキッ!』解!『メキッ!』
ノアは顔に【鬼鎧殻】を展開し、風刃ブレスを凌ぐ様で、鬼神は幹に指を食い込ませて体を固定していた。
「ホント…次『時の迷宮』に挑戦するのが少し億劫になるわ…」
「うわぁ…今スキル欄確認したらいつの間にか<疲労耐性>取得してたよ…」
「旨い話には必ず裏があると言う事だな…
それにしても、街の中が変に静かじゃないか?」
前日、獣人国に存在するダンジョン『時の迷宮』に行っていたクロラ達一行は、『時の迷宮』独特の"ある仕様"によって一昼夜寝込んでいた。
漸く回復し、街に出てみるも、屋台や露店にちらほらと人は見掛けはするが、普段の活気の様な物が無かった。
「…あ。ねぇあそこ…」
ロゼがふと城壁の方を見やると、何かを発見しそちらを指差す。
すると城壁の上では街の兵士達が慌ただしく動き回り、多くの冒険者が防壁の上からある一点を見詰めていた。
カンカンカン…
普段は街の兵士以外通れない様に柵等が取り付けられているが、この日に限っては開放されていた。
クロラ達はよく分からないながらに階段を上り城壁の上を目指す。
その間他の冒険者や兵士がすれ違いざまに「どうするんだアレ」とか「あんな奴に勝てるかよ」等、何やら不安視する様な言葉を口にしていた。
「「「「え…何アレ…」」」」
城壁に上り切ると、視界に異様な光景が飛び込んできた。
数日前に探索した『滅びの森』中央辺りから巨大な大木が屹立し、広範囲に広がっている枝葉から何か粒状の物体が次々と投下されていた。
ドン…ドォン…キィイイ…
それが地面に到達すると、着弾音と共に謎の奇声が響いていた。
「…あ、皆様もここへ来たのですね…」
「え?…あ、ラーベさん…」
クロラ達が目の前の光景に呆然としていると、ジョーと眼帯を付けたラーベ、ラベルタも同様に城壁から『滅びの森』を見詰めていた。
「あ、あのラーベさ「何があったかお話ししましょう…どうぞこちらへ。」
状況が理解出来ていない、と顔に書いてあったのだろう。
ラーベは城壁の中でも人通りの少ない場所に誘導し、事の経緯を説明する事にした。
「え!?それじゃノア君が今あそこで戦ってるんですか!?」
「しかもあの巨大な大木自体がモンスター?
説明されたけど俄には信じられないわね…」
「ギルドに確認を取ってみましたが、今あの場に居るのは、ご存知の通り圧倒的戦力を誇るノア様と、フリアダビアでノア様と共に激戦を経験したドワーフ3人衆、現在最上級冒険者として申請中のエルフ族、ノア様とは同郷で、対植物系モンスターに造詣の深い元上級冒険者の方、契約獣の龍種と召喚された中立の立場の龍種…
歯痒い事ですが、戦力としてはこれ以上無いもので、足元にも及ばなかった我等は静かに見守る事しか出来ません…」
「ラーベさん…」
言いながら下唇を噛み、悔しそうに呟くラーベに掛ける言葉も無い。
ジョーもそれを分かってか黙って立ち尽くしていた。
『『『『シュピッ!』』』』
ドガガガガガガガガガガガッ!
「「「うわっ!?」」」
「「きゃあっ!?」」
「「「何だっ!爆発がっ!?」」」
突如『滅びの森』に閃光が発せられたかと思うと爆発音と轟音、地響きが響く。
どうやら本格的に大木形態である"森の荒神レント"に対して攻撃が開始された様だ。
爆煙が立ち上る中、赤黒い人影と巨大な腕を持った人影が同時に飛び出し、根を伝って幹を駆け登っている様に見える。
それに合わせ、樹上から黒波の様に小型の"何か"の群れが幹を伝いその2人目掛けて押し寄せていた。
ドドドドドドッ!
『『『『『ギィイイッ!!』』』』』
「威力、角度そのまま!もういっちょかませぇグリードっ!!」
(《りょーかい!》)
バシュゥウウウウッ!
"森の荒神レント"本体へ向け<縦横無尽>や<壁走り>を駆使して根を伝って幹を走るノアと鬼神。
その前方(正確には頭上)から夥しい数のレント分体・蜘蛛型が接近していた。
それに対してノアはグリードに再度攻撃要請を掛ける。
ズザッ!ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!
いつも通りノア目掛け放たれたプラズマレーザーを、ノア自身は身を低くして回避。
するとレーザーは前方にいる分体共に当たり、周辺は爆炎に包まれる。
「その調子だグリード!引き続き宜しく頼む!」
(《りょーかい!》)
「さて次はプロスペリダージ!君にお願いしたい!
僕とコイツら(分体)とが一直線上になる様に位置取りしてブレスを放って欲しい!出来ますね?」
[で、出来ない事は無い!出来ない事は無いんだが…うむむ…]
ノアから指示を受けた亞龍・プロスペリダージだが、何やら困っている様子。
それは無理も無い。
何故なら、自身よりも高位の存在であるグリードの主人目掛けてブレスを吐けと言われているのだ。
ノアの戦法を知らないプロスペリダージからすれば、恐ろしい指示である。
しかも「時間が惜しいので詳しい事はグリードに聞いてくれ」と言われ、ノアは早々に"森の荒神レント"の元へと向かうし、グリードから詳しい事を聞こうとしたら《説明が難しい》との事で、"3つの注意事項" を言われるだけに留まった。
1つ、主を手助け(協力、共闘)したら殺す。
2つ、攻撃をする際は主を狙わないと殺す。
3つ、主を殺したら殺す。
無茶苦茶である。
「あ、ああ、あの!せめて"風の障壁"を張った方が…」
《"手助け"するなって言ったでしょー!
さっさと撃たないと喰い殺すぞコノヤロー!》
[ひっ!!どどど、どうなっても知りませんよっ!?]
ゴバァアアアアアッ!
プロスペリダージの口から、景色が歪む程の勢いがある風のブレスが放たれる。
それは薄らと緑色をしており、それが竜巻の様な形状でノアと鬼神の元へ突き進む。
バアアッ…
[き、気を付けて下さい!そのブレスは只のブレスではありません!
無数の風刃が内包された危険な物です!直ぐにその場から退避を!]
プロスペリダージはそう危険を知らせるが、ノアとは少し距離的に離れていた為に、ブレスがやや拡散された状態で到達した。
ゴァアアアアアアアッ!ゾリッ!ゾリッ!ゾリッ!
ノアと鬼神の後方(正確には眼下)からプロスペリダージの風刃ブレスが迫る。
先程グリードが放ったプラズマレーザーで身を焼かれ、落下していったレント分体・蜘蛛型がブレスに巻き込まれ、無惨にも細切れになっていく。
『手助けはいるか?主!』
「要らない!防具と魔装鉄甲、露出部は【鬼鎧殻】を展開して凌ぐ!」
『了『メキッ!』解!『メキッ!』
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