ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

.

文字の大きさ
488 / 1,124
獣人国編~森の番人~

報告

しおりを挟む
「…んで、気ぃ失った坊を連れた嬢ちゃん達がワシらん所にやって来たかと思ったら…」

「樹上でとんでもない大爆発が発生したんじゃ…
えれぇ光放っとったし、馬鹿みたいに揺れた故、噴火かと思ったわい…」

「本当…腰抜かしたのなんて何年振りかしら…」

「うむ…確かにあの時私達は王城に居たが、ここまで爆発による地揺れと衝撃波が伝わってきたな…
冒険者時代の時もあの規模の物は見た事が無かった…」


ドワーフのバトとルド、エルフのエスメラルダ、獣人国国王ローグ・ラグナーは、5日前の当時の事を思い出して語り合っていた。

ドワーフ3人組とエスメラルダは戦闘の後、獣人国に1日滞在し、ノアが目覚めるのを待っていた。

だが目覚めなかったので、一時的にスロア領に戻り、本来の目的であった子供達の仮設住居の建設に戻っていた。

そうして3日経ち、建設を終えて戻ってくるとノアが目を覚まし、快方に向かっている事を知り、軽い宴会となった。

その翌日、王城から感謝を述べたいと遣いがやって来て今に至ると言う事である。


「…それに熱波もかなりのもんじゃった。
あの龍が防がんかったら大火傷程度じゃ済まんかったろうな…」

「「じゃな。」」「そうね…」


ドワーフ3人組とエスメラルダは、窓の外に見える『滅びの森』上空を優雅に舞う翼龍『亞龍・プロスペリダージ』を見て安堵の声を漏らす。







バサッ!バサッ!

[うん、今日もこの森に異常無し、っと…]

バリボリバリボリ…

《巡回ご苦労様、プロス。
でもそんな毎日巡回しなくても『森のシリーズ』はそんな直ぐに出現しない、とマドリックが言ってたでしょう?》

[それはそうですが、グリード様から受けた"『滅びの森』新たな統治者"の命、しかと遂行する為には、毎日の巡回は欠かせません。]

ムシャムシャ…

(《うーん…そんな大層な命令を課したつもりじゃなく、"『森のシリーズ』が出現したり、この森に暮らすモンスターが悪さしない様に定期的に見て回って"としか言って無いんだけどなぁ…》)


グリードからしてみればちょっとしたお願いみたいなものであったが、上位存在からの言葉と言う事もあってか"命令"として捉えたのかも知れない。


バリバリボリボリ…

《でも良かったの?
あなた、召喚される前に棲んでた森の近くの村の人間達と仲良くしてたんでしょ?》

[ご心配なさらず。
元居た場所には分体を置いていますので、子供達の遊び相手位であればそれで十分事足ります。]

《そう…そう言う事ならお願いするわ。
それにあなた、中々良い線いってるから心配無さそうね。》

[え?]

《ホラ、あの時…
私がレントと産まれた子供を蒸発させるつもりで放ったプラズマレーザーで発生した大爆発の衝撃波を、風の障壁で防いでくれたじゃない?
しかも熱波を遮断する為に二重構造にしてくれたでしょ?
咄嗟の出来事であれだけ機転が利くなら十分よ。
お陰で主様の仲間が焼かれずに済んだわ。》

[いえいえ、あの程度の事、造作も御座いませんよ。]

([…本当は防がなかったら自分の身が焼かれると思ったから死に物狂いだった、とは言えないな…])


『亞龍・プロスペリダージ』は一応植物系の龍種である為、耐性スキルを持っているとはいえ、火や熱に弱い。

当時は自身の為に行った行動ではあるが、結果的にはグリードに褒められたので言わないでおいた。 




ムシャムシャ…

[…それよりもグリード様、この木は全部お食べになるつもりで?]

バリバリ…

《え?そのつもりよ?
変に残してても危ないし、モンスターが棲み付いたら面倒でしょ?》

[…であれば私の棲み家にしても良いでしょうか?]

《私の食べ掛けだけど良いの?》

[寧ろ箔が付くでしょう。]


先程から響き渡っていた破砕音はグリードが立てていた物で、レントが樹状状態に移行した際の大木を食って除去していた所であった。

『亞龍・プロスペリダージ』から見れば寝床としても使えるし、大地と繋がっている事から魔力供給にも持ってこいらしい。


ズリ、ズリリ…[むっふっふ。]


地面まで30メル程まで迫っていた所でグリードから食い掛けの切り株を貰い受けたプロスペリダージは、何処か満足げだったと言う。






「…してマドリック殿よ、最終的なドドメはお主が刺したと聞いたのだが、その辺りについて聞いても良いかな?」

「…正直な所、あの大爆発の後では私の出る幕は無いと思ったのだが、念の為燃え盛る樹上に登ったのだが…」

(……。)


マドリックは徐に目を瞑り、燃え盛る樹上での光景を思い出す。


煌々とした炎を肩口から噴き出し、融けて煮えたぎった鉄の様な腕で炭化しかけたレントの"核"を握り締める鬼神と、自身の強靭な尻尾で首を絞め付け、身動き1つ取れなくした状態でレントの子供の口から体内の"核"目掛けてプラズマレーザーを撃ち込むグリードの姿が目蓋の裏に映し出される。


「…まぁ、自分が行った時には2人分の"核"が残されているだけで、鬼神とグリードが何をしたかまでは分からなかったよ。」

「ふむ…まぁあれだけの爆発だ。
いくらレントと言えど耐えられるモノでは無いか…」


詳しい内容を聞けなかったローグは顎に手をやり、仕方無いかと息を吐く。


「それにしても、何故ドドメをマドリック殿が行わなければならなかったのだ?」


龍種であるグリードが割と本気で齧ったハズなのに傷1つ付かなかったのだが、後に【樵(きこり)】であるマドリックが武器を振るい、"核"を処理した事で完全に破壊する事が出来た。

普通に考えればおかしな話である。


「失礼ですが王よ、"草むしり"をした事はおありで?」

「ん?"草むしり"?
…まぁ妻に頼まれて一度やった事はあるが…
根っ子を残してしまった事で結局は【庭師】に頼む事になってしまったがな。」

「言ってしまえばそう言う事です。」

「ん?」

「東の島国の言葉で"餅は餅屋"と言う言葉があります。
餅屋がついた餅は美味い事から、"仕事は専門家に任せるのが一番である"という意味です。
普通のモンスターであれば"専門家"とかは関係無しに冒険者の手で倒してしまっても何ら問題はありませんが、上位のモンスターを完全に倒す場合は"専門家"の手で適切に処理する必要があります。
レントとその子供の持つ"核"は、先程の話で言う所の"根っ子"と同じ役割も持ちます。
適切に処理しなければ完全に倒しきれませんし、容易に復活してしまいます。」

「なる程な…ノア君はそこまで考えてマドリック殿を要請したかは定かでは無いが、結果的には良い選択だったのだな…」

「まぁそうなりますね。
恐らくノアは【樵(きこり)】が植物系モンスターにとっての天敵職である事も知らないで呼んだと思いますよ?」


モンスターの属性や種族によっては天敵職と言うものが存在する。
その最たるモノが【魔王】に対しての【勇者】である。
【魔王】を完全に倒す場合は【勇者】の手でドドメを刺さなければならず、他の【適正】が倒せば容易に復活してしまうと言う。


「レントとその子供の持つ"核"の破壊は通常困難ですが、天敵職であれば普段の伐採と何ら変わりません。
それ故私がドドメを刺す必要があった訳です。」

「ふむ、天敵職か…そう言ったモノもあるのだな…
冒険者時代はそんな事考えずにいたな…」

「まぁ普通の冒険者パーティに【樵(きこり)】が居る事はまず無いので気付く事すら難しいでしょう。」


王は新たな発見が出来た、との事で今後の対策等に繋げていきたいと意気込んでいた。

その後話は討伐報酬に移るハズだったのだが、そこでちょっとした問題が発生した。
しおりを挟む
感想 1,255

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

妹が聖女の再来と呼ばれているようです

田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。 「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」  どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。 それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。 戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。 更新は不定期です。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

処理中です...