ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~森の番人~

死亡フラグ

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「さて、ノア様には数あるフラグの中でも"死亡フラグ"をへし折ってきて貰いたいのです。
具体的には"死亡フラグ"を言い放ち、危うくなった所に介入して未然に防いで頂きたいのです。」


そう言って受付嬢のウーワンが"指南書"と書かれた手帳をノアに手渡す。
中をペラペラと捲って見てみると、"死亡フラグ"となり得るセリフや状況が書かれていた。

内容を少し確認してみると、確かにその後の展開を考えれば宜しくない事に発展しそうなモノばかりであったし、思い当たる節が幾つかあったりした。


「…"所構わずいちゃつく"。
あなた達の代表例じゃないの。」

「な、何て事を言うんだポーラ!
それじゃあ僕らがまるで節操無いみたいに…ね、ねぇクロラさん…?」

「そ、そうだよポーラちゃん。
私達は節度を持って粛々とお付き合いを…」

「そう思うならせめて目を合わせてくれないかしら?」


思い当たる節が有りすぎる2人は、一切ポーラの顔を見れず、宙に目を泳がせていた。







「この時期になるとそう言った方々が増えていくので、歯止めの為の意味合いもあります。
ですがこの依頼をこなせる人材は、しっかりとした戦闘経験がある方でないと、却って別のトラブルに発展しかねません。」

「まぁ確かに。
モンスターに襲われそうな所に介入するのですから、対処出来なければ話になりませんものね。」

「そんな折、ノア様が何か依頼を探している様でしたのでオススメさせて頂きました。
モンスターを完全に倒す必要は無く、フラグを折ってさえくれれば良いので、リハビリにも良いかと思われます。
どうでしょう、請けて頂く訳にはいきませんでしょうか?」


顎に手をやり暫し思案するノア。
その後考えが纏まったのか、受付嬢のウーワンに返答する。


「良いですよ。
やり方は自分の一任で良いんですよね?」

「えぇ、勿論です。」パァア。


ノアが了承してくれた事に安堵の笑みを浮かべるウーワン。


「それならクロラ、少年はまだ全快じゃないのだろう?
どのみち私達もまだ全快じゃないし、少年に着いて行ってても良いわよ。」

「え?良いの?」


どうやらクロラ達のパーティは、ノアが眠っている間に再び『時の迷宮』に挑んでいたらしく、クロラとポーラはまだしも、ジェイルとロゼは全身筋肉痛で碌に動けないらしい。

なのでクロラは前日からノアの快気祝いに。
ポーラは自由行動として街をぶらついていたらしい。

てっきりポーラの事だから着いて来ると思ったのだが、要らぬ心配だった様だ。

だが


ポン。

「クーロラ、それにしょーねん、2人っきりだからと言って、羽目外しすぎない様にね。」

「「……。」」


ポーラが満面の笑みでそう言ったのだが、特大のフラグを立てられた様な気がする2人なのであった。







スタスタ…
ひょっこ、ひょっこ…

「えーっと…"依頼を実行中はこの仮面が目印となるので常時着用をお願いします。
仮面を着けていれば、モンスターの横取り目的では無い事の証明にもなります。
もし、助けた冒険者から何か問われた場合は『私はブレイカー、用があれば冒険者ギルドを通してくれ』と言って下さい、こちらで対応します。"か…
着けるのは良いんだけど、もうちょっと何かこう、あったでしょ…」

「…う、うん、そうだね…」


ノアが手にしている仮面は白地の簡素な仮面。
但し頬の辺りに小さく『ブレイカー』と彫られていて何ともダサい。


「で、でもコレ位なら誰も気付かないよ。
頑張ろ!ノア君!」

「う、うん…」


クロラは未だ不調のノアの補助兼フラグをへし折ったパーティの記録等をする観測手を担う事になった。

仮面のダサさに項垂れるノアを何とか励ましつつ、2人は『滅びの森』へと向かうのだった。






ガギュンッ!ブモッ!?

「よしっ!克ち上げたぞっ!叩き込めっ!」

「「おおっ!」」

ズザッ!ザザッ!

「ファイアラッシュ!」ドゴゴッ!
「アイシクルラッシュ!」ドガガッ!

ブ、モォオオッ…ズズンッ!

「やった!」
「っし!3頭目ぇっ!」


【盾】と【拳士】2人による3人組パーティがエレファント・バッファローを撃破。

その僅か数メル後方では4人組パーティがトン豚と接敵。
他にもパッと視界に入るだけでも10組のパーティが多種のモンスター討伐に躍起になっていた。


「おー…本当にモンスター戻ってきたんですね~。」

「そっか、ノ…じゃなかった、『ブレイカー』は目覚めてからここに来るのは初めてだったね。
森の番人が討伐されたその日の内にチラホラと戻り始めて、昨日には元の量に戻ったみたい。」


僅か2日程モンスターが居なかっただけでこの盛況ぶりである。
その日数分の遅れを取り戻すべく、狩り尽くさん勢いで討伐していっているが、狩られた分だけ森の中から沸いてきている様だ。


「さて、それでは『ブレイカー』としてのお仕事を開始しますか。」

「そうだね。
えーっと、指南書には何て書いてあるかなー…」



~指南書~

先ずは男女パーティを探してみましょう。
なるべくお互い内気そうで、踏ん切りが付いてない初々しいカップルが理想です。

男の方が何やら覚悟を決めた表情をしている時は死亡フラグを立てやすいので狙い目です。



「…やけに具体的に書いてるけどこんな人居るかな~…」

「…あ、ノ…じゃなかった、『ブレイカー』あそこ…」

「んえ?」


クロラが指差す方向にはエレファント・バッファローに剣を翳し、相対する【剣士】と【神官】らしき2人組のパーティが居た。



ブモッ!ザシッザシッ!

「ねぇルート君…私達にはまだエレファント・バッファローは早いよ…」

「大丈夫!僕に任せて!」

(今日こそエレファント・バッファローを倒してネリシアちゃんに想いを伝えるんだ!)

ドゥンッ!ズドドッ!


ルートと言う【剣士】の少年が何やら意を決した直後、エレファント・バッファローが突進を仕掛けてきた。


「シッ!」ビュオッ!

ブモッ!ズザッ!

「なっ!?」


エレファント・バッファロー目掛けて剣を振ったルートだが、寸での所で回避され空を切る。

ブァアアッ!

剣を振り下ろした状態で硬直したルート目掛け、エレファント・バッファローが再度突進を仕掛けてきた所で


ビチッ!ブモァッ!?

「!?」


エレファント・バッファローの顔面に高速で石が飛んできて直撃し、悲鳴を上げて僅かに動きが止まる。


(今だ!)

「オォオッ!"スタブ"!」

ドズッ!ブモォオオオッ!?


ルートは僅かに生まれた隙を見逃さず、剣を構え直し、喉元目掛けて刺突を仕掛けた。
剣は見事突き刺さり、ルートは体重を乗せて更に深く突き刺しに掛かる。

ブ、モォ…ズズンッ!

「わ!わあっ!すごい!凄いよルート君!?」

ガバッ!

「わっ!っとと…」


【神官】のネリシアはルートに抱き付いて喜びを露にしていた。

(あ、危なかった…
誰かの攻撃の余波が飛んできてなかったら返り討ちに遭っていた…)


ルートは周りをキョロキョロと見回すが、それらしい気配は感じられなかった。




ヂャラ…

「よし、間に合った。」

「おお~…
人と人との隙間を狙ってエレファント・バッファローの気を逸らすなんて流石ノア君…」

「クロラさん、設定。」

「あ。」


何はともあれ、無難な感じで1組目の死亡フラグをへし折った『ブレイカー(ノア)』は次のパーティを探すのであった。
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